俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】   作:無限正義頑駄無

6 / 33
お気に入り登録数2,500突破。
日間ランキング4位(2024/01/12 19:00頃)。

皆様応援ありがとうございます!


PHASE-06if 向き合わなければならないもの

「アレックス、ちょっといいか?」

 

イージスの整備をしていると、サイに声を掛けられた。

 

「サイか。どうしたんだ?」

 

「フレイについて、話があるんだ」

 

フレイについての話だと言われて、気まずい気分になってしまう。

あれからフレイが自分に好意を抱いているのはなんとなく察している。

サイからしてみれば、俺は婚約者を奪った存在だろう。

 

「彼女は地球軍に入隊する直前、俺に別れを告げたんだ。『婚約も解消となるだろうし、お互いに違う道を見つけましょう』って」

 

「そういえば、フレイの父親が『自分が死んだら婚約が解消になる』って言っていたが、あれはどういう意味なんだ?」

 

「俺の両親は研究者なんだ。フレイの父親から研究資金の提供を受ける条件が、『お互いの子供の婚約』だった」

 

「そうだったのか...」

 

パトロンが亡くなったことで、婚約関係を維持するメリットが失われたという訳か。

 

「......初めて見たんだ」

 

「え?」

 

「あれだけコーディネイターを嫌っていたフレイが、アレックス(コーディネイター)を支えるために入隊すると言った時の表情。俺がフレイと付き合っている間に1度も見たことないような美しい顔だった」

 

「......」

 

「そりゃあフレイから別れを切り出された直後はアレックスのことを、

『自分も婚約者が居るのに、他人の婚約者を奪うクソ野郎』

だと思ってしまったよ。

でも、俺ですら引き出せなかったフレイのあの表情を見せられたら、認めるしかないさ」

 

「......すまない」

 

「良いって。その代わり、フレイは頼んだよ。ところで、プラントに帰った歌姫との関係はどうするんだ?」

 

「恐らくプラントでの俺の扱いは『ヘリオポリスでの行方不明者』だろう。いずれ死亡認定されて婚約は解消されると思うが...」

 

「(彼女のアレックスへの態度を見た感じ、そうはならなさそうだけど......黙っておこう。アレックスにどれだけの甲斐性があるのかも知りたいし)」

 

 

 

※本作サイはアスランが戦闘時以外は常にラクスの近くに居たこともあって、原作で言った『あの歌声も、遺伝子を弄って得たものなのかな』という旨の発言はしておりません。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

第8艦隊にあと数十分で合流するというところで、アークエンジェルはザフトのローラシア級(ガモフ)に追いつかれてしまった。

 

「チッ、あと少しのところで...!」

 

「ですがこれはチャンスですよバジルール少尉」

 

「何、どういうことだディノ准尉?」

 

「ローラシア級があれからずっとこちらを探し回っていたのなら、戦力は相変わらずGが3機のみ。敵の戦力が少ない内にGと戦えるのは恐らくこれが最後でしょうし、1機くらい取り返しませんか?」

 

「なるほど、一理あるな。策はあるのか?」

 

「えぇ。向こうがラクスを連れ帰ったナスカ級と情報交換をしていないなら、イージスのモビルアーマー形態も知らない筈。それを利用します」

 

俺は前々から考えていた作戦をナタルさんに伝える。

 

「なるほど。やってみる価値はありそうだな」

 

「では俺はイージスに向かいますので、ラミアス艦長への情報共有はよろしくお願いします」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

デュエルのパイロットであり、ザフト士官アカデミーを首席で卒業したイザーク・ジュールは目の前の現実を信じられないでいた。

 

「くそぉっ!何故当たらん、ナチュラルのくせにっ!」

 

自身と対峙している赤色のモビルスーツ、イージス。

相手はこちらのビームライフルによる射撃をことごとく回避している。

それでいて反撃をほとんどしてこない。

する余裕が無いというよりは、する必要が無いかのような動きだ。

 

「貴様、俺を愚弄する気かぁっ!」

 

ライフルをしまい、ビームサーベルを構えて突撃する。

しかし...。

 

ガギィン!

 

「なぁっ!?」

 

こちらの斬撃を紙一重で避けると、そのままカウンターで右手のビームサーベルを叩き落とされる。

そのままイージスは両手両足を突き出して烏賊のような姿に変形すると、凄まじい速さでデュエルの周囲を飛び回る。

 

「変形だと!?ナチュラルめ、なんてモビルスーツを...!」

 

なんとかイージスを正面に捉えようとするものの、やがて視界を振り切られる。

 

ガシィッ!

 

そうしてデュエルの背後を取ったイージスは、四肢を広げてデュエルを拘束する。

 

「このっ、離せっ!」

 

イージスはデュエルを捕まえたまま、アークエンジェルの武装の射程距離まで移動する。

デュエルのコックピット内に響き渡るロックオンのアラート。

 

「まさか、このまま自分ごと俺を...!?」

 

ドガガガガガッ!!

 

しかしイザークの予想に反して、襲ってきたのはビームの光ではなく実体弾の衝撃だった。

ここでようやくイザークは敵の狙いを察する。

 

敵はデュエルのPS装甲をダウンさせ、無力化した上で鹵獲するつもりなのだと。

デュエルは現在、イージスのカウンターを受けてから武器を手に持っておらず、頭部バルカン(イーゲルシュテルン)は首の可動域の都合で後ろに撃てない。

 

「ディ、ディアッカ!ニコル!」

 

自分だけではどうすることもできないと判断したイザークは、僚機のパイロットに助けを求める。

しかしそこで、再びイザークは信じられない光景を目の当たりにする。

 

ディアッカの乗るバスターは遠距離砲撃に特化したモビルスーツであり近接武器を装備しておらず、敵に懐に潜り込まれたら何もできない。

それ故に自身より機動力の高いエールストライカー装備のストライクの間合いから逃げるのが精一杯で、こちらの救援に来れる余裕は無い。

 

対するニコルが乗るブリッツはこちらの窮地に気付き、ミラージュコロイドでメビウス・ゼロを振り切って合流しようとしている。

しかしメビウス・ゼロは、ブリッツが姿を消した瞬間にガンバレルで弾幕を張る。

ミラージュコロイドはPS装甲と併用できないため、避けられない攻撃を仕掛けられると解除せざるを得ない。

メビウス・ゼロはそうして姿を現したブリッツの進路に回り込み、合流を阻止している。

 

「馬鹿な...」

 

自分たちはザフトの中でもエリートの赤服隊員の筈だ。

それなのに3人揃って敵にいいように翻弄されている。

 

気がつくと、デュエルのバッテリーは大幅に減少していた。

このままではデュエルは奪還され、自分も捕虜になってしまうだろう。

いや、捕虜ならまだマシだ。

 

もし、デュエルの装甲がダウンしてからアークエンジェルが攻撃を止めるまでの間に飛んできた弾丸がコックピットに直撃したら?

 

「やめろぉぉぉぉぉっ!」

 

イザークにとって長いようで短い、悪夢のような時間が始まった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

幸い......と言うべきか、イザークは五体満足のままアークエンジェルの捕虜となった。

デュエルが鹵獲され戦況不利と判断したバスターとブリッツが撤退したことにより、戦闘は終了した。

 

イザークは現在、アークエンジェルの営倉に閉じ込められている。

プラント評議会議員である母に迷惑を掛けないため、せめてもの抵抗として尋問でジュールの家名は名乗らなかった。

 

解放される時を静かに待つイザークだったが、営倉に1人の少年が入って来たことで思考が中断される。

 

「あなたがデュエルのパイロットですか」

 

「お前は?」

 

「僕はキラ・ヤマト。ストライクのパイロットです」

 

「白い機体の方か...。赤い機体といい、ナチュラルのくせによくやる」

 

そう言って、鼻を鳴らすイザーク。

 

「(アスランの言っていた通り、僕たちをナチュラルだと思い込んでいる。地球軍に味方するコーディネイターが居るということに、全く考えが至ってないみたいだ...)」

 

「何か勘違いしているようですけど、僕もイージスのパイロットもナチュラルじゃありませんよ」

 

「何!?」

 

「僕たちは元々、ヘリオポリスに住んでいた民間人のコーディネイターです」

 

「ヘリオポリスの民間人だと?それが何故、地球軍のモビルスーツに乗っている...?」

 

「っ、あなたたちがヘリオポリスを破壊したからでしょう!?」

 

自らの行いを省みないイザークの発言に、キラが激昂する。

 

「コロニーに拠点爆撃装備で乗り込んで来るなんて、一体何を考えているんですか!?

プラントはユニウスセブンの件でずっと被害者ぶっているくせに、居住用コロニーがどれだけ脆い存在なのか全く理解していないじゃないですか!!」

 

「っ!?」

 

キラの発言に、頭を殴られたかのような衝撃を受けるイザーク。

そんなイザークに、キラは更に追い討ちを掛ける。

 

「イザーク・ジュール。高いプライドとそれに見合う実力はあるけど、ナチュラルを無条件で見下す等、自分で視野を狭めている。アスランの言っていた通りだ」

 

「貴様、どうして俺の家名を...!いや待て、アスランだと?アスラン・ザラのことか?何故奴の名前が出てくる?」

 

「アスランは僕の友達です。あの日、アスランは僕に会うためにヘリオポリスを訪ねていたんです」

 

「......アスランは今どうしている?」

 

「死にましたよ。ザフトの攻撃から僕を庇ってね」

 

そう言うとキラは、鉄格子の隙間から1枚のカードを投げ入れる。

 

「これは、プラントの市民ID?」

 

カードを拾い上げるイザーク。

血と煤で汚れているが、それらを指で拭うと『アスラン・ザラ』の名前と顔写真がはっきりと浮かび上がった。

 

「そんな、こんなことが...」

 

「あなたたちのせいで、アスランは死んだんです。そして僕はアスランの敵討ちのために地球軍に入りました。イージスのパイロットも似たような理由です。ご理解いただけましたか?」

 

「......」

 

「アスランの大事な形見ですけど、それは差し上げます。

国防委員長をやっているという、アスランの父親に渡しておいてください。

それを受け取った時、アスランの父親がどんな表情をするのか見れないのが残念ですが」

 

そう言い残して、キラは退室する。

 

「......」

 

営倉に1人残されるイザーク。

デュエルに乗っていた時の狂犬の如き勢いは、すっかり消え失せてしまっていた。




という訳でデュエルGET。
パイロットは誰にしましょうかね。

そしてキラとイザークの会話。
アスラン絡みの話は勿論アスランに頼まれてやった演技ですが、キラも自分たちの日常を壊したザフトに鬱憤が溜まっていたのでノリノリでした。
市民IDに付着している血は、当然アスラン自身のものです。

ちなみにイザークは第8艦隊と合流する前に解放します。
「アスラン・ザラの死」という毒をザフト軍内に振り撒いてもらう役目がありますので。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。