ゼイユの幼馴染は発明家 作:ゼイユ好き好き
「ねぇ、スイバ!私が起こしに来てるんだから起きなさい!」
「んぁ?……痛っ!?ちょっと待て、起きてる!起きてるから!」
散らかった部屋の中、赤いインナーヘアが特徴の少女がスイバと呼ばれた男を蹴り飛ばして起こした。少女はあいも変わらず散らかった部屋を見て大きくため息を吐く。
「相変わらず変な発明を続けてるの?」
「あぁ、これはいつか絶対役に立つんだ。ポケモンバトルが苦手な人が野生のポケモンに対抗する為の機械なんだからな」
ガラクタの山のようになった部屋で、しかし確信に満ちた表情でスイバは言う。
「……それで、成果は出たわけ?」
「あぁ、そうだった!これだよコレ!超音波発生機(仮)!未だ試作段階なんだけどな。特殊な音波を発生させて野生のポケモンを退散させる。ポケモンを連れていない時も、ポケモンを持っていない人もこれ一つあれば安心して自然の中を歩ける!」
「で、アンタが完成って言わないなら問題点があるんでしょ」
「……………動かすための電力がバカにならない」
「ダメじゃん!」
「だよなぁ」
スイバのため息に釣られて少女も同時にため息を吐く。
「それで、あんたの親はまだ帰ってこないの?お金はもらってても、一人じゃ……その、寂しいでしょ?」
「寂しくはないよ。こうやって好きなだけ色々作ってもまだまだ余るくらいのお金ももらってるし、別に帰ってこなくてもいい」
「あたしが起こさないと昼くらいまでずっと寝てるのに?」
「そうだね、言い直すよ。ゼイユが居るうちは大丈夫。いつもありがとう、ゼイユ」
スイバはにこやかに微笑んでゼイユへ感謝を告げる。
ゼイユは数秒間固まったかと思うと、後ろを向いて部屋のドアを開ける。
「……あっそ、今日もご飯作ってくれるんでしょ?下で待ってるから」
そう言ってドアを閉じて一階のリビングへ向かっていった。
──────────side:ゼイユ
スイバとあたしが今の関係になったのはいつ頃だっただろう?
彼の親が世界中を飛び回っているのは知っていた。
昔は月に一度くらい帰ってきていたから顔は知っている。
その影響で、スイバは昔から自分の口座に振り込まれたお金で自分で生活してた。
あたしがアイツと会ったのはまだお互い幼い頃で、拗ねて家を出たあたしを家に招いて食事を作ってくれた。
そこからは、狭い里だし二人で過ごすことも、スグも入れて三人で過ごすこともあった。
気がついたらアイツは
『ポケモンで人が傷つくことをなくす』
なんて夢を掲げて、いろいろな機械を作っては解体して、試行錯誤を繰り返すようになった。
そこから数ヶ月したとき、彼の両親が帰って来なくなった。
連絡もできたらしいし、口座にお金も入ってるらしい。
ただ、会いに来なくなった。
そこからアイツは様子がおかしくなった。
部屋は散らかりっぱなしだし、生活力も少し下がった気がする。
そんな彼を見捨てられなくて、ずっと世話してるあたしは、俗にいう悪い男にハマったって言えるのかもしれない。
でも、さっきみたいに時々見せる笑顔とか、自分の作ったものを楽しそうに話す仕草は昔のまま。
あたしが惚れた、アイツのままだった。
だからあたしは、いつかアイツと昔みたいに戻れることを夢見てる。
「……はぁ」
自分の馬鹿さ加減に溜め息が出る。
その時、真後ろから足音が聞こえた。
「どうしたの、ゼイユ?疲れているなら寝るといい。睡眠が一番だよ、無理はしちゃいけない」
どの面を下げて、無理はしちゃいけないなんて言ってるんだ。
口を突いて出そうになった言葉を押し留めて曖昧に頷く。
正直、今のコイツはきっと、家族が会いに来なくなって落ち込んでる。
『俺はきっと、見捨てられたんだ。期待外れだったんだ』
そう言っていた彼の言葉を聞いたからわかる。
彼の家系は彼以外がみんな、ある程度の実力を持つトレーナーだということからくる劣等感もあるだろう。
そうやって弱っているコイツにあたしがこの気持ちを伝えれば、きっとコイツは首を縦に振る。
でも、そんな事はしたくない。
早く元気になってよ、そしたらあたしはアンタに─────
読了ありがとうございました!
このシリーズは空き時間に書こうと思っているので不定期更新です。
よろしくお願いします