俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】 作:無限正義頑駄無
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10番目のチャプターの始まりは、アスランたちが穴掘り作業を開始してから数日後の朝であった。
『ん...』
作業現場の最寄りの宿にて。
窓から入り込んだ朝日を浴びてアスランの意識が覚醒する。
その際、枕とは違う何か柔らかいものが自分の顔に押し当てられていることに気付く。
『おはよう、アスラン』
目を開けると、頭上からフレイの声が聞こえる。
アスランは、先程までフレイの胸に抱き締められながら寝ていたのだ。
『フレイ、どうして...?』
『夜中にアスランの様子を見に来たの。そしたらあなた、魘されながら寝ているじゃない。とても放ってはおけなかったわ』
『魘されていた...?俺が...?』
『そうよ。わたしが抱き締めてからは、少しずつ落ち着いていったけど...』
『そうだったのか...』
ベッドから抜け出して立ち上がり、自身の状態を確認するアスラン。
『......確かに、今なら昨日までは身体が重たく感じていたとわかるな』
『ほら、やっぱり無理してたじゃない。......きゃ!?』
ベッドに引き返したアスランは、そのままフレイを抱き締める。
『ありがとう、フレイ...。君が居てくれて、本当に良かった...。あのままだったら、俺はきっと何か取り返しのつかないことをしていたと思う』
『アスラン、わたしもあなたが居てくれて良かった...。あなたがアークエンジェルに居なかったら、パパを喪ってひとりになってしまったわたしは今もきっと闇の中を彷徨っていたと思うから...』
フレイの方からもアスランの背中に手を回し、数分間抱き締め合う2人。
『そろそろ集合時間だ。急いで準備をしよう』
『アズラエルさんは特にノルマや期限を定めていないわよ?今日くらい休んだって...』
『キラを1人にする訳にはいかないだろう』
『......わかったわ。でも無理は厳禁よ。わたしもキラも心配するんだから』
『あぁ、ちゃんと気をつけるよ』
アスランの言葉を背に受けながら、部屋を出るフレイ。
自分の部屋に戻りながら、彼女は嬉しさと残念さが混ざった表情を浮かべる。
『(アスランを癒すことができたのは良かったけど、《女》として求められないのはちょっと複雑ね...。アスランに抱き締められた時、そのまま押し倒されるのを期待したのだけれど)』
「あっちのアスラン的には、総裁とはもう別れたつもりなんですかね?」
「プラントでは今頃アスラン君が死んだことになっているでしょうし、婚約が破棄されていると思っているのでしょうね...」
「婚約者であっても恋人ではないのなら、婚約が破棄された時点で赤の他人......ってこと?」
「
「まあ、この程度でラクスがアスランを諦めるとは思えないな」
シン、マリュー、アグネス、メイリン、カガリが並行世界のアスランにそれぞれ反応を示す。
「(また『浮気ですか』と言ってこちらのアスランを茶化したいところですが...。
あちらのアスランがこちらのキラのようになってしまう1歩手前だった以上、冗談とはいえとてもそのようなことは言えませんわね...)」
それから更に数日後。
ブルーコスモスがプロパガンダのためにドラマを制作することをアスランに伝えるフレイ。
『プラントのお坊ちゃまとブルーコスモスのお嬢様のラブロマンス。それがドラマの内容よ』
『......本気か?』
『アスラン、わたしは考えたの。あなたの頑張りを知れば、地球のナチュラルとコーディネイターはもっと歩み寄ることができるんじゃないかって。
コーディネイターのことが嫌いだったわたしが、あなたを好きになれたように』
『そういうことなら、協力しない訳にはいかないか...。わかったよ、取材でも撮影でもやってやるさ』
アスランから協力の言質を取ったフレイは、上機嫌で去って行く。
そんなフレイの後ろ姿を、無言で見つめるアスラン。
『......』
『どうしたの、アスラン?』
『キラ、もしかして俺は今......フレイに告白されたのか?』
『え?あの《好き》はもちろんそういう意味だと思うけど...。アスランとフレイって恋人になったんじゃなかったの?』
『俺は少し前まで婚約者がいた身だぞ。そんなすぐ別の女性とくっついたりなんか...』
『アスランは......フレイのことが嫌い?』
『そんな訳ないだろう、あれだけ俺の支えになってくれているのに...。だが俺がフレイに抱いている感情が異性としての《好き》なのかは......まだ自分でもわからないんだ』
「アレでまだ《好き》に至ってないの!?」
「あれだけ情熱的な抱擁をしていながら...!?」
「あちらの総裁が積極的なのもあって、あちらのアスランさんは異性との距離感がおかしくなっちゃったんじゃないです?」
「それは有り得るかもな...」
そして制作されたドラマはスポンサーであるブルーコスモスの予想を上回る効果を発揮した。
その結果、強化人間計画が企画倒れとなったことをアズラエルがアスランたちに告げる。
『肉体改造やドーピングで無理矢理強い兵士を作るよりも、こちらの方がよっぽど健全でコストもリスクも低く済みますからね』
「強化人間計画が無くなったってことは...」
「ステラみたいな兵士が生まれずに済む...?」
顔を見合わせるムウとシン。
「こっちのブルーコスモスは地球在住のコーディネイターは受け入れる方針で行くのね...」
「『アスランとフレイ』という、『コーディネイターとナチュラル』のカップルを推している訳だしな...」
「わたしたちの世界と比べると種族間の溝は浅くなりそうですけど、プラント在住のコーディネイターは肩身が狭いことになりませんかコレ?」
「それは向こうの俺次第だろうな...」
上から順にマリュー、カガリ、ルナマリア、アスランの台詞である。
そして場面がプラントに切り替わる。
クライン邸にて、ラクスとクルーゼ隊の面々がアスランの出演するドラマを視聴する準備をしていた。
『アスランを題材にしたノンフィクションドラマと聞きましたわ。わたくしの知らないアスランが見れると思うと楽しみですわね』
『それにしてもクルーゼ隊長、よくそんなものを手に入れられましたね?』
『フフフ...。地球には個人的なツテがあってね』
「クルーゼ隊長!?」
「クルーゼの部隊って、意外とアットホームなんだな?」
「いえ、当時の隊はこんな雰囲気じゃあ...」
「あっ、ジュール中佐がポップコーンと飲み物を持って来た...」
「もう完全に映画鑑賞のノリじゃない...」
そしてドラマを視聴するラクスたち......を視聴するこちらの世界のラクスたち。
あちらの世界のラクスは、最新話の視聴が終わると頬を膨らませて不機嫌になってしまった。
『ラクス嬢、どうされました?』
『ノンフィクションを謳っておきながら、わたくしの存在が影も形もありませんでしたわ...』
『まぁまぁラクス様。仮に登場したとしてもアレックスとヒロインの恋路を邪魔する役割でしょうし、これで良かったのではないですか?』
『......そうですわね。
それにしてもアスランったら、わたくしの引き渡しが行われている裏でフレイさんとこんなに仲良くなるなんて...。
次に会った時には《お仕置き》が必要ですわね。うふふふふふ...』
「総裁がわたしたちの知らない不気味な笑みを浮かべている...!?」
「ニコルでもフォローしきれていないだと...!?」
「あっちのラクスはどんな『お仕置き』をするつもりなんだ...?」
「お尻ペンペンとか?」
「まったくシンったら...。子供を叱る訳じゃないのよ?」
「(あちらのわたくしはフレイさんからアスランを取り返すことができるのでしょうか...?)」
アグネス、アスラン、カガリ、シン、ルナマリアが『お仕置き』の内容を想像する中、ラクスは並行世界の自分を案じていた。
そのまま10番目のチャプターが終了し、11番目のチャプターが始まる。
そこでアスランたちはオルガ、シャニ、クロトを含めた6人で新型掘削機を手に驚異的なスピードで穴を掘り進めていた。
「ラミアス艦長、どうして泣いているんですか?」
「わたしが開発に携わったフェイズシフトの技術が、戦争とは関係ないところで使われているのが嬉しくて...」
「えぇっ!? ラミアス艦長って技術士官だったのですか!?」
「えぇ。ヘリオポリスの襲撃で生き残ったメンバーの中では1番階級が高かったからアークエンジェルの艦長を臨時で務めることになったのだけど」
映像の中では、アスランたちが休憩に入っていた。
現在はアスランとクロトがカードゲームで対戦している様子を、他の4人が眺めている。
『クロト、もう手札無いじゃん』
『まだアスランの先攻1ターン目だよ...?』
『シャニもキラもうるせぇ!手札誘発を5枚も投げたのに貫通してくるアスランの方がおかしいんだよ!』
『......こんなところか。ターンエンドだ』
『なんで5妨害受けてこんな盤面を作れるのよ...』
『お前のターンだ、(カードを)引けと言っている!』
『ぐぅぅ......!』
『クロト、止まるんじゃねぇぞ...!』
『っ、そうだよなオルガ!まだ負けが決まった訳じゃない!僕はこのカードに全てを懸ける!ドロー!!』
デッキのカードに手を伸ばすクロト。
クロトが引いたカードは、アスランのフィールドに存在する人魚の姫騎士が前のターンで落下を阻止した隕石......の2枚目であった。
はっきり言って今引いても死に札である。
『
『対戦ありがとうございました』
クロトの投了によって、勝敗が決した。
アスランたちがNジャマーを掘り返している間にも、世界はめまぐるしい変化を続けている。
ザフトによるアラスカ基地とパナマ基地への襲撃。
「あっちの世界じゃあ、アラスカ基地でサイクロプスは使われなかったんだな...」
「
マスドライバーを失った地球連合軍に対して、オーブが取引を持ちかける。
「水や食料だけとはいえ、よくオーブがマスドライバーを貸してくれたな」
「アークエンジェルがオーブに寄らなかったことで貴重なデータを得る機会が無かったのだし、焦っているのじゃないかしら?」
「連合もモビルスーツの量産に着手し始めていたし、このままだと本当にオーブがガラパゴスになりかねんからな...」
映像の中ではアスランとアズラエルが会話をしている。
『彼らが要求する対価は恐らくモビルスーツの技術やデータでしょう。
オーブはいかなる時でも中立を貫くと言っていますが、そのためにはまず力が必要ですからね』
『それらを要求されても構わないと?』
『えぇ。今更ストライクやデュエルのデータを手に入れたところで時代遅れですし、キラ君のOSを導入するには莫大なパテント料を支払う必要がありますからね』
『キラに特許を取らせたのは、そういう目的もあったのですね...』
『もちろんです。あれほどの技術を安売りされたら堪ったものではありませんよ』
アズラエルの言葉を聞いて、顔が青褪めてしまうカガリ。
「カガリ、どうした?」
「4年前にアークエンジェルがオーブに寄港した時...。お父様はアークエンジェルを匿う対価として、ストライクの戦闘データとキラのナチュラル用のモビルスーツOS開発への技術協力を要求したんだ...」
「まさか、一国の軍が正式採用するレベルのOSを......隊長にタダで作らせたのですか!?」
「オーブはヤマト隊長にびた一文払わなかったってこと...!?」
「コーディネイターに対する態度が
オーブの裏事情を知ったザフト組が揃って呆れ果てる。
「カガリ。今からでもキラに金を払った方が良いんじゃないか?ラクスとの結婚祝いとか何とか理由をつけてな」
「そう、だな...。帰ったら何とか予算を捻出しないと...」
アスランの助言を受けて、何とか持ち直すカガリ。
映像の中では、ザフトが地球連合軍と契約を結ぼうとしているオーブを敵性国家と認定して武力行使をしようとしていた。
「何てことをしているんだ父上!?」
「あっちじゃあ連合じゃなくザフトに攻め込まれるのね...」
「モビルスーツの配備は間に合わず、アークエンジェルやフリーダムみたいな戦力も無い。一方的な蹂躙になっちまうんじゃないのかコレ...?」
「ねぇコレってあっちの世界のザフトはライン越えちゃった感じじゃない?」
「連合のモビルスーツが隠されていたヘリオポリスと違って、正真正銘の侵略行為じゃないか...!」
そしてとうとうザフトによるオーブへの襲撃が始まった。
1機のディンが発砲したことで、避難していた家族が退路を塞がれる。
「あれは...!?」
「シン!?」
「父さん、母さん、マユ!」
映像越しとはいえ生きている家族を目の当たりにして、シンが思わず椅子から立ち上がる。
しかし、ディンは無慈悲にもアスカ一家へと照準を合わせる。
「やめろぉぉぉぉぉっ!」
届く筈が無いとわかっているのに、スクリーンへと手を伸ばしながら叫ぶシン。
しかしディンの銃口から弾丸が放たれる寸前に、ディンは突如現れたジャスティスによって海に叩き落とされた。
「ジャ、ジャスティス!?」
「なんで!?」
「一体誰が乗っているんだ...?」
ジャスティスがアスカ一家を手に乗せて飛び去ったところで、11番目のチャプターが終了する。
「次、次のチャプターを...。皆の無事を確かめないと...」
「シン!逸る気持ちはわかるが落ち着け!」
焦りで機器の操作が覚束ないシンの代わりに、アスランが12番目のチャプターを再生させる。
映像の中では時間が数日前に遡っており、アズラエルがオーブを救うために義勇兵として参加するかどうかをアスランたちに訊ねていた。
「あっちの世界でも、わたしたちとアークエンジェルはオーブを守るために戦うのね...」
「世界が違っても、そういうところは一緒なんだな...」
しみじみと呟くマリューとムウ。
映像の中ではアズラエルがアスランたちにジャスティス、フリーダム、ストライクルージュを紹介している。
「あのフリーダムとジャスティスって連合が作ったものなの!?」
「ということは、あのジャスティスのパイロットはやっぱりアスランでしたのね」
「ルージュも連合製か...」
「(あっちの世界だと、アスランが家族の恩人か...。なんか複雑だな...)」
「(シンが百面相をしている...。何を考えているかは、おおよそ察しがつくが)」
『でもアズラエルさん。元がザフトの設計図だったとしても、連合が1から作り上げたモビルスーツにどうしてザフトの型式番号を?』
『あぁ、それはただのザフトに対する嫌がらせですよ。いやぁ楽しみですねぇ、本家のジャスティスやフリーダムと出会うのが』
『『『うわぁ......』』』
「盗んだ設計図通りに作ったのは、ザフトに格の差を見せつけるためか...」
「ザフトとやり合ってた頃だったら盟主サマと一緒に笑ってたかもな、コレ...」
そしてアズラエルが、アスランへラクスからの伝言を伝える。
『《貴方の正義を貫いてください。わたくしもそれに殉じます》だそうですよ。
出生率という問題を抱えているため婚姻統制を実施しているプラントにとって、結婚や婚約は所詮《種を次の世代へ繋ぐための作業》だと思っていたのですが...。
クックック、愛されてますねぇ?』
『(ラクス、君はまだ俺のことを想ってくれているのか...。だいぶ申し訳ないことをしてしまったな...)』
「こちらのアスランがやっとわたくしの気持ちに気付きましたわね。うふふ、どんな結末が待っているのか楽しみですわ」
「(ラクス、随分と楽しんでいるな...)」
「(あんな総裁、初めて見たかも...)」
「オルガ・サブナック、カラミティ行くぜ!」
「クロト・ブエル、レイダー出るよ!」
「シャニ・アンドラス、フォビドゥン行くよ...」
「ムウ・ラ・フラガ、ストライク出るぞ!」
「フレイ・アルスター、ストライクルージュ発進します!」
「キラ・ヤマト、フリーダム行きます!」
「アスラン・ザラ、ジャスティス出る!」
アークエンジェルから7機のモビルスーツが飛び立ったところで、12番目のチャプターが終了した。
「まさかこんな形でアスランとキラがジャスティスとフリーダムに乗るなんてな...」
「あぁ。しかも俺たちの世界では敵対した機体も一緒だとは...」
「あっちの俺はいいねぇ。ボウズのお下がりじゃなく新品のストライクを貰えて」
「本当に、この映像は驚きの連続ね」
「アスランさんのドラマをポップコーンを食べながら見ていた向こうの総裁たちの気持ち、今ならわかっちゃうかも」
「ちょっ、メイリン!?」
「このチャプターだと、結局父さんたちの安否はわからなかったな。次のチャプターで確かめないと...」
シンによって、13番目のチャプターの再生が始まった。
アスランとクロトの
アスランの初手
ティアラメンツ・レイノハート
マナドゥム・リウムハート
墓穴の指名者
クロトの初手
ドロール&ロックバード(墓穴で無効)
増殖するG(うららで無効)
原始生命態ニビル(ルルカロスで無効)
アスランの最終盤面
ティアラメンツ・ルルカロス(自身の効果で墓地から特殊召喚)
フルール・ド・バロネス(無効効果未使用)
ナチュル・ビースト(レボシン+増Gで召喚)
スプライト・エルフ(クロシープ+アストラウドで召喚)
伏せ1(ティアラメンツ罠)
ティアラメンツ展開で墓地に落ちたカード
増殖するG
レボリューション・シンクロン
亡龍の戦慄-デストルドー
トリヴィカルマ
※レギュレーションはマスターデュエルの2024年2月準拠。
本作の番外編を...
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別作品として独立させる。
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このままで良い。