俺はトゥ!ヘァ-!なんて言わないからな!【本編完結】   作:無限正義頑駄無

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申し訳ありません。


PHASE-07if 輝く星たち

俺は営倉の外でキラとイザークの会話が終わるのを待っていた。

 

『あなたたちのせいで、アスランは死んだんです。そして僕はアスランの敵討ちのために地球軍に入りました。イージスのパイロットも似たような理由です。ご理解いただけましたか?』

 

『アスランの大事な形見ですけど、それは差し上げます。

国防委員長をやっているという、アスランの父親に渡しておいてください。

それを受け取った時、アスランの父親がどんな表情をするのか見れないのが残念ですが』

 

キラ、俺はそこまで言えとは頼んでないぞ...?

ザフトに対して鬱憤が溜まっていたとはいえ、中々のアドリブを見せつけられた。

そしてキラが営倉から出てきたので、休憩室に場所を移して話を聞く。

 

「アレックス、どうだった?」

 

「100点中120点。良い演技だったぞキラ」

 

「ありがとう。でもあんな役はもう勘弁かな...」

 

「キラ、お前はそれで良い。お前のその優しさを守るために、俺はここに居るんだ」

 

そう言って、キラの頭を撫でる。

 

「うん...」

 

気持ち良さそうに目を伏せるキラ。

 

「それにしてもえげつない事をするわね。あのパイロット、今頃メンタルがバキバキに折れちゃっているんじゃないかしら」

 

営倉で俺と一緒に聞き耳を立てていたフレイがそう言う。

 

「イザークの母親であるエザリア・ジュールはプラント評議会の中でもかなりの過激派だからな。

息子であるイザークもその影響を受けてナチュラルに対して強い差別意識を持っている。

あいつが良い方向に変わるには、これくらいの荒療治が必要だよ」

 

「彼の最初の態度からして、それには同意するわ。それにしてもプラント国防委員長の息子、アスラン・ザラ。それがアレックスの正体だったとはね」

 

「頼むからサイたちの前ではまだアレックスと呼んでくれよ...?」

 

「どうしようかしら?あなたがご機嫌を取ってくれないと、うっかり口を滑らせてしまうかもね」

 

そう言って、キラに視線を送るフレイ。

 

「......これで良いか?」

 

空いた手でフレイの頭も撫でる。

 

「っ!しょ、しょうがないわね...。あなたの言う通りにしてあげる」

 

本当に撫でてもらえるとは思っていなかったのか、フレイが驚く。

しかしそれもほんの一瞬で、やがて顔を赤らめてされるがままになる。

 

アスラン・ザラが右手でキラの、左手でフレイの頭を撫でているこの光景。

原作を知っている者の視点だと、なかなか感慨深いな...。

 

そしてイザークを解放した後、アークエンジェルは第8艦隊との合流に無事成功する。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

『知将』デュエイン・ハルバートン提督が率いる第8艦隊を倒すため、アークエンジェルのアラスカ降下を阻止するために集結するザフトの艦隊。

 

しかしアークエンジェルを追い掛けていたことで現場に1番乗りしていたクルーゼ隊の艦内は、重苦しい空気が支配していた。

 

プラント国防委員長パトリック・ザラの息子アスラン・ザラ。

彼は自分たちがヘリオポリスを襲撃した際に、コーディネイターの友人を庇って死亡した。

そしてその友人はアスランの敵討ちのため、地球軍に入隊しストライクのパイロットになった。

 

アークエンジェルから解放されたイザークから齎された『情報』という名の猛毒は、瞬く間にクルーゼ隊を蝕んだ。

ある者は自分たちの掲げる正義が信じられなくなり、ある者は『パトリック・ザラに殺される』と自分の未来に絶望していた。

しかし、一部の者は違和感に気付いていた。

 

「......」

 

ブリッツのパイロット、ニコル・アマルフィ。

彼は現在、艦の窓から第8艦隊の奥へ進んでいくアークエンジェルを見つめていた。

 

アスランの友人(ストライクのパイロット)曰く、アスランはイザークのことを、

 

『高いプライドとそれに見合う実力はあるけど、ナチュラルを無条件で見下す等、自分で視野を狭めている』

 

と評していたそうだ。

確かにニコル自身もイザークに関しては、そういった玉に瑕な一面があると思っている。

違和感を覚えたのはこの部分だ。

 

評価があまりにも的確すぎる。

友人との日常会話で出た内容にしては過剰な表現と言えるだろう。

誰かがイザークの評価を時間をかけてストライクのパイロットに伝えた。

ではその『誰か』とは一体誰なのか。

 

「アスラン、もしかして貴方なのですか...?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

第8艦隊とザフトの戦闘が開始された。

俺の血が付着した市民IDという劇物を受け取ったことでクルーゼ隊の足並みが乱れたのか、戦闘が始まったのはアークエンジェルが態勢を十分に整えた後だった。

そのため、原作とは異なりアークエンジェルは最初からこの戦闘に参加している。

 

「でえぇいっ!」

 

ビームライフルで1機のジンを撃ち抜き、戦況を確認する。

原作で敵側に居た4機のGの内、2機がこちら側だから有利みたいだな。

その2機は今俺が乗っているイージスと、すぐ傍で浮いているデュエルなのだが。

 

「どうだ、初めて戦場のど真ん中に立った感想は?」

 

『......やっぱり、怖いわ。でもあなたが近くに居てくれるから、まだ大丈夫よ』

 

デュエルに乗っているのはフレイだ。

デュエルのパイロットを決めるため、トールやサイたちがシミュレータに挑戦した。

本当はムウさん一択なのだろうが、操縦が全く異なるモビルアーマーからモビルスーツに慣れるための時間が無かったために今回の戦闘では見送られた。

 

よって、シミュレータで最も高いスコアを出したフレイがデュエルに搭乗することになった。

そういえば原作だとフレイがストライクルージュに乗る案もあったのだったか...。

 

互いのモビルアーマーやモビルスーツが減って艦の砲撃による戦闘がメインになり始めた頃、俺たちの前にブリッツが現れた。

 

『確か......ブリッツ、だったかしら?』

 

「あぁ。姿を消す能力を持ったモビルスーツだ。フレイは一旦アークエンジェルに......何っ!?」

 

フレイを守りながらブリッツと戦うのは厳しいと判断しアークエンジェルに戻そうとしたところ、ブリッツが突然複合兵装(トリケロス)を捨ててPS装甲をオフにする。

 

ブリッツの武装は複合兵装(トリケロス)に集中しており、モビルスーツ本体には頭部バルカン(イーゲルシュテルン)すら無いので今のブリッツは文字通りの丸腰だ。

 

『そちらは武器を構えたままでいい。イージスのパイロット、貴方と話がしたい』

 

ブリッツの両手を広げて近づきながら通信でニコルが呼び掛けて来る。

ニコル、どうしてこんな危険なことを...。

まさか...。

 

『イージスのパイロット。貴方は......アスランなのではないですか?』

 

「......」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

無事にザフトを撃退し、脅威が去ったことで降下シークエンスを始めるアークエンジェル。

俺とフレイ、キラやムウさんといった出撃していたメンバーもちゃんと全員帰って来ている。

 

「お疲れ様、フレイ。よく無事に戻って来れたな」

 

「ありがとう。でも、わたしはアスランの後ろをついて行っただけよ。ビームライフルも1発も撃たなかったし...」

 

周囲に人がいないので、本名で俺を呼ぶフレイ。

 

「ビームはエネルギーを喰うから撃てば良いってものでもないさ。モビルスーツを動かせただけでも上出来だよ」

 

「そうね、これから精進しないと。まあわたしはサブのパイロットでメインはフラガ大尉なんだけど」

 

「さっき少佐に昇進していたけどな」

 

俺はアークエンジェルの窓に目を向ける。

艦の全体が耐熱ジェルに覆われているため、外の景色は見えない。

ヘリオポリスの避難民を乗せたシャトルはアークエンジェルと同じタイミングで降下したが、無事に地球へ降りられるだろうか...。

 

「ねぇ、アスラン」

 

「どうした?」

 

「本当に良かったの?ブリッツのパイロットに話しちゃって...」

 

「......」

 

ニコルにアスランなのかと訊ねられた時、俺は一言だけ返事をした。

それを聞いたニコルは、複合兵装(トリケロス)を回収して去って行った。

 

「あれが正しかったのかは、今でもわからない。だが、あれ程の覚悟を決めたニコルの想いを無下にしたくはなかった......」

 

「でもどうするの?アスラン・ザラが地球軍のモビルスーツに乗っているということがバレちゃったわよ?」

 

「ニコルは落ち着いた性格の持ち主だ。誰彼構わず言いふらすなんてことはしないと思うが、俺がプラントに帰るのはもう無理かもな...」

 

「そうなったらわたしが養ってあげるわ。サイの家のパトロンをしていた位だし、人ひとり養うくらいどうってことはないわよ」

 

「あぁ。その時はよろしく頼むよ...」

 

そう言った瞬間、フレイにもたれ掛かってしまう。

知らぬ間に疲れが溜まっていたのだろうか。

そんな俺に対して、フレイは怒るどころか膝枕をしてくれた。

 

「あなたを支えるって約束したもの。今はゆっくり休みなさい...」

 

眠る直前に見上げたフレイの表情は、今は亡き母のような慈愛に満ちていた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

「ニコル、どうだった?」

 

「ディアッカですか。えぇ、イージスのパイロットはやっぱりアスランでした」

 

「マジか。あいつアカデミーじゃあんまりパッとしない奴だったんだがな...」

 

「しかし敵として戦ったアスランは僕たちと同等以上の強さだった。恐らく、ザフトに入隊したくないからアカデミーでは態と成績を落としていたのでしょう」

 

「確かに1歩退いて見てみると、ザフトって歪な部分もあるからな。正規軍じゃなく義勇兵の集まりだから仕方ないとはいえ、アスランはそれを許容できなかったんだろうな」

 

「そして中立国の友人を僕たちザフトが巻き込んでしまったから地球軍側についた、ということなのでしょうね...」

 

「どうする?イザークに伝えるか?」

 

「クルーゼ隊長は、『自力で気付けた者以外とは情報共有をするな』と言っていましたけど...」

 

「そうか...。ならもうしばらくこのままにしておくか。ゲーム感覚で敵を撃っていた俺が言えたことじゃないが、イザークが変わるにはちょうど良い機会なんだろうさ」

 

ザフトの内側でも、少しずつ変化が起きようとしていた。




今回の戦闘は、
・Gの数の差が4:1から2:3になっている。
・残った2機もあまりやる気じゃなかった。
等の要因で連合が勝利しました。

安全に降下できるのでアラスカ基地直行ルートです。
ここから本格的に原作から逸れていくので、今までのように2日に1話のペースで投稿するのは難しくなると思います。
せめて無印編完結まではいきたいと思っていますので、気長に応援してくれるとありがたいです。

本作アスランは1度だけトゥ!ヘァ-!を...

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