俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】 作:無限正義頑駄無
原作ではキラがエルから花を貰ったのは第8艦隊と合流した後でしたが、本作ではそのイベントが前倒しで発生しています。
あと本作における原作時空の劇場版後のコンパスや世界情勢については以下の独自設定となっております。
・キラの領域侵犯について
ファウンデーションの裏工作が原因としています。ジャミングが発生していたのは事実ですし、ユーラシアも核ミサイル発射の責任を取りたくないのでコンパスに話を合わせました。
・アコードについて
彼らが自称していただけでそんなものは実在しない、という扱いになっています。だって彼らは自分たちがコーディネイターに比べて具体的にどう優れているかを一言も語りませんでしたし。
6番目のチャプターが始まる。
アスランとサイがフレイについての話し合いをしてから少し後。
アスランはキラと一緒に食堂で休憩をしていた。
『あっ、パイロットのお兄ちゃんたちだ!』
そこへ、ヘリオポリスの避難民の少女・エルが近寄って来る。
『君は...?』
『ふふん、これ!』
キラに対して、紙で作られた花を差し出すエル。
『わたしたちを守ってくれて、ありがとう!』
『っ!......どういたしまして。嬉しいものをありがとう』
エルが食堂から出て行くのを見送った後、キラの目から自然と涙が溢れ出す。
そんなキラを、アスランは肩に手を置いて励ます。
『キラ、俺たちが人殺しになってしまったのは事実だ。だけど、それでも守れたものはあるんだ。その花が立派な証だ。胸を張れキラ、お前の両親に会う機会があれば一緒に報告しよう』
『うん......うん......!』
ラクスたちはスクリーンの向こうで涙ぐむキラを静かに見つめる。
「なんか......いいですね、こういうの」
「えぇ、そうね」
「残りの映像がこういうエピソードばかりだと良いんだがな...」
そして第8艦隊と合流する直前。
アークエンジェルに迫り来るデュエル、バスター、ブリッツの3機。
アスランが考案した作戦を軸に、戦闘が開始される。
バスターをストライクが、ブリッツをメビウス・ゼロが足止めしている間に、モビルアーマー形態でデュエルを捕獲するイージス。
デュエルは拘束されたままアークエンジェルの近くに運ばれると、ひたすら実体弾を叩き込まれる。
「PS装甲をダウンさせて無力化・鹵獲する作戦か(イザークのやつ大丈夫かコレ...?)」
「装甲が傷付かないからといって、衝撃まで無効になる訳じゃないでしょ?コックピットの中、大変なことになっていると思うのだけど...」
「というか装甲がダウンしてからアークエンジェルが攻撃を止めるまでにタイムラグがあったら普通に死ぬだろコレ」
「流石にそうなったらイージスが庇うと思うが...」
「どっちにしろえげつない作戦を考えるわね...」
上から順にアスラン、ルナマリア、シン、カガリ、アグネスの台詞である。
そしてPS装甲がダウンしたデュエルはアークエンジェルに収容され、バスターとブリッツが撤退したことにより戦闘は終了した。
現在は捕虜となったイザークがキラと会話をしている。
『アスランは僕の友達です。あの日、アスランは僕に会うためにヘリオポリスを訪ねていたんです』
『......アスランは今どうしている?』
『(本当はこんなひどいことはしたくない。でも、この人と同じ考えがザフト内で蔓延していたら......もっとひどいことが起きてしまうかもしれない。アスランに頼まれた通りにやらなきゃ...!)』
『死にましたよ。ザフトの攻撃から僕を庇ってね』
そう言ってキラは、アスランの血が付着した市民IDをイザークに投げ渡す。
『そんな、こんなことが...』
『あなたたちのせいで、アスランは死んだんです。そして僕はアスランの敵討ちのために地球軍に入りました。イージスのパイロットも似たような理由です。ご理解いただけましたか?』
『......』
『アスランの大事な形見ですけど、それは差し上げます。
国防委員長をやっているという、アスランの父親に渡しておいてください。
それを受け取った時、アスランの父親がどんな表情をするのか見れないのが残念ですが』
キラが営倉を退室すると共に、チャプターが終了する。
「向こうの俺はキラになんてことをやらせているんだ!?」
「でもよく考えたらかなり効果的な策じゃありませんか?」
「まあ、国防委員長の息子が自分たちのせいで死んだとなれば士気はガタ落ちするわな」
「あの表情を見ると流石にジュール中佐には同情しちゃいますけどね...」
「実際は嘘な訳だしな...」
アスラン、メイリン、ムウ、ルナマリア、カガリがそれぞれのコメントを発する。
そして始まる7番目のチャプター。
『アレックス、どうだった?』
『100点中120点。良い演技だったぞキラ』
『ありがとう。でもあんな役はもう勘弁かな...』
『キラ、お前はそれで良い。お前のその優しさを守るために、俺はここに居るんだ』
『うん...』
キラの頭を撫でるアスラン。
エルから紙の花を貰った時と同じく心温まる光景だが、イザークとのやり取りからあまり時間が経っていないこともあって皆は素直に喜べないでいた。
『(イザークをザフトに返した時点で、《アスラン・ザラ》は死んだ人間となる。ラクスとの婚約関係も終わってしまうのか...)』
「あらあら、あちらのアスランは随分と心外なことを仰りますのね。本当は生きていると知っている以上、『ラクス・クライン』がこの程度のことで諦める筈がないというのに...」
不敵な笑みを浮かべるラクスだが、それも次の場面までであった。
『どうしようかしら?あなたがご機嫌を取ってくれないと、うっかり口を滑らせてしまうかもね』
『......これで良いか?』
『っ!しょ、しょうがないわね...。あなたの言う通りにしてあげる』
「(あら?わたくしはキラに頭を撫でられたことがあったでしょうか...?)」
キラが出張から戻って来たら目一杯撫でてもらおうと決意するラクスであった。
そうしている内にイザークを返還したアークエンジェルは第8艦隊との合流を果たす。
地球への降下を妨害するべく攻撃を仕掛けてくるザフト軍。
迎え討つためにアークエンジェルから出撃するイージス、ストライク、メビウス・ゼロ......そして先程奪還したデュエルの4機。
「デュエルには誰が乗っているのかしら?」
「メビウス・ゼロがいるってことは、おっさんじゃないよな...?」
「おっさんって言うな!」
イージスはビームライフルで近くのジンを撃破すると、振り返ってデュエルのパイロットに声を掛ける。
『どうだ、初めて戦場のど真ん中に立った感想は?』
『......やっぱり、怖いわ。でもあなたが近くに居てくれるから、まだ大丈夫よ』
「フレイさん!?」
「あの嬢ちゃん、モビルスーツを操縦する素質があったんだな...」
ザフト軍の撃退に成功し、地球への降下を始めるアークエンジェル。
中では、帰艦したアスランとフレイの会話が行われていた。
『ニコルは落ち着いた性格の持ち主だ。誰彼構わず言いふらすなんてことはしないと思うが、俺がプラントに帰るのはもう無理かもな...』
『そうなったらわたしが養ってあげるわ。サイの家のパトロンをしていた位だし、人ひとり養うくらいどうってことはないわよ』
『あぁ。その時はよろしく頼むよ...』
疲労がピークに達したのか、フレイにもたれ掛かってしまうアスラン。
そんなアスランを、フレイは膝枕で寝かしつける。
『あなたを支えるって約束したもの。今はゆっくり休みなさい...』
そのままフレイの膝の上で眠りに落ちるアスラン。
彼が目を覚ました時には、アラスカ基地はアークエンジェルの目と鼻の先であった。
アークエンジェルを迎え入れるべくアラスカ基地のゲートが開いたところで、7番目のチャプターが終了する。
「この世界だとそのままアラスカ基地に行けるのか...」
「わたしたちは降下ルートがズレてアフリカに落ちてしまったのよね...」
「ちょっと待て、これだとこの世界ではわたしとアークエンジェルは出会わず仕舞いじゃないか!」
「......どうして当時のアフリカにアスハ代表がいるんですか?」
「えっ?あ...あぁ、発展途上国でちょっとした
「へぇ〜」
シンの疑問をなんとか誤魔化すカガリ。
ルナマリアやアグネスはその言い訳に納得しなかったが、特に真実を知りたい訳ではなかったので追求しなかった。
『君たち3人には、地中深く埋まっているNジャマーを掘り起こしてもらいます』
8番目のチャプターではアスラン、キラ、フレイの3人がムルタ・アズラエルからモビルスーツと巨大なスコップでNジャマーを掘り出せと命令されていた。
「モビルスーツはわかるけどスコップ...!?」
「力技にも程があるだろう...」
「新手の苦行かしら...?」
「国防委員長の息子であるアスランを虐めたいだけなんじゃないのか?」
「賽の河原の石積み、みたいなものでしょうか...?」
それぞれアグネス、カガリ、マリュー、シン、ラクスの反応である。
9番目のチャプターは、作業現場に到着したアスランたち3人の会話から始まった。
『ムルタ・アズラエルは俺のことを試しているんだろうな。
もし俺がスパイなら......そうでなくとも地球軍に非協力的なら、地味で過酷な単純作業をしている内にボロを出すと踏んだんだろう』
『アスランはスパイなんかじゃないのに...』
『良いんだキラ。本当なら俺は正体がバレた時点で拷問されてもおかしくない立場なんだ。
それにプラントの過ちを正すと決めた以上、Nジャマーとはいつか向き合わなくちゃいけない。
彼の信頼を勝ち取るためにも、やりきってみせるさ』
『アスラン...』
『それでも俺1人だと厳しいものになるだろう。キラ、フレイ、俺に力を貸してほしい』
『『......』』
『どうしたんだ2人共?』
『いえ、ずいぶん素直にわたしたちを頼ってくれるのねって思ったから...』
『今までのアスランなら、《巻き込んでしまってすまない》から始まって僕たちの分まで頑張ろうとしていただろうからね』
「今の隊長のセリフ、少し前までのウチの隊長にピッタリ当てはまりますね...」
「あぁ、全くだ。シン、今のキラは大丈夫なんだろうな?」
「えぇ、もちろん。たくさん頼られて、たくさん褒めて貰っていますよ」
「(キラには任務だけでなく、プライベートでもわたくしに甘えてほしいですわね...)」
『大丈夫だよアスラン。僕はアスランの力になるために地球軍に入ったんだ。
それがたとえ戦いだろうと穴掘りだろうとね。
僕たちが力を合わせれば、きっとどうにかなるよ』
『わたしもアズラエルさんには、《アスランと一緒なら何でもやるので彼から引き離さないでください》って伝えてあるからね。
宇宙の果てでも、地面の底でも、とことん付き合うわよ』
『キラ、フレイ。......ありがとう』
そして3人が作業を始めたところで、9番目のチャプターが終了する。
「......」
「ラミアス艦長、どうしました?」
「......いえ。頼まれ事をされたキラ君が、あんな笑顔で応じるところを初めて見たな......と」
「まぁ俺たちがボウズに頼んだことと言えば、ストライクに乗って戦うことを始めとしてアイツの嫌がることばかりだったしな...」
そう言って、俯きがちになるマリューとムウ。
「(映像の中のアークエンジェルの雰囲気はアスランとフレイさんが和解してからは
そんな2人を見て、ルナマリアはそう思わずにはいられなかった。
「次のチャプターを再生するぞ。あちらの世界では、わたしは何時キラやアスランと出会えるのだろうな...」
カガリの呟きと共に、10番目のチャプターが始まる。
本作は劇場版公開前にPHASE-11ifまで更新されていました。
まさか劇場版キラに刺さる台詞を本作キラに言わせていたとは思いませんでしたね...。
本作の番外編を...
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別作品として独立させる。
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このままで良い。