俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】 作:無限正義頑駄無
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勝手にすっ転んで気絶するという醜態を晒した俺が目覚めたのは、ヘリオポリスが木っ端微塵になった後だった。
アークエンジェルの窓から見える宇宙空間には、コロニーの破片や民家の残骸が漂っている。
もし人の死体が流れて来たら胃の中身を吐いてしまうかもしれないな...。
「アスラン」
そう思っていても窓から目が離せなかった俺は、横からキラが自分を呼ぶ声に向き直る。
「キラ、俺のことはアレックスと呼べと言っただろう」
「うん、ゴメン。近くに人が居ないから大丈夫だと思って...」
確かに俺たちが今いる廊下は盗み聴きができそうな脇道が無い長さだが。
「まあ、キラが無事に帰って来たならそれで良い。聞かせてくれないか、戦闘で何があったのか」
「うん...」
そこからキラの話が始まった。
キラは原作通りソードストライクで出撃し、ジンを2機撃墜した。
その2機のパイロットは、接触通信で聞いたやり取りから推察するにミゲルとラスティだったらしい。
ラスティ、結局お前はヘリオポリスで死ぬ運命なのか...。
追い払うだけのつもりが撃墜してしまったことにキラが呆然としている内に、アークエンジェルが墜とした爆撃装備のジンがコロニーのシャフトにぶつかり誘爆。
そのままヘリオポリスの崩壊へ繋がったそうだ。
「アスラン、僕......人を殺しちゃったんだ。それも、アスランの故郷の人たちを...」
「......」
「ごめ...ムグッ!?」
謝罪の言葉を紡ごうとしたキラの口を手で塞ぐ。
「ぷはぁ!アスラン、一体何を...」
「キラ。お前はついさっき俺を、俺が乗ったこの艦を守ってくれたんだぞ?守られた側の俺がそのやり方に文句を言う筈がないだろう」
もしそんな奴がいるなら俺の手で殺してやる。
「ありがとう、キラ。これからは俺も戦う。お前だけに負担を掛けたりはしない」
「戦う...って、アスランまさか連合軍に入るつもりなの!?」
「そうだ。今のヘリオポリスを見て踏ん切りがついた。これ以上祖国の過ちを見過ごすことはできない」
☆★☆★☆
「我が軍に入隊したいだと?」
「はい。現在アークエンジェルに搭載されている兵器は、イージスとストライクそしてメビウス・ゼロの3機。
対してパイロットはフラガさん1人だけ。
民間人のキラを数に入れたとしてそれでも2人。
このままでは機体が余ってしまうでしょう?
俺が3人目になります」
「「「......」」」
マリューさん、ムウさん、ナタルさんが揃って押し黙ってしまう。
プラントの人間だからやっぱり駄目か?
「悪いけど、今すぐの決断はできないわ。しばらく待ってもらえないかしら」
「......わかりました」
とりあえず問答無用で却下とはならないらしい。
ならばこの場は引き下がるとしよう。
そしてアスランが出て行った室内では...。
「わたしは彼の入隊に賛成します」
「バジルール少尉!?」
「意外だね。アンタが1番反対しそうだと思っていたんだが」
「ラミアス大尉が言った通りなら、彼がスパイである可能性は低いのでしょう?モビルスーツ搭乗経験もあるとのことですし、むしろこちらからお願いするべき内容です」
「そうだな。正規のクルーのほとんどがザフトの襲撃で亡くなってしまっている以上、パイロットが1人増えるだけでも大助かりだ」
「彼がイージスに乗って戦うというのなら、友人であるヤマト少年も引き続きストライクに乗ってくれるかもしれません」
「......」
「......ラミアス大尉」
「......わかりました。アスラン・ザラ...いえ、アレックス・ディノを我が軍に迎え入れます」
☆★☆★☆
無事に軍への入隊を許可された。
もっと粘り強く説得する必要があるかと思っていたから、この結果はやや拍子抜けだ。
やはり今のアークエンジェルに余裕が無いからこその判断なんだろうな...。
ザフトの襲撃によって、アークエンジェルは水や食料といった物資の補充が不十分なままの出港を余儀なくされた。
更にヘリオポリス崩壊後にキラが避難民を乗せた救命ポッドを回収したため、物資の消費は加速するばかり。
アークエンジェルは現在、物資の補給をするために同じ地球連合軍のアルテミス要塞へと向かっている。
しかしあと1歩のところでザフト艦の
俺の初陣は、すぐそこまで迫っていた。
☆★☆★☆
『それじゃあ2人共。俺が奇襲を終わらせるまで、艦を守っていてくれよ』
「わかりました」
『え、えぇ...』
作戦内容は俺とキラが敵モビルスーツの足止めをしている内に、ムウさんがヴェサリウスの機関部を破壊。
動きを止めたヴェサリウスにアークエンジェルが追撃を仕掛けることで道を開け、そのままアルテミスに駆け込むというものだ。
敵の戦力が原作通りなら、ジンはヘリオポリスの戦闘で全滅。
クルーゼのシグーは未だ修理中。
イージスはこちら側にあるので、残りは
アークエンジェルの援護射撃もあるし、十分やれる筈だ。
「キラ、大丈夫か?」
『アレックス、艦を守れと言われても僕はどうすれば...』
「俺たちが装備しているビーム兵器は強力だが、モビルスーツ自身のエネルギーを消費する。撃たなければ負けるが、無闇矢鱈に撃てば自分の首を絞めてしまう。エネルギー残量を示すメーターからできるだけ目を離さないようにするんだ」
『わ、わかったよアレックス...』
『イージス、発進どうぞ!』
「了解。アレックス・ディノ、イージス発進する!」
カタパルトから射出され、PS装甲を展開しながら飛び立つイージス。
迎え討つのは3機のGAT-Xナンバー。
原作知識を持っている俺は、アークエンジェルの防衛に加えてここで達成しなければならないミッションがある。
それは......。
この戦闘でブリッツを損傷させないことだ。
地球連合軍は『連合』とあるように、複数の国家から成り立つ組織である。
例えばアークエンジェルが大西洋連邦所属なのに対し、アルテミスはユーラシア連邦の施設。
彼らは友軍ではあっても仲間ではない。
原作ではストライクを手に入れようとする司令官によって、アークエンジェルの面々は軟禁される。
そんな中、ブリッツはミラージュコロイドと呼ばれるステルス機能でアルテミスの防衛網を抜け、破壊工作を仕掛ける。
それに乗じてアークエンジェルはアルテミスから脱出するというのが話の流れだ。
つまり俺たちがアルテミスに入った時点で、『ブリッツがザフト陣営』で尚且つ『動かせる状態』でなければアークエンジェルはゲームオーバーという訳だ。
強奪を免れた唯一の機体が『パック交換と同時にバッテリーが回復する、継戦能力に優れた機体』であるストライクだったことと言い、何かが1歩間違えば詰みな箇所が多数あるのが『機動戦士ガンダムSEED』だ。
それでも...。
「それでも俺は、キラを守ると決めたんだ!」
決意を新たにし、俺はイージスのスラスターを噴かせた。
本作では、原作と同じ内容の戦闘や原作よりも楽な戦闘は基本的にカットの方針でいきます。
その分、会話パートや描写に力を入れたいと思うのでよろしくお願いします。