1.来た!ピンクの転生者
カツカツと食道に鳴り響く軽快な音。
モニュモニュと擬音が聞こえてきそうな程、食べ物をほお張るはピンクの髪が特徴的な少女。
ゴックンっと見た目に似合わない豪快な音を立てながら飲み込むその様を周囲の人々が見つめる。
机の隅に積まれた皿の塔がまた一枚と高くなる中、最後の大皿へと伸ばし食事を再開。
瞬く間に大皿にこれでもかと盛り付けられていた食材は彼の胃袋へと収まった。
純白のセーラ服に身を包む小さき者に向け周囲の人々が歓声を上げ、店員が恐れ戦く。
夜空の様な純粋な瞳を店員へと向け言葉を発する。
「追加でパンケーキといちごパフェとプリンアラモードをちょうだい♪」
口足らずの言葉で伝えられる注文。その言葉は水面の波紋の如く、店中へと染み渡る。
店員が伝えられた言葉を意味の理解、周囲の客が慄き笑みを引きつらせた。
「わ、わかりました」
力なく店員の声が呟かれるその頃、店の外ではオレンジ色をした一頭の蝶々が青空の中を舞う。
前の僕が今のぼくになったのは、なんてない日常からだった。
正月に一人寂しくカービィで遊び、お供に初売りで買ったお餅を食べて、喉を詰まらして呆気なく夜空の星となった。そんなトラックや通り魔よりも身近な原因。
遠退く意識の中で不思議な声が聞こえた。それが外からの声なのか幻聴なのかも分からず【生まれ変わる時、何を望むか?】の問いに答えていた。
「カービィみたいに強くて、優しくて、自由な人生」
きっとそれはさっきまでプレイしていたゲームの影響。でも力もなく、対人関係で失敗し、色々な物に追われる今の人生に嫌気があったから零れた本音だった。そんな些細な願いが叶ったのか【花咲カービィ】の名と星の戦士カービィの全ての能力を持った人間?として生まれ変わったんだ。
所謂、カービィの擬人化てきな存在がぼくだ。吸い込みも星形弾もコピー能力もコピーパレットもメタモル能力、数えたらきりがない程にたくさんの力。カービィみたいになりたいと思ったけど、無限の力が欲しいとは言ってないよ?
まぁ、そんなのはどうでもいいよね。
転生したぼくが暮らすのは学園都市【キヴォトス】。猫や犬が喋り、ロボットの住人が通勤ラッシュに巻き込まれ、前世の人間の女性に似た人達がいる場所。誰もが近代兵器を装備しているそんな世界。特に【ヘイロー】と呼ばれる天使のわっかみたいなのがある人達の中には不思議な力を使う子もいるんだよね。
様々な学園が前世の国の様な事をしていて、学校同士でバチバチやり合っている所もあるよ。そんな銃撃戦が途絶える事のない場所だけど、基本的にみんな戦えるから平和と言えば平和かな?
ちなみにぼくが通っているのは【トリニティ総合学園】。夢の中で出会った友達からのお願いで選んだの。いわゆるお嬢様学校なんだけど、自慢大会が色んな所で起きていてそれで疲れた友達がぼくを呼んだ感じ。ぼくにお嬢様要素は無いし、成績も常にギリギリだけど後悔はしてないかな。
花咲カービィについて
花咲カービィとは、ギヴォトスに