妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった   作:泡沫幻想黒衣の人

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第41話 隠し玉

 ラング達を見送って拠点に残った私だったが、彼らを見送って直ぐに書類の整理に入る。

 

 今までに書いてきた書類の大半はあの特徴的な服をきたラントとやらの属する会社とのやり取りで、逐一モデル達の広告効果の肌感覚はどうか?との確認をするような書類と服のデザインに対しての謝礼金の金額の相談の為の書類だった。

 

 その他の書類はこの大陸の各勢力に向けての対策案みたいなものを纏めて綴ったもので、どれか1つの勢力に送るのも不公平だと思ったのでどうせならと各勢力に同じものを送ってある書類の控えだ。

 

 各勢力というのはここから近い妖狐の勢力と北方の吸血鬼勢力、それと邪教、聖教、港町を管理する家々や、大都市ヘラクレスの有力者達、果てはヒノモトの関係者に至るまで。 

 

 それはまあ…色んなところに各勢力の記憶にある範囲でのトップと、それらの手下相手に使える戦略、戦術などをてきとーに纏めたものをラング名義で先日送ったのである。

 

 内容としては例えば吸血鬼勢力はとにかく吸血を狙ってきて、その吸血によって仲間を増やすだとか、妖狐勢はよく化けてスパイをしているだとか、そういう覚えている限りの気をつけるべきことや対策を書き綴った脳内メモを丸写しした感じのことが書き綴ってある。

 

 聖教は取り敢えずの頂点たぬ坊を捕まえてしまえば無力化したも同然になるし、邪教は破滅的思考者しかいないので内輪揉めに繋がるような作戦を立案できる人が身内にいれば壊滅させるのは簡単(多分)。

 

 港町や大都市ヘラクレスは、とにかく冒険者ギルドなどへ救援依頼を出せなくすれば私兵も殆どいないので詰む(はず)。

 

 吸血鬼勢は十字架や聖水で弱体化させた後、串刺し刑に処してしまえばどう足掻いても復活はできない。

 

 妖狐勢は油揚げに目がなく、スパイの特定や賄賂として油揚げが有効、尚玉藻に対しての対策は特になく、出来ることといえば絶世の美女と酒でも用意して攻撃する隙を晒すことを願うのみである。

 

 …玉藻だけ、対策が甘過ぎやしないだろうか?自分で自分の書いた玉藻への対応策に対して心中で首をこれでもかと傾げてしまう。

 

 まぁ…それは置いといて、種は撒いたのだ、これで其々が其々で勝手に潰しあってくれれば御の字で、もしそうなったらこれから1日後にも誕生する未来の勇者の手助けになるだろう。

 

 さて、あと目の前にあるのはこの書類だけだな…うん、印鑑がしっかりと皆のものに押されてる、確認終了。

 

 そして書類仕事の邪魔だからと煩いピンク獣人はスライム諸共ランプの中である。

 

 いやー、早く皆と新学期を楽しみたいなぁとそんなことを考え、ちょっと上機嫌に拠点の裏の畑の様子を見に行くと、猫南瓜がげんなりとした様子で蹲っていた。

 

アウラウネ「どうかしたの?」

 

猫南瓜「土の中の栄養を使い果たした…」

 

 何処から声を出したのか分からないが、どうやらそういうことらしい。

 

 …ということは、ここに植わっている夏野菜達の後に何かしら植えても育ちが悪いものしか出ないし、最悪直ぐ枯れてしまうことが考えられるなぁ…そして1番の懸念点は…。

 

アウラウネ「じゃあ、リアルな人肉を作ることも、もしかして…?」

 

猫南瓜「…出来ない」

 

 ………それは不味い、非常に不味いぞ、カゲロウの衝動が抑えられなくなったら一体どんな惨劇が起こr___いや、まだラビラビg____いやいや、確かにカゲロウの非常食くらいにしか思ってなかったけど、よく考えたらあいつ妹に惚れてる節あるしなぁ………食料にする訳には、うーん、どうしよ。

 

 もうどうにでもな〜れ☆なんて現実逃避しても仕方ないしなぁ、手頃な骸が無いか探すしかないk____

 

 と考えが纏まった瞬間、背後から物凄い爆発音と風圧が襲いかかってきて、私は情けなくも数十メートル転がる羽目になった…まぁ常時バリアを10枚くらい重ね掛けしているお陰で傷もなく目が回る程度で済んだんだけどね。

 

 右も左も分からなくなったところで目が回る感覚が収まると、目前に広がるのは拠点の残骸………。

 

 ぎゃーーーーーっ!!?この大陸のえいま学校分校に通うためにも建てた我々の拠点がーーーーーっ!!?誰だこんなことをするのは!!?許ざんっ!!!!!

 

 そう思い、キッ!!と怒りを込めた瞳で周りを見回すと、気付かなかった自分を呪うほど大量の敵に囲まれているのが少し遠目に見えた。

 

 ある程度開けた広場の右方に吸血鬼勢力の吸血鬼、吸血魔物に、狐耳や尻尾が可愛らしい妖狐達…と、なんとなくだけどステルスした機械群の気配。

 

 左方に聖教本部の戦闘専門の神官たちに邪教徒の方々、ダビドデの星パーティとカプレラ王国元第二王子とその近衛兵達。

 

 そして前方に野良妖怪達の群れ…基本妖怪は群れないので、多分互いに一時休戦状態の時にこの場にやってきたか、河童、天狗、または鬼などといった独自の指揮系統がある妖怪勢力の中にいる妖怪達かもしれない。

 

 更に後方の木々の間にはヒノモトの少数精鋭といった雰囲気の一部隊が周囲を警戒しつつこちらに仕掛けに行くぞといった雰囲気で向かってきているのが見える…。

 

アウラウネ「ふーん………やる気なんだ………」

 

 多分この場で突然のバトルロイヤルが勃発するっぽい、にしても皆示し合わせたように一斉にこの場に来たということは、我々が1番の脅威と考えたってことでいいよね?なんでそんな評価になるかなぁ〜?

 

 ま、取り敢えずこの場にいる全員拠点を破壊した容疑者…ううん、〝犯人〟と見ていいよな?ユーリンとか非戦闘員がいたら絶対犠牲者になってたってところを考えたら…全員皆殺しでいいかなー?

 

 …ん、でも待て、確か第二王子は(PC)有料版で選べるようになる男主人公だったはず、彼と…ダビドデ達は見逃してもいいか、そうと決まればドラゴン娘達が倒した魔物達の素材を運び入れるついでにちょくちょく魔工式と科学技術の合わせ技で作っていたアレを呼び出すかー。

 

 オラクル製鉄所に魔物の素材の御礼として我々が求めたのはロボットを作る為の素材…そしてそれはもう完成している…こんな状況で呼び出さないなんて、勿体ないよねー。

 

アウラウネ「カモーン、メタリックマン」

 

 私がそういった瞬間、後方からゴゴゴゴゴゴゴ…と地響きを鳴り響かせながら巨大な球体が転がってきてヒノモトの一部隊はピンのように弾き飛ばされてストライクとなった。

 

 そして鋼の球体が私の直ぐ後ろで変形し、丸い手足とこれまた丸い顔が生えてその場に鎮座した。

 

アウラウネ「よーし、乗り込むぞ、ライドオーン!」

 

 これから始まるのは一方的な戦いだ!(多分)

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