俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】   作:無限正義頑駄無

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お待たせしました。
更新です。

今回は、本編で出番が無かった彼らにスポットを当てていきたいと思います。


ANOTHER-PHASE キラちゃん√(10if〜11if)

「『セレナ・アルジェント』...。いい名前じゃないか」

 

「まったく、キラの口から『セラ・トマト』なんて名前が出た時にはどうなることかと思ったわ...」

 

「あはは、ごめんね2人共...」

 

キラの役名が決まったところで、アスランがヒロインの設定資料を手に取る。

 

「セレナは主人公アレックスの幼馴染にして、親連合派の国に住む名家(ナチュラル)のお嬢様か...。キラとフレイを足したかのような人物だな」

 

「そりゃあね...。連合のプロパガンダでコーディネイター同士のラブロマンスなんて効果ないもの」

 

「うぅ...。僕にお嬢様の役なんてできるかな...」

 

「うん?キラ自身がセレナ役をやるのか?」

 

「えぇ、『アスランがやるなら自分も』って言って聞かないのよ」

 

「アレックスの役は『裏切り者のコーディネイター』である俺自身がやらなきゃ意味がないが、セレナ役をキラが必ずしもやる必要は無いと思うぞ...?

それにキラはアズラエルさんからOSの作成を依頼されているじゃないか。

撮影に参加する余裕があるとは思えないが...」

 

「それくらい大丈夫だよ。とにかく、セレナ役は僕がやりたいの!」

 

ヒロインの役を自分がやると言い張るキラに、アスランが疑問符を浮かべる。

 

「(どうしてキラはそんなにセレナ役に拘るんだ...?)」

 

「(アスラン(アレックス)のヒロインの立場を、何処の誰とも知らない女優さんになんか渡さないんだから...!)」

 

ここで、3人の話し合いを静観していたアズラエルが会話に参加する。

 

「まぁ僕としては契約通りの期日にOSが完成するのなら、キラさんの好きにしてくれても構わないのですがね」

 

「アズラエルさん...」

 

「しかしアスラン君の抱えている不安も尤もです。キラさんの演技力も未知数ですしね。なので軽くテストをしてみましょう。......フレイさん」

 

「わかりました。アスラン、ゴニョゴニョ...」

 

「何々...?あぁ、わかった」

 

フレイから耳打ちをされたアスランは、引き締まった表情でキラの前に立つ。

 

「な、何かなアスラン......いやアレックス?」

 

アスラン(アレックス)キラ(セレナ)の両手を自身の手で包み込むと、彼女の目を見つめながら言葉を紡ぐ。

 

「セレナ、君が好きだ。君のことは俺が絶対に守ってみせる。だから......俺と結婚してほしい」

 

「〜〜〜っ!?」

 

突然のプロポーズを受けて、身体が熱を帯び始めるキラ。

あまりの熱さに、キラは全身が燃えているかのような錯覚に陥る。

キラはそのままヘナヘナと、その場に座り込んでしまう。

 

「こんな体たらくで大丈夫なのかしら。リテイクを連発しそうで不安なのだけど...」

 

「いえ、これはこれでアリかもしれませんよ?アスラン君のビジュアルが良いのは間違いないので、キラさんのこのリアクションも違和感はありませんし」

 

「キラ、大丈夫か?」

 

「大丈夫じゃないよぉ...」

 

演技とはいえ、想い人からの零距離射撃(プロポーズ)で腰が抜けてしまったキラ。

 

「(す、すごい破壊力だった...。普段からアスランと交流があった僕ですらこうなってしまうなんて、アスランに免疫の無い女性が同じことをされてしまったら...。

やっぱりセレナ役は僕がやらなくちゃ。アスランの犠牲者を増やさないためにもね。

仕方ないことなんだ、これは)」

 

自身がセレナ役を務めることを、内心で正当化するキラ。

実際は当初の目論見通り、アスランを独占したいというのが本音なのだが。

 

そしてOS開発と並行して行われる演技の勉強や撮影。

それは少なくない負担をキラに強いていた。

 

「調子はどうなの、キラ?」

 

キラとアスランが抜けた代わりにやってきたオルガ達と穴掘り作業を続けているフレイが、キラに声を掛ける。

 

「あっ、フレイ?僕は大丈夫だよ。確かに疲れることばかりだけど、やる気は十分あるから」

 

「普段は面倒くさがりなくせに、そのモチベーションは何処からやって来るのよ」

 

「ほら、アスランって故郷(プラント)を裏切ったから帰る場所が無いでしょ?

だから僕がアスランの帰る場所を作りたいんだ。

そのためにはOSを完成させて収入を得ないといけないからね」

 

「アスランを自分で養うってことかしら?」

 

「そうだね。僕が稼いでアスランが専業主夫に...。えへへ、駄目だよアスラン。まだお風呂に入っていないのにそんなことしたら...」

 

アスランとの夫婦生活の妄想が垂れ流しになるキラ。

それを見たフレイは、頭に手を当てて天を仰ぐ。

 

「(もう完全に手遅れね...。ちゃんと責任を取りなさいよ、アスラン。じゃないと許さないんだから)」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「......お前、本当に『砂漠の虎』か?わたしがレジスタンスの一員だと知った上で屋敷に招いた挙句、こんなドレスを着せるなんて...」

 

「どんな人間も、24時間365日働いたり戦ったりする訳じゃないだろう?偶には僕も遊びたくなるものさ。

各地で行われていたブルーコスモスの無差別テロも、最近は沈静化の一途を辿っているしね」

 

「1ヶ所だけならまだしも複数の場所でだと?一体どういうことだ?」

 

「これが原因さ」

 

ザフト北アフリカ駐留軍の司令官を務めている男、アンドリュー・バルトフェルド。

彼はテレビの電源を点けると、カガリ・ユラ・アスハに録画していたとあるドラマの第1話を見せる。

 

「『女神の盾 GUNDAM』...?」

 

「ブルーコスモスが出資して制作されている番組だよ。内容はコーディネイターの少年と、ナチュラルの少女のラブロマンスさ。

どうやら最近のブルーコスモスは、コーディネイターが相手なら誰彼構わず......という訳じゃないらしい」

 

「この番組そのものが、ブルーコスモスの意思だということか...?」

 

番組の中ではザフト軍がヘリオポリスを襲撃して、新型モビルスーツを強奪しようとしていた。

 

「(今でもわからない。お父様、貴方はどうしてこのようなモノ(モビルスーツ)を...)」

 

かつてヘリオポリスでストライクとイージスの現物を目の当たりにしてから、ずっと答えを探している疑問。

中立を謳っている筈のオーブが地球連合軍と共同で行なった、新型モビルスーツの開発。

それがザフトの襲撃を招いてしまい、結果的にヘリオポリスは崩壊。

民間人に少なくない犠牲者が出てしまった。

 

果たしてアレ(GAT-Xナンバー)は自国民を危険に晒してまでオーブに必要なものだったのだろうか?

父であるウズミ・ナラ・アスハから『お前は世界を知らなすぎる』と言われて以来、カガリはレジスタンス『明けの砂漠』に所属してザフト軍と戦っている。

戦い続けていれば、きっと疑問の答えが見つかると信じて。

 

「これはノンフィクションドラマなのか?」

 

公式(ブルーコスモス)は『ほとんどノンフィクション』だと言っているね。あと主人公とヒロインの2人は、俳優ではなく『本人』を起用している......との話だ」

 

「何だと?」

 

映像の中では、キラ(セレナ)が地球連合の軍人と共にストライクのコックピットに乗り込んでいた。

 

「あいつは...!」

 

「おや、知り合いかい?」

 

「残り定員1人のシェルターにわたしを押し込んで去っていったお人好しだ。まさかあの後でこんなことになっていたとはな...」

 

「そうか、君は当時のヘリオポリスに居たのか...。しかしそうなると、彼女が『本人』だという話は本当らしい」

 

 

 

『セレナ、無事か!?』

 

『アレックス......アレックスなの!?』

 

『あぁ、お前を助けに来たぞ!』

 

 

 

苦戦するストライクの窮地を救ったのは、もう1機のG兵器であるイージスであった。

そしてイージスを動かしていたのは...。

 

「セレナの幼馴染『アレックス・ディノ』...。こいつが主人公なのか?」

 

「その通りだよ。(彼はどう見ても最近本国(プラント)で死亡が発表されたアスラン・ザラなのだが...。彼が生きていてしかも地球連合軍に味方しているということは......つまり『そういうこと』なんだろうね...)」

 

バルトフェルドはアスランの『コーディネイターに対する偏見を払拭したい』という意図を察しており、アスランの生存を秘匿することを選んだ。

 

「(まあ僕1人が黙っていたところで、大した時間稼ぎにはならないだろう。別の誰かがこの番組を見つけて本国へ報告する。その時までは、このドラマを楽しませてもらうとするよ)」

 

 

 

※クルーゼ隊を除くと、ブルーコスモスの制作した番組を視聴する物好きなザフト兵はバルトフェルドくらいです。

 

 

 

映像の中では、幼馴染であるアレックスとセレナが再会を果たしていた。

幼い頃から想いを寄せていた初恋の少年がコーディネイターであったという事実にショックを受けるセレナ。

しかしアークエンジェルの中で交流を重ねていく内に、アレックスの昔と変わらない優しさに触れて『ナチュラルかコーディネイターか』で物事を考えていた自身の愚かしさに気付く。

そして故郷(プラント)との戦いで身も心も疲弊していくアレックスを支えたいと願うセレナ。

セレナによる、同じ相手への2回目の恋が幕を開けるのであった。

 

「どうだった?このドラマを観て」

 

「えっ......まぁ、当事者の目線から見ても良い出来の作品だと思ったが...。ブルーコスモスはどうしてこんなドラマを...」

 

「自分たちの敵はあくまでプラントのコーディネイターであることをアピールして、地球在住のコーディネイターを味方につけたいのだろうね」

 

「『砂漠の虎』としては、コレを放置していいのか?」

 

「個人的には、無理して戦争に勝つよりもナチュラルとコーディネイターの融和に舵を取りたいと思っているよ。そういう意味では、僕はこのドラマを気に入っている」

 

「......そう、か。この1日で『砂漠の虎』に対する印象がだいぶ変わってしまったな」

 

「レジスタンスの一員と面と向かって話をするのは、僕も初めてだからね。

おっと、最新話まで一気見してしまったせいで日が暮れ始めているな。

送っていこう。なかなか有益なひと時だったよ。願わくば、戦場以外でまた会いたいものだ」

 

「......」

 

その後、カガリはバルトフェルドの運転する車でレジスタンスの拠点近くまで送られた。

自分を降ろして去っていく車が見えなくなるまで、カガリはその後ろ姿を見つめ続ける。

彼女の手には、焼き増ししたドラマが保存された記録媒体が握られていた。

バルトフェルドが布教用に持たせたものである。

 

「どうやったら、この戦争は終わるんだろうな...」

 

バルトフェルドを見送った後、カガリがひとり呟く。

昨日までの自分は、この地域からザフト軍を武力で追い払うことしか考えていなかった。

しかし今日、アレックスとセレナという敵同士でありながら固い絆で結ばれた2人の存在を知った。

 

ただ戦っているだけでは、決してたどり着くことのできない終着。

あのドラマの影響でブルーコスモスのテロが沈静化したという結果が出たということは、即ち地球内のコーディネイター・ナチュラル間の隔たりが僅かとはいえ縮まったことを意味する。

武力を用いることなく、戦争終結へと向かう第1歩を踏みしめたアレックスとセレナ。

そんな2人のように平和へ向けて歩みたいとカガリは思った。

 

「いつか、彼らに会って話をしてみたいものだな...」

 

アレックスとセレナに会いたいという願望を口にするカガリ。

しかし、この砂漠に居たところで2人と出会う機会が訪れることは無いだろう。

 

「......」

 

近い内にオーブへ帰国しよう、とカガリは決めるのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「もしもし、母さん?」

 

『......キラ?キラなのね?』

 

「うん、そうだよ。久しぶり」

 

『キラ、あなたって子は!ヘリオポリスの救助者リストに名前が無くて死んでしまったかと思ったのよ!? そして見つかったと思えばブルーコスモスの恋愛ドラマに出演ですって!?

しかもアスラン君と一緒だなんて...。詳しく聞かせてちょうだい!』

 

「......ごめんね。だいぶ心配かけちゃって」

 

『本当にそうよ全く...。でも、元気そうで良かったわ』

 

「うん。僕もアスランも、ヘリオポリスの友達もみんな無事だよ」

 

『えぇ。どれだけ時間が掛かっても構わないから、必ず無事に帰ってきなさい。わたしもハルマさんも、あなたの帰りを待っているからね』

 

「もちろんだよ。その時はアスランも一緒に連れて行くからね」

 

『......ねぇキラ。あなたたちの出演したドラマは見させてもらったけど、アスラン君とは実際どれくらい進んでいるの?』

 

「ふふっ、母さんが相手でもそれは秘密だよ」

 

 

 

※カッコつけているキラですが、アスランに優しくされるとあっさり赤面&撃沈してしまうためほとんど進展しておりません。




キラ→セラ→セレナ
アルスター+ヤマト→アルト→アル(ジェン)ト
といった感じで決まった名前です。

セレナもといキラは実際はコーディネイターですが、ナチュラルのお嬢様(真)であるフレイがキラの友人でアスランとの仲を応援しているため強ち嘘ではありません。

ちなみにドラマ及び地球連合軍の公式発表では、ヘリオポリスからアラスカまでストライクにはムウが搭乗していたということになっています。
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