リズムよくステップを踏みながらトリニティへ登校中のぼく。今日もお日さんが顔を出しており、風が歌い、花が躍る。
え、なんでぼくが躍りながら登校しているか?そんなのそっちの方が楽しそうだから。もちろん、他の通行人の邪魔にならない様にしてるよ!なんか転生してから、いや一度死んだからこそ、今ごちゃごちゃ考えても仕方ないって思うようになったんだよね~
今日のお昼ご飯どうしようかな?前世の中学の時に使っていたのに似ている黒い手持ち鞄をクルクルとバトントワリングの要領で遊ばせながら考えてみる。
「おい!」
適当なグループに混ぜてもらってどっかに食べに行く?
「無視すんなよ!」
ゲヘナの方に行って売店で適当に買ってセイアと一緒に食べようかな?
「そこの銃を持ってないお前だよ」
あ、
「だぁぁっもう!」
「うわわ!?」
「無駄に撃たせやがってチビ」
ビックリした~~、後ろの方から足元に向かって撃たれたよ。後ろへ振り向くとマスクをしたセーラー服の少女がこっちを見ていた。その手に持つ銃からは白い煙が出ている事からあの人がぼくを撃ったんだね。
「事が大きくなる前に終わらせようや、トリニティのチビ」
撃たれる前に上空へと投げた鞄が落ちてくるのキャッチし首をかしげる。そんなぼくの姿にいい笑顔を浮かべながらこちらに近づいて来るセーラー服のお姉さん。距離が縮まると当然、身長の低いぼくはお姉さんを見上げる形となる。
「金出せよ、たんまり小遣い貰ってるんだろ?」
「小遣いない」
「嘘つけぇ!」
嘘じゃない。洞窟大作戦何回やったんだと思うぐらいの私財はあるけど、小遣いは貰ってない。そもそもカービィとしての親は見た事ない。家は何故かあったし、前世で読んだネット小説の世界に生えた系の転生者なんだろ。正直、そんなの興味ないけど。
「おらぁ!早くしろよ、痛い目見ないと分かんないか!!」
「なぁ、私達もちょっといいか?」
お姉さんが引き金に指を掛けたその時、路地裏の方から声が聞こえて来た。そちらの方に視線を向けると統一性のない服に身を包んだ数十人のグループがやって来る。先頭を歩く女性には左目を中心に縫った跡があり既視感を感じた。その正体が分からぬまま事の成り行きを見守る。
「な、なんだよ。先にこいつに目を付けたのは私だ!」
「そんなの知ったこっちゃねぇ。私達はこのピンクガキに御礼参りに来たんだよ」
どっかで見たお姉さんが指を鳴らすと何処からとも無くぼくに銃口を向けた人達がやって来る。年齢も種族もバラバラ。更には戦車やヘリの砲門も向けられた。
「ここに居る連中は皆、お前のせいでサツに捕まった連中さ。そん時の御礼、たっぷり受け取ってくれよな!」
あ、この既視感ある人あれじゃん、内臓売買してた小学生。あれから3年もたって彼女も中学生ぐらいかな?大きくなったな~っと、顔を青くして震える最初に絡んできたお姉さんを両腕持ち上げ弾丸の雨霰の中を進んでいく。
お姉さんを適当な所に隠すとすぐさま、包囲網の中へ戻る。あちこちで悲鳴を上げながら避難する人達に意識を向けながらビルの上から飛んで来たロケランの弾を吸い込み、口から星形弾として放つ。星形弾は真っすぐと何かを投げようとしていた子に命中。
「おっと!」
走っているとスナイパーに狙撃された。あ、あの盾を持っている猫耳の子は去年喧嘩した子だ。ん~、あの赤いドクロ服を着ている片目を隠した子は葉っぱ売ってた子で、あっちの機械のおっちゃんは人身売買してた社長さん?あ、超人の文字Tを着ていた子から詐欺働いていたキツネの獣人もいる!あ、あの片耳欠けている虚しいちゃんは巻き込まれたぽいね、後で遊びに誘お~っと♪
「こっちこっち」
スライディングで弾をばらまくタイプの銃を持つ子を気絶させると立ち上がりざまに吸い込み。口の中にたらふく弾をほお張ると後ろを向き、そのまま弾を吐き出す。後ろから来ていた弾とさっき吐き出した弾がぶつかり金属音を奏でるよ。ぶつからなかった弾をその場で回避。
空気を吸い込み頬を膨らませると宙へと浮かび、ホバリングでさっきから攻撃してきているヘリの元へ移動。風に飛ばされないようにしながらヘリに捕まり扉を…… 扉を…… 開けたかった。
「仕方ない、壊そう」
そうと決まれば、意識を体の内側に向けて今朝コピーパレットに収納した能力星を使う。え~っと、こっち!
コピー能力を発動するとぼくの身体に変化が現れる。ピンクの髪は黄色に変化、服はオレンジを基調に赤や白を入れたどこか日曜朝で見るようなヒラヒラとした動きやすい服装、頭に道化師の様な二又に分かれた派手な帽子を被り、手元に現れたのは魔法のステッキ。
「ビームカービィ!」
ヘリから手を放し堂々と名乗りとポーズを決めたよ。その流れで腕を大きく縦に回し、空中に静止したままステッキから電撃ビームを円状に放つんだ。
「レボリューションビーム!」
ムチの様にしなるビームを操り、ぼくを狙う銃弾を撃ち落としながらヘリの扉に穴を開ける。そのままぼくが入れる大きさまで広げると中へと突入!どう、結構使える能力でしょ。
「しまった!」
操縦席の方から声が聞こえて来たけどごめんね、直接相手をしている暇はないから壁に向けてビーム。操縦席からこっちに来ようとしてる子達に向けてもビーム、天井にもビーム、あっちにもそっちにとにかくビィィーーム!
「やばい!」
「パラシュート背負って脱出するぞ!」
「おぅ!」
操縦席の子達も脱出したし、ぼくも外に出よ~っと。
ぼくがヘリの外に飛び出した次の瞬間、大爆発。爆風に髪が揺れ、帽子は不思議と飛ばされない中、重力に引かれ落ちるヘリの破片に向けて【ビームマシンガン】。避難が終わって無いからね、地上に破片の流れ星をプレゼントしちゃいけない!
「あ……」
ヘリの破片を撃ち抜いた後、足元に視線を向けると戦車の砲身と目が遭った。あ~、これ完全に狙われてるよね。今から急降下落下しても間に合わないだろうしどうしよ?
回避できないならワンチャンに懸けて緊急回避を試みる。もしくは諦めて喰らって地上の敵は今日持ってきたもう一つの能力で…… やだ、もうちょっとビーム使いたい!___っあ、コピーしたままでもほおばりヘンケイが出来るなら、このままでも吸って吐くが出来るのじゃ?
よし、こ「カービィ目を瞑って!」ハァイ!!
風に流れて来た声に従い瞼を閉じる。その次の瞬間、何かがさく裂する音が鳴り響いたよ。
戦場の中へと駆けこんだ白銀の少女が投げた閃光弾が破裂し、戦車を操作する者達の手を狂わせた。その結果、カービィに向いていた砲身は明後日の方向を向き砲弾を発射。放たれた弾は誰にもあたる事無く役目を終えた。
突如として介入した第3者へ向け自身の得物を向け発砲するも、戦闘の余波で出来た瓦礫に身を潜め回避。銃撃が止んだタイミングでとび出した少女は自身の持つ銃で牽制しながら、瓦礫から瓦礫へ移動しカービィの元へと駆けていく。
「デカいの行くよ、はどうビィィィーム!」
一方のカービィは閃光弾の破裂音を聞いた次の瞬間には杖に力を溜めながら落下。地面に降り立つと共に戦車に向けて、自身の身長程はあるであろう大きな球体状の【はどうビーム】を発射。その一撃は偶然か狙ってか、先の閃光弾によって損傷していた部分に命中。車体が炎上し乗客員が慌てて脱出していく。
次々と迫りくる銃弾をムチの様に薙ぎ払う【ビームウィップ】で遊撃しては移動、近くの敵を【キャプチャービーム】で捉えれば高所から発砲してくる別の敵へと向け、身体にビームを放ちながら打ち上げる。
「っち!」
迫りくる仲間…… いやカービィを憎む同士の身体に舌打ちをしながら発砲する手を止めて移動。間に合わなかった者だけがその身体と共にビームを受ける事となる。
「矯正局から奪ったドローンを起動しろ!」
「__了解」
その実にあってないゆったりとした衣装に身を包むリーダー格の中学生が、右の猫耳が欠けている少女へ指示を出す。指示受けた少女はすぐさま遮蔽物の代わりにしていたアタッシュケースを開き、中に入っていたドローンを全て解き放つ。
異なるロゴがプリントされた3機のドローンがカービィに向けてそれぞれの武器を発砲。一方少女はの操作の片手間に背中に背負っていたもう一丁の武器に弾を込めて構えると、銃口をカービィ目掛けてはずらしていく。
「……っふ!」
顔を腕で覆い【連邦生徒会】のロゴが刻まれたドローンから放たれるマシンガンを防御すると、横へ一気に跳び【ヴァルキューレ警察学校】のロゴが刻まれてるドローンが発砲した弾丸を回避。矛先を失った弾丸がカービィの後ろにあった建物のシャッターを容易く貫いた。
今は無き【SRT特殊学園】のロゴが刻まれたドローンがカービィに向けて空爆を開始。頭上から迫りくる爆弾の嵐の中をノーストップで駆け抜けるが、その移動先を予測していた少女の神秘の力が込めらたグレード弾が発砲されていた。
「サイクルビーム!」
迫りくるグレードランチャーの一撃に対し、その場で急停止すると鞭の様にうなるビームをクルクルと回し盾の代わりとする事で直撃を回避した。それでも防げたのは正面の攻撃だけであり、防いだ後隙を狙いスナイパーが発砲。
「危ないっ!」
動けないカービィを白銀の少女が飛び掛かるように抱えて回避。そのまま体勢を立て直すと建物の中に身を隠す二人。
「助かったよスズミ」
先程からカービィに支援しているのは【守月スズミ】。灰色を基調としたその制服はトリニティ自警団の団員の証。彼女は意識を外に向けたまま会話を始める。
「どういたしまして。それにしても……」
「絶え間なく撃て!さすがのカービィでも、この数相手ならいつかは墜ちる!!」
「……随分と恨まれているみたいですね」
「だねぇ~~」
のんきに他人事のように返答するカービィ。そんな彼の姿に小さく微笑みを浮かべるとスズミは閃光弾を投擲。光と音が襲撃者達の動きを止める中、カービィ達は一気に駆け出す。
「まずは包囲網を突破、それからおそらく来ているであろう正実の部隊と合流して掃討。来ていなければ、襲撃者を引きつけながら二人で戦闘を続けるよ」
「分かった!」
閃光弾の効果が無かった者達をビームや銃弾で反撃しながら、二人は出来る限り走る事を止めずに包囲網の中を突っ切て行く。惜しむ事なく閃光弾を投げ続け道を確保する一方、味方意識の無い襲撃者達はひたすらにカービィ達へと銃口を向け引き金を引くのであった。
守月スズミについて
トリニティの