ゼイユの幼馴染は発明家 作:ゼイユ好き好き
「─────ということで、ここがあなたに用意した研究室です。よろしくお願いしますね」
諸説明の後、クラベル校長がスイバへと手を差し出すと、スイバは曖昧な笑みを浮かべ握手を交わす。
「こちらこそ、俺の考えを理解していただいて嬉しいです。よろしくお願いします」
スイバがオレンジアカデミーへと招かれた理由は主に二つ。
一つは彼が学生として学ぶべき年齢であること。
もう一つは、彼がインターネット上で書いていたポケモンの安全性と、それに関する彼の研究がこのオレンジアカデミーの理事長であるオモダカの目に留まったこと。
その二つの理由から、スイバはオレンジアカデミーの内で使われていなかった研究室に招待された。
そこから、スイバが本格的に自分の研究に取り組み始めて数日後のこと。
「あれ?新入生?」
研究にひと段落をつけてロビーの本を読んでいたスイバに背後から声がかかる。
「私、生徒会長のネモ!あなたは?」
「俺はスイバ。一応新入生だけど、メインがそっちじゃないから授業じゃあんま見かけないかもね。メインは研究者なんだ、よろしく」
スイバはネモと軽く握手した後、しばらく考え込む仕草をして、それから顔を上げる。
「噂に聞いたんだが、生徒会長はバトルがお好きなのかい?」
「大好き!」
「即答だね。じゃあ、少し研究室までご足労いただいて良いかな?バトル関係で少し作っているものがあってね」
「いいよ!何作ってるの?」
「見てのお楽しみさ」
そう言って、先ほどまでの落ち着いた様子から一転して楽しげに研究室まで案内するスイバに戸惑いつつも、それについて行くネモ。
スイバが研究室のドアを開けると、そこは様々な機械やパーツが無造作に置かれた部屋だった。
「え〜っと、これだよコレ!」
「何これ?銀色のモンスターボール?」
「扱いやすいようにそういうデザインにしたんだよ」
ネモに銀色のモンスターボールのようなデザインの機械を渡したスイバはその機械の解説を始める。
「使い方はポケモンバトルを始める前に真ん中のボタンを押して近くに置いとくだけ!効果は簡単に言えば流れ弾を消すって感じ」
「流れ弾?」
「そうそう、バトルやっててポケモンが避けた攻撃ってあるでしょ?あれを感知して、特殊な電磁波や音波で掻き消すんだ。これによってポケモンバトルの二次被害を無くすことが一番の目的。二番目は……少し個人的なものだ」
「二次被害をなくす……、音波とか詳しいところよくわからないけど、すごい研究してるんだね!」
「そうだとも!あ、何か不具合があったら俺に連絡してね?すぐ直すから」
「はーい!じゃあ、早速試してくる!」
そう言うと、ネモはバトルのアテがあるのか研究室の外へ飛び出して行った。
「あっ、連絡先……、行っちゃったかぁ。まぁでも、アレが成功だったら少なくとも一つはゼイユに胸張って報告できるかな?」
スイバは頭を掻きながら呟く。
そして集中力の糸が途切れたその時、スイバの腹の虫が大きく鳴る。
「…………あ、」
そこでスイバは、自らが二日と半日ほど何一つ口にしていないことに気がついた。
「あ〜、これは、まず──」
スイバの視界がグラリと揺れる。
足の感覚が薄くなり、立っていることすらままならない。
そこで、意識が途切れた。
読了ありがとうございます!
こうならないようにしてたのがゼイユだったわけですね。
それで良いのか本作主人公