ありふれた職業で世界最強withオリキャラ&ウマ娘 作:気まぐれのみった
魔法によって崩れた石橋。その橋と共にハジメが奈落に落ちた。今まで疎ましく思いながらもクラスメイトとして近くにいた者が死んだ。その恐怖に生徒達は顔を青ざめさせていた。ウマ娘達もそれは同様で別段仲の良い関係ではなかったが同じ召喚組として共に戦う仲間が散っていった。それが彼女達の心を恐怖させた。
香織は未だにハジメを助けようと奈落へ飛び込みかけていた。必死に雫と光輝が止めようとしているが香織は錯乱したかのように暴れ回る。するとメルドが近づき香織に手刀を落とす。これにより香織は気絶する。光輝はメルドを睨むが雫は香織を止めてくれた事に礼を言っていた。その後は生徒達を光輝が、ウマ娘達をルドルフが鼓舞して迷宮からの撤退を始める。そんな中シュウガは未だに奈落を見つめていた。
ルドルフ「シュウガ君…………。」
シュウガ「ん?ああ、すまない。撤退だったな。」
ルドルフ「ああ。大丈夫かい?その…………。」
シュウガ「俺の事なら心配いらない。先の事を考えるのはここを出てからだ。さぁ行こう。」
そう言ってシュウガも撤退を始める。
シュウガ(ハジメ、『諦めるなよ。』)
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その後紆余曲折あって何とか一階層の正面門前の広場に辿り着いた。生徒達やウマ娘達は次々に座り込みホッと一息ついていた。だが雫やハジメが助けた優花など一部の生徒は暗い表情であった。
メルドは二十階層で見つかったトラップやハジメの死亡報告をしていた。そんな中シュウガは比較的落ち着いていた。
テイオー「ねえシュウガ。シュウガは落ち込まないの?」
シュウガ「ん?」
そんなシュウガにテイオーが問いかける。その場にいる全員の視線が二人に向く。
テイオー「ハジメはさ、シュウガの弟子なんでしょ?その弟子が死んで悲しくないの?」
テイオーの疑問は至極当然のものだ。その疑問にシュウガは答える。
シュウガ「そうだな。こう見えて内心落ち込んではいるよ。ただ幼い頃から忍として任務をこなしてきた都合上、仲間の死って言うのは俺にとって身近なものだった。だから、こう言っちゃあれだがもう慣れたのかもな。」
テイオー「慣れたって、そんな…………。」
シュウガ「お前達は慣れるなよ。」
テイオー「え?」
シュウガ「誰かの死に慣れるなんて普通じゃない事俺でも分かってる。それが悲しい事も。だからお前達は俺のようになるな。ここまで来たら、引き返せないからな。お前達はそのままでいてくれよ?」
テイオー「シュウガ…………。」
シュウガ「まぁそう言う事だ。とりあえず今日はもう休め。先に戻ってるとメルドの旦那に伝えてくれ。それじゃ。」
そう言い残すとシュウガは一足早く宿へと戻って行った。その後報告を終えたメルドと共に残された者達も宿へと向かうのだった。
一行はホルアドで一泊した後、早朝には高速馬車でハイリヒ王国へと戻って行った。訓練を続けられるような状況ではなかったし何より勇者達のケアが必要と判断されたからである。
そして帰還した際の国王やイシュタル達教会との謁見でハジメの死亡が伝えられた。最初は勇者一行から死者が出た事に驚愕されたがそれがハジメだと分かるとほとんどの者達が安堵の表情を見せた。イシュタル達上の連中にもハジメは天職錬成師の無能扱いされていたのである。安堵の表情を見せたのはまだいい方で、中には直接ハジメを罵る言葉を口にする者までいた。
ここで本来は光輝が一番に抗議するのだがそれよりも先に動いた者がいた。突如部屋全体が圧を受けたかのように感じたのである。召喚組やメルド達付き添いの騎士達は普通に動けるがハジメの死に安堵した者、特に酷く罵った者達は今にも気絶せんとばかりに震えていた。召喚組とイシュタルはこの現象に覚えがあった。その犯人にも。
シュウガ「ほーう?俺の弟子が無能ねえ?」
そうシュウガである。シュウガはハジメを罵った者達にだけ覇王色の覇気を強くぶつけていた。
シュウガ「まぁ、上でふんぞり返っているだけの本当の無能にはハジメの素晴らしさは理解できないか。」
貴族A「な、何だと?!貴様ふざけた事を!!」
光輝「シュウガさん、言い方がおかしいです!でも死んだ人間を悪く言うのは良くありませんよ!イシュタルさん達が間違ってます!」
こうして勇者である光輝も続いて抗議した。ここで悪い印象を持たれたくなかったのかハジメを罵った者達は後日処分を受けた。
その後ハジメが落ちた時の出来事は詮索が禁止された事により有耶無耶のまま話は強制終了となった。メルドは事をハッキリさせるべきと考えていたが国王にまで止められては動く事ができなかった。
それから数日して眠り続けていた香織が目を覚ました。皆中々目覚めない香織を心配していたのでこれでようやく一息つける。と思った矢先、何とシュウガから訓練場に集合して欲しいと言う伝言があったのだ。一体何なのか。まさかハジメに当たった魔法弾の事だろうかと戦々恐々しながら生徒達は訓練場へと足を運んだ。そこには既にウマ娘達が来ていた。メルド達遠征の付き添いの騎士達の姿もあった。
光輝「ルドルフさん。メルドさんも。皆さんもシュウガさんに集められたんですか?」
ルドルフ「ああ。恐らく白崎さんが目覚めるのを待っていたのだろう。だが何のために?」
そう話していると皆を集めた張本人であるシュウガがやって来た。
シュウガ「すまんな急に。集まってくれて感謝する。」
メルド「シュウガ。一体何のために我々を集めたんだ?あの件なら詮索は禁止されているが。」
シュウガ「ああそれなら分かってる。それも気になるところだが、今回はそれよりも重要な話がある。」
ルドルフ「重要な話?」
シュウガ「そうだ。俺はここに集まった者達の中から『ハジメ救助隊』を結成しようと考えている。誰か立候補する者はいるか?」
シュウガ以外「……………へっ?」
なんとシュウガはハジメ救助隊を結成すると言い出したのだ。その言葉に真っ先に食いついたのは香織だ。
香織「救助って、ハジメ君を助けに行くんですか?!」
シュウガ「その通りだ。俺一人でもいいが他にも行きたい奴がいるかもと思ってな。だから共に行くメンバーを募って部隊を作ろうと考えた。一緒に行くか?」
香織「はいっ!」
雫「ちょっと香織!いくら何でも即決過ぎるわ!シュウガさん、本気なんですか?!」
シュウガ「ああ本気だ。他にはいないか?」
光輝「待ってください!南雲は死んだんですよ!貴方だって見たでしょう?!奈落に落ちて行くところを!助かる訳がない!シュウガさん、弟子を失って気を落とすのは分かりますが変な事に皆んなを巻き込まないでください!」
シュウガ「何も根拠なしに助けに行くとは言わねえよ。ハッキリ言おう。ハジメは生きてる。だから助けに行く。それだけだ。」
スズカ「生きてるって…………、本当なんですか?何か確証でもあるんですか?」
シュウガ「確証はこれさ。」
そう言ってシュウガは一枚の紙を取り出す。
龍太郎「何だ、その紙?」
シュウガ「コイツは"ビブルカード"。別名命の紙と呼ばれている。コイツは対象の人物の爪の欠片や髪の毛一本を混ぜて作られる。この紙の特性は材料を提供した人物への道標となる事だ。平らな場所にこの紙を置くと小さく動き、その動きの先に必ず対象の人物がいる。これはハジメの髪の毛を混ぜて作ったハジメのビブルカードだ。この紙が動いた先に必ずハジメはいる。」
ブライアン「それでハジメを探そうと言う訳か。だがそれじゃあ生きている理由にならんぞ?」
シュウガ「もう一つ。この紙は対象の人物の生命力を表している。対象の人物の健康状態が悪くなると燃えるように小さくなり、回復すると紙も元通りになる。つまり対象の人物が死ねばビブルカードは完全に燃えてこの世から消えてなくなる。だがハジメのビブルカードはこの通り健在だ。つまり。」
香織「ッ!!ハジメ君は生きてる!!」
シュウガ「その通り。多少大きさの変動はあったが至って問題ない範囲だ。少なくとも、死んじゃいないのは確かだぞ。」
シュウガの言葉にその場にいる誰もが驚愕した。まさかあの奈落に落ちて生きているとは思ってなかったからだ。生存を信じていた香織も驚いていたが次第に喜びから涙が溢れてきた。
香織「うっ、うっ、良かった。ハジメ君生きてた。生きてたよ雫ちゃん!」
雫「ええ本当にね!良かったわね香織!」
シュウガ「従って俺はハジメを助けに行く。もう一度言うが俺一人でも問題ない。だが共に行きたい者がいるなら連れて行こう。どうする?」
香織「お願いしますっ!!私を連れて行ってくださいっ!!」
いの一番に立候補したのは香織だ。するとそれを止める者が現れた。光輝である。
光輝「待つんだ香織!本気なのか?!そんな危険な事に何故香織が行くんだ?!南雲の為になんでそこまでするんだ?!」
シュウガ「聞き捨てならんセリフが聞こえたが危険なのは確かだ。何せ俺が目指すハジメの居場所はお前達が恐怖したベヒモスが現れた階層よりも更に下だからな。ベヒモス如きにビビってるようじゃハジメの元には辿り着けんぞ。」
シュウガの言葉にあの日の恐怖が蘇ったのか顔を青ざめさせる生徒達。だが香織は強い眼差しをシュウガに向けながら答えた。
香織「約束したんです。私がハジメ君を守るって。なのに私は守られてばかりで、約束を守る事が出来なかった。だから今度こそ!私は恐怖を乗り越えて、ハジメ君を助けてみせる!あの日の約束を果たしてみせる!お願いです!私に力を貸してください!一緒にハジメ君を助けさせてください!」
そう力強く自分の意思を語った香織はシュウガを見据える。そこには必ずハジメを助け出すという固い決意があった。香織の言葉を聞き届けたシュウガはニヤッと笑って香織に答える。
シュウガ「いいだろう。お前の覚悟、受け入れた。お前なら傷ついているかもしれないハジメを治癒出来るだろう。頼りにさせてもらうぞ?」
香織「はいっ!任せてください!」
こうして救助隊メンバー第一号として香織が決まった。
光輝「か、香織、本当に行くのか?!」
香織「光輝君、ごめんね。でもこれだけは譲れないから。必ずハジメ君を助けてみせる。」
光輝「香織…………。」
香織の強い決意に何も言えなくなる光輝。すると今度は雫が口を開いた。
雫「香織。貴女が行くなら私も行くわ。」
香織「雫ちゃん?!」
光輝「雫?!」
何と雫も立候補したのだ。
雫「香織、貴女が彼と約束したように私も貴女と約束したから。力になるって。親友として、必ず力になってみせるわ。貴女一人に苦しい思いはさせない。」
香織「雫ちゃん…………。」
雫の言葉に感極まって泣きそうになる香織。雫はそんな香織に笑みを見せるとシュウガの方を向く。
雫「そう言う訳です、シュウガさん。貴方に比べたら微々たる助力かもしれませんが、それでも私は彼を想う香織の力になりたいです。お願いです。私も救助隊に入れてください。」
シュウガ「了解した。万が一俺が動けない時はお前が香織を守れ。任せたぞ。」
雫「勿論です!」
香織に続いて雫のメンバー入りが決まった。この事に光輝は酷く動揺していた。
光輝「そんな、雫まで…………。」
雫「そんな情け無い顔しないの光輝。」
光輝「雫………。」
雫「別にこれが今生の別れになる訳じゃないんだから。貴方や龍太郎の事は心配だけど、今は香織を支えたいの。必ず無事に帰ってくるから信じて待ってて。」
光輝「……………分かった。」
雫のその言葉に一言だけ返す光輝。香織と雫が自分から離れるのが相当ショックの様だ。もし彼に本当の勇者としての気概がこの時あれば自分もハジメの救助に行くと宣言したかもしれない。だが今の光輝はハジメへの嫌悪感が地球にいた頃より強まっている。その感情が光輝の意思と成長にストップをかけていた。
救助隊メンバーに香織と雫が決定した事に内心焦りと怒りを感じている者がいた。そう、檜山である。ハジメに当たった火球は檜山が放ったものであり、檜山はハジメを奈落に落とした事に対して罪悪感など持っておらずむしろ自分が正義とすら考えていた。しかしその事実をある人物に知られてしまい半ば脅される形でその人物と協力関係になる。香織を檜山のものにするという餌に釣られて。しかしシュウガからまさかのハジメ生存を聞かされた上にそのハジメを救助する部隊に香織が入るという事で計画が狂いだした。自分から香織が離れたらものに出来ない。何とかここに留まらせなければと考えた檜山は咄嗟に声を上げる。
檜山「ちょ、ちょっと待てよ!」
シュウガ「ん?どうした?」
檜山「何で南雲なんかを助けに行くんだよ!!ほっとけばいいじゃねえか!!あんな奴居なくていいだろっ!!」
檜山はつい本音を口走ってしまった。檜山のその言葉にハジメに好意を持つ香織は勿論雫達女子生徒、ハジメを毛嫌いしていた男子生徒、そしてメルド達騎士団にウマ娘達。挙げ句の果てには取り巻きの三人ですら、何を言ってるんだコイツは?!と信じられないものを見る目で檜山を見ていた。唯一シュウガだけはやはりと言う顔をしていた。そして香織は次第に檜山に対して怒りを見せる。
香織「檜山君。どうしてそんな酷い事言えるの?ハジメ君は生きてるんだよ?だから助けに行く。何も悪い事じゃないよね?」
檜山「あっ、いや、その、ええと。」
檜山は自分の発言に気づき弁解しようとするが頭が回らなかった。するとシュウガが口を開く。
シュウガ「まぁそんな発言をしてもおかしくはないな。」
マヤノ「シュウガちゃん?どう言う事?」
シュウガ「お前達はハジメに魔法弾が当たったのは事故だと思ってるだろうが恐らく違う。あれは最初からハジメを狙って放たれたものだ。つまりハジメをわざと奈落に落とした奴がいるのさ。」
香織「えっ?!」
ルドルフ「何だと?!」
シュウガ「そしてその犯人こそ、ここにいる檜山だろうな。そうだろ?」
檜山「っ?!」
シュウガと檜山以外「えええっ?!」
何とシュウガは檜山がわざとハジメを奈落に落としたと言い出したのだ。
光輝「待ってくださいシュウガさん!いくら何でもそんな事あり得ません!それが本当だったら殺人じゃないですか!クラスメイトの事を殺すなんてしませんよ!」
シュウガ「まぁ俺も証拠がある訳じゃないからな。だから檜山。お前に是非答えてもらいたい事がある。」
檜山「な、何だよ!」
シュウガ「ハジメが落ちた時、なんでお前だけ笑ってたんだ?」
檜山「っ?!」
そう、檜山はハジメが落ちた時に唯一満面の笑みだったのだ。気持ちの悪い、悪意のこもった笑顔をしながら奈落を見ていたのである。シュウガはそんな檜山の姿を目撃していた。
香織「ハジメ君が落ちた時、笑ってた?」
檜山「う、嘘だ!笑ってなんかねえ!仮にそうだったとしても俺が落としたなんて証拠にならねえだろ!」
シュウガ「だがそれだとさっきのお前の発言にも説得力があるんだがな。お前はハジメの事が嫌いだった。それはお前がハジメを襲ったあの日に皆が確信している。そしてハジメが落ちた時の笑顔。自分にとって目障りな人間が居なくなった事に喜びを感じていたのだろう。だから助けに行く事に反対した。戻って来て欲しくない、或いは救助に行って欲しくない理由がある。そうだろ。」
檜山「う、で、でも俺は落としてねえ!」
シュウガ「まぁちゃんとした証拠がない以上お前を強制的に罰せるとは思ってないさ。だから俺はお前を含めた全員に救助隊メンバーを募った。お前にもしも、まだ良心と言えるものが残っているのなら、ハジメを助けようと立候補してくるかとほんのちょっとだけ考えた。これまでの罪を償う機会になる可能性もあった訳だ。この救助隊は俺からお前への最後の温情でもあったんだよ。結果は罪を償うどころか、益々外道である事が判明しただけだがな。」
檜山「そ、それがなんだってんだよ!」
シュウガ「俺はお前達の地球への帰還に手を貸すと言ったな?だが檜山、お前に関しては例外だ。」
檜山「はっ?」
シュウガ「地球への帰還という最低限の約束は果たそう。だがそれ以外、魔物との戦闘や魔人族との戦争において俺はお前を助けない。全て自分で何とかしろ。」
檜山「なっ?!」
檜山の事を助けないと宣言したシュウガ。そう、この救助隊はシュウガから檜山への最後通告でもあったのだ。これで少しは償いの意思を見せるならまだ良かった。だが実際は檜山の最低な人格が露呈しただけ。結果檜山は見事にシュウガに見捨てられたのである。
光輝「そんな?!檜山が可哀想ですよ!」
シュウガ「ならお前が俺の立場だった時、檜山を受け入れる事ができるか?」
光輝「えっ?どう言う事ですか?」
シュウガ「今の俺のポジションは大切な弟子を殺されかけた師匠であり、その犯人と思わしき人物が反省もせず更には救助の反対までしてきた。お前が俺のポジションにいた場合、そんな奴を受け入れる事が出来るか?」
光輝「そ、それは…………。」
シュウガ「出来ないだろ。少なくとも俺には無理だ。俺は何でも許せる聖人じゃないんだ。俺にだって許せる限界はある。その限界を檜山は超えてきた。だから見限った。それだけだ。」
シュウガの言葉に光輝は反論出来なかった。シュウガに言われた通り自分に当てはめて考えた時、確かに自分も許せないと思ったからだ。ただそんな相手が自分のクラスメイトなのが光輝にはショックだった。香織と雫の救助隊入りの事もあり、光輝の心は複雑な思いでいっぱいであった。
シュウガ「まっ、そう言う事だから。檜山、帰還までに無事生き残れるといいな。」
檜山「ッ〜〜〜〜〜チクショウッ!!勝手にしやがれ悪党ども!!南雲なんか死んじまえ!!」
檜山はそう叫んでから訓練場を出て行った。取り巻きの三人は困惑しながらも檜山を追いかけていった。明らかに異常な檜山をその場にいるもの達は異様なものを見る目で見送ったのであった。
シュウガ「さてと、話が逸れたな。とりあえず檜山の事は自分でどうにかしてもらおう。さぁ、続きだ続き!他に救助隊に入りたい奴はいるか?」
その言葉に香織と雫を除いた全員が考え込む。少しして一人の女子生徒が声を上げた。
優花「私、行きたい。南雲を助けたい!」
奈々「優花っち?!」
妙子「優花?!」
それはあの日、ハジメがトラウムソルジャーから助けた優花であった。優花の立候補に親友の宮崎奈々と菅原妙子が驚きの声を上げる。
シュウガ「特に資格とかはないが一応理由を聞いておこう。どうして助けたい?」
優花「私、あの骸骨に殺されそうなところを南雲に助けてもらったんです。南雲がいなかったら私はとっくに死んでた。だからそのお礼が、恩返しがしたいんです!次は私が南雲の命を助けたい!こんな私で役に立つか分からないけど、でも助けられる希望があるのなら私は行きたい!お願いします!」
優花はそう言ってシュウガを見つめる。その瞳には確かな決意が見えた。
シュウガ「よし分かった。なら行くぞ。期待させてもらう。」
優花「はいっ!奈々、妙子。そう言う事だから、私行くね。」
奈々「優花っち…………。うん、分かった!絶対生きて帰って来てね!」
妙子「私達も自分の出来る事頑張るから!」
優花「ええ、約束する!」
こうして三人目のメンバーが決まった。すると今度はルドルフがシュウガに問いかけてきた。
ルドルフ「シュウガ君。この救助隊は君の助けにもなるのかい?」
シュウガ「ん?そうだな。もしもの時に俺以外に動ける人員がいればありがたいな。」
ルドルフ「そうか。よし分かった。なら私も救助隊に参加しよう。」
テイオー「えっ?!カイチョーも?!」
なんと出身世界の違うルドルフも救助隊に参加を表明したのだ。
ルドルフ「ハジメ君を助けたいのはそうだが、それと同時に私は君の助けにもなりたいんだよ、シュウガ君。」
シュウガ「俺の?」
ルドルフ「ああ。もしもの時は私が君の力になると約束しただろう?きっと今がその時だ。君の背中を守らせてくれ。そして必ずハジメ君を救出しよう。」
ルドルフはそうシュウガに語りかける。ハジメの事もそうだがルドルフはシュウガの身も心配していた。ならば自分が守ってみせると救助隊に立候補したのである。
シュウガ「そうか。よし、分かった。なら俺の背中をお前に預ける。お前の背中を俺が預かろう。互いに守り合うんだ。よろしく頼むぞ。」
ルドルフ「ああ、了解だ。」
救助隊メンバー四人目はルドルフに決定した。するとその光景を見ていた他のウマ娘達が少し考えた後、互いに目を合わせて頷き合った。そしてエアグルーヴが代表してウマ娘達の総意を話す。
エアグルーヴ「会長。シュウガ。我々ウマ娘全員、救助隊に参加します。」
ルドルフ「何?」
シュウガ「ほう。」
エアグルーヴ「会長はシュウガの力になると言いました。それはここにいるウマ娘全員の考えでもあります。シュウガには助けてもらうばかりで何も返せていない。もしこれで力になれるなら、私達は皆シュウガについて行きます。シュウガは気にするなと言うでしょうが、それでも。」
そう言って強く前を見据えるエアグルーヴの言葉に強く頷き皆んな同じ気持ちだと伝えるウマ娘達。
シュウガ「OK。なら来るといい。チームとしての動きの幅が広がるのはありがたい。ルドルフもそれでいいか?」
ルドルフ「勿論さ。皆んな、必ずハジメ君を助けよう。」
ウマ娘達「おーっ!!」
ルドルフ「そう言う事だ。微力ながらハジメ君の救出を手助けさせてもらう。よろしく、香織。」
香織「はいっ!よろしくお願いしますルドルフさん!心強いです!」
これによりウマ娘全員の救助隊参加が決まった。これでメンバーが揃ったかと思われたその時、もう一人声を上げる者がいた。
メルド「その救助隊、俺も参加させてもらってもいいか?」
騎士アラン「団長?!」
騎士団長のメルドである。メルドは当初から子供である生徒達やウマ娘達を戦争に巻き込む事に苦悩していた。大人として子供を守る。それなのにその子供に武器を持たせて戦わせなければならない。そんな自分が情けなかった。そして遠征でハジメを死なせてしまったと思った時は死ぬ程後悔した。自分にもっと力があれば。そう思わずにはいられなかった。だからハジメの生存が分かった時は心の底から嬉しかった。そしてそのハジメを助けに行く。メルドはそれを己の人生における最大の責務だと考え覚悟を決めた。自分の命と引き換えにしてでも必ずハジメを助け出す。それが自分の使命だと見定めたのである。
メルド「あの日の責任を取ると言う意味だけではない。俺自身が、この身に換えても助けたいと思ったからだ。大人として、子供の未来を守る。実力不足かもしれんが、その責務をどうか果たさせてくれないか?頼む!」
そう言ってシュウガに頭を下げてまで頼み込むメルド。そんなメルドにシュウガは条件を出した。
シュウガ「一つ条件がある。」
メルド「なんだ?」
シュウガ「例えどんな事があろうとも、死んで犠牲になろうなんて考えるな。ハジメを助ける。そして皆んなで生き残る。それがこの救助隊の鉄則だ。必ず生きて帰ってくるぞ。」
メルド「っ!!そうだな。約束しよう。しかしそれを言った本人であるお前も死ぬなよ?」
シュウガ「分かってるさ。アンタには相応の経験値がある。いざというときの指揮官は任せるぜ旦那。」
メルド「ああ、任せてくれ。」
そう話すとメルドは騎士団員達に向き直る。
メルド「そういう訳だ、お前達。悪いが俺はしばらく抜ける。俺がいない間、子供達を任せたぞ。」
騎士アラン「団長…………。分かりました。必ず子供達を守ります。だから団長、死なないでくださいね。帰りを待ってます。」
メルド「勿論だ。」
シュウガ「よし。メンバーはこんなところでいいだろう。もう一度言うが、この救助隊は皆んなで生き残る事。それを前提にした上で、全力でハジメを助け出す!いいな?!」
救助隊メンバー達「了解!!」
こうして救助隊はシュウガをリーダーに香織、雫、優花、シンボリルドルフ、エアグルーヴ、ナリタブライアン、トウカイテイオー、マヤノトップガン、スペシャルウィーク、サイレンススズカ、オグリキャップ、タマモクロス、メルド団長の総員14名で結成された。
ハジメを助け出すため、決意を固めた戦士達が動き出す。
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檜山「クソがっ!何でこうなるんだよ!」
王城の一室。檜山に与えられた部屋。そこで檜山は荒れに荒れていた。自業自得の結末なのに檜山は未だに自分が間違っていると思っていない。光輝とは方向性が違うが彼もまた自分が全て正しいと考えているのだ。するとその時、
???「やれやれ、随分と荒れてるね。」
檜山「っ?!」
檜山の部屋の中に何者かが侵入していた。それは檜山を脅して協力関係に持ち込んだとある人物であった。
檜山「テメェどうやって入った?!」
???「鍵、かかってなかったよ。それより凄まじい荒れ具合だね。まぁ無理もないか。生きていたとはいえ南雲を殺した事がバレて、うちはシュウガからは見捨てられて、挙句には愛しい香織姫は救助隊として南雲の元へ行っちゃうんだから。踏んだり蹴ったりだよねー。見てて笑うの我慢するの大変だったよ。」
檜山「テメェッ!!」
???「まぁ待ちなよ。まだ終わった訳じゃない。僕の計画通りに動けばいずれ白崎香織は君のものになる。果報は寝て待てっていうぐらいだしね。焦って事を仕損じるよりは気長にやっていく方が確実だし後の喜びも大きいでしょ。」
檜山「そりゃそうだけどよ………。」
???「それに、計画を進めるのにあのうちはシュウガってのは邪魔だったからね。そういう意味ではこの救助隊はありがたいね。奴らのいない間に舞台を完成させておこうよ。」
檜山「……………分かった。こうなったら何が何でも成功させてやる!もし南雲が帰ってきたら今度こそ地獄を見せて俺が正義なのを分からせてやるっ!」
そう話す檜山の顔はもはや人間とは思えないほどに憎悪で歪んでいた。
???「やる気なのはいい事だ。まっ、変に気取ってバレないようにね。それじゃ。」
そう言ってその人物は檜山の部屋を出る。
???「ふふっ。やっぱりバカは扱いやすくていいね。救助隊の事といい僕に運が回ってきたみたいだ。よーし、頑張っちゃうぞ!綺麗に掃除してあげるからねー光輝君!」
こうしてその人物は通路の暗闇に消えて行ったのであった。
第9話、ご覧いただきありがとうございます。
今回は檜山へのプチ制裁、そしてハジメ救助隊結成でした。ちょっと人数多いかなとも思いましたがこの辺が妥当と考えこのまま行く事にしました。次回は救助隊が本格的に動きます。どうぞご覧ください。
最後に檜山の歪みが行くとこまで行きました。きっと碌な最期にならないでしょう。では、また次回もよろしくお願いします。