妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった   作:泡沫幻想黒衣の人

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第44話 覗く虚無

 ふと、目を覚ます___。

 

「知らない天井だ…」

 

 などと何処かで聞いたような台詞を吐きつつ周りを見渡すと、曇っていた視界が段々とクリアになり、周りの景色をはっきりと映し出す。

 

 …どうやら俺は病室のベッドの上らしい。

 

「何言ってるの…」

 

 呆れ返った声でこちらを困ったように見遣るは我が姉君森山 荒音。

 

「いや、一度は言ってみたかった」

 

「折角人が心配してたのに…心配して損した気分」

 

 そんなことを言うが、姉君、泣きはらした跡がバレバレなんですわ…。

 

 確か妹らみと一緒に古い体育館の天井に押しつぶされたんだったか…その前に起きた大きな揺れ、通常ならばスマホが緊急地震速報のアラームを鳴らしそうなもんだけど、それが無かったことが引っかかる。

 

 引っかかるといえば………〝我が姉君〟という存在に関する記憶に対してもだ。

 

 元々我々兄妹に姉などいなかったような気がする…が、何故か最初からいたかのように記憶の中に姉君、森山 荒音との記憶がねじ込まれている気がする…。

 

 うーん…いやでもなぁ…頭でも打っておかしくなったんだろうか自分は…。姉の存在を疑うなど。

 

「………なんか急に雰囲気が大人びたね?そんな感じがするんだけど、臨死体験って人を変えるものなのね」

 

「そう、か?」

 

 確かに…あの事故?災害?前に比べると幾分か…いや、15歳程も精神年齢が上がっているような気がする…気がするだけだが。

 

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「チェックメイト」

 

ラング「また負けた」

 

「ふむ、それなりに腕はいいとみた」

 

ラング「そうはいいますけど、此方は何回も負けてるんですが?」

 

 聖女の祈りに触れた効果で復活するのを待つ間俺は死の国の死の王の家に招待され、チェスの相手をさせられていた。

 

ラング「それにしても、御自身の事を覚えていないと聞いたときは驚きました」

 

死の王「そのせいで我の存在は揺らぎ、来る人来る人我の見た目に関して問うと千差万別なのだ、中には大きな獅子や鷲に見えるという者もいたな…」

 

ラング「大きな獅子に鷲…当たらずとも遠からずですかねー」

 

死の王「…そう言うということは、お主は我の事を知っているのか?」

 

ラング「知ってるも何も俺から見えている通りなら貴女は死の王と語られるグリフォン様ですよ、かつて全ての生物、弱肉強食の頂点に居られた…」

 

グリフォン「グリフォン………グリフォンだと?我はグリフォンだったのか………」

 

 そうグリフォンが自身の名を呟くように繰り返すと紫ローブが翻り、獅子の鬣を思わせる力強い髪型に目つき、背部にあしらう大きな鷲の羽、立派な尾鰭のような水かきのついた尻尾。

 

 それらとこれまた立派な胸部装甲をお持ちな威風堂々とした容姿をお現しになられた。

 

 うん…あのちんちくりんのフェリルとは違って獣人形態でも物凄い威圧感を感じる。原作で披露されたことは確か無かった筈だけど…。

 

 そんなフェリルは俺が作ったオリジナルのフェンリルを改造した存在なんだけど、流石にこの世界にはいないよね…。

 

ラング「ところで、グリフォン様は下々の住う世界へは降りられないのですか?」

 

グリフォン「む、それなんだが、我の存在はここに紐付けられていて離れられん。そのおかげで分かることもある。死の国含め、この星中心に存在する各世界の輪郭がボヤけてきていてな、このままでは死の国ごと我も消滅するのではと危惧しているところで…」

 

ラング「………へぇー?じゃあ俺と召喚獣として契約してよ、そうしたら多分ここから出られるよ!」

 

グリフォン「お主は今の話を聞いていたか?それと急に感じていた敬意が消え失せた気がするのだが?」

 

ラング「…自身の消滅に怯えているようなグリフォンは個人的に解釈違い、だから敬意はほぼなくなったけど、それでも俺は君を必要としてるんだよ?大目に見てよ」

 

グリフォン「………別に怯えてなど___」

 

ラング「じゃあ俺と契約しないでこのままここで消滅の時を待つんだ?………流石グリフォン様!自らの消滅の運命を悟るもそれをも受け入れられる強さは尊敬も尊敬に値します!」

 

グリフォン「……………………………………夢を壊すようで悪いが_____」

 

グリフォン「_それと、自分を客観視することと、お前は何度でも生き返る、ある種命が軽い存在だと言うことを今教えておく…」

 

ラング「…それでも死は死でしょう?簡単には死ねないよ、それに死なないよ?もう…(たぶん)」

 

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 とっくに忘れていた体育館の天井に潰された後に一時奇跡的に意識を取り戻した病院での様子(偽)と、死後の死の国での事を脈絡のない夢として思い出す…走馬灯の一種だろうか?

 

 グリフォン…彼女には自分を客観視する大切さと俺の命のある意味での軽さをあの世というか、死の国で教えられていたらしい…。

 

 俺は勇者の器ではないと三途の川の化身の霊龍とも龍神とも云われる存在に言われ、謎の光によって消失…したはず?それならばこの走馬灯は一体何だ?消失したならば走馬灯を見せるような脳も無くなってるような。

 

 それはそれとして俺に姉はいないぞ、夢だと認識できた今だからこそわかるのだけれども…。

 

 …………………………うーーーーーん、周りは黒一色、俺は一体どうなったのだろう、こんな事になるのならアウラウネの手荒すぎる忠告を聞いておくんだったな。でもまさか消えるなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**「…………………………………………………………………………」

 

 愛する日本に帰りたい…、でももうそれは叶わないのかな…とするならば前世の両親がいない、前世の両親と比べられることもないある種自由が効くこの世界で好き勝手やるのも一興…っていってももう死んでる疑惑。

 

 あーーー本当どうしよう、この黒一色の世界、これが…本当のあの世?

 

**「…………………………………………………………………………」

 

 あ、そうだ、グリフォンでも召喚しよう、死の化身を名乗るのならばこの状況もなんとかなったりして、てな訳で、グリフォン!!しょおおおおおおおうかんっ!!!

 

 …召喚門が出てくるような気配はない、詰みか。

 

 本当にこの黒一色があの世なら死んだらなーんにもないってことが分かってしまった…急激に虚無感に苛まれ、その一部にすらなりそうな謎の感覚に陥る。

 

 …いや待て、何も無くなるのならばこの思考している俺はなんなんだ???

 

 そう思い至った時、視界いっぱいに光が差し込んで………。

 

「いや、夜の暗闇が目に差し込んできた…」

 

 目の前の暗闇に目が慣れてくると、俺は今、恐らくはアプリ主人公アイリの使っている寮の部屋の中にいることが分かってきた。

 

「うーん?いつのまにかここまで運ばれたのだろうか?だとして一体誰が何の目的で…、っ!」

 

 と、その時、不意に向けた視線の先の、部屋の隅に佇むアイリと目が合う。

 

「う〜わっ!?め(見)っかっちゃった!?」

 

 誤魔化すかのように大袈裟にリアクションしてみると声は無いが、向こうも同じようなリアクション…、なんでやねん。

 

「………まさか、いや、まさかな〜………」

 

 俺の思う通りに動くアイリに何故だかアウラウネを重ねてしまい、なんとなくデジャヴュ。

 

「俺………アイリになってる???」

 

 目の前のアイリは、恐らくは姿見に写った自分自身だと思われる。…はっきり言ってこの事態は最悪である、最愛の推しを〝俺〟という異物…いや〝汚物〟が汚してしまった事実に、死にたくなってくる…。

 

 死んだら日本に戻れるのでは?という変な期待はもうどっかに飛んでいっているのと、アイリの身体なので本気で自分から死のうとは思えないが。

 

「うーーーん…声だけをあげたつもりだったんだけど、まさか魂が癒着するような事態になるとはね」

 

 今の現状をそう理解した俺は取り敢えずアイリから別離するために出来ることはないか考える。

 

「…この身を離れるには、原作のように死ぬ程のことが起きないといけないんじゃ?少なくともアプリのように時に課金までしてユウ(通称残機)が無限にリスポーンさせてくれる訳はないだろうから、リスポーン時に何かしら俺が動けば離れられるかな?」

 

 多分チャンスはあるはず…しかし死ぬような目にアイリにあって欲しくはない、だがこのままではアイリを汚し続ける…ぬあぁああ!!ジレンマだ!!どうしてこうなった!!?

 

 新スキル デュアルシフトを獲得しました。

 

 生えたスキルなどを告げる謎の声が復活!?…って、今更なんだよ!どういうスキルだっけ???てか誰の声???エルフ様はもう………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**「ァ゛ア゛……… 縲?蜿ェ莠コ縺ョ鬲や?ヲ菴墓腐?」

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