異世界をロッカー達と共に。 作:本乃栞
『王様君見ってる〜?魔王だよぉ!いやぁ、最近噂で聞いたんだけど勇者召喚したらしいじゃん?いやぁ良いねぇ。それこそ私も復活した甲斐があるよと思ってたら、勇者様が我が城に来たんで歓迎しました〜!双剣の子と足が速かった子。いやぁ大変だったよ。足早いし双剣の子は……』
「何これ」
いやマジで何?何なのコレ。突然流されたビデオに対する率直な感想がそれだった。目の前で魔王を名乗る人物と横にはボロボロの二人がいる。確かこの二人は強いって言われてたよな。
「何って、アレですよ。
そうクラスメイトの情報屋から説明されるのだが、全く理解が追いつかないので少し情報を整理する事にする。
えーっとまず。
「何で君は此処にいるんだっけ」
「それは……暇なんで、城内彷徨いてなんか面白そうなモノ無いかなぁって思ってたら同級生がロッカーに話しかけて、それで済まずガチ謝罪してたんでオモシロ〜って思って話しかけました」
まぁそれは本当の事だな、成程。じゃあ次だ。
「このビデオレター王様宛なんだけど……何でお前が持ってるの?」
「ああ……そんな事ですか。うーんとそうですね、私のオンリーアイテムの力です。とだけ言っておきましょうか」
「この世界がどんな世界か、私達はまだ良く分かっていません。なら情報を多く持つ者が有利に立ち回れるんじゃないんですかね」
そうか、よく分かった。……そしたら何で、そのビデオレターを俺に見せた?
「答えは二つです。一つは、平等に。他のクラスメイトにも全員コレを見せているのに貴方だけ見せないのは不平等ですし、情報屋として失格かなと。二つ目は単にコレを見た貴方の感想を知りたかったんですよ」
さぁ!どう感じましたか?どう思いましたか?と息を切らしながら、彼女は近づいてくる。明らかに様子がおかしい。
恐怖を感じながら、彼女から逃げると置いてあったロッカーにぶつかった。
「痛え……」
勢い良くぶつかった痛みで、そのままそこで座っているとロッカーから声が聞こえる。
《おーい!聞こえますかー!!》
《私の声、聞こえますか⁉︎》
「え?」
声は後ろから聞こえる。振り返るとそこには、ロッカーが佇んでいるだけだった。
《あっどうも》
え?
《いや目が合ったじゃないですか。今貴方と目が合ったロッカーが他にいたんですか》
……いないけど。まずロッカーに顔が無いだろ。だから目も合わせるも何も無い。間違ったこと言ってないと思うんですけど。
《あんまり悠長に話してる時間は無いんですよ。ほらほら前見て下さい。ヤベー女が行く手を塞いでますよ》
そして背後もヤベー女?ロッカーが逃げ道を塞いでる。
前ヨーシ!後ろヨーシ!逃げ道ナーシ!終わりだよ、本当に。
そう絶望していると、ロッカーが励ましてくれた。
《大丈夫です、心配しなくても何とかなりますよ多分。って事で担当の者に変わりますね》
「担当?何、担当って!」
【取り敢えず、ロッカーから箒を一本取り出して頂けませんか?話はそこからです】
また新たな声が響く。が、今度はロッカー内だ。時間も無いし、急いでロッカー内の箒を手に取る。
「取った!で?どうすれば良い?」
【無限のロッカー基本的なチュートリアルを御教えします。ロッカーのリスポーンはハウスで可能です】
「それはもう少し早く教えて欲しかったなぁ……」
【それは実質、貴方の自業自得の様な気もしますが……。そうですね、ええっと無限のロッカーは文字通り、無限の使い道があります。その全てを私は知らないので、貴方はそれを自分で調べる事が必要です】
自動翻訳されてるこれ?突然違和感が湧いて出たんだけど。
「じゃあ分かってる事は?」
【ロッカーの中には無限が広がっている事。恐らく中に入ると、何処かへ飛ばされます。箱から人がいなくなるマジックを、タネ無しで出来る事と同じだと思われます】
あーマジシャンがやる奴か。それを使えば、正気じゃないあのパパラッチもどうにか出来そうだ。
「でもどうやって入らせるかだよな」
【正気じゃないことを利用すれば、多少おかしな事でも気にしないかもしれません】
そっか……よし!
「面白い記事〜!寄越しなさーい‼︎」
あの女がそう言って、スマホを掲げた。
「あーあの掃除用ロッカーの中には元々モップが入ってたんだけど、今見たらさ何が入ってたと思う?」
「……何が入ってたの?」
よし、意識をロッカーに向けた、このまま行こう。
「木の棒とフッサフサッの教頭のカツラだよ。白くて少しくすんでて、モップに擬態してたんだ」
勿論、そんな物無い。頼む騙されてくれ。
「ふふっ!あはははっ‼︎何それ。そんなのっ……」
クソッ駄目か。こんな小学生向け雑誌のギャグみたいな嘘じゃ騙されないか。女子高校生だもんな、そんなんでも一応。
「最高じゃないですか!」
そう言ってあっさりとロッカーへと入っていった。その後、彼女がどこへ飛ばされたのかは俺は知らない。
……少しすると空のロッカーだけが戻って来た。
俺は取り敢えず持っていた箒でその場を掃いて……。
「そう言えば何で喋ってるんですか?」
ナンデホウキシャベルノ?
【
そっか、そうか。俺は深く考えるのを辞めた。だってファンタジーなんだもの!ロッカーが喋るのもおかしいし。それもファンタジーだからね。アハハハハハ‼︎