妹にやらされていた乙女ゲー世界に転生したら序盤で死亡するクズ貴族だった 作:泡沫幻想黒衣の人
更に翌日(3人娘プール1日前)
和式便所から彼女らが出てこない…そう、ラミィ…と、クエスだ。
ラミィは分かる、こっちの世界に来てからというもの〝いつもの〟となってしまったアレのためだ。
しかしクエスは………???と首を傾げるラング。
本気で大変なことをして、大変な裂傷を彼女に与えたのをこの時ラングは忘れている。
更にいうと大腿骨骨折と、鎖骨にヒビが入っており、クエスの状態は素人目から見ても悪いのが分かる…のに医師を志したこともあるラングは、そのことに思い至りもしない。
その後はまだ傾げ続けていた首を戻し、補習の時間を待つ。
昼前
グラコス先生がやってきたので、廊下を歩いて玄関に向かおうとすると、廊下の所々に血痕、というか、血溜まりまである始末。
これは殺人を疑われかねない。
かつてのラングが王国スパイ末端のカナリを殺したのをノーカンとするかは置いといて…だ。
この血の量は結構ヤバいと分かる頭を持っているラングはその血が誰のものかすぐに突き止めようとする。
余った客間を部屋として使っているクエスの方に血の跡は続いている。
ラングとしては珍しくクエスを心配し、ドアを開けると、よく見えなかったものの、あられもない姿でお尻を何かしている様子だったので静かにドアを閉めて元の位置に戻る。
そうこうしていると、グラコス先生がやってきて血の跡を発見する。
が、アウラウネが輸血用の血を零したと言い訳を考えてくれて、事なきをえた。
最初だけ何か警戒するような雰囲気のグラコス先生だったが、ついでやってきたベントス先生を見て安心したのか、ラングの補習(主に点P問題)に向き合う。
一方のラングは、やっばい、なんで点Pなんかこの時点で習うんだよ!点Pぃ〜…点P動くんじゃなーーーいっ!!!とか思っていたり…。
そしてベントス先生はというと、ドアの裏からこっそりと様子を窺うアウラウネに視線が集中してしまっている。
いつぞやの(と言うほどでもないけど)ロルフとのことで、色気というものが上がったのか、彼の視線を惹きつけてしまったようだ。
更にラミィ………は、転がり込んできた女にとんでもなく怒っていたのにも関わらず、意外にも心配してクエスの様子を見ていた。
補習終了後
グラコス先生はクエス不在の訳をラングに尋ねる。
アレですよアレと濁すラング、実際アレ関連なのは間違いがなさそうなのでそう言う。
と…、
グラコス「何故知ってるんです………まさか覗いてるんですか?」
ジト目で見られてしまったので、慌ててかぶりを振り、医者志望だから(正確には挫折したので、だった)、外からの所見でもそういうことが分かることがあると彼女に伝える。
すると一応納得してくれたのか踵を返してベントス先生と共に帰っていく。
そんな2人の背中を見て、ラングはなんとなくお似合いだなぁと思ったり、クエスがいなければこの2人、くっつくんだよなぁなどと考えていた。
そして脇目もふらずクエスの部屋へと行くと、大層お冠な様子のラミィ…と思ったらそれは杞憂で、今にも泣き出しそうになりながら言葉を零す…
ラミィ「クエスが…、主人公が死んじゃうっ!!」
!?!?!?一体どうしたことかと部屋の奥を見遣ると出血が続いているのか真っ赤に染まるカーペットと横たわるクエスの姿。
それなりに深い傷だと、いくら回復魔法をかけても奥のダメージが引かずに、気づかぬ間に致死量のダメージを食らっていることがあるのは、モリエール邸倉庫等で色々漁ってた時に拾った本で知っている。
レイアとの戦闘(と竹槍等?)がそんなに深い傷を彼女に負わせていたのか…とラングは項垂れる。
そして次の瞬間にはエリクサーを取り出し…かけてやめた。
【エリクサー】は所にもよるが、オリハルコン貨幣並みの価値があるとんでもなく貴重なアイテムのためおいそれと使える代物ではないのだ。
では、どうするか?決まっている、傷を縫合でも何でもしなければいけない。
ラングはすぐにアウラウネとステラ、ラミィを自身で清潔にした地下室に召集する。
ここ別邸の地下室は丁度いい具合に手術室といった感じで、恐らくは死体安置所や、人体の解剖に使われていたのであろうことが見てとれた。
ラング(置いてあった古い白衣着用)「これより皇国、第2皇女(扱いの)、クエス嬢の手術を開始する、ラミィ、メスなんかは見つかったか?」
ラミィ(同上)「なーい、から食事用のナイフをそこら辺にいた(ベリアル工廠所属)技術者にメスにしてもらったよー!ピンとかもあるー!」
ステラ(エプロン着用)「これから何をなさるんです?しゅじゅつ???」
ラング「その年で手術も知らんのか、外科的な手法などにより…んあー(クエスの裸を直に見てしまい少々ショート)、まぁいい、早く始めないと本当に手遅れになる」
ステラ「手術…は、なんとなくですけど分かりました、魔水は…?」
魔水、それは魔術的手法によって作られた特別な水で、それに患部を浸すとたちどころに毒素などを抜くことができるというもの。
だがここにそんなものはなく、いわば消毒できるものがないのに手術をすることになるのは確かに危険…か…とラングは思い至るも…
ラミィ「雑菌?ウィルス?そんなの私がシューッ!!するよ!!」
そうだ、ここには心強い妹がいた!
と、安心して手術を始める。
切るところは胸部上方のみ(所見で恐らくは鎖骨の欠片の一部が肺に達し、刺さっている)
その後縫合…縫合用の糸や諸々はここに置いてあったもの(+いつぞやのリールの糸を回収しておいたもの)を使う。
縫合は肛門から直腸に続く酷い裂傷(多量の出血有り)に対しても行われる、それほど傷は酷いものだ。
摘出されるものがあるので、適宜受け皿を用意するようラミィとステラに指示する。
ステラは特に注意を向けておく必要がある、何せ反感を持っている人物だからと彼は思っていたが、ラングのことはともかく、クエスの命がかかっている場面で反抗するはずもなく…、
大人しく言うことを聞く構えを見せている。
そして3人による拙い手術は深夜まで続いた………。
・・・、
ラング「アウラウネが輸血用の血と管を持ってきてくれて助かった!荒い手術だったから血が出る出る…危ないところだったけど、明日以降様子見て、目覚めるようなら多分大丈夫だろう」
アウラウネ「奴隷市場を巡って死んだ奴隷共の血を分けてもらった、管はここにあったものを繋いで…なんとか…」
ラミィ「うわぁ、それ(死んた奴隷共の血云々)は聞きたくなかったかも…」
ステラ「それより、これどうしますか?」
と、ステラが指し示すのは受け皿の骨の欠片達と、直腸縫合時に邪魔だからと摘出したクエスの〝中身〟。
多分これを頑張って出そうとして大量出血に繋がったんじゃ…。
ラング「トイレにでも捨てておけ(寧ろ取っとく馬鹿が何処にいるんだろう?)」
翌々日
クエスにあてがわれた部屋
クエス「うーん………なんか貧血気味………?でもなんだか昨日、一昨日よりは調子が良いわ〜!普段の行いがいいからね、きっと♪」
元気そうなクエスの様子を見て胸を撫で下ろすラングなのであった。
色々と危なっかしい手術でした。
傷の縫合には結局跡が目立たないリールの糸を使用しました。
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