6.砂漠のラーメンと心の苦味
雲を切り裂き流れる星。独特な音を出し、左右に揺れながら青空の中を泳ぐのはカービィ達を乗せたワープスター。その上に立ち桃色の髪を風で揺らすカービィの腰に抱き着く様にしがみ付きながら、足で自身の武器(全て脱走時に奪った物)を飛ばない様に抑える少女。ワープスターの速度か、生身で高度を移動する事に対する恐怖か、瞳は閉じていた。
「ねぇねぇ、何食べる?」
「え?」
「キャンディ?ケーキ?アイス?オムライス?」
なんでもない様に無邪気な笑みを浮かべてカービィが問う。その言葉に少女は頭部の猫耳を伏せながら聞いている。
「……なんでも一緒、食べてしまえば変わらない。いくら並べられても虚しいだけ」
「___なら、ラーメンだぁぁああ~~~!!」
「きゃっ!」
目的地が決まったカービィの声を受け、ワープスターは加速する。少女に気を使い普段よりも大人しい軌道を描きながら空を切り裂き、主である彼の目的地、すなわち自分も行きたい場所に目掛けて。少女が怯えている事には気にも留めずに……
顔を襲う突風に混じる砂粒、なんとか目を開くとそこは砂に埋もれた町だった。
「ここはね~、アビドスっていう場所でね!おいしいラーメン屋さんがあるんだよ♪」
速度が落ちた星の上で辺りを見渡していると目の前に立つ子…………… たしか花咲と言う名の彼が優しい口調で語りかけて来くる。砂塵も気にせずに目を見開き進行方向を見つめる花咲の背中はどこか寂し気に感じた。
だけどその雰囲気はすぐに消えて私を倒した後に3人に分身し、踊っていた時と同じ笑みをこちらに向けてくる。
「学校をサボって友達とラーメンを食べに行く。コレってすごく青春している感じがしない?」
花咲の言葉に首をかしげながらドローンが入ったアタッシュケースを右足でまた元へ運ぶと、体制を変えながら彼の腰にしがみ付く力を僅かに弱める。いまだに体が吹き飛ばされそうな気がするけど、それでも先程間に比べたら大分ましだ。
そんな事を頭の片隅に思い浮かべながら私達が乗る星の高度が下がっていき、最終的に建物の扉の前で停止した。目的地に着いたらしくアタッシュケースを手に持ち花咲の後に続いて降りる。
「ここ柴関ラーメンは、ぼくがアビドスに来たら絶対に食べにくるくらいにオススメなんだよ」
まるで捨てられた雑誌を拾ってきたと自慢して来たあの子みたいに説明をしながらも、私より小さい背丈からは信じられない力に背中を押されながら建物の中へ。
「いらっしゃい!おぉ、カービィ、今日はお友達と一緒か」
「別に友達じゃ「うん!さっき喧嘩した友達だよ!」虚しい…」
年内に広がる独特な匂いを感じながら、店員らしき犬型の人物の言葉を否定しようとしたが花咲によって遮られた。こちらの様子を気にもしてない彼はそのまま席へと私を押しす。
「さぁ、何食べる?奢るから好きなのを好きなだけ選んでね」
「なんでもいい、食べたら全部一緒。味とか見た目とか変えても結局は栄養となって消える」
「分かった、お任せね。店長!!」
「あいよ ___仲直りの一杯ってところか?」
「う~~ん、なんとなく此処かなって。それで醤油ラーメン並と餃子を一つづつ!それから塩特・味噌の特盛を一つづつに醤油特盛二つ!!それにチャーハンと……………」
「_______」
次々と読み上げられるメニューの数々。私はこういう店に来るのは初めてだけど一つ確かに分かる事がある。花咲は食べきれずに苦しむ私の姿を嘲笑うるために連れてきたに違いない… 今も止まらぬ注文の声に血の気が引くのを感じながら目の前に出された透明の水を飲むのだった。
「____ごちそうさまでした」
最後に残った味噌のラーメンライスを食べ終えて、両手を合わせると食材に感謝の言葉を告げる。スプーンをお皿の上に乗せると両腕を上げて背伸び。
「___まじか……」
横の席では名前も知らない友達がぼくを見つめながらポカーンと口を広げている。そんな彼女に様子に首を傾げると、ため息を吐きながら話しかけて来た。
「いつもあんなに食べてるの?」
「うん、そうだよ」
「それでその体形って…… 羨ましいを超えてそう、虚しさを覚えるよ」
「なんで?」
「はぁ、なんでもない」
額に手を当て、ため息を吐く彼女。その様子に再び首を傾げていると新たな疑問を問いかけてくる。
「__花咲はなんで、私を連れて来たの?」
「前会った時は話す事も出来なかったでしょ? ……それに君が寂しそうにしてたから」
「そんな事ない!君の良く言う友達なんてものは所詮は都合が悪くなったり、最初から裏切る前提の空虚で虚しいものだ!!」
「そうかもね。だけどさ、それでもぼくは君と友達になりたいんだ。君が困っている時に助けてあげられる、そんな友達に!」
ぼくの言葉を聞くと彼女は苦しそうな表情を浮かべ、荷物を取ると乱暴に立ち上がり、乱雑に扉を開けてどこかへと去って行ってしまった。
「振られちまったな?」
そこに空になったコップに水を注ぎに来た柴犬店長が優しく言葉を紡ぐ。
「だねぇ~~」
満タンになったコップに手に取り喉を潤しながら、足をブラブラと揺らす。窓の外は誰の心情を表しているのか、いつ雨が降ってもおかしくない程に荒れ始めていた。
夢散る砂漠 アビドス
むか~し、むかし、ギヴォトスですごく