妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった   作:泡沫幻想黒衣の人

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49話 炎上する豪邸からの救出

 炎上する豪邸

 

 

 …焼かれていく、ティアが。ティアが焼け死ぬその前に豪邸を脱出し、その過程で見境無くありったけの魔法を放ったので豪邸は既に原型を留めていなかった。

 

 ちなみに魔法を放つには魔力操作がある程度出来ないといけないが、相変わらずラングに魔力操作スキルが生えないのは、付与の固有スキルによって魔力操作と同じことができるからで、そういうわけで魔法を扱うぶんには問題は無いのだ。

 

 収納の固有スキルによる結界が無くなったことをなんとなく感知しつつ外に出たが、抜け目なくティアを酷い目に合わせた犯人の遺体も確保していて、それを即座に血煙と化させ固有スキル因子として大量に口や皮膚から摂取。………普通に吐いた。だけど結構取り込んだ気がするからこれで収納の固有スキルも使えるようになることだろう。

 

「〜〜っ!?!?!?」

 

 犯人の娘はそれを見てまたも多大なる精神的ダメージを負っている様子。だがこれは俺が考えるに必要な事の気がするんだ、死体損壊罪ではあるだろうけれども…既に証拠は跡形も無くなったことでこの犯罪を立証することは不可能だろう。

 

 暴くのが不可能な罪といえば、ティアの他にも奴が犯した罪は数あれど、それはどれもそうなるように誘導していた…未必の故意というこの世界の法には無い概念で、裁けはしない罪だ。例えば獣人に恨みを持つゴロツキ共が獣人の孤児院を襲うようにその場所がそれとなくそのゴロツキ共に伝わるようにしたりね。

 

 そんな事をしている身なのに、外見では獣人差別主義者でありながらそれを周りに押し付けたり、政治に反映したりはしない人徳者で通っていたのだから恐ろしい設定だ。あ、いや、ここでは現実だった。

 

 しかしそんな人がこんな事をやったと世間に触れ回っても信じられずに終わりそうだなぁ。それよりも此度の事には全部ラングが関わっていたとすれば世間は飲み込みやすいだろうか。勿論彼の娘も。

 

 立派な父が獣人を拷問にかけたなど、彼女には中々酷な現実だから、それをラングがやったことにすればいい。その嘘をつくのに差し当たっての問題はティアだけど、まぁ…なんとかする。

 

「あ、あ、あうっ………」

 

 何やら訴えて来ているアウゼンバウワーを蹴り飛ばし道を開けると、倒れていたオー…なんとか。本名の発音難しいやつだから私も普通にオーシェフと呼ぶけど、そいつを具現させた剣で串刺しにして一緒に連れて行く。

 

 固有スキル超再生持ちだから心配はいらないと思うけど、アウシュビッツよりも良く焼かれているので治りが悪く見え、万が一を考えて串刺しにすることで超再生の効きが良くならないかと試していく。

 

 傷口はすぐ塞がる気配を見せ、その周りの皮膚の再生が徐々に早くなっていく。オーシェフの意識は戻らないまま、短時間で大部分が治っていく。流石超再生、自らも使ってみてみるも、目に見える傷以外治りはしなかった。

 

 1秒以下の時間しか使えないからなのかとも思ったけど、もしかしたらこのスキル獲得以前に負った、それも慢性的な傷(気胸)は治らないのかもしれない…。

 

 それはそうと、近場に駐屯所とかなかったかしら。無ければこのまま分校の方に行って治療をお願いする。ランプ内の病院の設備面に時間をかけていればこの場ですぐ治療に入れたのに、ロボット作りに夢中になってしまったが故に………。

 

 こんなこと考えている間にも命の灯火が消えてしまうかもしれない、急ぐためにフェリルを呼び出そうか。

 

 

 ・・・、

 

 

 保健室

 

 フェリルを返すとすぐに保健室へ。

 

「おい!緊急の患者達だ、受け入れろ」

 

女子「きゃーーー!!どうしてそんなことに!?」

 

「ティアは(アウシュビッツの)拷問に興が乗った結果だ」

 

女子「その子は!?明らかに殺しかけてるのは貴方でしょう!?」

 

「串刺しのこいつは…こうするしかなかったんだ、早く治療の準備を…」

 

女子「っ、いいから彼女達を離しなさい!!」

 

「っ!」

 

 治療をさせてくれる隙もなく叩き出された…解せぬ。それと暗闇で保健室にいた女子が誰だか分からなかった。多分医療人ではあろうが。

 


 

 

 side アイリ

 

 

 真夜中、保健室に運び込まれたのは火傷を負ったティアちゃんって子と知らない子。私の部屋は何かあったときの為といって保健室のすぐ隣に用意された。食堂まで距離がそれなりにあるけど、自炊能力があるからと簡素な台所備え付けの部屋だ。

 

 そして隣の保健室で何やら揉め事の気配…それから飛び出してきたのは印象に残りにくい顔をしている男。学校内に入れた辺り関係者か生徒なのは間違いないけど、一体何があったのかな。気にはなったけど凄く眠かったからそのまま寝てしまった。

 

 翌朝目が覚めるといつのまに、誰が用意したのか、トーストハムエッグと少しの葉野菜、ヒノモトに伝わるミソシルなるものが部屋の中心にある机に用意されていた。メイドとか、仕える人は頼んでいないはず。

 

 私自身そういうものに慣れていないのもあるけど、四六時中側に人がいるのはなんとなく落ち着かなくなりそうだからそういった人材の提供は断っている。じゃあ一体誰がということになるけど、お腹は確かに減っていたので気にせず食べた。…うん、美味しい。

 

 誰だか分からないけど、用意してくれた人に感謝して…

 

「ご馳走様!」

 

 食器は食堂に片付けてそのまま堂に入って魔法の練習でもしようかといったところでグラコス校長先生が入ってきた。

 

「あ…練習中悪いけど、全校集会開くから準備してくれる?」

 

「はい、分かりました」

 

 何の用で声をかけてきたんだろうと思ったら、全校集会だって。何かあったのかな?もしかして昨夜の保健室の騒ぎに関係していたりして。

 

 そして全校集会でグラコス校長先生が話された内容は凄惨なものだった。ティアちゃんという子がラングという元々悪評がある生徒に拷問されたというもの。さらにラングは有力者アウシュビッツ殺しの犯人だということ。その目撃者はアウゼンバウワーさん………彼女の心痛はどれほどのものだろう。

 

 今すぐにでも彼女の側に行って慰めたいところだけど、多分暫くそっとしておいた方がいいよね………。そしてラング’は見つけ次第生捕りにして、その後レイア先生の手で介錯………という話になったので、暇を作っては全力で彼を探してみようと思う。

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