妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった   作:泡沫幻想黒衣の人

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 時系列としては冒険者登録の時。ラングは元奴隷達に学を修めてもらおうと思い、グラコス先生のもとを訪れていたようです。


48.5話 グラコスとラング

 地盤沈下など安全面を考慮すると通えないという結論に至った本校ではなく、隣の大陸の分校に通わせられる生徒の数が半分にも満たず、学校を運営する法人としてこれでいいのかなと一端にも考えてみたけど、詮なきことで…。

 

 そんな無駄なことを考えている暇があったら、通う生徒の名簿に目を通さなければ…。

 

 そこにはあの忌まわしきラングの名前とその元奴隷達の名前があり、当然ながら頭が痛くなってくる。このメンバーを同じ学校に通わせる…一体どんな頭をしていたらそんな考えになるのか、私はレイア校長を訝しんだ。

 

 レイア(本校)校長兼理事長兼えいま学校運営法人代表は正直言って前々から何を考えているのか分からない人ではあったけど、これは幾ら何でも一緒に通う元奴隷の方達が可哀想に思えてならない。

 

 早く寮でも何にでも入れてあげて、ラングは退学処分にすれば良いのに、それどころかヤツの身元引き受け人にまでなっている始末のレイア校長は、一度頭の中を医療人に診せた方がいいと思う。

 

 そんなことを私が言ったところで聞いてくれるかは分からない。多分聞かないと思う。

 

 それよりも…件の元奴隷達を学校に通わせるように嘆願書を出して来たこいつもこいつ。一体何を考えて…?

 

ラング「ふぅ…何やら考え事ですか?しかし僕は1度しか言いませんよ。グラコス先生、今から僕と模擬戦をしてくれませんか?」

 

「模擬戦?何故私があんたと」

 

ラング「ちょっと自分の実力を知りたくて」

 

「そう…」

 

 丁度良い、会う度に不埒な目線を送ってくる生徒共の腹いせにいたぶってストレス発散しようかな。一応生徒だから手加減はするけれども。

 

 そう思い、修練場へと向かった。

 

 修練場、分校には本校のような専用の設備などは無いものの、彼方より広い敷地と岩盤が剥き出しの硬すぎる地面がある。イミテーションでこれと同じ硬さを持つ身体になればラングのやつは手も足も出ないでしょう。

 

「イミテーション!」

 

 これでこちらの勝ちは決まった。

 

ラング「イミテーション」

 

 あ、ああら、そうだった、やつは何故か他の人の固有スキルも使えるんだった。突進した硬い身体同士がぶつかり、轟音を響かせ、地面を揺らす。

 

「くっ、厄介…」

 

 と思ったのも束の間、やつのイミテーションが解かれた。

 

ラング「やっぱりそれなりに持続させる術をちょっと考えないとかな…」

 

 やつの発言から分かったことがある。やつは他の人の固有スキルをほんの短い時間だけしか使えないらしい。それならばやはり私の勝ちは揺らがない、次の手で決着としましょう。

 

「隙だらけ!決めるわ!」

 

 といっても、単純に突進するだけ、それだけでもう勝てるだろうから、態々フェイントなどの複雑な動きを挟むつもりは無い。

 

ラング「………グリフォン、足だけ召喚、自分のと置き換え」

 

 ギィイイインッ!!!!

 

 嫌に耳障りな音を立てて鷲のような足となったラングのその足が私の突進を止めた。

 

ラング「こんな変則的な召喚の仕方もできると…なるほど」

 

 ラング、やつはフェンリルだけでなく聖女や勇者クラスでないと従えるのも難しい、何処にいるのかも分からなかったグリフォンと召喚獣契約を結んでいるというの…!!?!!?

 

「レイア校長がこいつの身元引き受け人になった狙いが分かったかも…」

 

ラング「はい?なんて?」

 

「独り言よ、気にしないで」

 

ラング「あ、はい」

 

「あと、降参した方がいいと…」

 

ラング「あ、それは全然します、降参(じゃないと怒ったグリフォンがグラコス先生を殺しかねない…彼女の鷲のような足からそれなりの怒気を感じる。こういう召喚の仕方はやめた方がよさそうだ…)」

 

「え?」

 

 グリフォンにビビってまるで自分が有利なように降参を勧めてみたらあっさり降参した彼の意図が分からない。自分から仕掛けておいてすぐ降参…私、何か舐められてる?そんな気がしてきたら、腹も立ってくるもの。

 

 だけど私は大人、努めて冷静に…。そしてこの展開に感謝しよう、流石に彼の召喚獣を相手にするのは命の危険が伴うかもしれないから。

 

ラング「じゃあ俺からのお願いをグラコス先生は聞き入れてくれてはくれなかったということで…」

 

「お願いもなにも、貴方の元奴隷達の通学はもう確定事項になってる、レイア先生によってね」

 

ラング「………それでは今回のは無駄足だったということになるか、ついてない」

 

「あと貴方も通学するように、でないと色んな勢力からつつかれるから」

 

ラング「何故?」

 

「っ………」

 

 こいつは…あんたが従えてる召喚獣が規格外すぎるから一応中立の立場をとれるうちの生徒としておかないと色々ちょっかい出されて大変なことになるってこと自分で分かってないの?本当に?こういう事情は言わないでおいた方がいいのかしら。それとも…。

 

ラング「通学せずともそれなりに学はありますし、自由気ままに過ごしたいのに…」

 

「そう…でも確定事項だから」

 

ラング「チッ………まぁ、それじゃあ『通学は』しますよ、それでは」

 

 舌打ちした…一体誰に対してのでしょう。私は心中でいいざまと言っておきますね。いいざま。




 この件があったために迎えがスムーズに来ました。
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