俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】   作:無限正義頑駄無

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体調を崩してしまった...。
明日の仕事帰りに2回目のFREEDOM鑑賞に行く予定だったのですが、行けるといいな...。

今回は約6,000文字。
本作最多の文字数になりました。


PHASE-14if 愛の歌姫

『連合のモビルスーツ...!?やはりオーブは連合と手を組んで...!』

 

『ハッハッハッ、残念だったな!俺たちは地球連合軍じゃねぇ!』

 

『フフッ、僕たちは義勇兵...』

 

『お前たちザフトの蛮行から罪なき市民を守るため、立場や国境を越えて助けに来たのさ!

そらぁ滅殺!!』

 

ディアッカとニコルが見つめる先では、オーブの市街地を破壊しようとしていた友軍が連合のモビルスーツの迎撃を受けていた。

 

「ニコル、あれは...」

 

「連合が新たに開発したGAT-Xナンバー、でしょうね。まさかオーブで対面することになるとは...」

 

3機の新型G兵器はザフトのモビルスーツを相手にしながら、オーブ国民の避難や救助を行なっている。

 

「ディアッカ、ニコル!」

 

「イザーク!」

 

そこへイザークのディンが合流する。

 

「イザーク、どうしてここへ?」

 

「イージスの後継機らしき機体に遭遇した。乗っているのは恐らくアスランだろう」

 

「アスランが...」

 

間違った道へ進むプラントを正すため、裏切り者になることを選んだアスラン。

新たなプラント評議会議長に就任したアスランの父を含め、プラントの者たちはアスランの現状を知れば彼を非難するだろう。

しかし本当に非難されるべきは中立国を戦争に巻き込んだ自分たちなのではないか?

 

「僕たちも、ここが分水嶺なのかもしれません...」

 

「ニコル?」

 

「イザーク、ディアッカ。今の僕たちは街を破壊している彼らの『仲間』なんですよ?良いのですかこのままで?」

 

「それはそうだけどよ...。連合に投降でもするのか?」

 

ディアッカの脳裏に、パナマでの惨劇が蘇る。

 

『ナチュラルの捕虜なんかいるかよ!』

 

『アラスカで死んだ仲間の仇だ!』

 

『くたばれ下等生物どもが!』

 

グングニールによって敵の無力化とマスドライバーの破壊に成功した後。

帰艦しようとしていた彼らの目に映ったのは、味方が投降した敵兵を虐殺している光景だった。

 

確かにザフトが捕虜を取ったという話は聞いたことが無い。

しかしそれは撤退する敵兵を見逃しているが故だと思っていた。

しかし現実は違った。

敵兵を皆殺しにしているから捕虜になる者が存在しなかったのだ。

 

ディアッカたちは虐殺を止めようとした。

しかし相手の方が多数派な上に、戦場の至る所で虐殺が行われており止めようがない。

3人にできたのは、友軍にまだ見つかっていない敵兵をこっそり逃がすことだけだった。

 

「ザフトはパナマであんなことしでかしてしまったんだぜ?投降したところで拒否されて蜂の巣になっちまうのがオチだろ...」

 

「えぇ、寧ろそうなる可能性の方が高いでしょう。

でも、だからといってやらなければ可能性はゼロなんです。

プラントがこれ以上憎しみを広げる前に、賭けてみませんか?

アスランの信じる『正義』に...」

 

「......」

 

「......俺が先陣を切る」

 

「イザーク!?」

 

「この3人の中で捕虜としての価値が最も低いのは俺だ。

デュエルはとっくに取り返されてしまったからな。

俺が駄目でもお前たちは機体を手土産にすれば投降できるかもしれん」

 

「そんな、駄目ですイザーク!」

 

「そうだぜイザーク。やるなら3人一緒だ!」

 

「ニコル、ディアッカ...」

 

「さて、投降するなら早くしようぜ。味方がこれ以上過ちを積み重ねる前にさ」

 

「そうですね。

案内してください、イザーク。

アスランの居る場所へ...」

 

「......わかった」

 

こうして、イザーク・ディアッカ・ニコルの3人は地球に来て初めてアスランと対面するのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「アズラエル理事、どうされますか?」

 

「......」

 

ザフト軍の撃退がほぼ完了したところで、アスランから届いた通信。

デュエルの元パイロット及び、バスターとブリッツの投降。

それを認めてほしい、と。

 

流石のアズラエルもこれに対する即決はできなかった。

パナマでのザフト軍の振る舞いを考えれば、投降など拒否の一択だ。

しかし生き残った兵士からは、バスターやブリッツが自分たちを逃がしてくれたと証言を受けている。

彼らだけは例外として認めても良いかもしれない。

しかしそれでも、もう一声欲しいところだ。

 

「アスラン君、ちなみに彼らの名前は?」

 

アズラエルはアスランに敵パイロットの名前を訊ねる。

もしプラントの高官の関係者が1人でもいれば、交渉カードとしての価値が生まれるだろうと。

 

『イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、ニコル・アマルフィの3人です』

 

「ぶふっ!?」

 

それに対するアスランの答えに、思わず噴き出してしまうアズラエル。

よりにもよって3人とも、プラント評議会議員の親を持つ者たちであった。

アスランや彼の婚約者であるラクスを含め、次代を担う若者に愛想を尽かされ過ぎではないか?

滑稽を通り越して心配の感情が湧いてくるアズラエルであった。

 

何はともあれ、捕虜としての価値は十分にある者たちだ。

バスターとブリッツも返って来ることだし、最早断る理由は無い。

 

「良いでしょう、3人の投降を認めます。アークエンジェルまで連れて来てください」

 

『っ、ありがとうございます!』

 

その後。

アスランの乗るジャスティスはバスター・ブリッツ・ディンの3機を伴ってアークエンジェルに帰艦。

パイロットの3人は特に抵抗することなく拘束された。

ジャスティスが戦線から離脱したものの、フリーダムを始めとする6機のモビルスーツによってザフト軍は撤退に追い込まれる。

アズラエル率いる義勇軍は、オーブの防衛に成功したのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

戦闘が終了して、俺は改めてイザークたちと対面する。

今度はモビルスーツ越しではなく生身でだ。

 

「久しぶりだな。イザーク、ディアッカ、ニコル...」

 

「アスラン...」

 

「......」

 

「......とりあえず1発殴らせろ貴様ァ!」

 

いきなりイザークに殴り飛ばされる。

周囲の兵がイザークに銃を向けるが、それを制してイザークに向き合う。

 

「アスラン。お前の友人から死んだと聞かされた時、俺が一体どんな気持ちになったと思って...!」

 

「悪かったよ。でもアカデミーの頃のイザークは親の影響もあってガチガチの過激派だったろ?あれくらいしないといけないと思ったんだよ」

 

「フン。それに関しては認めねばならん。確かにあの頃の俺は何も見えていなかったからな」

 

そう言って、少し気まずそうに顔を背けるイザーク。

 

「本当はまだ殴り足りんのだが、ラクス様の分も残しておかねばならんからな。これで手打ちにしてやる」

 

「何、どういうことだイザーク?」

 

「アスラン、僕たちやラクス様はアスランの出演したドラマを見たのですよ。『女神の盾』をね」

 

「嘘だろニコル!?プラントに居ながらどうやって...!」

 

「俺たちの隊長、ラウ・ル・クルーゼっていう人なんだけどさ。その人が録画したドラマを持って来てくれたんだよね」

 

そしてそのままクルーゼを含めた5人でドラマの鑑賞会をしたらしい。

クルーゼってそんな人物だったか...?

全く想像できない...。

 

「ラクス様は次にお前と会った時、『お仕置き』をすると言っていたぞ。覚悟しておくんだな」

 

「......」

 

ラクスのお仕置き。

俺は一体どんな目に遭うのだろうか。

自業自得とはいえ、憂鬱な気分だ...。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

連合とオーブの間でマスドライバー貸与の契約が無事に締結された。

水と食料を積んだ貨物船が、今からオーブのマスドライバーで宇宙へ飛び立とうとしている。

俺はジャスティスと共に貨物船に乗り込み、アズラエルさんからの指示を思い出していた。

 

『アスラン君には貨物船が月面基地に到着するまでの護衛をお願いします。最低限の戦力を随伴させるのはオーブ側も了承していますしね。

そしてその間に僕たちはビクトリアのマスドライバーを奪還する予定です』

 

『月面基地への護送が終わったらプラントに向かってください。以前話したスパイなのですが、立場がそろそろ危ういようなので救出する必要があります』

 

どうやらクルーゼを助けて来い、ということらしい。

まさか本当にクルーゼが味方になるのか...?

 

月面基地への護送任務は宇宙海賊を1度撃退したくらいで特に何事も無く完了した。

俺は現在、ザフトのヤキン・ドゥーエ要塞の防衛網ギリギリの範囲にジャスティスを待機させている。

 

ここでクルーゼの脱走を援護しろとのことだが、彼はどんな手段で脱走するつもりだ?

ナスカ級(ヴェサリウス)か?

いや待てよ、確かこの時期にプラントで起きる出来事と言えば...!

 

そこまで思い至った時、プラントの軍事エリアで爆発が起きた。

カメラのズーム機能で確認すると、爆煙の中から紅い艦が姿を現す。

 

ジャスティスやフリーダムといった核動力モビルスーツの運用母艦として開発された、高速戦艦『エターナル』。

 

エターナルが現れたということは、ラクスも一緒なのだろう。

いくらエターナルが高速艦とはいえヤキンの索敵範囲の端から端を素通りできる筈も無く、ヤキンから多数のモビルスーツが出撃する。

 

『わたくしはラクス・クラインです。

願う未来の違いから、わたくしたちはザラ議長と敵対する者となってしまいました。

しかしわたくしたちは皆さんとの戦闘を望みません』

 

『どうか艦を行かせてください。

そして皆さんも今いちど、考えてみていただきたいのです。

ザフトとしてプラントとしてではなく、人としての「正義」を』

 

オープンチャンネルでラクスの呼び掛けが聞こえてくるが、ヤキンの防衛軍に止まる様子は無い。

援護に向かおうとした時、エターナルから1機のモビルスーツが出撃する。

しかしその機体は自前の武装が無いのか、最初のジンを格闘戦で倒すと突撃銃と重斬刀を奪って戦い始めた。

 

「こちらジャスティス、援護する!」

 

エターナルの元へ急行し、戦闘に参加する。

防衛軍のジンの頭部(メインカメラ)を破壊したりミサイルを撃ち落とすことで、エターナルは無事に安全圏へと離脱できた。

 

『助かりましたわ、アスラン』

 

「ラクス...」

 

『フフフ、感動の再会だな』

 

通信越しにラクスと対面していると、モビルスーツのパイロット......クルーゼが話しかけてきた。

この機体、もしかしてZGMF-X13A(プロヴィデンス)か?

 

あの特徴的なドラグーン・ユニットは背負っていないし、モビルスーツ本体もボディの約半分に装甲が付いておらずフレームが剥き出しだ。

こんな未完成という言葉ですら表現しきれないような状態で出撃していたのか...。

 

「貴方は...」

 

『私の名前はラウ・ル・クルーゼ。こうして君と会える日をずっと楽しみにしていたよ、アスラン・ザラ君』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「ザラ議長。エターナルの脱走を援護したモビルスーツですが、こちらになります」

 

「この姿、まさかジャスティスか!?連合め、盗んだ設計図で全く同じ機体を造ったというのか!」

 

「設計図が奪われた時期から逆算すると、Nジャマーキャンセラーは搭載していないと思われますが...」

 

「プロヴィデンスを奪われた以上、連合が核の力を手にするのは避けられん。かくなる上は...!」

 

「っ!議長、まさか『アレ』を使うおつもりで...!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

戦闘が終了しエターナルに着艦した俺は現在、艦長室でラクスと2人きりで向き合っている。

 

「ラクス...」

 

「アスラン...」

 

ラクスが俺に歩み寄る。

イザークから言われた『お仕置き』の4文字が頭をよぎりビンタでもされるのかと身構えたが、ラクスが行ったのは抱擁だった。

 

「心配、したのですよ...?」

 

「ラクス...?」

 

「ブルーコスモスの総本山に自分から飛び込んで行くなんて...。

あのドラマの裏でアスランが非人道的な扱いを受けているのではないかと不安でしたわ...」

 

「大丈夫だよラクス。ブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエルとはアスラン・ザラとして上司と部下の付き合いをしているさ。モビルスーツで穴掘り作業はさせられたけどな」

 

「そうですか、良かった...」

 

そう言うと、ラクスは抱き締める力を強める。

 

「あぁ、やっぱりですのね」

 

「ラクス?」

 

「プラントに戻って貴方の居ない日々を過ごし、こうして貴方と再会できたことでやっとわかりましたわ。

わたくしラクス・クラインは、アスラン・ザラを愛しているのだと。

大好きですわアスラン。

親同士の決めた婚約など関係なく、わたくしは貴方と添い遂げたい...!」

 

ラクスから愛の告白を受けてしまった。

彼女が胸の内にこれほどの情熱を秘めていたなんて...。

 

「すまないラクス。君にそこまで想われていたなんて、全く気付かなかった...」

 

「本当にひどいですわアスラン。ハロ(ピンクちゃん)を始めとして、あれだけわたくしの喜ぶことをしていながら異性として好かれてないと思うだなんて...」

 

「......ごめん」

 

「......いえ、これはわたくしにも非があります。

言葉にしないと伝わらない事なんて、世の中にはたくさんありますもの。

わたくしがもっと早く、それこそアークエンジェルに居る間にでもアスランに想いを伝えていれば...。

フレイさんではなくわたくしが貴方の心の隙間を埋めて差し上げられたのに...」

 

「ラクス...」

 

「わたくしたちは婚約者ではあっても恋人ではありません。

フレイさんについて、浮気だ何だと責めるつもりはありませんわ。

その代わりに聞かせてください。

アスランがわたくしとフレイさんのことを、それぞれどう思っているのかを...」

 

ラクスが様々な感情が入り混じった瞳で俺を見上げる。

それに対して俺は...。

 

「ラクス。君から『愛している』という言葉をもらえて、俺はとても嬉しい。

でもそれと同じくらい、親同士が決めただけの関係である君と深い仲になっている現状に困惑している自分がいる...」

 

何なら『アスラン・ザラを表向き死亡させる』と決めた時点で、彼女のフラグは折れると思っていた。

 

「......」

 

「フレイについては、あれからずっと俺の傍で支えてもらっている。

どんなに辛いことでも嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれるし、彼女の笑顔に癒されたことも1度や2度じゃない。

異性としての好意に近い感情を、俺は彼女に抱いているんだろう...」

 

「......」

 

「すまないラクス。君の婚約者は優柔不断で不誠実な男だ...」

 

「......安心しましたわ」

 

「...え?」

 

「アスランの中で、フレイさんに対する想いがまだ『愛』には至っていない。

今からでもわたくしに勝ち目はある。

それがわかっただけでも十分ですわ」

 

「ラクス...」

 

「アスラン。貴方は自分のことを不誠実だと仰りましたが、わたくしはそうは思いません。

誠実だからこそ、わたくしとフレイさんの両方に真摯に向き合おうとしている。

婚約者として誇らしいですわ」

 

「以前会った時はただのか弱い歌姫だったのに、随分強くなったんだな...」

 

「もちろんですわ。

か弱い歌姫のままだと、貴方の心を射止めることなどできはしないのですから」




本作エターナルのクルーはアデスを始めとした、ヴェサリウスやガモフの搭乗員たちです。
バルトフェルドさんは今頃アイシャさんと地球でコーヒータイムなので。

エターナルのついでにプロヴィデンス(完成度30〜40%)も強奪しました。
未完成だからこそ警備が緩くなっていました。
本文にある通り武装が無いので核動力以外の特徴はありません。

次回、アスラン&クルーゼとラクス&フレイの対話会です。
今までで1番時間がかかりそう...。
恐らく2〜3日での投稿はできないと思いますが気長に待っていてください。
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