プププアーカイブ   作:火野ミライ

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5.意地はり合戦?

普段は人で賑わい、少しだけ思春期の女の子達による喧嘩が起きるトリニティ自治区の一角にて、あちこちの建物から火の手が上がり、火の光が黒煙に閉ざされる。その中心点では無数の影から狙われる二つの影あり。

 

四方八方から狙われ、絶え間なく襲い掛かる銃弾の嵐の中を最小限のダメージで押さえながら、道だった足場を駆けるのは【ビームカービィ】とスズミ。時々ブレーキをかけ頭上から襲い掛かってくる敵をそれぞれの得物で撃破しては、休む暇もなく走り出す。

 

「霧崎さん、戦車の強奪に向かっていた3番隊が間もなく合流。カービィを発見しだい発砲するとのこと」

 

「分かった。全軍に伝えろ、戦車隊を通しながらカービィを包囲網から出すな」

 

この襲撃の主犯。13歳の少女【霧崎ナナ】に伝えられた報告。それを聞きすぐさまこれからの指示を伝えると右手には紫を基調とした黄色ライン、左手には薄暗い緑色をしたサブマシンガンの銃口をそれぞれカービィに向けて引き金を引く。

 

「っく!思ったよりも守りが硬い」

 

仲間意識は無いが連携は出来る襲撃者の軍勢に苦言を零しながらも最後の閃光弾を投擲。光と音に怯んだ者達目掛け、カービィのスライディングが襲い掛かる。小さな身体から放たれた一撃は容易く襲撃者を数メートル吹き飛ばし気絶させた。

 

隣にいた少女が慌ててカービィに銃口を向ける物のしゃがんで回避、お返しと言わんばかりに【スーパービームウィップ】で周辺の瓦礫ごと吹き飛ばす。呻き声を上げる暇もなく、気絶した襲撃者の身体には電気を帯びていた。

 

そんな彼女の様子を気にも留めずカービィは再び駆け出す。両腕を頭の後ろの方へ上げる独特なフォームで走る彼にスナイパーが狙撃するも、右へ左へジグザク移動するカービィにはかすりもしない。小さな体を存分に生かし同年代では通る事すらできない瓦礫の合間を容易く駆け抜け、少しでも銃口から逃れようと藻掻くカービィ。

 

「カービィ! ………っく!」

 

そんな彼を心配しながらも自らに迫る襲撃者を凌ぐのが精一杯のスズミ。ギヴォトス人特有の身体の丈夫さから数発受けても痛いで済んではいるが、それでも数の暴力の前では雀の涙でしかなく、瓦礫の影に身を隠しながら応戦。隙を見ては包囲網の外を目掛けて駆ける。

 

「イテッ!」

 

スナイパーの狙撃を回避した先にドローンによる爆撃を受け吹き飛ばされたカービィ。口から零れた言葉と裏腹にかなりのダメージだったようでコピーがはがれ【ノーマル】へと戻り地面を転がる。そこにナナの銃口が火を噴く。

 

「うわわ!!」

 

咄嗟に顔を腕で覆い防御の態勢。絶え間なく襲い続ける2丁のサブマシンガンの銃弾を耐えきると懐から取り出したドリンクを一気に飲みながら駆け出してスズミへと抱き着く。その勢いで物陰に姿を隠しながらキスをし、口に含んだ液体を口移しで自分ごとスズミを回復させる。

 

「ちょ、ちょっとカービィ。それするなら事前にって…… この状況じゃ仕方ありませんか」

 

顔を赤くしながら文句を言いかけて飲み込むスズミ。その頬に出来ていた傷口は後も残らずに癒えていた。そんな彼女の姿も他所に視線を襲撃者達に向け、コピーパレットにしまったもう一つの能力を発動させようとしたその時、地面が揺れている事に気が付く。

 

自分達に向けて放たれた弾丸を吸い込み、星形弾を放つ中で周囲を見渡すカービィ。同じく周囲を警戒しながら誰かが落とした盾でスナイパーの狙撃を防ぐスズミ。背水の陣の二人に追い打ちと言わんばかりに襲撃者の援軍、何処からか盗み出した戦車部隊が到着した。

 

「ハハハ、勝った!」

 

「十年前の旧型とは言え、この数だ!流石のカービィも終わりよ」

 

自らの勝ちを確信したのか、笑い声を上げる一部の襲撃者。

 

「っく、銃弾の残りも僅か……」

 

苦言を零しながらも戦意は失ってないスズミ。戦車の砲台が僅かに熱を持ったのを視界に留めた次の瞬間、瓦礫の影から一気に駆けだす。それから間もなくして彼女が先程まで隠れていた瓦礫山は跡形もなく吹き飛んでいった。

 

爆風を背に受けうつ伏せ倒れ込むスズミ。一方のカービィは直撃を受けボールの様に地面を転がり壁にぶつかる。圧倒的戦力差の前、それでもカービィは膝を立て反撃の意志を見せた。そんな彼の姿にスズミもまた側に転がる自身の愛銃を握りしめ銃口を向ける。

 

そこに笑みを浮かべ名が近づく一人?のロボットが銃口を向け嫌味たらしく言葉を紡ぐ。

 

「もういい加減諦めちまグェ!」

 

「なんだ?!」

 

だがその言葉は最後まで語られる事が無かった。新たな乱入者により撃ち抜かれたからだ。その様を見ていたスナイパーがスコープを覗き乱入者を探す。額に汗を流しながら探す瞳が最後に見たのは自身に対物ライフルを向ける赤いラインの入った黒い制服の少女だった。

 

「目標エリアのスナイパーをすべて鎮圧完了、突撃隊どうぞ」

 

『了解。これより市民の保護、及び事態の鎮静化を図る。スナイパー部隊は援護を頼む』

 

簡潔なやり取りを終え再び銃を構える少女。地上では少女と同じ制服に身を包んだトリニティの【正義実現委員会】が各々の得物で襲撃者達を気絶させていく。

 

「運は私達に味方してくれたみたいですね」

 

「それじゃ僕達も反撃開始といこう!」

 

援軍の登場に乱れる襲撃者に向けて近くの瓦礫を吸い込んだカービィが星形弾を放つ。大きく吹き飛ばされる味方を唖然と見つめていた他の襲撃者達が正気を戻した時にはスズミの発砲した弾丸により意識を失う。

 

そうしてできた僅かな時間、懐から取り出した【M】の文字が刻まれた真っ赤なトマトを口にし、そのままスズミに【口移し】をする事で自身と彼女の傷を全快したカービィ。そのまま頭部にヘイローではなく天使の輪を浮かべ、純白の翼を背中から生やすと天高く飛び上がる。

 

「エンジェルカービィ!」

 

新たに発動したコピー能力により手にした弓の弦を引き、矢先がハートとなった矢を射る。その一連の様はまるで【ピンクの天使】だ。

 

「っち、今回はダメだな……」

 

その翼で空を自由自在に泳ぎながら矢を放ち続けるカービィを見上げながらナナは人知れず闇の中へまぎれた。そんな彼女の様子を知らぬ襲撃者達は目の前に迫る生徒や空から降り注ぐ矢に怯む事なく対抗する。

 


 

それから30分にも満たずに戦闘は終了した。戦火が残る道の中【エンジェル】を解除したカービィが地面に横たわる右耳が欠けた少女の元へと歩み寄る。

 

「__なんか用?」

 

威嚇するかのように低い声を出しカービィを睨みつける少女。そんな彼女に向け満面の笑みを浮かべながらが手を差し伸べ言葉を紡ぐ。

 

「どっか遊びに行こう♪」

 

「…………は?」

 

まるで喧嘩の後の仲直りをするかの如く…… いや、カービィにとっては本当に喧嘩だったのかもしれないが、先程まで殺し合いをしていた仲とは思えない程に穏やかな提案。そんな彼の様子に困惑する少女と周囲の人々。

 

そんな彼女らの様子を他所に少女を立ち上がらせると懐から取り出したのは今は懐かしい携帯電話。それも折りたためない初期の物を耳に当て何処かへ電話する。通話を終え携帯を懐をしまうのと同タイミングで黄色に輝く星がそばに落ちて来た。

 

「さささ、乗って!乗って!」

 

「ちょっと待ってカービィ!」

 

落ちてきた星型の乗り物【ワープスター】に少女の背中を押し無理やり乗せ、続けて自身が乗り込むとスズミの声も無視して雲の向こうへと飛翔していくのだった。

 

(なんでこんな事に……)

 

車が公道を走るぐらいには速度が出ているワープスターから振り落とされないようカービィ腰にしがみ付きながら急展開に混乱する少女。そんな彼女の様子に気が付かずにカービィはこの後の事を空想しながら鼻歌を歌う。

 


VS霧崎きりさきナナ

かつて(つみ)(おか)(つか)まった少女(しょうじょ)はその(ごう)(ふか)さから表舞台(おもてぶたい)()(のこ)(こと)なく、天命(てんめい)()きるその()まで(くら)()ざされた場所(ばしょ)()ごすはずだった。ギヴォトスの混乱(こんらん)(まぎ)れ、(ふたた)びお日様(ひさま)(した)へとやって()彼女(かのじょ)はカービィに(うら)みを()(もつ)(あつ)め、復讐行進(ふくしゅうこうしん)

(おさ)()因縁(いんねん)(ふたた)(あば)()す!

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