仮面ライダーギーツ ウマ娘・クロスオーバリング 作:玉ねぎは大正義ッ!
──────道長さんと息を合わせるなんて…出来るのかな…?」
「…あの人はクラちゃんが選んだトレーナーさん。そしてここまでトレーナーさんとも上手くやれている。…私はそれを信じます」
「ダイヤちゃん…」
道長が英寿と少し揉めていたその頃、こちらはサロンにてダイヤに助けられつつ、道長との付き合い方に変わらず悩んでいる景和がいた。
一見すればパートナーなんて、なんなら担当ウマ娘でさえどうとでもなれという感じのやつだから、そう思ってしまうことは避けられないのだろう。
「1度だけデュオを替えられるチケット。しかも、俺なら狙ったくじを当てられる」
「ありえない」
「職業柄、手先が器用でね。指先の感覚だけで、くじの柄が分かるんだよ」
「何の職業だよ?」
「まあまあまあまあ、勝つためには手段を選んでらんないでしょう?」
(後を付けてみたら思った通りの手癖の悪さ。でも今の私が近づくのは…ごめんなさい、浮世トレーナー)
あの後、やはり道長を諦めきれずクラウンは後を付けていたのである。
しかし今すぐ特攻するのは今はまずいと判断したのか、先程サトノグループから届いた森魚の実態に関する報告を英寿に垂れ込むのだった。
「うう~美味しい!これギロリさんの手作り?」
「はい。喜んでいただいて幸いです」
「うう~無限に食べられる~」
祢音がギロリお手製のパフェを食べる一方で
英寿は自身のスマホに先程届いたある情報を一読していた。
(クラウン本人、あとはダイヤモンドづてでサトノグループ、ついでにキタから連絡が来た時は何事かと思ったが…なるほどな)
「──メリー。あんた只者じゃないとは思っていたが、ここまでとはな」
「何々?何見てんの?」
『違法カジノディーラー、海外に高飛びか』
「これって…森魚さん?」
「違法カジノのディーラー、小金屋森魚。カジノの売り上げやサトノグループの一部資金を持ち逃げし、海外へ高飛び」
「えっ…?待って、待って。それほんと?」
「というかダイヤちゃんクラウンちゃんの実家の収益もネコババ⁉︎」
「顔全然違うし…」
シュヴァルが懸念した通りというか、案の定の男だったようである、この小金屋森魚という男は。
道長も耳を澄ませ、情報を必死に拾っていた。
「み゛っ゛ち゛ぃ゛〜゛〜゛〜゛!!」
「ぼ、僕に泣き付かないでぇ…」
(クラウンさんには珍しい大泣き…吾妻トレーナー何やったんだ…)
そんな頃、クラウンは自分の大好きな男に契約を切られたかもしれないという恐怖からなかなか見せないくらいに大泣きしていた。
抱きつかれているシュヴァルはただただ困り果てている。
「…ダイヤちゃんダイヤちゃん。クラさん、吾妻トレーナーに突き放されたんだって?」
「うん。らしいんだけど、それを見た浮世トレーナーは化かしただけだろみたいに言ってたから違うんじゃないかな」
「化かした…つまり敢えて突き放したってことかな」
「うん、だからわざとだと私は思ってる。今のクラちゃんは分からないけど」
キタサンとダイヤはそれを心配そうに、されど申し訳なさそうに見つめていた。まあ英寿がそう言ったなら、高い確率でそうなのだろう。そう思うしかなかった。
『皆さんにデュオ、交代のお知らせです』
「あっツムリさん!」
そんな中、第3ミッションに関する続報が流れた。
だが、それは──────
『交代?』
『くじ、引かせてもらったよーっ!』
『これにより、メリーさん、バッファさんのデュオが決まりました』
『えっ、じゃあ俺のパートナーは?』
『パンクジャックになります』
「「ッええ〜〜〜ッ⁉︎⁉︎」」
「…トレーナーさん」
悲報でもあり、森魚がパートナーを変更し景和を孤立させたことを意味しており。
当然何も知らなかったキタサンは動揺し、ダイヤは自らのトレーナーの危機を心配していた。
「ってうわわっ⁉︎」
「あの男…!!」
ただ、これで予想外に動いたのがクラウンだった。というかさっきは敢えて見逃したのに、今回はブチギレているあたり、3度は見逃してくれる仏様より容赦がなさそうである。
『ほらほら!トレーニングしておいたほうがいいんじゃないの?そのハロウィンちゃんと息合わせるの、大変だよ~』
あの後、余裕だからかそんなことを森魚が言ってきたということで、景和パートナーパンクジャックとのトレーニングを始めていたこと
「大丈夫ですか、桜井トレーナー!」
「景和、マズいよ」
「桜井トレーナー、大丈夫なんですか…?」
英寿、キタサン、祢音、シュヴァルも見守っている。
「もー皆そんなこと言わないでよ。諦めずに頑張れば、きっと勝てるって。ねっ、ダイヤちゃん、パンクジャック?」
「はい…でもその、パンクジャックさんが…」
「…」
(嫌いじゃねえが今はな…)
「ちょっ、ちょっと頷いた気がするんだけど!」
「微動だにしてないだろ」
ただ悲しいかな、明らかにパンクジャックのやる気が無さそうなのである。
「相変わらず気持ちだけはポジティブだね~景和君」
「僕だったら引きこもってますよ…」
(心配だなぁ…)
「うぅ…トレーナーさん、あの!」
「言わなくてもいい、これを返してやるか」
「えっ?返すの?」
そう、ブーストをどうやら英寿は返すつもりのようだ。
なんの気まぐれ、というわけではなさそうである。
「元々タイクーンのだし、これがなかったせいで、脱落した~なんて、言われても困るしな」
「そうなった場合のダイヤモンドからの視線もああ怖い」
「むっ、私は別に浮世トレーナーを恨んだりはしません!」
「! ありがとう。これがあれば、絶対勝てる…!」
景和としても願ったり叶ったりなので、もちろんこれを快諾するのだった。
「ブーストバックルはヤバイよね~」
しかし森魚はこれを当然よく思わず、何やら画策し始めたのだった。
「……!」
そのさらに後方でサトノ家のご令嬢がハイライトの消えた目で見つめていることには気づかないまま
『普通、変身するまで待つでしょ! もう!』
『話聞いてる? どいて! 前にいると撃てないでしょ?』
「ああ、疲れた…。余裕って感じだね?もう、勝った気?」
メリーと組んだとき同様やはり自分勝手にしか戦わないのか、景和はパンクジャックの扱いに非常に困っていた。
「…お前も、くじを引き直せばいいだろ?」
「う~ん…、まあでも、周りに迷惑かけちゃうし。ほら、英寿君とか引いちゃったら、祢音ちゃんに悪いし。俺には性に合わないんだよ、他人を蹴落としてでも勝つってのが。他の人の幸せが、俺の幸せなんだ」
「ほんとはウマ娘のトレーナーをやれてること自体、奇跡みたいなものだと思ってるし」
「人のために自分が負けたら世話ねえな」
ただだからといって責任転嫁する気はなく。
その性格ゆえか道長の提案も敢えて蹴ってしまうのだった。
「相棒。ちょっと」
「ほら、手土産だ」
「どうした?これ」
そして案の定、森魚はそれを黙って見過ごしているわけもないわけで。
「ザ・お人好しの荷物からくすねてきたんだよ」
「タイクーンのか」
「…これで、アイツの最下位も決まったようなもんだな」
そう、しれっとブーストレイズバックルをくすねてきていたのである。
「そこまでするほど、タイクーンにびびってんのか?」
「念には念をだよ。勝つためには相手を蹴落とすのも作戦のうちでしょ!?ハーッハッハッハッハッハッハ…!」
相変わらず小物っぽい性根でよく笑うものである、意地汚いというべきか。
──────ネコババしておいてよくもまあ」
「いでででで⁉︎」
「⁉︎ クラウン…」
なので激昂したクラウンが後を付けていたことにも気づかない。
「あ、あんたはサトノグループの⁉︎」
「こんなところまであの会社の連中追ってきやがったのか…ッ!!」
森魚としては恨まれるしかない一族出身の令嬢、それだけで冷や汗がどんどん湧いてくるのだった。
「別に突き出しはしないわよ、私は警察じゃないしプレイヤーでもないし運営でもないし観客止まり」
「今日は忠告に来てあげただけ」
「ち、忠告ぅ⁉︎」
忠告、しかしそれは…
「貴方が何をやろうと勝手だけど、仮にこの人、吾妻道長を貴方の破滅に巻き込むなら──なりふりなんて関係なく、地位だって迷わずフル活用して地の果てまで追い込んで徹底的に孤立させ弱らせてやるから覚悟なさい?」
「──貴方の人生の岐路っていう賽の目を、容赦なく握ってやるから」
「ヒッ!!??」
「うわああああああ!!」
実質の処刑宣言や奴隷宣言に近いものだったので森魚もビビりまくりである。
お金持ちのご令嬢なウマ娘をブチギレさせるとどうなるかかという良い例だった。
「クラウン、お前…」
「…ミッチー、ごめんなさい」
──────ただ関係を切られるのは覚悟のうえよ、あくまで私の身勝手でやったことだから」
ただ、クラウンなりに覚悟を決めてさっきの行動を行なったらしく、その眼差しは悲壮感に満ちていた。
「それでも、貴方の生き方を歪ませたくなかった」
「貴方に疎まれたとしても──」
「! こいつ…」
「勝手なことしやがって」
「ッ…(あんなこと言ったくせに…つらい、な…)」
とはいえ内心は酷く道長に嫌われないか震えているようで。
ゆえに道長のそういう発言にもすぐ心を折りかけてしまう。
「よう、何の内緒話だ?」
「ギーツ!」「浮世トレーナー…」
だがそんな時、救いの神はいたのか。
英寿が歩いてくるのだった。
「デュオが入れ替わって、作戦通りか?」
「言ったはずだ、パートナーなんて誰だっていい」
英寿が来たからか道長も食いついてくる。
「どんな手段を使ってでも、勝てば正義。そういえば前にもそんなライダーたちがいたな…!」
「ああ…?」
「気づいてないとでも思ってたか?お前が俺を目の敵にしている理由を」
「えっ、それって…」
「ちょうどいい。クラウン、お前にも話しとく」
そう言うと、英寿は道長が自身を強く意識するその理由について真面目な面持ちで語りだすのだった。
(過去に開催されたグランプリ中のとあるミッションで他のライダーに変身した参加者2人にトゲッチ/今井透は生身でいたぶられていたらしい)
(トゲッチが落としたのはゾンビバックル)
『こいつはもらっといてやるよ』
『お前はここで終わりだ』
『『フハッハッハハハ…!!』』
『かっ、返せ!』
『『フハッハッハハハ…!!』』
『俺の…俺のバックルを…返せ…』
『『『『『ジャジャァ…!』』』』』
『うわああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァァ!!??』
(トゲッチは無防備な状態でジャマトの襲撃に合い致命傷を負ってしまった。
そしてそこに当時はただの一般人でグランプリのことを知らないバッファが偶然居合わせたようだ)
『透!大丈夫か?しっかりしろ!』
『こんなはずじゃなかったんだ…デザイアグランプリで…』
(そしてトゲッチはバッファの手の中で消滅した。欠片も残さずな)
『おい、透! 何なんだよ!?デザイアグランプリって!』
『』
『はっ…?』
『おい…透…?』
『』
『ッ、とおるううううううああああああァアアアア!!!!!』
(そこへバッファに襲いかかろうとするジャマト2体がいた)
『『ジャジャァッ⁉︎』』
『ッお前は…⁉︎』
(が、それを駆け付けた俺こと浮世英寿が助けたってわけだ)
『こんな悲劇は忘れるに限る』
『はっ?』
『忘れてたまるか!』
「ミッチーに、そんな、過去が…っ⁉︎」
「私、わたし、分かってなかった…貴方がそんな、そんな苦しみを、悲劇を背負って生きてきたなんて…ッ!」
これを聞いたクラウンは当然、自分のほうを責めだす。道長を強く信頼していればこそ、そんな彼を理解することを放棄していたことが許せないのだろう。
「…あれは俺に取ってのターニングポイントだ。お前が気に病むことじゃねえ」
「でも、でm「お前はせいぜい俺の無事でも祈ってろ」…うん」
「…ごめん、なさい…」
「…早く行け」
そしてそんな担当にあーだこーだ言うほど吾妻道長という男も酷な人間ではない。早々にクラウンをモニタールームに帰してしまったのであった。
(…えらい落ち込みよう、思い詰めてなきゃいいが)
「…あの時は一般人だったお前が、デザイアグランプリの審査で選ばれた。仮面ライダーバッファになって」
「ああ、そうだ。いつまでもお前の思い通りにはさせない」
あの時の非力な若者は、いつまでもそうなんてことは絶対なく。
「負けないよ。誰かを当たり前に蹴落とさなきゃ勝てないような奴にはな。どんな逆境でも自分自身に負けない奴にこそ勝利の女神が微笑む」
「ギリシャの哲学者プラトンだって言っていた。自分に打ち勝つことがもっとも偉大な勝利であるとな」
「必ず勝ち抜いてみせる。お前らライダーを1人残らずぶっ潰すために!」
ゆえに、あの時以上の強い意志と眼差しで自らが越えるべき壁と定めた男に、そう宣言するのだった。
道長が書いたのは『全てのライダーをぶっ潰す力』だったのである。
『ダメだね』
『やっぱり、盗んだんでしょ!?』
『君達デュオには負けてらんないからね』
『バックル盗むなんて卑怯でしょ!』
そしてその後、そんな感じのやり取りを景和が森魚と繰り広げた結果…
「森魚さんがそんな感じなんで道長さん、俺のバックル返してください!」
「ふっ…! いいだろう。ただしゲームに勝ったらな」
結局ブーストを返してもらえないので相方の道長に提案、何かしらのゲームで勝利することを求められたのだった。
果たしてどんなゲームで対決するのか────
──────ビーチブースト対決ぅ⁉︎」」
「いや、何ですかそれ…?」
「砂浜に埋まったブーストレイズバックルをフラッグよろしく先に取ったほうが勝ちってゲームらしい、バッファ曰くな」
蓋を開けてみるとそういう物々しい雰囲気を壊すような、少し変わったゲームで勝負することになったのだった。
「なるほど、つまり名前に反してルールはそこまで元と変わってないんですね」
「ダイヤちゃん飲み込み早いね…あたしはちょっと混乱してる。これがデザグラクオリティ…」
「(僕もすぐ分かったって言えない雰囲気…)」
ただ景和の担当ゆえか、はたまた彼女自身の性格かダイヤはすぐ受け入れたようで、対してキタサンは少しばかり戸惑っていた。
ちなみにシュヴァルも理解はできているようである。
「なんでこんな事するんだよ!?」
「なんだよ。やっぱりタイクーンとクラウンにビビってんのか?」
「そっ、そんなわけねえだろ!」
そして森魚は今度は景和にビビっているのか、意味もなく道長にこのゲームを開催した理由を焦り気味に問うていた。
そして、ビーチブーストのカウントが始まる
「遠慮することないよ!盗んだ向こうが悪いんだから!」
「ぶちのめしてあげてください…」
「祢音ちゃん、シュヴァルちゃん…」
森魚に情けかけようとか迷っていたのを見抜かれたのか、祢音とシュヴァルに気合い注入される景和だった。
「勝つ執念がない奴に理想の世界はやってこない。まあどっちが脱落しても俺には大差ないけどな」
「頑張ってくださーい、桜井トレーナぁ!」
英寿もキタサンも彼女なりに応援メッセージを送り、そして────
「…ゴーッ!」
──────スタート。
両者走り込みダイビング、景和が先にキャッチした。
「うおらァ!」
…はずだった。
「よこせ!」
「やった!やったぞーっ!」
「これで、これは俺たちのもんだ」
この男の厚かましい性格はどうしようもないのか、景和に妨害をかましブーストをふんだくった森魚だった。
「…すいませんが異議申し立てます」
「酷い!」
「思いっきり不正じゃないですかあ!」
当然、ダイヤ・祢音・キタサンは正当に異議を申し立てるも…
「ジャマトが現れた。行くぞ!」
ジャマトが現れ、ビーチブーストは強制終了。
そしてそれは、第3ミッションの再開を意味していた。
「…クラさん、大丈夫?」
「キタサン…そうね、ちょっと驚いちゃった」
なのでクラウンも出てくる。が、やはり少し落ち込んでいるようだ。
「私、あの人のこと分かってるつもりでいた」
「でも、それは誤解だった。今のミッチーを形作るほんとに大事な過去に、私は全く気づかずにいたんだもの…」
「そしてそれは、誰かの理不尽な死と結びつくものだった。とりわけ彼の友人の死だからなおのこと…」
「私はなんて無知だったんだろうって、何も知らないで漠然と彼を心配してたのかって…すぐ、後悔したの」
「クラちゃん…」
「クラウンさん…」
少しどころかわりとなようだ、これは心配である。
「──でも、だからこそ、驚きはしたけど真摯に受け止められたの」
「「「!」」」
────しかし、それさえ杞憂だった。
「今はもう、彼の勝利と無事をただひたすらに祈ってるわ」
「改めて私にずっとできることは、やっぱりそれしかないでしょうから」
(アレを仕込んであるという意味でも、ね)
彼女はこの短い時間で彼女なりに未熟な自分を、道長の過去を熟孝し、悩み、受け入れていたようだ。大したものである。
「クラちゃん…良゛か゛っ゛た゛よお!」
「これであとは吾妻トレーナーとトレーナーさんが勝てば解決だね!」
「…頑張ったね、クラウンさん」
「くっ苦しいわ! …でもふふ、ありがとうキタサン・ダイヤ・シュヴァル♪」
キタサンたちも歓喜し、クラウンの再起を祝うように3人で強く彼女を抱きしめ、そして──────
『八景島シーパラダイスにてただ今よりミッションを再開いたします』
「「「「!」」」」
時を同じくして第3ミッション、その再開が正式に通達された。
今度の舞台は八景島シーパラダイスである。
『『SET』』
『『変身!』』
『DUAL ON』
『『ARMED CLAW HAMMER(MAGNUM)』』
『READY FIGHT』
『デートの邪魔とか、世界一悪いことだよ!』
──────ここから先は行かせない』
(頑張れ、祢音ちゃん!)
英寿・祢音は早くもトランプジャマトと戦闘を開始する。
「うぐっ…何のこれしき!」
「強がっちゃって! ブーストバックルがある限り、俺たちの勝ちは決まったようなもんなのにな。アーッハハハ!」
「…」
「森魚…全く懲りてないわね、この男!」
「クラちゃん、抑えて抑えて」
一方で森魚/メリーは近くで戦いだすも今の状況ゆえに早くも苦戦している景和を見下しつつ、こちらもジャマトに攻撃を開始するのだった。
もちろんクラウンは激おこである。
が、しかし
「おい、青年!どうした?」
「まだ負けだと…決まったわけじゃない!」
「ほら、トレーナーさんの気持ちは折れてないよ!」
「…そうみたいね」
(ならミッチー、あとは貴方があれを実行するだけね…)
「……」
景和/タイクーンは本当に諦めていない。どこまでも勝つという意志に満ちている。
そしてどうやら道長/バッファはそうして必死で戦う景和をなぜか見ているようだった。
「おいっ!突っ立ってないで、早く戦えや!」
「…ああ」
(…そろそろか)
(!)
「これは…好(ハオ=ヨシ)!」
そして何かを決めたのか道長はマスクの中で神妙な面持ちに、クラウンもそれを見抜いたようだ。
そして────
「はやk「舐めんな、クズが!」
「えっ?」
『SET』
『DUAL ON』
(DESTROY! CLASHOUT!) 『ZOMBIE & BOOST』
『READY FIGHT』
──────その答え合わせか、ここでついに道長/バッファはブーストバックルを発動。
「おらあああああああ!!」
『ジャジャァァア⁉︎』
「! ミッチー!」
ゾンビブーストフォームとなり、猛ダッシュ。
メリーが戦っていたジャマトを横取りし、コンクリ地面に擦りつけながら、駆ける駆ける。
「待てよ!それは俺の獲物だ!」
『REVOLVE ON』
リボルブオンしブーストゾンビフォームとなると即座に必殺技を発動
同時に景和/タイクーンも必殺技の体勢に、あとは迷いなく────
『ZOMBIE BOOST GRAND VICTORY』
『ALLOW VICTORY』
『ジャジャァァアアアアアアア!!!???』
同時攻撃を決め、まさかのハートジャマトを同時撃破したのだった。
そして当然誰かに200ポイントが入る
────それは、道長と景和だった。
『はっ…!倒せたしポイントも入った…?』
『…何がどうなってんだ?』
当然景和も森魚も困惑するが、その答えを持ってかそこへツムリが現れた。
『デュオ交代のお知らせです。先ほど吾妻道長様がくじ引きし、バッファ、タイクーンのデュオが決まりました』
『はああ~⁉︎』
『ええ…?』
その答えに森魚は驚愕し、ついでに祢音も驚いてみせる。
まだこっちは戦闘中だった。
バッファ&タイクーンのデュオにスコア200PTが入った、それも道長がチケットを使って変更したがゆえに。
『もしかして…俺を助けてくれたの?』
『勘違いするな。たまたま引いたのがお前だっただけだ』
『パートナーは誰でも良かった。ただあんな奴は残しても厄介。排除すべきと思っただけだ』
果たしていつの間にチケットを手に入れていたのか疑問ではあるがその前に…
「おい、裏切ったな!ブーストバックルを返せ!」
森魚は当然道長を問い詰めるが、しかし…
「身から出た錆だろ」
「は?」
これはどういうことか、実は経緯は少し前に遡る。
『こいつは…(使用済みのチケット。制限は2回、ただし1人につき一回しか使えず、そして一回購入して使用しちまえば残り一回は購入者以外でも使用できる)』
(クラウン…あいつ、余計なお節介を。誰に似やがったんだか)
(こいつはありがたく使わせてもらう)
『お前がクラウンに咎められた時にチケットを落とした。クラウンはそれに気づき掴んでしまい、そのあと俺に渡した。俺はそれをさっき使用した』
『それだけだが?』
『はっ、ハアアアアア⁉︎』
どうやら、道長は彼の過去を英寿が語る少し前に森魚が落としたチケットを見逃さなかったなかクラウンからゲットしていたようだ。
「「「うええっ⁉︎」」」
「くっクラさん⁉︎」
「──生憎と、今の私はお嬢様らしくないなりふり構わなさ、マジックやお芝居が上手いことに自信があるのよ♪」
(まあ、あの時心配だったのは本当だけど)
手癖の悪さでトレーナーを巻き込むからにはこちらもある意味手癖の悪さで返す、彼女なりの森魚への意思表示だった
「ふぇっ、たっ、たまげたあ〜⁉︎」
『ふざけんな、手癖が悪いのはどっちだよ!!』
ただ森魚はたまったものではないので激昂する。が…
『──勘違いしてんじゃねえぞ!!』
『ヒッ⁉︎』
『勝つためには相手を巧みに利用し正々堂々手段を選ばない。これが俺とあいつ、吾妻道長とその担当であるサトノクラウンの今のやり方だ』
『──手癖が悪いって文句があるならまずはてめえの小細工なしの実力で俺たちを、タイクーンを正々堂々見返してから言いやがれ、このコソ泥が!!』
『うひぃッ⁉︎』
道長がそれを一喝のもと黙らせる。
どうやらこの男、担当ウマ娘ともどもなかなかに強かというか泥臭く勝ちに貪欲なようである。それでいて他者の強さを確かに認めている。
──ならその意味で、ただ相手を見下し蹴落とすだけしか脳がない森魚と絶対的に近いようで交わらない、光の道を彼と彼女は歩いているということなのだろう。
『道長さん…』
「…私、クラちゃんの幼馴染で親戚なこと、貴方の担当が吾妻トレーナーであること、一緒のチームなことを誇りに思うよ」
「そう? ありがとっ♪」
「…あたしたち、レースでもそれ以外でも凄い子と同期なんだなぁ…」
「僕も、そう思う…」
「あっ飛んでっちゃった…」
その裏でキタサンやダイヤがクラウンを誇りに思うなか、ブーストは1度使ったからか例によって、景和を離れてどこかへ飛んで行ってしまうのだった。
「他者を認めつつ、それを上回るためのなりふり構わなさが似たトレーナーとウマ娘、か」
「うん」
「ふっ、手強いプレイヤーが残っちまいそうだな!」
「レースでもデザイアグランプリでも負けてられないね!」
そして英寿/ギーツと祢音/ナーゴも道長とクラウンの覚悟を思い知り、認め、ゆえにその意志表示か…
『SET』
『DUAL ON』
『MAGNUM ARMED HUMMER』
『READY FIGHT』
『REVOLVE ON』
今度は自分たちの番だと
英寿は祢音からアームドハンマーを借り、セットしマグナムフォーム アームドハンマーと思いきや、リボルブオンし、アームドハンマーマグナムへチェンジ。
『さあ──ここからがハイライトだ!』
このミッションという祭のハイライトを演出しにかかる。
「トレーナーさんの決め台詞、来たあ!!」
「ならこのあとは──
『MAGNUM HUMMER VICTORY』
『CLAW VICTORY』
『『ハアアアアア(やあああああ)ッ!!!』』
レイズハンマーで祢音/ナーゴを打ち上げ、キックと同時にリボルバー型のエネルギーを込めて、強力な射撃を発射。
そして祢音が必殺の斬撃を2体に喰らわせ、そこへダメ押しとばかりに英寿/ギーツはマグナムシューター40X・ライフルモードによる狙撃をぶちかます。
『『『『ジャジャァアアアアアアッ!!??』』』』
「決まりね!」
クラウンが物語ったように4体のジャマトを同時撃破に成功した瞬間だった。
『ミッション、コンプリートです』
『終わったぁ~』
『皆さん、お疲れ様でした。連れ去られたカップルも無事解放されました』
『よかったあ…』
「それではスコアの発表です」
『1位 ギーツ、ナーゴデュオ』
『2位 タイクーン、バッファデュオ』
『最下位 メリー、パンクジャックデュオ』
「「「「!」」」」
「「「「…やったあっ!!」」」」
そしてゆえにミッションの結果は出され、それはつまり…
『というわけで、メリーさんはここで脱落です』
『こんなはずじゃ…』
小金屋森魚の脱落が決まったことを意味していた。
『お前の手癖の悪さが招いた結果だ』
『どんな悪どい手を使っても、誰かを貶めるなら、勝てないなら無意味だ』
『! くそぉっ、お前ら覚えてろよ! 次会ったら容赦しねぇからなっ!』
どうしても認められないのか、チンピラ染みた口調の本性を晒け出し脅迫めいた恨み節をぶつける。最後っ屁のつもりなのだろう。
『なんなのこの人…怖っ…』
『安心しろ。コイツに次なんてない』
しかし、それだけ。すぐに森魚はデータとなってデザイアエリアから消失した。
「小金屋森魚様は仮面ライダー失格となります」
「ッ、また消滅…?」
「いえ、違うわシュヴァル」
『あの…失格って、何処に行ったんですか?』
『普通の生活にお戻りになりました』
ただ、死んだわけではなく。
「つまり、ただ負けただけなら記憶が失われるだけってことよ」
「そ。コソ泥人生に戻っただけ。今まで通りサトノや違法カジノから追われる身よ」
「…良かったって言うべきなのかな…?」
「彼は元より犯罪者。警察に追われる日々に戻るだけなので良いことかと」
そう、彼女らが語るようにデザイアグランプリに関する記憶を喪失しただけ。そのまま消滅するわけでは決してない
その意味で言えば2回戦で消えた奏斗も普通の生活に戻っている可能性はあるのだろう。
『…クラウン!』
「过错、何?」
「!」
「! ふふっ、もうミッチーったら…はいっ!」
ミッション後、まだ中継が繋がっていたからか道長は今回の件の感謝を込めて画面越しにクラウンに力強くサムズアップ。
これを見たクラウンもその微笑ましさに、また今回の件を通して自分と彼の仲が深まったことに喜びつつ、とびきりのサムズアップをとびきりの笑顔と共に決めたのだった。
『『ひゅー熱いねえ!』』
『そんなんじゃねえ!』
「今さらだけど強い信頼関係で結ばれてるんだね、吾妻トレーナーとクラちゃんは!」
「そうよ、もう1年以上ずっとね♪」
「ん?」
(誰かしら…ってこの人は⁉︎)
そんな折、クラウンのスパイダーフォンにある人物から連絡が届いたのだった…
「今期のデザ神決定も近いようです」
「この世界も終わりが近づいてきたか」
「はい。恐ろしい力を持つ、ラスボスジャマトの存在が観測されました」
「世界を守れるか?仮面ライダー諸君」
──そしてこれらの裏で、世界を揺るがす脅威が誕生しつつあることをまだこの二人以外は知らない
時間は経ち、それから数時間後。クラウンはデザイア神殿の一角にいた。えらく近代的な部屋である。
意を決して入るとそこには────
「…」
(まさか、この人が関わっているなんて)
「失礼します」
「⁉︎…まさか、貴方もいるなんてね…」
「いやでも、それもそうかしら」
「…ニラムトレーナーにドゥラメンテ」
「…久しぶりだな、サトノクラウン」
「や、待っていたよサトノクラウン」
「お時間を少々拝借させてもらうがよろしく」
──自分がよく知るトレーナーとウマ娘が、こちらを見つめていたのだった
前話の後書きでも書かせてもらいましたが次話投稿は気持ちとしてはなるべく早くしたいところです
ただリアルの生活がもちろんあったり書き溜めもこれまたもちろん必要ですので、そこだけは理解して次話投稿を楽しみにしていただけると幸いです
感想・質問もちょっとでもいいのですごくすごいお待ちしております、よろしくお願いします…