俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】 作:無限正義頑駄無
ちなみに前回の話を投稿した夜に、
「たった1話で低評価が4件もついたことで心が折れ、泣きながら本作を削除する」
という夢を見ました。
夢で良かったぁ......。
「俺の名前はアスラン・ザラ。プラント国防委員長パトリック・ザラの息子です」
「なんですって!?」
驚きのあまり、構えていた銃を下ろしてしまうマリューさん。
敵勢力のお偉いさんの息子が現れたのだから、無理もない。
「アスラン、どうしてヘリオポリスに?」
「久しぶりにキラに会いたくなったんだ。サプライズのつもりで事前連絡をしなかったんだが、こうなることならしておけば良かったな」
「アスランはザフトじゃないの?」
「あぁ。ザフト兵を養成するアカデミーには入っていたが、ザフト軍に入隊はしていない。俺は
「ふたりは知り合いなのかしら?」
「はい、俺はキラの友人です。さっきも言った通り、ヘリオポリスに居る理由はキラに会うためです。
あと今更ですがうちの祖国が申し訳ありません。こんな事を...」
俺はマリューさんに頭を下げる。
数時間前まで平和だったコロニーは、各所から火や煙が上がっており地獄絵図と化していた。
「......いえ、あなたが民間人だというのならその謝罪をする必要は無いわ。機密情報であるイージスに触れた以上、このまま帰すわけにはいかないけど」
「ありがとうございます。それで構いません」
むしろこのままイージスに乗せて欲しいんですよね、こちらとしては。
「それで、どうしてわたしたちだけで話がしたかったの?」
「はい、俺の素性が貴女みたいな軍人に知られるのは仕方ありません。
ですが、彼らのような民間人には知られたくないのです。
彼らの中でプラントやザフト、コーディネイターに対する印象が悪くなっているでしょうから」
「そうね。あまり考えたくはないけど、あなたが国防委員長の息子だと知ったら私刑に遭う可能性もあるわ」
「えぇ。ですから、一緒に行動するにあたって俺に偽名を名乗らせてほしいんです」
☆★☆★☆
「アレックス君、そのコンテナにはイージスのビームライフルが入っているわ」
「わかりました」
俺が名乗る偽名は原作アスランがDestinyでオーブに居た時と同じものにした。
アレックス・ディノとしてトールやミリアリアたちに自己紹介したあと、俺たちは手分けしてイージスとストライクの装備や予備パーツの回収作業を始めた。
マリューさんは今、俺と一緒にイージスのコックピットに乗っている。
俺に銃を突きつけながら。
「......何も言わないのね」
「まあ、状況的に俺のことをスパイだと疑う気持ちもわからなくはないですからね」
「ごめんなさい。あなたが本当に民間人なら、わたしは軍人失格だわ」
「気にすることは無いと思いますよ?そんなことより俺はキラの方が心配です」
「どういうこと?」
「さっきも言いましたが俺はザフトのアカデミーには通っていました。なのでモビルスーツに搭乗したのは今日が初めてではありません。
モビルスーツがどれだけ簡単に人を殺したり物を壊したりできる危険な代物か、自分は理解しているつもりです。
しかしキラはモビルスーツを目にすることすら恐らく今日が初めてなんです」
「......」
「あのストライクという機体、追加装備によって戦闘スタイルが変わるのでしょう?もしキラが火力重視の装備を着けてコロニー内で使用してしまったら...」
「っ、しまった!あの場所の近くにあるパックは...!」
マリューさんがそう言った瞬間、ラウ・ル・クルーゼのシグーとそれを追いかけるようにムウさんのメビウス・ゼロがコロニー内に入ってきた。
マズい!
いつの間にかストライクから離れすぎている!
間に合うか!?
通信をストライクへと繋ぐ。
「キラ、聞こえるか!ザフトのモビルスーツがまたコロニーに入って来た!」
『アs...アレックス!? 大丈夫、トールたちが持って来てくれた武装を今取り付けたところなんだ!遠距離攻撃ができるものらしい。これなら!』
「っ!キラ、駄目だ!」
『えっ......』
バシュゥゥゥゥゥッ!
地上から赤い光が放たれてシグーの片腕を破壊し、勢いそのままにコロニーの外壁へ直撃する。
止められなかったか...。
「ラミアスさん、あの光は...」
「ランチャーストライカーの主砲『アグニ』よ。あぁ、なんてこと。わたしがキラ君にもっとちゃんと説明しておけば...」
損傷したシグーは撤退していく。
しかし...。
「あんなヤバい威力の武器を見せてしまった以上、ザフトはまた襲って来ますよ。向こうとしても、ストライクを鹵獲もしくは破壊しないと安心できないでしょうから」
「......そうね。とにかく今は回収したパーツを持ってアークエンジェルへ向かいましょう」
☆★☆★☆
強奪を免れた2機のモビルスーツを収容した艦内では、軍人たちによる会議が行われていた。
「では、フラガ大尉にはストライクを動かせないと?」
「あぁ。あのキラって少年が書き換えたOSを見たが、ありゃあ高性能過ぎて俺には乗りこなせないな」
「ならば、イージスはどうなのです?」
「あっちはほとんど弄られてなかったから大丈夫だ。だがザフトは次の攻撃に本腰を入れてくるんだろう?Gが1機だけじゃあキツいと思うぞ?」
「となると、やはりヤマト少年を説得してもう1度ストライクに乗ってもらうしかないのでしょう」
「軍人としては気が進まないけれど、それしか無いわね...」
そして議題はアスランの処遇へと移る。
「国防委員長の息子ねぇ...」
「ラミアス大尉、彼がスパイだという可能性は?」
「さっきまでは疑っていたけど、今思い返すと違うと言えるわ。最初にイージスを持ち逃げするだけでもスパイの戦果としては十分だろうし、わたしとキラ君が1度ストライクから降りた時も特にアクションを起こしたりはしなかったもの」
「......わかりました。ですが彼を民間人として保護するとして、どう扱うのです?」
「敵勢力の要人の親族だからなぁ。他の民間人と同じ場所ってのは危ないんじゃないか?」
「ではクルー用の個室で過ごしてもらうというのはどうでしょうか」
そのまま会議は終了し、それぞれが戦闘の準備に取り掛かった。
☆★☆★☆
「では、この部屋で大人しくしていてくれ」
「わかりました」
アークエンジェルの個室に案内され、そこで待機を命じられた。
ベッドの上に寝転がって天井を眺める。
今頃外ではキラのストライクとムウさんのイージスがザフトと戦っているのだろう。
「俺はどうすれば良かったんだろうな...」
本当は今すぐ軍に志願して、キラを守れる位置に立ちたかった。
だがあまりにも前のめりな姿勢だと、俺のスパイ疑惑が晴れるどころか濃厚になってしまうかもしれない。
今の俺にできることは、ムウさんがイージスに乗って戦うことでヘリオポリスが崩壊を免れることを祈るだけだった。
しかしそんな願いとは裏腹に爆発音と何かが崩れる音が聞こえてきた。
俺は居ても立ってもいられず、部屋の外に飛び出して見張りの兵士に呼び止められる。
「あっキミ!外に出ちゃ駄目だと言っただろう!」
「すみません!でも今の音は一体何ですか!?」
「ザフトだよ!アイツらコロニーに拠点爆撃装備なんてものを持ち込みやがって...!」
ズンッ!
「うわぁっ!?」
再び襲ってきた衝撃に耐えられずバランスを崩してしまい、床に頭をぶつけた痛みと共に俺の意識は闇に飲まれていった。
という訳でヘリオポリス崩壊と共に第2話終了です。
今回はイージスをムウさんに譲りましたが、次回からはまたアスランを乗せたいと思います。
応援よろしくお願いします。