妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった   作:泡沫幻想黒衣の人

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第42話 勇者誕生

 

 メタリックマンを出した当初こそ、一騎当千の動きを期待していたんだけど、脆くも一瞬でその期待は崩壊した。

 

 というのも機械群の指揮官らしき人物が出てきた時点で、この場はほぼ勝負が決まってしまったからだ。

 

メタリックマン「」

 

 あ〜、苦労して作った全長10m、重さ2トンの5mは伸縮可能な腕を持った魔工式を中心にした技術でこれぞロボットって感じを前面に出した自信作が…今は搭乗部でもある腹部に空いた大きな銃痕(弾痕)によって動きを完全に止めている。

 

「はぁ…はぁ…何あれ、チーターってレベルじゃない、逃げないと」

 

ダビドデ「姫!捕らえろ!」

 

「ちょっと、逃してもらえる?」

 

 さっさと攻撃される恐れの少ない場所まで逃げて、一旦剣に戻って体の再構成をする時間を取らないと流石に死ぬんだけど?

 

 ここで私の現時点でのステータスを覗く。

 

Lv 99+2

 

 

HP 460/1020→2/1020

ATK 〃

DEF 〃

MAT 〃

MDF 〃

AGI 〃

DEX 〃

CTA 〃

MP 505

 

 

 装備

特注の服(赤スーツ)(DEF+20)破損

メタリックマン 破損

 

スキル一覧

 

固有スキル【付与】

 

アクティブ 

 

MP消費なし

ダーズ(弱)

ウィップ(弱)

MP 3消費

ライト Ⅲ

HP40回復

ウォーターⅡ

MAT+20のダメージ

ファイアーⅡ

MAT+20のダメージ

MP 5消費

ファイアーボール Ⅰ

MAT+25のダメージ

以下は出力不足によりMPを余計に消費する魔法スキル

MP50消費

アクアボムⅡ

MAT+120のダメージ(球体の水を撃ち出し、爆発させる)

MP100消費

バリア

MPがもつ限り重ね掛け可能

1度張れば物理ダメージをDEFの値分だけ軽減

Mバリア

重ね掛け不可

1度張れば魔法ダメージを割合軽減(9割)

MP消費分ダメージを与える

ラピッドファイア MAT+5+消費したMP分の継続したダメージ

時間でMP消費

身体強化 3分で100消費 A・D・AGのステ値を1割上昇

身体強化1段 3分で200消費 同じく2割上昇

身体強化2段 3分で300消費 同じく3割上昇

召喚枠

1:宇宙 MP全消費

2:なし(ラングからフェリルを間借り可)

3:なし(ラングからグリフォンを間借り可)

 

パッシブ

 

成長性S

あらゆる事柄において常人よりも成熟するのが早い傾向にあるが、事柄に対する興味や向上心などがなければならない

限界突破などスキルの発生にも影響

限界突破 Ⅱ

レベルに+数字がつき、数字に応じてステータスが更に上がる

痛覚遮断

一定のダメージを受けると一時的にHPが固定される

テクノロジーの感覚的フィードバック これにより特に設計図がなくとも色々作ることが可能

代償強化←いつのまに…?

色々なものを代償に自身や武器を強化できるスキル、ステータスや何か大事なものを失ったときに極低確率(ゲームでは100時間あたり0.025%)で発生。

 

 ラングとの差異…は今のところ召喚枠と性別、成長性以外にはなしか。

 

女の子「ふぅ…ははっ、まぁ魔素の影響消したらこんなものだよね」

 

 …機械群から飛び出してきた彼女の姿は、此方の視界がぶれぶれのため上手く捉えられないけど、ツインテールで大分見目が良いような感じを受ける。

 

ダビドデ「何故俺達を庇った?」

 

ショコラ元第二王子(以降ショコラ)「訳を、知りたい」

 

「い、一番近くにいたから…体が勝手に」

 

 通常魔法戦か、槍、剣で戦うのが普通の世界で予備動作0の銃火器はマジで無いわ〜…。

 

機械群「!」

 

エネミー「いやー、お仲間がこの程度ならこのエネミーが出る必要無かったかなぁーってことで、お役目ご苦労さーん!」

 

 と彼女が言ったかと思うと、ここに集った各勢力の実力者達(と言っていいかはよく分からないけど)を一瞬で制圧、虐殺した機械群を率いるチーターが玩具と戯れるように機械群相手に突進、担いでいる大砲のような巨大な銃で銃撃し、破壊し始めた。

 

エネミー「えー?まーたこんなポンコツ達を私に任せたのー?ナオツグ様〜…」

 

 おいおい、敵前でどんどん情報を喋るんじゃないか?このチーターちゃん。

 

サソリ「その割には1匹百足の百日手でやられてるじゃないか!」

 

エネミー「あれ?まだ生きてるのがいた」

 

 どうしよう…馬鹿のせいで辛うじて生きていた私達の生命線が切れたかもしれない。

 

「馬鹿…こうなったら代償に宝剣、うぉっ!?」

 

ダビドデ「動くな、蛇姫に絞め殺されるぞ」

 

「こんな時に何…離してっt_」

 

 私が言い終わらない内に物凄い衝撃と共に直線状に地面や木々と一緒に吹き飛ばされ、姿が見えなくなるエネミー。

 

ショコラ「何が起こったー?」

 

ラング「…………………………………約100段、魔素の影響無くせたとしても余波だけで流石に死んだろ」

 

ダビドデ「ち、ち、ち、地形が大きく抉られて変わるぐらいの力なんざ振るえたんか旦那?」

 

(意識を妖側に持って行かれるからって、4段以上は封印してるんじゃなかった?)

 

ラング(ばぁろ!〔馬鹿野郎の略〕半身の危機に封印も何もあるかよ!…ま、実際は代償強化で両脚と右腕が完全に使い物にならなくなる対価払っただけで身体強化100段は使ってない、5段止まり)

 

(それでも妖側へと意識持ってかれるはずの段解放してるじゃん…)

 

ラング(何故か今回は大丈夫だっただけだ、今後は自重する)

 

(ん、そうしてくれないと半死半生にした上で監禁生活始まるからねー?今回は警告だけしとくね)

 

ラング(お、おいおい………本当にしないだろうね?)

 

(貴方を守る為ならそんくらいやるって)

 

ラング(……………あ、そう)

 

 どうしてだろう、ほんの一瞬ラングと怖気を共有した。

 

クエス「ちょっと、今のスピードは半端じゃなかったんだけど!?もしかして実力…隠してたの?ラング」

 

ラング「やべっ(見つかった!?見られてた!?)」

 

クエス「それはそれとして、港町や大都会の有力貴族達、それだけじゃ飽き足らずこの大陸の全勢力に喧嘩売るような手紙を飛ばしてどういうつもりかしら?」

 

クエス「それに実際、港町や大都会ヘラクレスの有力貴族達に被害出てるんだけど、どう説明するつもり?」

 

ラング「え?(いや………手紙の件はともかく被害が出てるってのは?うーん、アプリの前日譚と展開違ってきてるな………機械群とかいう訳分からんのはカガクノ国の???)」

 

(取り敢えず今後のラングとしてはこの大陸では全勢力の仮想敵として動いて、最終的に全方位からヘイト貰いましょう)

 

ラング(うん、それは吝かではないんだけど、その前に考えてみれば勇者って肩書きを世界が、みんなが誰か〔ここではアイリ〕に求めるのなら…)

 

(………んー?また運命に抗ってみせる?)

 

ラング(いや…みたいんだ、抗ってどうなるか知りたい、ただの知的好奇心…)

 

(あんな装置みたいなのももうないだろうし、アイリスが勇者になるのを阻止するくらいはできる…かもしれない、でも、好奇心は猫をも殺すって言葉もあるくらいだから………)

 

ラング「へ?」

 

アウラウネ「はぁ、はぁ、失った体力を代償として………殴る!(この程度で死なないで、ね?)」

 

ラング「っ?????」

 

 ラングは反応する間もなく鳩尾にもろに拳をもらい、意識を手放した。

 

 そしてラングは、半死半生状態に。

 

(使えなくなった両脚と右腕を妖力で再生する前にさっさと大人しくさせようと思ったら、本当に半死半生状態にしちゃうなんて、私ってつよ〜い…かも?なんて)

 

クエス「え?え?なんで攻撃して?」

 

ショコラ「訳を、知りたい」

 

(まぁ、この主人公2人と比べたら全然だろうけどね…聖女に出番の割りを食ったショコラはこれからが伸び代?)

 

「単に、これ以上無理をさせないように」

 

クエス「な、なるほど?理外の力でも使ったから、ボロボロになる前に…ってとこ?」

 

「まぁ、そんなとこ、そして、本来ならさっきのは貴女の役目(多分)で、ラングは弱いから無茶させないで」

 

クエス「は、はい…(なんでか怒られた…)」

 

 

 ・・・、

 

 

 半刻後、ハジマリー村の役人が拠点跡にやってきて状況説明を求めた。

 

「ラングが何を思ったか、つい最近全方位喧嘩外交し始めた結果学校施設の1つにもなる予定の拠点が各勢力の激突で破壊されました」

 

役人「学校施設?」

 

「はい、えいま学校分校の…、あー、それ(この拠点を学校施設にする計画)は自分がえいま学校運営側に出していた書類によってかねてから打診していたものでして、明日から許可を得て運営していく筈でした」

 

 稼ぎ場所が1つ減ってしまったのは痛いが、じきにドラゴン娘達が荒らしたダンジョンに例の取り扱い注意な双子にでも手伝ってもらって、モンスタートラップを作って新たな稼ぎ場所を作る予定なので、そっちに稼ぎは期待しよう。

 

 まぁ…まだその双子に協力を取り付けていないのだけど、話を持ちかけたら面白がって協力してくれる…といいなあ。してくれなかった場合でも時間はかかるけど、自分でやるだけだし無問題。

 

役人「では…そのラング様には速やかにここを出ていくよう言っていただけませんか?このまま夜まで目を覚さないようなら此方で然るべきところに運んでいきますので、悪しからず」

 

「うん?あぁ、私はこいつの側付き(婚約者と同義)だけど、特に悪く思わないでいいよ」

 

 各勢力に喧嘩売った書類の作成者は私だしねー。

 

フェリル(獣形態)「到着!」

 

 あっと、海岸に行ったはずのみんなが戻ってきたー。

 

ウト「みんなが戦ってる中、信じられないことに砂浜で1人眠りこけてたかと思えば、急に物凄い早さで起き上がって、物凄い速さで何処か行ったと思ったら…大怪我をして気絶してるし…一体彼と無くなってる拠点に何があったか説明できる人はここにいますか?」

 

 ウトちゃん、それ誤解かも、1人強力な相手の相手してて命からがら助かった感じを意識のない彼からなんとなく感じるもん。まぁ知らなければそう見えてしまう…か?

 

フェリル「それより文字通り馬車馬のように働いた私に水をー!!」

 

エルフ(私も風魔法で助けたんですけどねー、馬車を浮かせたりして)

 

「馬たちはどうしたの」

 

ラミィ「みんな魔物達に驚いて逃げちゃって…」

 

「それは…大変だったねー」

 

 海岸までの10Km近い距離をとんでもないスピードでフェリルが馬の代わりに引いて来たのかな、そりゃ疲れるわ。

 

「それと、説明は後、取り敢えずフェリルに誰か水を…」

 

ユーリン「私の使用済みでもいいなら水筒渡すから飲んで…」

 

フェリル(獣人形態)「ありがと、んくっ」

 

 間接k…野暮なこと思わないの私!思春期の中学生か!

 

 

 ・・・、

 

 

 夜、ハジマリー村から3つの馬車が迎えの馬車に連れられるようにして、横並びに村を出た。それらにはラング以外の皆が乗っていた。

 

クエス「良かったわね、ラングファミリーだからって恨み買わないで済んで」

 

ウト「そもそもファミリーとかはアイツが勝手に言い出したことですし…」

 

ドール「第一露ほどもラングなんかに対して情とか湧かないし」

 

 

 以下小声。

 

 

ドール「それよりラングをフェニックス家に取り込む計画が…」

 

ララー「うむ…しかしそれは…後々の計画のためだとしても嫌だろう?私もあいつとの婚約は形だけだとしても嫌だ」

 

ドール「うん…それにそもそもラングをフェニックス家で抱えてしまっていたら、彼を唆して皇族達を殺害させた嫌疑が私達にもかかる訳だから、そこら辺両親はどうするつもりだったのか…聞いても教えてくれはしないかも」

 

ララー「そこはほら…優柔不断な皇帝とその一族の暗殺の機運を皇国や元王国の貴族内で高めることに成功しているとの両親からの手紙があっただろう…?最近権力を強めてきている憲兵ギルドがもし動いても、ラングを差し出せば後は捜査されても証拠が出ないように内々で処理できる環境は整っていると見える…しかしそれが本当だとして、皇子や皇女はどうするんだろうか、まさか生かしておくなんて選択は取らないだろうし…」

 

ドール「どうせ魔女国から刺客を雇って送り込んでくるのよ、そっちにも色々伝手があった筈だし」

 

ララー「だが皇子達だぞ、半端者では返り討ち、とはいえまさか首長(アルバータ)が送り込まれて来るとは思えないし」

 

 

 小声をやめる2人。

 

 

アサリ「何やら楽しそうなお話をしていらっしゃいます?」

 

ララー「いや、なんでもない、気にしないでくれていい」

 

ハーピィ「あれ、ラングは?」

 

アサリ「い、今頃ですか?」

 

ドール「今気づいたの?」

 

「(死にかけだけど)ラングは置いて来た、後は憲兵さんにでも任せておけばいいでしょう」

 

ゴルディ「いっつもくっついてるあんたがいいんならいいんだけどよ、つまんなくなるなぁ…(折角の結構強い気配があった奴なんだけどなぁ…)」

 

「いっつもじゃないよ(そんなにくっついていたつもりはない)」

 

クエス「でもあの状態で野晒しで、死なないかなぁ〜…」

 

フェリル「寧ろ死んで当然、あんな奴!」

 

「ふぇっ!?フェリル!?」

 

フェリル「だって、私もラングファミリーってことで殺される可能性あったんだよ?流石に…ね」

 

「フェリルは聖なる存在だからそんなことにはならなかったと思うけど、実際フェリルの存在のおかげでここにいる私達はラングとは関係な…(…そういえば、こうなる事を予め織り込み済みだったっけ?)」

 

ユーリン「…いと目されるに至った、までちゃんと喋ってください」

 

「あ、うん………」

 

アサリ「そういえば、エルフ様は…?どの幌(馬車)にもお姿が見受けられませんが?」

 

ティア「はっ!そういえば!」

 

レオナルド「た、確かに…今更すぎるけど」

 

グラコス「えっと…エルフ様って確かあのエルフ様?ちゃんとご挨拶をしたいと思っていたのだけれど…」

 

 グラコス先生は此度、えいま学校分校に本校が復旧するまでの間分校の校長として抜擢されており、そのグラコス先生が分校に復学、入学する私達を直接迎えに来たのである。拠点が破壊された現場を見るのも兼ねて。

 

 分校に着いたら私達は当然寮生活となるだろう。

 

ケイル「ラング………」

 

 うーん、ケイル母様達には悪いことしちゃった気分…大丈夫だよ、本体殿はちゃんと生きてるから。

 

 

 ・・・、

 

 

 side ラング

 

 憲兵ギルドからの刺客達から〝隠れて〟、数刻………真夜中の森中にて、ラングこと俺は重体と言ってもいい体を引き摺りながら1人(1人じゃないけど)佇んでいた。

 

  どうやら此方に依存しているフェリルに嫌われることはないと___

 

 

ハジマリー村 出口

 

ラング「…」

 

 そんな事を考えていた時もありました………。

 

ラング「また嫌われ生活とはね…。まぁ、今回はフェリルのお陰か、連れて来たやつらから嫌われることはなかったから、それを心の支えにしていこう、うん…」

 

エルフ「頑張りましょうね!私も微力ながら、お力添えを!」

 

…エルフ様とことは…うん…本当にいつのまにかいたの、いつのまにか…。

 

 まさか葬儀が茶番だと気付いていらっしゃったとはね…。

 

 道中よくよく聞いてみたら占いで分かったとか、占いか…彼女のは的中率高そう、しかし俺には不要だ、結果が分かっていることほどつまらないものはないからね。

 

こと「ピーカブー!」

 

 うわ、煩い!この煩いのはブタ(または猪)の獣人を騙る…いや、ブタの獣人だと思い込んでいる、変な…というのも可哀想か?変なは取り消して、ピンクの服を着た可愛らしいとこという名の美少女なのだが、ブタっ鼻と豚獣耳を付けているせいで折角の可愛さが台無しである、主に面白い方向に。

 

 そして〝こと〟とは〝異〟であり、それは異(い)なる者という意味で…何が言いたいかというと、彼女は現代社会で言う生きにくい特性を持った子なのだということ。

 

 しかしそうなった原因は………え〜っと、先天性の強迫観念と幼い頃に孤児の猪獣人に鬼ごっこで脳挫傷とトラウマを負わせられた結果からで………その件、相手も故意じゃないのがなぁ。

 

 そして強迫観念…、彼女の場合は生まれながらに時折〝ピーカブー〟と言わないと気が済まないタイプの強迫観念だ。

 

 なにも無しに常日頃からそう言って更には人がそれで驚くと喜ぶんだから、そりゃおかしな子、いらない子、忌み子とされちゃうよなって。

 

 そんな彼女は捨てられた後迷い家という村々に時折現れる異空間にて座敷童子達によって育てられており、通常こんな風に迷い家の外に出るようなことはしないはずなんだけどなぁ…まぁいいや、今気になっているのは他にもある。

 

ラング「はぁ、はぁっ…そこっ!何見てる!」

 

オッケルイペ「〝へ〟ぇい、おなら星人参上!おなら星人でさぁ…お兄さんもしかして退治屋じゃねぇかい?もしそうなら見逃してくれよ、な?な?」

 

 落武者の頭みたいなハゲ散らかした頭を持ちながら人好きそうな顔をし、ピンクの法被、白ブリーフを着た変なおじさんはアプリオリジナルだというおなら星人という妖怪???である。

 

 本名はオッケルイペという人間だという噂も…と、アプリの設定集に書かれていた筈で、能力としては右目で10秒間ターゲットを捉えるとターゲットの腸内環境を自由自在に操れるようになりそのままウィンクしておならを出させる…と、待てよ?

 

ラング「お、お前腸内環境操れるんだったな、はぁっ…、それなら腸内ヘルスケアをえいま学校分校でやってくれないか?」

 

オッケルイペ「オッケと言いたいところだが、俺の好物のカボチャやイモをたらふく食わせてくれないとその仕事は受けられないなぁ…」

 

ラング「ぐっ…それなら、アウラウネ、っ、というやつに打診してみろ、あんたにとって良い返事が貰えること間違いなしさ」

 

オッケルイペ「ほう…なら、その分校とやらの場所をだな…」

 

ラング「ここから見える山の麓のあの長い壁を越えて、ちょっと行ったら大木と青いベンチがある筈だから、人に聞いてそこまで行ったら…っあ、………ベンチに座れ、そうしたらその分校に行ける」

 

オッケルイペ「わ、分かった、ところで兄さん大丈夫か?見たところ調子が悪そう…というか、今にも死にそうに見えるんだが?」

 

ラング「俺は大丈夫、妖力さえ練れれば…再生できるから」

 

オッケルイペ「そ、そうか…じゃあ行くわ、じゃな」

 

とこ「ピーカブー?」

 

ラング「…あぁ、本当に大丈夫だから」

 

エルフ「本当にそうですか?」

 

ラング「おまえもことと分校へ…そして色々頼むっっ」

 

エルフ「お、お前って………それに色々ってなんですか、色々って………」

 

ラング「色々…は、くっ、色々…だ」

 

エルフ「………わかりました、しかし、そう言った以上大丈夫だとは思いますが、天に召されること無きよう………」

 

ラング「ふっ、まだこの世界からいなくなる予定はないぜ…」

 

エルフ「そうですか…信じますよ、では、行きましょう」

 

こと「ピーカブー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラング(行ったか………さて、今頃アイリは突然分校へ行く事になってあたふたしてるところかな?)

 

 

 ・・・、

 

 

ラインハルト「極秘で港町とヘラクレスの有力貴族達に接触して襲撃したはいいが…」

 

ヒューリッヒ「まさか聖女様が来るとは…焦ったよね…って、集合時間も場所も合ってるよね?」

 

ラインハルト「集合時間自体は大分過ぎてるが…連絡手段が無いから待つしか俺達に選択肢はない…お?」

 

ラング「お、お待たせ特務小隊…」

 

 まずは何かをされる前に港町やヘラクレスなど各地に存在するこの大陸にかつて存在した王国の復活を企む有力貴族達に忍び込んで貰ってたんだよね。

 

 まぁ…それぞれの貴族達にそれぞれの思惑、権力を握りたい欲があるから上手くいかないだろうけど、牽制くらいはしておくべきかな、と思って密かに密令(トップシークレットの金梟便の手紙)出してた2人が無事ここにいるってことは、襲撃は成功したっぽい。

 

 ちなみにトップシークレットの手紙はダンジョンやオラクル製鉄所に行く隙間を縫ってフェリルに直接隣の大陸の皇国中央駐屯所にまで送らせた、そのせいかフェンリルだなんて聖獣を引き連れてるアンタが言うなら!と妙に信頼を寄せてくれてるんだよね、この2人。

 

ラング「無事で何より、命じていた特別任務では俺が手慰みで作ったハイテク魔工式スーツは役にたったかな?」

 

ラインハルト「おおーっ!聞いてくださいよ!あれ凄いんですよ!こう背中や足から炎がばーっと出たと思ったら空飛んで、だというのに姿勢も不安定にならずに…」

 

ラング(自動姿勢制御装置も付けたからね)

 

ヒューリッヒ「そうそう、どんな高さから落ちても怪我1つしないんですよ、あれ一体どこの技術で作られてるんです?教えてください」

 

ラング「何処で作ったか教えるのはいいんだけど、ほぼ自作だよ?」

 

2人「ほ、ほぼ自作!?」

 

ラインハルト「かなり優れた魔工の技術をお持ちで…」

 

ラング「いやいや………(うーん…俺としては前世で見たとあるヒーロー映画のパクリとも言えない出来にしか思えないんだけどなぁ、本当はもっと熱線や銃火器も付けたかったんだけど現状ただただ頑丈なハリボテスーツなだけなんだよね)」

 

 ラング作ハイテクスーツ(ラング曰くハリボテ)

 

 これを装着すれば物理的衝撃を8割軽減し、装着者へのダメージもある程度肩代わりしてくれる。ただし長期間の着用は、劣化による発熱、爆発が起こる可能性が高まるためお勧め出来ない。

 

ラング「使い物になっただけでも凄い奇跡みたいな…」

 

ヒューリッヒ「じゃ、じゃああんまりスーツのことは…」

 

ラング「期待してなかった、っていうか2人がマジの戦いで使うとは思ってなかった、逃走用、変装用に渡したつもりだったんだ」

 

ラインハルト「あ、あの性能で…???」

 

ヒューリッヒ「槍や剣、魔法を全然通さなかったこのスーツが逃走、変装用…???」

 

ラング「というか、ちゃんと証拠にならないようにスーツは捨てたんだよね?」

 

ラインハルト「ああ、捨てた」

 

ヒューリッヒ「売った」

 

ラング「おい、ヒューリッヒ、どこに売った」

 

ヒューリッヒ「え?ええと、てきとーにそこらの黒いローブ着たおじさんに…」

 

ラング「…もしかして百目の意匠付きのローブ?」

 

ヒューリッヒ「ああ、欲しいかって聞いたところほしいって言ったので…駄目でした?」

 

ラング「…いいか、その意匠のローブを着た奴らは邪教徒で、邪教ってのはこの世の破滅を願う者達の集まりなんだ、今後見つけたら出来るだけ関わらない方がいい、いいね?」

 

2人「あ、はい!分かりました!」

 

ラング(はぁ、しっかし、邪教の崇高なる信仰対象の百目鬼のようなマーク、あれ実は…………………って知ってたらなーんか痛い集団にしか見えなくなるんだよね)

 

 ガチで痛い、お辛い集団だとは思うけどね、破滅を望むんだ、まぁ同情はしてやれん。

 

ラング「じゃ、今後のことだけど、2人は分校の警らにまわってくれ、紹介はアウラウネがするだろう」

 

ラインハルト「姉さんに会えるんですか」

 

ヒューリッヒ「楽しみです」

 

ラング「………じゃあさっさと解散だ」

 

ラインハルト「あれ、泊まる場所は…」

 

ラング「それぐらい自分らでどうにかして…」

 

 まったく、そこまで面倒みないと駄目かなー?さて…と。

 

ラング「俺は…くっ、どうしようかね、一眠りするとしても野晒しはいけない、ランプ…は、無いからアウラウネが持って行ったかな?」

 

 そうだなぁ…迷い家でも探してみるかな、見つかるとも思えないけど。

 

_______

 

____

 

___。

 

 

 はっ!いつのまにか寝入ってしまっ…た?

 

 

 迷い家

 

 

 

 見知らぬ天井だが酷く懐かしい感じを受ける木目の天井を見上げては周りを見渡すことを幾度か繰り返した後、身を起こすと、もう傷が大分癒えている、全快まであと2割といったところか。

 

 それにしても………いつのまに迷い家に迷い込んだんだか。いや、有難いけどね?ハジマリー村に戻してもらわないと、アイリちゃんが授かる予定の勇者の役目どうにも出来ないんだけども………。

 

 あー…うん?室内から右手側、開け放たれたサッシから見える景色を見てみたら普通にハジマリー村近辺っぽい。アイリの小さな茅葺き屋根の家も見える。

 

ラング「このままなら明日も安心だな、ご都合主義っぽい展開に感謝ー」

 

 もう空が明るんできているけど、疲れてるからもういっかい寝よう。

 

 

 ・・・、

 

 

 翌朝

 

 ゴゴォオオオオッ!!!!!と音がなるほど外は物凄い嵐、春の嵐もかくやといった具合。

 

ラング「っ!起き抜けでこれはかなりしんどいけど、この嵐は降龍の兆しだ!霊龍め…待ってろ、勇者の役目は僕ちんにこそくれ!!なんて」

 

 そうひとりごちると徐に迷い家から外に出て嵐の中を通学しようとしているアイリの姿を探す。

 

ラング「居ないなぁ…ていうか凄い風雨のせいで視界がボヤボヤ」

 

 取り敢えずアプリのOPでも見たような開けた場所を探さないと…んん?

 

 一瞬、ほんの一瞬、周りの空気が変わったような気がした。

 

_________

 

______

 

___

 

_。

 

 

 またこのパターン(突然意識を失う)かっ!?

 

霊龍「この世界に歪みを齎す者よ、我に何用か?」

 

 おおーっ!今目の前にいるのが正に龍って感じの龍!かっこいいな〜………それよりなんでか周りが静かって、時でも止まっているのか静止した世界になってる。

 

霊龍「何か、用がと思ったが、気のせいだったか」

 

 いんや?自然に心の声に反応してることを理解出来てる辺り件と同質の何かを感じるなぁ。そうそう、用ならある、俺を、俺を勇者にしろ、アイリに勇者という重い役目を背負わせる訳にはいかない、勇者が必要だっていうんなら俺を勇者にしろ。

 

霊龍「お前は…その器ではない」

 

 なら身代わり使って無理にでもなってやる、そうすればアイリが勇者になることはないだろう!はっ!身代わり発動準備完了!ささ、勇者としての力を授かる龍玉をいつでもどぞー。

 

霊龍「器ではないと言うとろうに………そら」

 

龍玉「」

 

 うーわっはぁっ!!!?力が、力がみなぎ………!!!!!る、どころか抜けてくような………んん?んんんんんっ!!!!?足の先から強い光が迸ったかと思えば、柔らかい光になって徐々に頭の方に登ってくる。

 

霊龍「だから言うたろうに………」

 

 あーあの…これってもしかして、俺、消えます???

 

霊龍「龍玉の放つ虚無を払う程の温かな霊力、お前さんには合わなかったようだのう、残念だが」

 

 俺は…そうか、器じゃなかったんだ。

 

 俺は________そうか、消えるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その前に、せめて推しに()()()()()()()()()()()_______。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side アイリ

 

 今日は初めての登校日だというのに、酷い嵐だった。

 

 それでも僕は挫けずに未来への道を行く決心をする。

 

 すると急に目の前だけが不自然に晴れたかのように。

 

 そこに巨大な龍が降りてくると、私に勇者としての力を、虚無を払う程の温かな霊力をと、龍玉を授けてくる。

 

 龍玉…大切に育てれば龍の赤ちゃんが生まれてくる卵にもなるとオババ様が言っていたっけ。

 

アイリ「っ…あ、え???」

 

霊龍「どうか、したか?」

 

アイリ「え???えっと、こ、声…が!」

 

霊龍「ふむ………そこまでの想いがあるならば勇者としての器があると特別に認めてもいいかのう」

 

アイリ「はい???」

 

霊龍「いや、こっちの話だ(それにしても〝おし〟とはなんぞ?押忍か?)」

 

アイリ「はぁ…」

 

霊龍「ではの、…想い人と一緒になれてさぞ嬉しかろう、汝ら、頑張るのじゃぞ、押ー忍!」

 

アイリ「あ、待って………行ってしまわれた」

 

 と、同時に再び嵐の風景に。

 

アイリ「登校初日から大変な役目を承っちゃったなぁ、けど、僕は確信している、この力で必ずやこの大陸を、世界を平和に導けると!」




 単なる好奇心で大きな運命に抗おうとした結果がこれだ。
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