俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】   作:無限正義頑駄無

10 / 33
3日ぶりの投稿です。
映画公開までにあと1回、できれば2回は更新したいですね。

今回の話はややギャグっぽくなってしまいましたが、登場人物はみんな大真面目です。


PHASE-10if それぞれの道

穴掘り作業を開始して約1週間。

俺はマリューさんたちアークエンジェルのクルーが居るところに顔を出していた。

 

「あら、アレックス君」

 

「お久しぶりです、ラミアス艦長。1週間ぶりくらいですかね」

 

「おっ、アレックスだ。なぁなぁ、モビルスーツで穴を掘ってるって聞いたけどマジなの?」

 

「あぁ、キラとフレイの3人でNジャマーの発掘中だよ」

 

ひと通りの挨拶を済ませたあと、俺の正体がアズラエルさんに最初からバレていたので偽名を名乗るのはもう辞める旨を伝える。

 

「という訳で、俺はアレックス・ディノからアスラン・ザラに戻ります」

 

「そうだったの...」

 

「まさか最初からバレていたとはな...」

 

「尋問とかされたのか?」

 

「いえ、今のところは特に無いですね」

 

そして一緒に聞いていたヘリオポリス組の反応は...。

 

「アレックス、いやアスランだったか。しばらく言い間違えそうだな〜」

 

「あの歌姫さまの婚約者なんだし、そりゃあ親が偉い立場の人なんだろうなって気はしてたよ」

 

「むしろ元民間人にしてはしっかりし過ぎだったわよね。自分たちという比較対象がいたから尚更ね...」

 

思いの外あっさりしたものだった。

 

「意外と反応が薄いんだな皆...。俺は皆を騙していたようなものなんだぞ...?」

 

「でもラミアス艦長たちには最初から正直に話していたんだろ?」

 

「親がプラントのタカ派筆頭というのは、そりゃあ隠したくなるよな...」

 

「あなたの肩書きを最初から知っていたら、変な色眼鏡でアスランのことを見ていたかもしれないしね...」

 

皆の中では納得の感情の方が強いらしい。

アレックス・ディノではなくアスラン・ザラとして受け入れられるのが、こんなに嬉しい気持ちになるとは思わなかった。

 

「......ありがとう。ヘリオポリスでキラだけじゃなく、皆と会えて本当に良かった」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

トールたちに正体を明かした翌日。

ついにこの日が来たと言うべきか、俺は尋問を受けることになった。

 

「(ザフトに入隊していない俺はプラントでは民間人だから『プラントの機密情報を話せ』と言われても何も知らないんだが、向こうはそれで納得してくれるだろうか...)」

 

しかし俺の予想に反して質問の内容はヘリオポリス入港以降、それも非戦闘時のものを中心としたものだった。

 

「(普通の尋問ってこういうものなのか...?)」

 

そのまま何事も無く解放された俺は首を(かし)げながら廊下を歩く。

すると反対側から、それぞれ手に紙の束を持ったキラとフレイが歩いて来た。

 

「あら、アスラン。ちょうど取材が終わったところかしら?」

 

「えっ、取材?今のが?」

 

やはりさっきのは尋問じゃなかったのか。

でも一体何のための取材だ?

 

「うふふ。わたしがアズラエルさんに提案した企画の一端よ」

 

俺の表情から聞きたいことを察したのか、フレイが自分の持つ紙束を俺に見せてくる。

 

「なになに...。ブルーコスモスが出資して制作するプロパガンダ用ドラマの企画...?」

 

「そうよ。地球軍の敵ってあくまでプラントのコーディネイターでしょ?

だから地球在住のコーディネイターを味方にするための企画をアズラエルさんに提案したの」

 

「なるほどな...。でもそれが何故俺の取材に繋がるんだ?」

 

「次のページを見てご覧なさい」

 

「っ、これは...!」

 

アスラン(プラントのお坊ちゃま)わたし(ブルーコスモスのお嬢様)のラブロマンス。それがドラマの内容よ」

 

「......本気か?」

 

「アスラン、わたしは考えたの。

あなたの頑張りを知れば、地球のナチュラルとコーディネイターはもっと歩み寄ることができるんじゃないかって。

コーディネイターのことが嫌いだったわたしが、あなたを好きになれたように」

 

「そういうことなら、協力しない訳にはいかないか...。

わかったよ、取材でも撮影でもやってやるさ」

 

「ありがとう、アスラン。

近い内にわたしたちの役を演じる俳優さんと顔合わせをする予定だから、日程が決まったら連絡するわね」

 

そう言って、俺とキラの前から去っていくフレイ。

あれ?

さらっと流したが告白されたのか、俺は...?

 

「それでキラ、お前が持っているのもドラマに関するものか?」

 

「違うよアスラン。フレイが乗るデュエルのOS、僕が作ったでしょ?それを見たアズラエルさんが『地球軍のモビルスーツに標準装備したい』って相談を持ち掛けてきたんだ」

 

そういえば原作でアークエンジェルがオーブに寄港した際、キラはM1アストレイ用にナチュラル向けのOSを作ったんだったな。

 

「OSを買い取りたい、ということか?」

 

「うん。あと、ライセンス契約を結びたいから特許を取って来いって」

 

キラが持っているのは特許申請に関する資料と、特許を取得した後の契約書類らしい。

どうやらアズラエルさんはコーディネイターが相手でも阿漕(あこぎ)な商売をするつもりは無いようだ。

アークエンジェルを匿う対価だったとはいえ、キラに事実上のタダ働きをさせたオーブとは対応が雲泥の差だな。

 

「それで、キラはどうするつもりなんだ?」

 

「受けるつもりなんだけど、駄目だった?」

 

「いや、技術というものは今は最先端だったとしてもいつかは追い付かれるものだからな。高い価値がある内に売るというのは賛成だ」

 

そういえばオーブは今頃どうなっているんだろうな...。

カガリは今もレジスタンスの一員なのだろうか...?

ストライクの戦闘データとキラのOSが無いからM1アストレイは鈍亀みたいな動きなんだろうな。

機動性重視の軽量ボディなのに...。

 

ちなみに、フレイの企画で生まれたドラマはスポンサー(ブルーコスモス)が金の出し惜しみをしなかったことも作用して、民衆から高い評価を得る出来映えだった。

結果的に地球軍へ志願するコーディネイターが増えたり、噂だとナチュラルとコーディネイターのカップルがあちこちで誕生したそうだ。

 

地球軍内では、俺とフレイは公式のカップルみたいな扱いになっている。

ニコルが俺の生存をどこまでの人物に知らせているかによるが、プラントでは今頃俺は死亡認定されてラクスとの婚約関係は消滅しているはず。

それなのに次にラクスと会う時が怖いと感じてしまうのは何故なんだろうな...?

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

地球でドラマの放送が始まってしばらく経った後のプラントにて。

アスランの生存を知っているラクスとクルーゼ隊の面々が、クライン邸にて件のドラマを視聴しようとしていた。

 

「アスランを題材にしたノンフィクションドラマと聞きましたわ。わたくしの知らないアスランが見れると思うと楽しみですわね」

 

「それにしてもクルーゼ隊長、よくそんなものを手に入れられましたね?」

 

「フフフ...。地球には(内通者としての)個人的なツテがあってね」

 

そう言って、記録媒体をセットするクルーゼ。

やがて再生が始まり、タイトルが映し出される。

 

女神の盾

GUNDAM

 

「女神の盾、イージス...?アスランが乗っているモビルスーツのことか?」

 

「GUNDAMというのは、モビルスーツのOSの頭文字ですね」

 

『この番組は、「青き清浄なる大地を育む企業」ブルーコスモスと、ご覧のスポンサーの提供でお送りします』

 

テレビで放送されたものを録画したものであるため、タイトルの後にスポンサーの一覧とコマーシャルが流れる。

 

「本当にブルーコスモスが出資しているのですわね...」

 

「無駄に凝ったロゴのせいで無性に腹が立つな...」

 

そして始まる本編。

友人に会うためにアレックス・ディノがヘリオポリスを訪ね、ザフトの襲撃に巻き込まれるところから物語が動き出す。

 

「多少の脚色はされているんだろうが、過去の俺たちの行いを見せつけられるのはなかなか堪えるな...」

 

「あの時の自分は何故これに疑問を抱かなかったんだ?明らかに軍事施設ではない建物を破壊していた味方も居たというのに...」

 

「当時指揮を執っていたのは私だ。責任は全て私にある」

 

「そういえばアスランの名乗っていた偽名が、この物語だと本名なのですね」

 

「アスランの正体はまだ地球軍にはバレてないのでしょうか...?」

 

そうしている内に物語は進み、アレックスはヒロインである少女との邂逅を果たす。

プラント評議会議員の息子とブルーコスモス幹部の令嬢。

仲良くなれる筈が無いと思われた2人だったが、転機が訪れる。

 

少女の父親の死をきっかけに、アレックスが頭を下げて少女に歩み寄る。

今までずっとそっぽを向いていた少女は、その時初めてアレックスを正面から見据える。

そして少女は気付いた。

アレックスが身体も心もどれほど傷だらけになりながら戦っていたのか。

そして少女は今までの自分を恥じて、アレックスに寄り添うことを決意する。

 

『もし貴方がお父様のことでわたしに負い目を感じているというのなら、罰を与えて差し上げますわ。これからも戦いなさい。戦い続けなさい。貴方が挫けそうになる度に、わたしが支えてあげますから』

 

そう言って少女がアレックスを抱き締めたところで本編が終了し、次回予告が始まる。

どうやら先程の回が最新話らしい。

 

「ラクス嬢、どうされました?」

 

記録媒体を回収しイザークたちに向き直ったクルーゼの目には、膨れっ面のラクスが映っていた。

 

「ノンフィクションを謳っておきながら、わたくし(アレックスの婚約者)の存在が影も形もありませんでしたわ...」

 

「(ラクス様ってこんな表情もするんだな...)」

 

「(婚約者にこんな顔をさせるなんて罪な男だな、アスラン...)」

 

「まぁまぁラクス様。仮に登場したとしてもアレックスとヒロインの恋路を邪魔する役割でしょうし、これで良かったのではないですか?」

 

ニコルの説得によって、やっと頬を萎ませるラクス。

 

「......そうですわね。

それにしてもアスランったら、わたくしの引き渡しが行われている裏でフレイさんとこんなに仲良くなるなんて...。

次に会った時には『お仕置き』が必要ですわね」

 

そう言って、うふふふふふと不気味に笑うラクス。

 

「(アスラン...。もし君の末路が痴情のもつれで刺されて死ぬなんてことになったら、私はどんな表情をすれば良いのかね...)」

 

そんな彼女を見て、そう思わずにはいられないクルーゼであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「ねえアスラン。このドラマにおける僕の立場の人物、男装女子なんだけど...」

 

「『コーディネイターというだけで迫害される危険があり、女性だと知られれば性的な暴力を振るわれる可能性があるため性別を偽っている』という設定らしいな。現実でも実際にありそうな話ではあるが...」

 

「そっかぁ...」

 

「キラ?」

 

「......」

 

「キラ、お前まさか本当に女性...」

 

「やめてよね、冗談でもそんなことを言うの」




フレイの企画が通った時点で、強化人間計画のフラグが消滅しています。

アズラエル「肉体改造やドーピングで無理矢理強い兵士を作るよりも、こちらの方がよっぽど健全でコストもリスクも低く済みますからね」

本作のキラにヒロインが居ないという声をよく聞きます。
キラ自身がヒロインになればその問題は解決しますね。(※あくまでドラマの話です)
下のアンケートも、本編には特に影響はありません。

本作のキラは...。

  • 普通のスーパーコーディネイター。
  • アスランが大好きな女の子。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。