妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった 作:泡沫幻想黒衣の人
side ティア
…ふと気が付き、目を覚ますと、自分の周りには薄暗い空間が広がっている。そして上、横、下を見回し、今自分が何処かの屋敷の中にいることが分かった。何故こんなところにいるのか、記憶を遡ってみる…。
確か買い出しに出て、金待ち風の男性と話して、それから…だめだ、その後の記憶が禄にない。
記憶を弄くり回すのをやめると、もう一度、今度はよく目を凝らして暗い部屋の中を見回す。
すると棘が生えたさまざまな道具や武器があることが段々とわかってきた。拘束具や拘束着があることを考えると、ここは拷問部屋…に近い部屋なのだと思う。
…ということは、私はこれから惨い拷問に遭うのかもしれない…そんな暗い考えが頭を支配しようとして…、それを振り払うようにまず、私は起き上がろうとした。
「………っ!?」
そこで私は気がついた、拘束台に大の字で拘束されていることを。手枷、足枷、胴体にもベルトのようなものがあって、動けない。
アウシュビッツ「目が覚めたかね?本当はこんなのは趣味ではないんだが…」
そこにドアが開き、金持ち風の男性が部屋に入ってきた。
アウシュビッツ「旧家の地下にこの部屋が残っていてくれて良かったよ…さて、これから君には質問をするが正直に答えてくれ」
「は、はい…答えますから、拘束を解いてください」
アウシュビッツ「それはこちらの質問に答えてからだ、何故料理人として従事する君が毒薬を?」
「な、何故って…昔の上司に貰った物を特に意味も無く持っていただけです」
アウシュビッツ「………本当は誰かを殺す為に持っていたんじゃないのかね?」
「それは…っ!」
私はここでそれは絶対に違います…と答えられていたら良かった…けど、このところはずっと悪さをしていないアイツが次に本性を露わにする時に毒でも盛ったらいいんじゃないかと思って持ち続けていたものだったから、その問いへの答えに詰まってしまった。
……………それがいけなかったのか。
アウシュビッツ「…」
私を見る男性の瞳から光が消え失せた…。刹那鞭を持った機械人形が突如男性と私が乗っている拘束台の間に現れ、その鞭を私に向かって無造作に振り始めた…。
「い゛っっっっっ!!!!?」
突如襲い来る痛みに自分でもびっくりするくらいの叫び声が出る。
アウシュビッツ「私の娘を狙ったな?そうだな?」
何やら男性が呟く声も自分の声で聞こえない………。
「ん゛っっっっっ!!あ゛っっっっ!!!?」
鞭が振り下ろされるたびに、私の呻き声や叫び声が部屋に木霊する。でもここはさっき男性が言った通りなら地下で、この程度の叫び声ぐらいじゃあ、外には聞こえないだろう。
……………でも、それでも叫び続ければだれか、だれかが気付いて______
アウシュビッツ「残念だが、どれだけ声をあげようと、外に漏れることは無い。今この屋敷は私の固有スキルで収納…空間自体が他と隔離されているからな」
「そん、な………………じゃあもし、この拘束から逃れて、外に出ても、その先には………………」
アウシュビッツ「何もない、白い空間が只々広がっているのみだろう」
_____________アハっ。実際にその光景を見た訳じゃないけど、嘘かもしれないけど、助けは絶対に来ないことを言外に感じて、私の心は絶望感に満たされていく。
そして次はこれだと言わんばかりに、機械人形は回転する刃が付いたものを私に近づける。
アウシュビッツ「これは新製品だ」
「…わ、分かりました!誰を狙っていたのか言います!ラング、ラングっていう貴族崩れです!」
アウシュビッツ「ラング……………私も知っている。宣戦布告のようなもの*1をされたからな」
「そ、そうですか、…正直に話したんです、私を解放してくd_ギュィイイインぎぇゃ゛あ゛あぁああっっっっっ!!!!!」
掴みかけた希望をあざ笑うように、回転する刃は横薙ぎに振るわれ、私の服と鼻先が削られ、血が飛び散る。
アウシュビッツ「とは言え、罷り間違って娘が命の危機に晒されていたかもしれないと思うと、手を緩める事はできない」
そん____な。再度、回転する刃が私に近付く…。次の瞬間には股から切り裂かれていく自分を幻視して、瞳を閉じた。
暗闇の中でもその光景は消えない。
ぁあ…私は死ぬんだ、助けてよ…誰か。…その誰かの顔は浮かばなかった。強いて言うならグレーテルだろうけど、中身がラングである以上、私を助けには_____
「私が送った子達は元気ぃ?あら、かわいい子を切り刻むのに使うのね、いいじゃなーい?」
アウシュビッツ「開発者様…?何故鉄処女の中に?」
ホーシェフ「オラクル・ホクークシェクフ…ホーシェフでいいですよ?ククッ、楽しそうなことしてますねぇ?(ワタシの)メイド長候補ちゃん♪」
「な、なんで…(アルニマ国国王の)メイド長候補のことを…?」
アウシュビッツ「し、質問に答えられよ」
ホーシェフ「え?この中、気持ちいいわよ、刺々してて…」
アウシュビッツ「…」
私からは見えないけど、頭上で何やら液体が流れ出る音と、キツイ血の匂いが漂ってくる………頭上の女…の子???は、大量出血で死にかけていたり…する???
ホーシェフ「あ、心配しないでー、邪神様の依代である私の身体は普通じゃないから、すぐ再生するわー」
アウシュビッツ「邪神…貴女様は邪教徒なのか?」
ホーシェフ「邪教徒…あぁ、ワタシの崇高なるアートを理解する闇の者達のことね。いいえ、ワタシは教祖であり邪神様である…お分かり?」
アウシュビッツ「はぁ…私には分かりかねます」
ホーシェフ「そうでしょうね、凡人にはワタシの素晴らしさと………矮小さは理解出来ないでしょう。それよりもそろそろ………ね。そこの猫さんに助けが来て、それは新たなる地獄を招くでしょう………うふふふふふふふふふふふっ、あはっあはっあはははははははははっ!」
不気味な笑い声だけ残して、血だらけの黒髪少女は、血溜まりを残して部屋を出て行った………。
アウシュビッツ「私が固有スキルを解かない限り外に出れないでしょうに、大丈夫でしょうか…む?」
そう男性が言い終わった直後、近づいてくる新たな足音…。
ラング’ 「ここかぁっ!!」
…………………………ラン、グ???
アンバー「待てって、うぉっ!?タラ!見ちゃ駄目だ!」
タラ「うわぁあっ!?もももも、もう遅いって!!?」
と、誰ですか???
アンバー「ラング、てめぇ!!こんないたいけな少女を…!!」
「ち、違っ___」
ラング’「…いや、そうだな、丁度いいし、人質だ」
「な、何を!!?」
ラング’「黙っとけ、な?(アウシュビッツ何処ー?)」
アウシュビッツ「ふー、危ない危ない、どうやってか入って来たようだが、私自身を新たに作り出した異次元空間に収納してしまえば、見つかる事はあるまい」
ラング’「まぁ奴は、ここに入る時に使ったあれをまたやれば暴けるか………なっ!!」
タラ「何をっ!!?」
ラングがそう言うと、景色が急激に歪み、やがて破れて、何処に行っていたのか、さっきの男性が私達の間に現れた。
アンバー&タラ「っ!!?」
ラング’「第二王子所有の固有スキル…空間圧縮のスキル因子を自らに付与出来ていなかったら暴けなかった…」
この固有スキルというのは遺伝子によって発現するかどうかが決まる物…と考察したとき、だとすれば、少しでも因子が含まれるもの…例えば唾液、汗、髪の毛等に俺が少しでも触れればそこに含まれる因子を自身に付与して使える?と考えて…。
勿論それだけでは使えない、自らがその固有スキルを使っている姿をイメージしないと使えない…と更に考えた。今まで固有スキルが使えていたのはそういったプロセスを踏んでのことだったのだろう…そう当たりをつけて今回は使用してみた。使う前にイミテーションを噛まして。
この考察があっているかどうかは兎も角、空間圧縮…これはこういう空間に作用する能力に強そうだ…他の使い所としては一瞬で肉薄する必要がある敵に対して、彼我の距離を空間圧縮で縮めるとか、そういった使用法が考えられる。
ちなみにインターバルとしては1分(イミテーション噛ませると5分)なので続けて別の能力を使う事は難しい。
アウシュビッツ「な、何故?いや、それよりも、そこの獣人供、同族を助けに来たのか?」
アンバー「当たり前だ!」
ラング’「おいおい、双方手を出すのはやめとけ、ファイアボールぶつけんぞ!」
アウシュビッツ「ぐっ!!こやつ…手を離さんか!!」
ラング’「あんたは大人しく俺に捕まえられてろ!それと、それ以上近づくと撃つぞお前ら」ボシュゥウウウ
アンバー「ふんっ!そんなもん喰らうかっ!結構毛だらけ!」
タラ「猫灰だらけ!!」
ヂリィッッッ!!!!!
アウゼンバウワー「煩い音は…一度も入った事ないこの部屋から?一体何が………」
ホーシェフ「は、離して………」
ラング’「はッ!!?(なんで2人がここに!!?)やべ、粉塵b_____」
新たな入室者が2人現れたところで、眩いばかりの光と炎に拷問部屋が包まれる………。
アウシュビッツ「」
アウゼンバウワー「お、お父様ぁあああああっ!!!!!」
そんな中、彼女は見てしまっただろう。目の前で炭になっていく自らの父親の姿を………。
ティア「あ゛っっっっづいよ〜っ!!!」
こっちは裸だったから、剥き出しだった肌の火傷の程度がが心配…。それと…。
ラング’「ティアの服が…!!!」
ティア「んっ…ふくっ………」
うん…服、は、そうだけど、私自身への心配は…???あと、2人の獣人と女の子達の心配をしてあげ_______そこで私の意識は途切れた。