妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった   作:泡沫幻想黒衣の人

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第34話 冒険者登録と彼女の話

 さて、龍が降りてくるまであと数日、まだやれることはあるか…。  

 

シュタイナー「あのー、長考入ってます?」

 

「あ、戻ってよろしい、カゲロウのことを頼んだよ、そのうちそっちに行くから」

 

シュタイナー「はっ、分かりました!」

 

 去ったか。

 

 …メガロニカのやつ、タイミング的にその後砂漠に行く彼女達に同行して、水がなくなったからってラング達のを奪ったな?

 

何かあれば報告してくれとは言っていたけど、カゲロウの接触とユウ、メガロニカ合流は何かありすぎね。

 

 …ユウ、確かすんごい神子だかなんだかの子孫で、幽霊族の想い人の力で霊体で彷徨うことにとかなんとかフレーバーテキストがあったような…。

 

 よく覚えてないけど、彼女には多分そんな設定が。

 

いかん、どんどん記憶が薄れていくな。

 

 記憶は魂でなく、肉体によるものだから前世での記憶が薄れていくのは道理…メモもエルフ様みたいな存在を考えるに危ないし、取り敢えずその場その場で思い出していくしかないか。

 

 と…こっちに来る気配。

 

ラング「(龍が来る)この間に冒険者登録しとく?」

 

「オーケー、ヘンゼルグレーテル…か、お菓子の家がパーティ名で、其々ヘンゼルグレーテルの姿で冒険者登録しましょう」

 

ラング「ああ(この世界貴族が冒険者やると世間体がね…)」

 

 領地を預かる立場で何やってんだ!…って領民から非難が…私たちは貴族崩れみたいなものだし、この世界の住人としての感覚は弱いからそんなに気にするほどのことでもないんだろうけど、一応ね。

 

 この世界の住人としての感覚は弱いだけでちゃんとあるの、剣精のおかげかな。

 

剣精といえば、私は剣精でもあるのかどうなのか結局謎だわ。

 

 別にその謎は謎のままでもいいと思うんだけどね。

 

 ・・・、

 

 北の砂漠

 

 

ラング(ここでは以降グレーテルの姿)「で、忘れてたけどここはゲームの中じゃない、BANも何もなく安心してヤツを狩ろうと思えば狩れるはず」

 

 デスワーム、巨大ミミズ妖怪。

 

別にヤツを狩ろうと再度ここに来た訳ではないけど…。ここからは東に行くと巨大な陸橋が行く手を阻む。

 

 この陸橋は約5000kmにかけて人間達を大陸東側と隔てている壁、である。

 

ラング「それはそれとして…これより先では貴女にもう隙などひとつも見せないぞ、ズールさんや」

 

ズール「(ゲーム?)…!」

 

ラング「これから陸橋地下の冒険者達の隠れ家という名のギルドにて冒険者登録するんだ、取り敢えず2人、貴女もやってみる?冒険者」

 

ズール「…」

 

ラング「だんまりもいいけど、もうバレてるんだから、観念して本当の姿をみせてよ、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   アサリ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズール→アサリ「…いつから知ってたの?まさか最初から?それならつまんない男!(それなら仕掛けて来いと)」

 

ラング「そ、そんなことはないさ!あと、ごく最近だから貴女のことに辿り着いたのは」

 

 彼女は今まで有能な人物を見定め、固有スキルによってその人物らに成り代わり、様々な姿で世を忍んできた。

 

ラング「ある時は帝国のメイドとして、ある時はドレイモルの配下のメイド、そしてまたある時は帝国の役人、またまたある時は聖教の神官と…あと多分王国兵、それはまあ色んな人達に成り代わり、入れ替わり立ち代わり…」

 

ラング「って感じかな?成り代わった人達は推測も推測だけど」

 

 前の大陸での事を考えるに彼女は人の、人々の死に様とかを見るのが好きな人物なんだろうと思う、それは特に凄惨な、また大量に死ぬ様とかが。

 

だとしたらバランサー気取って聖教、帝国、王国三者の間を行き来し、戦局をどう動かすのか思考を働かせていたのかもね。

 

その三者の中に上手く入り込んで…この考えが違っていても彼女がそれができる立場にいることは疑いようがない事実だから多かれ少なかれこの考察は当たってるはず。

 

そこら辺細かい設定を多分公式はしていないだろうから、状況証拠のみでそう考えることもできるってだけだけど。

 

 その仔細を知ることは俺には絶対にできないことだろう(知ろうとして、潜入系のミッションは得意じゃないからムリ………)

 

ラング「どうして気づいたのかは………ララーの行動が杜撰だったからかな、プロの暗殺者は喋らないと言いつつ駄弁った、さっさと瞬身殺使わせるようにしてたら、結果はまた違ったかもね」

 

 元片翼の天使さんは、用意が良い割に、暗殺者としてはまだお喋りだったから、そこから違和感を覚えるべきだったな、うん。

 

アサリ「そんなことから…?」

 

 勿論違う、…彼女に纏わるストーリーを知っている理の外側の人間がいるからだなんて予想だにしないだろう。

 

彼女の動向とかそこら辺あの運命矯正装置で覗けばすぐ分かったんだろうけど、覗いたのはこの世界の構造だけだったんだよね、この世界は妹が前世で1番やり込んでいた版、有料のブラウザ版での設定の三層の世界だった。

 

 上から天有界、地上界、地無界。

 

まぁ多分他2つの世界には触れることさえないだろう、今世では。

 

ラング「まぁね、だから本当の姿を…(これで本当は美女でしたとかなら萎える展開だけど、それならそれで受け入れよ)ね?」

 

アサリ「悪いけど、これが普段の、本当の私のすがた」

 

 マジか、俺からしたら結構安心材料だわそれ。

 

だって何故か周りに綺麗所揃ってきてるんだもん、表には絶対出さないけど何度心臓止まりかけていることか(勿論大袈裟な比喩だけどみんなが可愛すぎて美しすぎてそんな気分になるんだよ)。

 

アサリ「あと…」

 

ラング「おっと!?」

 

 急に倒れるんだからびっくりしたけど、病気ならズールとして表立って行動できなかった大きな理由になるな。

 

ラング「病気か、どんな症状だ、話せ」

 

アサリ「まずは末端の組織から動かなくなっていって、今や呼吸もままならない手足が不自由な老人状態…まだまだ生きるつもりなんだけど」

 

 まだまだ生きるつもりか…それより固有スキルで歳隠して15歳に若造りしてるなら、本当の歳、それも明かして欲しいものだけど、そこら辺はまぁいいや。

 

ラング「(一見しただけだと分からないけど、ギランバレー症候群かな?)なら、俺の免疫をあげよう、それで治る」

 

アサリ「???薬も何も無しで???」

 

ラング「ほら」

 

アサリ「………!!か、感覚が戻った!!」

 

 治した瞬間、また何か画策するかもしれないと思い至り、牽制をしとく。

 

…俺なんぞに成り代わるメリットは…特には思いつかないからそれは大丈夫だろう。

 

ラング「っと、治ったからってまた色々隠して画策しようとしてるならやめておいた方がいい」

 

ラング「いくら固有スキルであらゆる事物を隠せるっていっても小さな綻びはあるし、時に思いもよらない事物から隠そうとしていた事物がバレることもあるし、隠そうとすればするほど情報の拡散は起きるものだ」

 

ラング「思い当たるところはない?隠して隠して隠して隠そうとして、逆に隠そうとした事物が大々的に注目されてしまうことがあることを」

 

アサリ「私はそれさえも隠せる」

 

ラング「…それは思い上がりだね、ならなんで俺は君の正体に気づけた(本当は妹のゲームをプレイしたときの記憶から正体に気づけたんだけども)」

 

 まぁそれは彼女には知る由もないこと。

 

アサリ「それは……………はっ、隠された事物を見抜く、それができるのがお前の固有スキルか」

 

ラング「違うけどそういう固有スキル持ちもいるかもだから(カナリの固有スキル精査とか)やっぱり隠そうとするのはやめておいた方がいい」

 

 消すと増えます、覚えておこうストライサンド効果。

 

アサリ「………隠し続けるのもある種暴露し続けるのと同じってこと?そういう考えは………嫌い(でも…)」

 

 とかなんとか言ってる間にギルドについたけど、俺の記憶が確かならば、こういうとき奉公の1人でもつくはずだよね?ザック・バランさんは何やってんだ、俺たち兄妹と幼馴染みでうちのメイド長だろうあの人は…。

 

 あれ、メイド長はアサリだったような…?いやいやいや、確かにザック・バランさんが元からうちのメイド長で、奉公とは名ばかりの婚約者〝予定〟の人だったはず…!

 

 ………んー?なーんかおかしいな、記憶の混濁が起きている?

 

………このこと(うちのメイド長は誰だったか?)を考えるのは後にしよう、取り敢えずは目先のことだ。

 

 上手く冒険者登録できるといいけど。




 何かを隠し続けるのもエネルギーを使うものです(彼女の場合固有スキルに使用するエネルギーが実際にあるのでしょう)。

それに…ここにきて隠すのが面倒臭くなったのかもしれません(それだけ長く生きているbbaの可能性が微レ存?)。
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