仮面ライダーギーツ ウマ娘・クロスオーバリング   作:玉ねぎは大正義ッ!

8 / 11
今回は邂逅Ⅰ〜Ⅲのダイジェスト版withウマ娘3期メンバーという仕様です。
なので巻き足感ありますが、読んでもらえれば幸いです。


邂逅編
邂逅Ⅰ→Ⅲ 運命の日


────くっ、さっきの追い切りはクラウンのほうが早かったんだよ!」

「ふっ、タイムはタイムだ。俺にケチを付けても何も変わらないぞバッファ」

 

「それともキタに直に言ってやるか?」

「…するかよ流石に」

 

「2人とも今日も早かったね〜」

「もう慣れちゃったよ俺」

 

 

今日も今日とて互いに突っかかり軽い喧嘩になっている英寿と道長がいた。ただ、この光景も同席している景和や祢音からすれば仲良く喧嘩しなとでも言わんばかりの日常茶飯事の範疇である。

 

 

「うぅ…毎度毎度ヒヤヒヤするよぉ…」

「ぷっ、そこまで深く心配しなくても大丈夫よシュヴァル♪ ねっ、キタサン?」

 

「うん。だってあの2人、出会ったら軽い口論になってないほうが珍しいし…まあトレーナーさんが煽ってるのもあるけど」

「喧嘩するほどなんとやら、だね。キタちゃん」

 

 

なんなら、これを見ている彼らの担当にももうだいぶ見慣れた光景。

そのうえキタサンとクラウンは若干達観したというか、保護者目線も入っていたりしそうではある。

 

 

「そうそう、まさにそんな感じ…ってあれ誰だろう?」

「「「?」」」

 

「おめでとうございます。厳正なる審査の結果、選ばれました」

「浮世英寿様、桜井景和様、鞍馬祢音様、吾妻道長様。今日からあなた方4人は仮面ライダーです」

「デザイアグランプリへの参加を認められました」

 

「はい⁉︎」

「新手の勧誘?」

「誰だお前…⁉︎」

 

 

が、その見慣れた光景に差し込むモノクロカラーの異物。

聞けばデザイアグランプリというよく分からない単語を口走っている。

 

 

「なるほど、今回はおまとめか」

「いやなんでそこまで英寿は落ち着いて「「ちょっとすいません」」うおっ⁉︎」

 

「あの、いきなりですまないんですけどデザイアグランプリ?って何ですか?」

「いきなり現れたように見えましたがどういう技術を?」

「ふ、2人とも落ち着いて。…仮面ライダーってあの都市伝説の仮面ライダーですか?」

「こらこら、シュヴァルも落ち着きなさい。…失礼ですが貴方の職業とお名前は?」

 

「私たちより食いついてるよう…」

 

 

当然放っておけるわけもなく、無理矢理にでもトレーナーの会話に混じって中身を聞き出そうとしているのだった。

 

 

「いきなりですね。ですが最後の質問以外はお答えしかねま…(もしや最初のお方以外は全員デザイアグランプリのスポンサーの関係者…)」

「…少々お待ちを」

 

「もしもし私です、該当プレイヤーの皆様にIDコアとベルトを配っていたのですが、その中にスポンサー様のご令嬢である祢音様以外に2名、こちらはスポンサー様のご令嬢のトレーナーをされている方々がいらっしゃるのですが…」

 

「えっあっそうなんですか⁉︎ はい、はい────分かりました、ではその通りに」

 

 

彼女たちの反応を一瞬拒否し、しかし何やら独自の事情で携帯のようなもので何者かに連絡を取ったモノクロの女性は何かしらの指示を受けたらしく、こちらへ振り向き、そして────

 

 

「…失礼しました、質問にお応えします。ですが場所を変えさせてもらいますね」

 

 

指を鳴らしたかと思うと、先程までとまるで違う景色に彼ら彼女らを誘っていたのだった。

僅か数秒の出来事である、と言えば凄さが伝わるだろうか?

 

 

「えっここは⁉︎ あたしたちトレセンにいたはずなんだけど」

 

「ねえクラちゃん、これって仮想空間を現実に拡張した空間かARヴィジョンか何か、なのかな?

「ううん…恐らくどう見ても現実なんだけど、およそ現代の技術じゃできなさそうな空間ね…少なくとも、今のサトノ保有の技術じゃこれは無理だわ」

 

「…祢音ちゃんが危ない目に遭うんじゃって思わず飛び出たら、えっ、えらい場所に来ちゃったあ…」

 

 

当然、4人はそれにただただ驚嘆させられるのみ。デジタル技術に多少理解があるダイヤやクラウンでさえ分からないのだからこの4人の誰も分からないということ。

 

 

「ふん、驚きやがって」

「? ミッチーなんかさっきとキャラが微妙に違うんじゃない?」

 

 

おまけに道長の性格がいつの間にか先程までと異なっているのだからクラウンに限れば疑問がさらに増えたのだった。

 

 

「あ? 当然だ、そりゃ「皆様、私からの回答よろしいでしょうか?」ッチ、ツムリか」

 

「サトノクラウン様、今貴方のトレーナーである道長様が言われたのでお分かりかもしれませんが私の名前はツムリ、デザイアグランプリのナビゲーターです」

 

「「ナビゲーター?」」

 

「それ以上でも以下でもありません。クラウン様、景和様」

「あっはい…」

 

 

どうやら彼女の名前はツムリ、デザイアグランプリにおいてナビゲーターを務めているようである。

まあそれだけでも聞いている側である景和やクラウンからすればいまいち判然としないことではあるのだが。

 

 

「そしてキタサンブラック様、デザイアグランプリとは現在お答えできる範囲で端的に申し上げれば『神、もしくは理想の世界の実現を目指す段階式のレース』です、命懸けの」

 

「れ、ーす…それも命、懸け…」

 

 

そしてデザイアグランプリは神を目指し競い合うレースのようなものであり。

 

 

「そうですね、そしてシュヴァルグラン様。仮面ライダーとは確かに都市伝説に端を発する名前であり、デザイアグランプリのプレイヤーを指す言葉です」

 

「な、なるほど…」

 

 

ツムリが言う仮面ライダーとは都市伝説の仮面ライダーに端を発するもの、そしてデザグラのプレイヤーを指すワードであるとツムリは開示したのだった。

 

 

「お分かりいただけましたでしょうか?」

「「「「…」」」」

 

「…正直言って、頭がすっごく混乱してます。トレーナーさんもあたし達みたいに体を張ってたとか、命懸けって本当なの、とか?」

「…でも」

 

 

ただ当然、だからといってすんなり飲み込めるかと言うと話は別問題で。

 

 

「私が変わるよキタちゃん。これ以上はこのことに関してお答えしていただけないんですよね、ツムリさん?」

「はい、皆様は今はまだ話せない、皆様に纏わる特別な事情からこうしてこの場にお招きしお答えしていますが、元来この場に来られるのはプレイヤーの皆様か我々運営スタッフのみなので」

 

(特別な事情、ねえ。ある程度検討は付くが答える気はなさそうだな。今は化かせないか)

 

 

そのうえ向こうはこれらの情報に関して追加で何かを開示してくれる様子はない。

 

 

「そしてこちらをお渡しします」

「ッ⁉︎ …これはなんなのかしら、ツムリさん?」

 

「これはスパイダーフォン。プレイヤーの皆様にお配りしている通信機器であり、この場に皆様を転送する装置です」

「そして起動した時点で皆様の脳波と強制的にリンクしています」

 

「えっなんでそんな…」

 

「皆様にお答えしている横でIDコアにより記憶を取り戻された景和様・祢音様・道長様、最初から知っている英寿様もそうですが、デザイアグランプリに関することをこの場の全員やプレイヤーの皆様以外に口外した場合、スパイダーフォンが問答無用で皆様の脳内からデザイアグランプリに関する記憶をデリートする仕組みです」

 

「で、デリートぉ⁉︎」

「い、言えるわけないです…」

「…穏やかじゃない話ね」

「そうまでして守りたいってこと、なんですね」

 

「いやデリートって、んな物騒な!」

「これも大会の規約を守るためです」

 

 

おまけにいつの間にかトレーナー陣が特殊なコアで記憶を取り戻しており、しかしそのことも含めてデザグラに関することを口外した日にはデザグラに関する記憶を全消去と言ってきた。こうなれば無理矢理にでも聞き出すのは悪手という他なく。ダイヤはもちろんこの場のメンバーもそれ以上聞くことがはないのだった。

 

 

「…なんか、私が聞こうとしてたことキタちゃんたちが全部聞いてくれたね」

「なんだ、不満なのかナーゴ?」

 

「いや不満では全然ないけど、ただなんか担当の子がいるっていうのは、なんかこう、上手く言えないけどドキドキするかなぁって。不謹慎かもだから大声じゃ言えないけど」

「どっちでもいいだろ、バレちまったんだからな」

 

 

ちなみに祢音はこれに謎の興奮を覚えたのだった。 

 

 

「長々と説明しましたが、プレイヤーである英寿様たちにはまだこの会場に残っていただき、ブラック様・ダイヤモンド様・グラン様・クラウン様には場所を移していただきます」

 

「?」

「何のためにそんな?」

 

「はい、デザイアグランプリを観戦していただきます!」

「「「「か、観戦⁉︎」」」」

 

「おい、どういうことだ。教えるだけ教えたら返すもんじゃないのか、こういうのは!」

「それは道長様の妄想に過ぎません」

 

「皆様4人もよく知るあるお方からのご指示です」

「それに、倣うより慣れろとこの時代のことわざにあるように、先程の説明も含めて私がいちいち説明するより見てもらったほうが理解していただけるかと」

 

「デザイアグランプリという番組、その骨格、命懸けのレースが何を意味するのかを」

 

 

そしてそんな中ツムリが持ち出したる案はデザイアグランプリの鑑賞。キタサンたちに縁のある誰かによる指示のようで。

はたして誰のそれなのかはさておき、キタサン・ダイヤ・シュヴァル・クラウンのその場任せの行動がえらいことに結びついたものである。

 

「なんか…すごく大事になっちゃったね。いや俺もデザイアグランプリ?だっけ。これにプレイヤーとして参加するのは初めてなんだけど」

「…トレーナーさん」

 

「はい?」

「身勝手なことをしてこんなことを言うのは…本当に気が引けるのですが。絶対、生き残ってくださいね」

 

「簡単じゃないかもですが、絶対、絶対です!」

「ダイヤちゃん…分かった、絶対の絶対、生き残ってみせるよ」

 

 

 

当然彼女らもそれは理解しているようである。

──なので、ある宝石のような少女はトレーナーの生存を

 

 

 

「…ミッチーってさっきの口ぶりからするに以前にも参加したことあるのよね、デザイアグランプリ」

「…そうだな。ほんとは知られたくなかったが」

 

「こんなくだらない、お前らの頑張りに比べりゃどうしようもなく醜い争いをお前に見られたくはなかった…」

 

「…ねえミッチー」

「なんだ?」

 

「…負けないでね。今回も、この先があるならその時も、私は傍観してることしかできないけれど」

「…貴方の勝利と無事を、誰より祈ってるから」

 

「…」

「わわっ⁉︎ もう何…って、そうよね。貴方はそういう人よね。…うん。頑張ってね、ミッチー!」

「お前に言われるまでもねえ。俺の願いを叶えるためにもこんなところで終わってたまるか」

 

 

 

王冠をその名に戴く少女はトレーナーの勝ちや無事を。

 

 

 

「シュヴァルちゃん、大丈夫?」

「えっ⁉︎ な、何が⁉︎」

 

「もう、やっぱり緊張してるじゃん」

「…ごめんね。私も初めてなのに、しかも生き死に云々の世界なのに、それを君に見せることになっちゃって」

 

「優しいシュヴァルちゃんにこんな物騒なこと…って心配しすぎかな、あはは」

「…祢音ちゃん。あの、その…」

 

「…なぁに?」

「何があっても、僕は君を信じてるから。絶対、生きて帰ってきてくれるって。僕の親友は、僕のトレーナーはこんなところで終わったりしないって」

「信じてる、から…グスッ!」

 

 

 

偉大な勝利を望む少女はトレーナーの未来を。

 

 

 

「…うん、ありがとうシュヴァルちゃん」

「…行ってきます」

「…ヒグッ、行って、らっしゃい!」

 

 

「皆やっぱり怖いもんなんだな」

「…トレーナーさんは怖くないんですか?」

 

「怖い怖くないの段階は、もうとっくのとうに通り過ぎたからな」

「母さんにまた会う…その願いを果たすために何度も死にかけて、その中でな」

 

「…あたし、あの時のトレーナーさんの願い、ただ語るには酷く苦労したような言い方するんだなって思ってました」

「…でも、こういうことにずっと参加して、でも上手く行かないって事態に何度も向き合って」

「なら…そりゃそうなります、よね」

 

「…分かってくれたなら嬉しい」

 

「…トレーナーさん。あたし、この大会中、ずっとトレーナーさんを応援してますから!」

「生きるか死ぬかって危ないレースでも、あたしに、あたしにできることなんて、それぐらいしかないですし」

「…本音を言えば、参加されてる皆さんの誰も死んでほしくなんてないですけど」

「でも、でもッ…! それが、それが叶わないなら、ならあたしを立ち上がらせてくれた、あたしにとってどんなお星様より提灯より眩しくて、でも誰より信じられるあたしのトレーナーさん…浮世英寿をどこまでも応援する、だけですから!!」

「だから絶対死なないでくださいよぅ…うぅっ」

 

「…ありがとな、どんなやつの応援より愛バの応援が身に染みるって身をもって実感したよ」

「せいぜい化け狐がくたばらないよう祈っててくれ。お前にしかできない助力、お助けだ」

 

「…はいっ、任されました!」

 

 

いずれ皆の愛バになるお祭り大好きな少女はトレーナーへの声援を選択し

 

 

彼らもそれに応えることを彼らなりに誓い、戦いの狼煙を告げることとなるこの場から自らの担当をモニタールームへ遠ざけたのだった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「「「「…」」」」

((((気まずい…すっごく気まずい…))))

 

「…なんか食べよっかな」

「…私もお願い、キタちゃん」

「あっごめんねダイヤちゃん!」

 

 

そしてモニタールームに案内されたはいいものの生き死にが絡むレースとあっては安易に話題に出すのも難しく、四者共にだんまりを決め込んでいた。

 

(…勝ち抜けるのはただ1人、生き死にが絡むなら余計に他の誰かに負けても負けないでも言えない)

(あたしたちのレースが甘いってわけじゃないけど、すごく厳しい世界なんだな…)

 

「…皆、今回のことどう思ってる?」

「開幕前っていうのは分かってるけどさ」

 

「…いろいろありすぎてどうと言えるほど、まだ飲み込みきれてないっていうのが正しいのかしらね」

 

「…僕としては祢音ちゃんに負けてほしくはないけど、でもきっとここに挑む人も皆命懸けなんだろうし、なら、誰も負けてほしくはない…かな」

 

「始まったらきっと、誰も彼もが私たちのレースみたいに最後に立ってるわけじゃない。なら、やっぱり…まだまだ飲み込めてないけどトレーナーさんの無事、これだけは信じたいよ。キタちゃん」

 

「皆…考えることは一緒なんだね」

 

「ええ」

「うん…」

「私たちは見届けることしかできないから」

 

「なら…うん、見届けよう、応援しよう。あたしたちのトレーナーさんを」

「「「うん(ええ)!」」」

 

 

しかし彼女たちは元々仲良しであり、ならばこういう雰囲気にはそこまで耐性がなかったのか、はたまた考えていたことが似通っていたのかすぐに会話を再開できたのだった。

 

 

「…始まったわね」

 

『それではデザイアグランプリを開催します。運命の第一回戦、最初のミッションは宝探しゲーム』

『ジャマトに奪われた宝箱を取りかえして、アイテムをゲットしてください』

 

 

そして始まった第一回戦。目まぐるしくという表現が的確かは分からないが、早いテンポで進んでいくのだった。

 

 

『──ねえ、ねえ、ねえ、協力してやらない?』

『誰が…!?』

 

「は? 祢音ちゃんに…なんてことを!」

「シュヴァル落ち着いて!」

 

 

祢音は墨田奏斗という青年に協力を依頼するもあえなく邪険に扱われ、それを見たシュヴァルはもう反射的に憤慨。

 

 

『ふっ!!』

『ジャジャッ⁉︎』

 

『ウォーターか…試してみるか』

『変身』

 

『SET』

『ARMED WATER』

『READY FIGHT』

 

「うわぁ…!」

(あれが…トレーナーさんが変身する仮面ライダー、ギーツ…こういう時なのに、その立ち居振る舞い含めてすっごくカッコいいって思えちゃう…トレーナーさんって生まれついてのスターなんだなって)

「…頑張ってください、トレーナーさん!」

 

 

有り合わせのレイズバックルを使い窮地をこともなげに脱する英寿にキタサンは非常時ながら目を奪われる。

流石のスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズと言うべきか

 

 

『あの、ありがとうございま…あれ…?確か…!?』

『君か!』

 

((この人は…))

「確かサトノ系列の会社で働かれてる…」

「平考人さん…」

 

『──俺は…まあ、世界が平和になればいいな、って』

『世界中の人が幸せなら、俺も幸せなんで』

 

『立派な願いだな…。でも、私も負けるわけにはいかない…』

『実は息子が治らない病で苦しんでいてね…。これに参加すれば、息子が健康になってる世界に変えられるんじゃないかって…』

 

「ご家族が病気に…」

「譲れない願いを抱いているのは、どちらも同じ…なんだね」

 

 

かつて景和が就活生時代に景和を担当した面接官である平考人と再開、それを見たダイヤとクラウンは彼が実家の経歴の会社で働いていたことを思いだしなんとも言えない気持ちになったりした。

身内同士の諍いみたいな形になっているとも言えるからだろうか。

 

 

『えっ…?何、祢音ちゃん、猫?』

「猫…ねこっ! うん、祢音ちゃんをよく表してる」

 

『狸?』

『えっ…?俺、狸?』

 

「た、たぬき…ふふっ、でもトレーナーさんらしいですっ♪」

 

 

景和はタヌキ、祢音は猫を模したライダーになったことに彼ららしさを感じる。愛嬌が高そうなのは間違いなさそうである

 

 

『トビオズグオエインビカカル!』

「新手の言語!エネミーっぽいけど気になるわね…」

 

 

クラウンとしてはジャマト語が気になってしまうようだった。

マルチリンガルな彼女らしい反応であるというべきなのやもしれない。

 

 

『ARMED HUNMER』

『頼りにするよ。メリーおじさん』

 

『ARMED WATER

『任せといて、子猫ちゃん♪』

 

「なんだろう、この人どこかで見たような…」

 

森魚に怪しい既視感を感じるシュヴァル。

現実で彼と知り合いなはずはないのだがである。

 

『ジャジャアッ!!』

 

『こんな…所で…脱落…する…わけには…』

 

 

『うわぁァッ⁉︎』

 

 

『ああ…!平さん!』

「「「「あっ…」」」」

 

『ここまでのようだ…。苦しんでいる息子を残して逝くなんて…愚かな父親だな…』

 

『戦うしか…なかったんですか…!?』

『息子を…救いたいんだ!』

 

 

 

 

『MISSION FAILED』

 

 

 

 

「「「「⁉︎」」」」

 

「そんな…ふぐェぅっ⁉︎」

 

「うっ…! おええええッ!!」

「ッ、これが、死…!」

「ンんぐゥっ⁉︎ ぇハアッはあっ…! ミッチーは、こんな経験を…何度も…」

 

 

──そして、ついに発生してしまったプレイヤーの死。しかもよりにもよって平だった。いい人間から消えていく。

何より、戦闘による死なんて未体験で当たり前の現象だったものだから、吐き気だって催したし、シュヴァルに至っては吐瀉物をぶちまけてしまう始末。キタサンやダイヤ、クラウンも耐えこそしたが、喉からまろび出る寸前だった。

 

…いろいろと、インパクトがありすぎたのだった。

 

 

『戦わなきゃ世界を変えられない…。だとしたら、戦う意外に選択肢はないだろう?』

『君は…何のために戦ってるんですか?』

 

『恵まれない世界中の子供のために。子供は未来の宝だろ?』

『君も世界平和を願ってるんですか?』

 

『さあな、いずれにせよ──世界を変えたければ、戦うしかない!』

 

(…強い、なぁ…トレーナーさん。でも…)

(あたしも、逃げちゃダメだ!)

 

「スゥー…トレーナーさん、わっしょーーーーーい!!」

「⁉︎ 元気だね、キタさん…ぅえっ」

 

 

そうして落ち込む彼らをというわけではないが英寿は景和を言葉巧みに励ますのだった。触発されキタサンも奮い立つ。今さら落ち込んでいても話にはならないとばかりに

 

その間も英寿はギーツアームドウォーターへ変身し、相変わらず水鉄砲を打撃武器として使う

おまけに川の水を吸い上げ、強烈な放水攻撃を放つ。地形を活かすことで本来なら低い出力を大幅に強化して扱ってみせる。戦闘巧者のそれだった。

 

 

『そいつを貸せ!』

 

『えっ…?』

『子どもの未来のためだ!』

 

『……ああ!』

 

「…浮世トレーナーってこんな夢掲げてたかしら…?」

 

『SET』

『DUAL ON』

『BOOST ARMED WATER』

 

 

そして、ブーストレイズバックルという一回のミッションにつき一度きり使用可能なレイズバックルを景和から手に入れ、吹き荒れる水の戦士ことギーツブーストアームドウォーターに変身する。

 

 

「さあ──ここからがハイライトだ!」

 

「来たッ、トレーナーさんのハイライト!」

 

『REVOLVE ON』

 

 

反転して姿を変え、その姿は上下真逆に。

必殺技を出しますよという意思表示だろうか。

 

 

『盛大に打ち上げだ!』

 

『BOOST TIME』

『BOOST WATER GRAND VICTORY』

 

『──────ゼァッ!!』

『ジャジャァッッッ⁉︎⁉︎⁉︎』

 

「これで、平さんの無念が少しでも晴れてくれてたらいいな…」

 

 

続けてバックル操作により水を即座に巻き上げブーストライカーに吸水、前方に展開したマフラーから放水、その水の勢いとブーストパンチャーからの噴射を合わせた脅威的な威力のライダーパンチがジャマトを穿つ。

そこに立っていたのはただのスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズただ1人である。

 

キタサンもその姿に安堵し、同時に平の魂が安らかなることを祈ったのだった。

 

 

『へぇ~、ブーストバックルってすげえ…』

『狙い通り、化かされてくれてサンキュー!』

 

『…ん?化かされたって…?』

『お涙ちょうだいの話をすれば、ブーストバックルをよこしてくれると思ってたよ。トレセンにいる頃から思ってたけどお前、お人好しそうだったから』

 

「…は、はあっ⁉︎」

「うぷっ …まあ、予想通りではあるわね、あの状況だからしのごの言うより打破を選んだ、のかしらね。素人だからまるで分からないけれど…」

 

『じゃあ、恵まれない子供達にって話は?』

『狐は人を騙す動物だって、昔から相場が決まってんだろ?』

(なんか…嘘、ついてない?)

 

『えっ、嘘ってこと…?ちょ、俺のブーストバックル、返してよ!』

『うわやめ!…ってああ、行っちまった…』

 

『え⁉︎ どういうこと?』

『アイツを使えるのは一つのミッションにつき1度きりだからな』

 

 

ただ、どうも英寿に子供のためという理由はなく、あくまでブーストレイズバックルを融通してもらうための方便だったようである。

キタサンにはどうにもわざと強がっているだけに映ったのだが。

 

 

『皆様お疲れ様でした、次のミッションは数時間後に開催です』

 

 

そして時を同じくして第一ミッションの閉幕が告げられる。

 

 

「…一旦終わりみたいだね」

「いろいろと…未体験なことが多かったわ。何より私は…今まで凄くミッチーに守ってもらえてたんだなって」

 

「…負けたら、死ぬ…ッ! 祢音ちゃん…うぅ…」

 

「…あたしも、トレーナーさんの勇姿を見たからなんとか耐えられたけど、あれが無ければ危なかったな…」

「とりあえず休もう」

 

「ぅェっ!…ちょっと次のミッション写すまで風に当たってくるわ。さっきの衝撃がいまだに響いてる…」

「私が付き添うよクラちゃん」

 

 

プレイヤーもそうだが、見ていただけのキタサンたちも精神的に疲弊していた。

いろいろとキツい初体験が待ち構えていたからかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

『新たなジャマトが現れました。これより、デザイアグランプリ、第二回戦、ゾンビサバイバルゲームを始めます』

『現在、ゾンビジャマトの集団が郊外へ近づいています』

『過去の傾向から、ゾンビの群れが出現するのが三回』

『つまり第3ウェーブまでに市街地へ到達されたら、大勢の市民がゾンビに感染。大惨事になるでしょう』

 

『ですので第3ウェーブまでゾンビを全滅させ続けてください』

『そしてこのゲームはスコア対決になります。ゲーム終了時、スコアが最下位だった1名は強制的にリタイアとなります』

 

『ちなみにゾンビに感染すればいずれゾンビになります』

 

「…ミッチーだけはなんか大丈夫そうって思えちゃいそうなのはなんでだろう」

「たぶんあたしのトレーナーさんもだね…」.

「ああ、それもそうね…」

 

「祢音ちゃん…死なないで…」

「トレーナーさん…」

 

 

改めてトレーナーの無事を4人が祈る中、第二ミッションがスタートした。

 

 

「なるほどね、ミッチーはゾンビなんだ…なんか言ってて不謹慎な気がするわね…」

 

『えっ、何で倒れないの?』

 

『っ…助けてパンダさん!』

『ライバルを助けるバカがどこにいる?』

 

「なんでいちいち祢音ちゃんに偉そうなんだこの子…」

 

「…気のせいかもだけど、前のミッションからずっと右足を庇いながら戦ってるような…」

「ああ、私の気のせいじゃなかったのね…」

(何か…過去にあったのかしらね)

 

 

しかし英寿や道長、景和はともかく祢音は相変わらず危なっかっしく、また第一ミッションに引き続き奏斗に頼ろうとして断られていた。

 

祢音が人を信頼しすぎているのか、ただ世間知らずなのか。

まあ理由はともかく、こう何度も邪険にトレーナーを扱われると先程とは違い意図的に苛立ちをシュヴァルが覚えてしまうのも無理はないことだった。

 

────例え過去に如何な悲惨な過去があろうとも、である。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

『大丈夫?さっきは言い過ぎたよ。実は君のファンでさ』

 

『えっ…?何?いきなりツンデレ?』

 

『僕が君のSPになるから、一緒にスコアを稼ごう』

「…露骨に怪しくなってきたわね』

(…なんかふらついてない?)

 

 

それから少しして、なぜか奏斗は祢音に急接近していた。キタサンたちから見ても違和感ありまくりである。当然祢音もそうだったがやはりすぐに信用してしまうのだった。

 

 

『ダパーン君!全力で行くよ!』

 

 

 

『あぁ…そうだねぇ…』

 

 

 

『あ゛っ⁉︎』

『参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します』

 

『…世間知らずのお嬢様だな。世の中の人間が、皆、お前のために存在してると思ったら大間違いだ。このまま噛まれて、スーパーセレブゾンビにでもなってろ!』

『『『『『ジャジャ〜!』』』』』

 

「祢音ちゃん!!」

「気に入らないのかもしれないけど、やり方が荒すぎない⁉︎」

 

 

そしてやはりというべきか、罠だったようでマグナムシューター片手に幽鬼のように振る舞いながら祢音を脱落させんと迫り来る。

 

 

『ぅわっ⁉︎』

『目には目を。ゾンビにはゾンビを。…ってな』

 

『見逃すなよ。このサプライズムーブ』

「よっ、良かったあ〜〜!」

 

 

…はずだったが、今この場にいるのは奏斗だけではない。

なら当然、英寿も黙っているわけがない。

 

 

『POISON CHARGE』

『TACTICAL BREAK』

 

 

ギーツゾンビフォームに変身済みであるため、そのまま周囲をジャマトの隙間を縫うように疾走、炎を纏った斬撃を飛ばして複数のゾンビジャマトを撃破。

 

『いいとこだったのに…邪魔するな!』

 

同タイミングで奏斗が英寿に向け銃撃、

がしかし、顔を傾け難なくこれを回避し…

 

『参加者への攻撃は違反行為です。スコアを減点します』

 

「…そっちがその気なら、手加減はしない」

 

『REVOLVE ON』

 

 

『さあ──ここからがハイライトだ!』

 

 

すかさずリボルブオン。

そのままゾンビジャマトを右足で奏斗目掛けて蹴り上げ、案の定英寿を見失った彼に近づき右回し蹴りを叩き込む。

 

 

『ェガッ⁉︎』

 

(…身のこなしが、あたしたちに負けず劣らず凄く軽やか。でも…容赦ない!)

 

『ZOMBIE STRIKE』

 

 

瞬間、間髪入れずベルト操作で必殺技発動。奏斗に向け疾走スタート、近くなったタイミングでその周りを墓石のエフェクトで囲いこみ右足のバーサークローで蹴りつける。

 

 

「はあっ!!」

「グアアアッ⁉︎」

 

 

当然奏斗の変身は解かれ、そして

 

 

「あれ、減点になってない…。何で?」

「いえキタサン、あれは恐らく…」

 

『アイツはゾンビに噛まれてる』

「ええッ⁉︎」

 

 

彼がゾンビ化していたという衝撃の事実が明らかになる。

 

 

『何故分かった?』

『ゾンビの集団がナーゴだけ狙って、ダパーンを襲わなかった』

『ゾンビだと認識されてたからだ』

 

 

どうやら屋上から銃撃していたとき、背後からきたゾンビに襲われるまで気づかず、噛まれてしまっていたようだ。

 

 

『ならさっきの行動の心理も簡単だ』

『自分が襲われないと分かってて、ナーゴを道連れにしようとしたんだろ?』

 

『…ああそうだよ。八つ当たりだよ!』

 

 

そしてその行動理由を英寿に当てられ、苛立ちが勝ったのか、何やら話しだす。

 

 

『人生なんて…不公平だ…! どんなに努力してても、ある日突然…! 不幸が向こうからやってくる…』

『普段通い慣れた道、そこで手を滑らせて落としたボールを拾おうとして、誤運転したトラックに激突され骨折はもちろん脚部に異常発生』

 

『いずれは治るが、アスリートとして再び十全に戦えるようになるまでに機能するのは辛抱強くリハビリを続けてなお相当先、それこそ10年近くは掛かるって』

『それが、それがどんなに堪えたか…ッ!』

 

 

どうやら彼がこんな自暴自棄になってしまったこと、その理由のようである。

 

 

『その日を境に、仲間とバスケ一筋だった俺の世界は終わった…』

『慢心がなかったなんて言わない、普段から素行が悪かったわけでもない、頭を下げて助けを求めなかったわけでもない』

『使い物にならなくなった。ただそれだけの理由でッ──!』

 

「…なんだろう、凄く、胸に刺さる…」

 

そしてそれはアスリートとして、一線級の猛者が故障でダメになるケースをよく知っているキタサンたちには他人事ではないように受け止められてしまうのだった。

 

『挙句に推してたウマ娘も脚部に異常が発覚してクラシックへの出場を取りやめたと知って、夢も推しもなくなって、よく分からなくなった…』

『…そしてやりきれなくなって壊れたんだろうな。ついにはどいつもこいつも無茶苦茶にしてやりたくなった』

 

「ドゥラメンテさんのこと、だね…」

 

 

どうやらドゥラメンテが推しだったらしいのも初耳である。

 

 

『皆、みんな滅べばいいんだ、クソォッ…!』

 

『だったら、大好きなバスケが思いきり出来る世界って、デザイアカードに書けばよかったのに』

 

『もうどうだっていいんだよっ!』

 

「…祢音さんが言うことが真理だとは思うけど、

彼、奏斗の気持ちも私には凄く分かる…」

「走ることに、そのための脚磨きに命を懸けてるのは私たちも同じだもんね…」

 

「…嫌いなのに、話はよく分かるのが…なんか、嫌だな」

 

『そんなこと言うなよ。よりよい世界にするためのデザイアグランプリだろ?』

 

『────いや、どんな世界を願おうが自由だ。かつてこの国も、争いの末に天下統一が果たされた。このゲームで正しいのは生きて勝ち抜く事…それだけだ』

 

 

そしてそのまま彼を放置するわけにもいかず、祢音ともども拘束しようという案になるも、そのタイミングで祢音がゾンビ化に若干耐えきれなくなり気絶。家に帰ることになったのだった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「…」

 

『みんなとは…ここでサヨナラかな。ゾンビになって、みんなに噛みつくわけにはいかないし、かといって拘束されるのも嫌だし、それに…』

 

『どうした?』

 

『変だよね。ずっと家出したい、家出したいと思ってたのに、自分が死んじゃうかもって思ったら…家に帰りたくて、それからシュヴァルちゃんに会いたくなっちゃった…』

 

『死ぬなんて言葉、簡単に使うなよ…。大丈夫。人はそう簡単に死なないから…』

 

『どうゆうことですか!?私に内緒でこんなにGPS仕込むなんて、異常でしょ!!』

 

『ッ…!』バチン!

『あなたのことを、パパとママがどれだけ心配しているのか、分かっているのですか!?

もう、あの悲劇を繰り返したくないのです』

 

『娘を帰して欲しかったら身代金3億円用意しろ』

 

『鞍馬の一人娘というだけで、あなたはリスクを背負っているんです。最近圏外になることが増えて、これ以上トレーナーとしての活動以外であなたの好きにさせるわけにはいきません」

 

『私は…!私はお母様の人形じゃない!』

 

『あっ待って!ずっとそばにいてちょうだい。あなたの欲しいものは何だって用意させますから!』

 

「…ここには、私の欲しいものなんて…もうない」 

 

が、伊瑠美の変わらない束縛に現状も相まってうんざりし、思わずまた家を飛び出してきていた。

しかしゾンビに噛まれた影響で、フラつき、倒れそうになる。が…

 

 

 

 

「あっ…シュヴァル、ちゃん?」

「大丈夫?」

 

「何でここに…?」

「えーすに、けーわ。キタちゃんにダイヤちゃん、クラちゃんまで…」

 

 

白馬の王子様ではないがイケメンの類ではあるシュヴァルが受け止めてくれていた。周りをふらついた目で見るに、英寿やキタサンたちも同行してくれているようだ。

 

 

「酷く疲労が溜まってるわね…私とダイヤ、キタサンが来た理由はシュヴァルと同じよ」

「はい、皆一目散でした」

 

「…浮世トレーナーと桜井トレーナーから電話で聞いた、それに映像でゾンビに襲われてたのを見たんだ」

「ごめん、祢音ちゃん…僕がいながら…ッ!」

 

「シュヴァルちゃん、電話を聞いた瞬間に酷く狼狽えてたんですよ。それはもう、あたしたちの声も無視するぐらいに…」

 

「そう、なんだ…」

(この子にも、心配かけちゃったな…)

 

 

どうやらシュヴァルも祢音のゾンビ化の件が酷く気がかりだったらしい。同期の静止を振り切るとはよっぽどである。

 

 

「…ほんと、ほっといてって言ったのに何で?」

「…ほっとけるわけないでしょ!」

 

「もしゾンビになったら、スコア稼ぎになるからな」

「…英寿らしい」

 

 

英寿や景和も彼らなりに心配してくれているようだった。

 

 

「…祢音ちゃん、体調はどう?」

 

「…悪いけどむしろ、すっごく生きてるって感じがする。いくらお金があっても買えない。理想の世界を夢見て命懸けで生きていられるんだもん。トレーナー業と同じ。うん。デザイアグランプリ、最高だよね…!」

 

「…でも、あぁあ…。これで、終わりか…。仕方ないよね…」

「きっと私、愛想を尽かされたんだよ、神様に…。これまでわがまま言い続けて、家族やシュヴァルちゃん、ダイヤちゃんクラちゃん、キタちゃん、その他みんなに迷惑かけてね…」

 

「…うん、がんばってね。皆のこれから、応援してる」

 

 

奏斗ではないが、もう先がないと決めつけているのか祢音は全体的に消極的になってしまっている。

 

 

「あっ諦めないでよ祢音ちゃん! 応援て…まだ終わったって決まったわけ…」

 

「きれい事だけじゃ…! 気持ちだけじゃ!…どうすることも出来ないことだって、あるんだよ。シュヴァルちゃん…」

「ッ⁉︎ ぅうぅっ…」

 

 

シュヴァルが励まそうとするものの、どうやら意思は硬いらしい

だがこのままでは祢音は死んでいくしかない。どうすればいい、どうすれば

誰もが思いかけたその時────

 

 

「いや、案外そうでもない」

「…えっ⁉︎」

 

「経験者の知識になるがジャマトの生態については謎が多いが一つ分かっていることは、ジャマトによるダメージやペナルティもゲームが終わればすべてリセットされるということだ」

 

「…とすると、祢音さんがゾンビになる前にゲームをクリアすれば…?」

「ゾンビ化がギリギリ解除される可能性はあるってことになるわね…」

「じゃあ、じゃあ助かるんだ…やったねシュヴァルちゃん!」

「う、うん…」

 

 

捨てる神あれば救う神ありということなのか、

この中では恐らく1番デザグラに詳しい英寿曰くジャマトはルールに縛られる生き物だと、それゆえに今回のゲームをクリアすればゾンビジャマトのデバフは解除されると、そういうことらしい。

 

 

「どうだ、賭けてみるか?わずかなチャンスに!」

 

「…」

「本当にこのまま諦めていいのか?」

 

「…」

 

 

ただそれでも不安なのか、祢音は黙り俯いたまま

英寿も、キタサンたちも無理強いはできないのか1人、また1人と去っていき、後に残ったのはシュヴァルと景和だけだった。

 

 

「これ、よかったら…」

 

 

そして景和はブーストレイズバックルを祢音に渡す。

 

「? なんで…?」

「君がいなくなったら、姉ちゃんが悲しむから」

「…あなたがじゃないんだ?」

「もちろん俺も。じゃあね」

 

 

あくまでお節介のつもりのようだ。

 

 

「…祢音ちゃん、僕が偉そうに言えた義理じゃないけど、なんならキタさんの受け売りだけど、自分らしく、立ち向かうべきだと思う」

「祢音ちゃんが強いのは…そういう人だからだって僕はずっと思ってるから」

「シュヴァルちゃん…」

 

 

そのままシュヴァルも去り、それでもブーストを見つめる祢音は、願いごとを書いたときのことを思い返していた

 

 

『本当の愛が欲しい』

 

「…うん、よし!」

 

 

ある決意を固く胸に抱いたのだった。

 

 

『いよいよ最後の第3ウェーブ。ミッションを開始します』

 

「…始まった」

「今日は僕しか来れてないけど、見届けなきゃ…」

 

「おっと、1人じゃないわよシュヴァル♪」

「く、クラウンさん…!」

「貴方のことが気がかりだったものだから、ね」

(ほんとは墨田くんのことが気になったからというのもあるのだけど。…アスリートとしては無視できないifに思えたから)

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

『何で君がここに?』

『取引したからさ。そこの先輩とね』

 

そうして始まるも奏斗がなぜか拘束を抜け出してきていた。

 

「まさか…」

 

『…ふんっ』

「ミッチー…」(何かあの人なりのプランがあってのこと、なのよね…?)

 

 

どうやら道長と取引したらしい。

 

 

『組むのも争うのも自由。それがデザイアグランプリ、だろ?』

『どうせ…もう終わりなんだよっ!』

 

 

 

『────そんなことないっ!!』

 

 

 

『ああ⁉︎』

 

「「祢音ちゃん(さん)!」」

 

 

変わらずやけくそ気味に暴れようとする奏斗。

────が、そんな彼を静止するように、諭すように、聞き慣れた声が響く。

 

 

『────私は諦めない!』

『SET』

『最後の最後まで戦う!私らしく生きるために…!変身!』

 

 

そのまま屋上を駆け抜け、側転し飛び降りながら変身したるは祢音、なかなかかっこいい登場の仕方である。

 

『ゾンビの弱点は頭・頭・頭!』

『膝・膝・頭ーっ!』

 

『『『『『『ジャジャジャジャァ〜〜〜〜ッ⁉︎』』』』』』

 

「…いつもの祢音ちゃんが、戻ってきた…!」

 

『よし、このまま…』

 

『SET』

『READY FIGHT』

『HAMMER ARMED BOOST』

 

『──ブーストナーゴ、行くよーっ!』

 

「うりゃあああああ!!』

『『『『『『『『『『ジャジャァーーッ⁉︎』』』』』』』』』』

 

「…やっぱり強いよ、祢音ちゃんは」

 

 

そうして誕生した仮面ライダーナーゴ・アームドハンマーブーストは足についたマフラーの火力で、ゾンビの顔面を蹴り倒し、ブーストの力が上乗せされたハンマー攻撃で続々とゾンビを倒していく。

 

ただただ強い、そう言い切りたくなるほどに。

 

 

────しかし

 

 

『マズい…。もう時間がない!』

『これでナーゴも退場か』

 

『まだ…!終わりじゃない…!」』

 

 

そんなナーゴを見下ろしていた英寿は「フッ!」とほくそ笑むと

必殺技発動

 

 

『ZOMBIE STRIKE』

 

 

左手のバーサークローが分身してゾンビジャマトの足下から出現し足を掴み動きを止めたのだった。

 

 

『賭けてみるか?わずかなチャンスに!』

 

『本当にこのまま諦めていいのか?』

『自分らしく、立ち向かうべきだと思う。祢音ちゃんが強いのは、そういうところだって僕はずっと思ってるから』

 

『私は諦めない!私の理想を叶えるために!!』

『私らしく…戦う!』

 

 

 

『REVOLVE ON』

 

 

 

瞬間発動されるはリボルブオン。

上半身はブーストフォームの姿でかつ下半身はアームドハンマーの状態へ

ナーゴ・ブーストアームドハンマーへとチェンジしたのである。

 

そしてレイズハンマーも合わせて巨大化を遂げる。身の丈ほどもある戦鎚が祢音の右手に収まっていた。

 

 

『BOOST HAMMER VICTORY』

 

 

「行け…」

 

そのまま、まずは目の前の多数のゾンビジャマトを撃破

 

 

 

 

『BOOST HAMMER GRAND VICTORY』

 

「行けええええええええ! 祢音ちゃあーーーーーん!!!!!」

 

 

 

 

『やあああああアアアッ!!』

 

 

 

そしてさらにベルトを操作しレイズハンマーの後部からスラスターを展開し、地面に衝撃波を走らせ大量のゾンビジャマトを全て粉砕、木っ端微塵である。

 

 

「あっ…」

「ふふ、シュヴァルったらすっごく熱が籠った応援だったわよ♪ きっと祢音さんにも届いたんじゃないかしら」

 

「そう、かな。…だと、いいな♪」

 

『スコア最下位は…ダパーン』

 

『妨害なんかせずに闘ってたら、最下位はお前じゃなかった』

『諦めない人間には希望がある。それがデザイアグランプリだ』

『お前だって、きっとまた立ち上がれる』

 

『あなたはここで脱落となります』

『ッ!……どうせ、どうせ一人しか残らないんだ! つ、次は誰が脱落するかなぁ…。楽しみだなぁ!』

『アーッハッハッハッハッ…うわあああ⁉︎』

 

 

 

『RETIRE』

 

 

そうして最下位になったのは奏斗だった。

英寿も行っている通り諦めることをしていなければ、また違った未来があったかもしれない。

ただ、命からがらその未来を得たのは、教え子の、祢音の未来への信頼を胸に状況を打破すべく足掻いて足掻いて足掻きたおした祢音だったということである。

 

「──つまり死んだわけじゃないのね、IDコアも破壊されていないわけだし」

 

「「…諦めない限り希望はある」」

「そうね、なら私だってきっと…」

 

 

ただ死んだわけではなく。ならいつかは立ち上がれる可能性もあるのかもしれない

 

そしてクラウンとシュヴァルは、英寿の先程の発言を踏まえて、改めてこの先のトゥインクル・シリーズで必ずG1を勝つ、勝ってみせると信じることにしたのだった。

 

 

 

「…因縁の決戦は近いようだ」

 

 

──同じ頃。

また独自の仕様らしき部屋からモニターでギーツとバッファの戦いを見ていたマスクの男は一人そう呟いたのだった。

 




相変わらず会話文のほうが多い…
質問・感想お待ちしてます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。