ありふれた職業で世界最強withオリキャラ&ウマ娘 作:気まぐれのみった
今回はオリジナルの魔物との戦闘模様と探索隊のメンバー達に大きな変化が起きるお話しとなっています。果たして何が起こるのか、是非ご覧ください。
ではどうぞ。
オルクス大迷宮からの脱出を目指して下の階層の探索へと乗り出したシュウガ達探索隊。その探索はシュウガ、そして奈落でパワーアップしたハジメの活躍によって比較的スムーズに進んでいた。だがその二人が相手をする魔物が規格外に強かった。そんな探索の一部始終はと言うと、
灯りのない真っ暗闇の階層に潜む相手を石化させる眼を持つバジリスクの様な魔物。探索隊の何人かが体の一部を石化させられ危ういところをハジメのエネルギー錬成によって生み出したライフル銃による狙撃でバジリスクを撃ち抜いた為事なきを得た。
シュウガの見聞色でも気配を追うのが難しい気配遮断の固有魔法を持つサメの魔物。摂氏100度で発火するタールの泥沼を泳ぎ回るそのサメの奇襲を受け負傷者が出たが即座にシュウガが自然エネルギーを取り込み仙人モードを発動。気配ではなく魔力(シュウガにとってのチャクラ)を感知する事で居場所を特定。草薙の剣を用いた剣術によって全てのサメが斬り伏せられた。
と言う具合で普通では対処の難しい強力な能力を持つ魔物が探索隊の前に立ちはだかった。
他にも毒の痰を吐き出す虹色の体色をしたカエル、相手を麻痺させる鱗粉を撒き散らす蛾、体の節ごとに分離して数を増やして襲ってくる巨大なムカデなどと言った魔物達が各階層毎に現れた。能力だけでも厄介なのに根本的な基礎スペックがそもそも高く正直なところシュウガとハジメ以外のメンバーの攻撃が殆ど効かないレベルであった。
そんな魔物達を相手に探索しながらおおよそ35階層ほど下の階層まで降りてきた。この階層に辿り着くまでの間に脱出に繋がりそうなルートは見つからなかった。覚悟していたとはいえここまで見つからないとなると流石に気が滅入ってしまう。そんな中今度はライオンの見た目をした魔物と遭遇して戦闘となった。相手はバカデカいオスライオン一頭をボスにその周りを十二頭のメスライオンが固めていた。
早速各々が連携をとるなどして戦い始めたがやはりシュウガとハジメ、そして餌として自分より強い魔物の肉を食らってパワーアップしていた二尾狼達以外は明らかに苦戦を強いられていた。更にボスであるオスライオンの固有魔法によって群れの仲間にステータス上昇のバフがかかった為窮地に陥る事になる。
しかしここで自分の相手をしていたメスライオンを火遁・豪火球の術で焼き尽くしたシュウガが影分身を作りそれぞれのメンバーの救出を行った。
メルドや雫の剣が通らなかったのを草薙の剣で斬り裂き、タマモクロスの雷魔法が効かなかったのを雷遁忍術を放って打ち倒し、ブライアンの格闘が通じなかったのを体術・表蓮華を繰り出して粉砕するなどして次々にメスライオンを撃破。影分身の活躍によって残りはオスライオンのみとなった。群れのメス達がやられて怒り狂ったオスライオンが襲いかかってきたがスピードはそこまでなかったので最前線にいたシュウガとハジメはあっさりと避けてそのままオスライオンの頭まで跳躍。その際に体にひねりを加えて回し蹴りの体勢に入る。そしてコンビネーション体術である"木ノ葉つむじ旋風"をオスライオンの頭部に炸裂させた。強烈な回し蹴りの挟み撃ちを受けた頭部は頭蓋骨から脳まで粉々となりオスライオンを絶命させた。こうして戦闘は終了したのである。
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ライオンの群れとの戦闘を終えた探索隊は現在ハジメの錬成によって作られた壁の中の簡易拠点で体を休めていた。
シュウガ「ハジメと合流した階層から数えて35階層は進んで来たが、やはりと言うべきか上に行けるような脱出ルートは見つからないままか。こうなると完全にこの迷宮を攻略しない限り脱出の糸口は掴めそうにないかもしれんな。」
ハジメ「そうですね。道中の魔物もどんどん強くなってきてますし、ますます厳しい探索になりそうですね。」
拠点内では休憩を取りつつシュウガとハジメが現状について話あっていた。シュウガは元より今やハジメもすっかり強者の風格が出始めている。そんな今のハジメのステータスはと言うと、
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル21
天職:錬成師
筋力:8060
体力:7600
耐性:6900
敏捷:7500
魔力:8500
魔耐:8500
技能:言語理解・グルメ細胞適合者[+エネルギー物質化]・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+エネルギー錬成]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・体術
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この様になっていた。表示されている数値がとんでもない事になっている。グルメ細胞による進化に加えて魔物肉の強化があった事によりフィジカル面での成長が凄まじい。それだけだなく、錬成の技能に派生がかなりできている他、グルメ細胞のエネルギーの物質化や食した魔物の固有魔法などを得たりと技能面の成長もずば抜けている。このスペックは間違いなく探索隊の中でもシュウガに次ぐ強さである。これでもまだレベルが21なので今後の伸び代の方が大きい事にも驚かされる。そんな超絶パワーアップしたハジメを頼もしく思うシュウガだが、それが仇になりつつある現状を危惧していた。
仇になると言うのはハジメに何かあるという事ではなく強くなったハジメに探索隊のメンバーがついていけなくなっている事であった。
その事はメンバー達自身も自覚し、そして現在とてつもなく落ち込み凹んでいた。今もシュウガとハジメから離れた位置で暗い顔をして固まっておりため息をつく者もいた。メンバー達は元々ハジメを助ける為にこの迷宮に飛び込んで来た身である。その為何が何でもハジメを助けて守り抜く事を考えていた。ところが今となってはそのハジメに逆に助けられて守られると言う状況になっていた。そんなあまりにも力のない自分達が情けなく、そしてどうしよもない絶望感を味わっていた。これでは何の為に自分達はやって来たのか分からない。どうすれば役に立てるのかと考えても考えても答えが出ずにいた。
テイオー「はあーあ。僕達完全に足手纏いだね。」
メルド「まさかここまで自分の力が通じないとは…………。情けないにもほどがある。」
雫「魔物の強さが、明らかに別格すぎる。このままじゃ私達、何の為に来たのか分からないわ。」
メンバー達「はあー…………。」
と言う状態になっている。そんな酷い落ち込みようのメンバー達にハジメはどう声をかけたらいいか分からず気まずく思っていた。シュウガもこればかりはどうするべきかと悩みに思っていた。
二尾狼達「クゥーン………。」
すると二尾狼達が落ち込んでいるテイオーとマヤノを励ますかのように擦り寄ってきた。因みにこの狼達はテイオーとマヤノからケルベロス、オルトロス、ティンダロスと名付けられた。
マヤノ「ケルちゃん、オルちゃん、ティーちゃん。ありがとう。励ましてくれて。」
ブライアン「……………そういえばソイツらも中々強いな。」
エアグルーヴ「と言うより、強くなったと言うべきじゃないか?初めて出会った階層にいた頃より明らかに力が増している気がするが。」
ルドルフ「恐らくハジメ君同様に魔物の肉、それも自分より強い魔物の肉を食べた事によって彼等も進化したんじゃないだろうか?確かここまでくる間に何種類かの魔物肉を食べさせていたはずだから。」
優花「成程。それで熊の魔物より強そうな奴らとも戦えてたんだ。」
香織「魔物の肉で………………。っ?!そうだ!」
その時、香織が何かを思いついたようで声を上げた。
雫「ちょっと香織?いきなりどうしたのよ?」
香織「うん、もしかしたら、強くなれる方法を思いついたかもしれない。」
メルド「何?本当か?」
香織「はい。ただ、かなり危険な賭けになると思います。」
スズカ「危険な賭け?いったいどんな方法なの?」
香織「はい、それは___________」
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休憩を始めてしばしの時が過ぎた。そろそろ探索を再開しようとシュウガとハジメが動き始めた時であった。
ルドルフ「シュウガ君。ハジメ君。」
香織「少しいいですか?」
シュウガ・ハジメ「ん?」
不意に声をかけられた二人は声の主であるルドルフと香織の方を向く。するとそこには探索隊のメンバー全員が集まっていた。
シュウガ「どうした?何か用か?」
ルドルフ「ああ、実は君達にお願いがあってね。」
ハジメ「お願い?」
香織「うん。ハジメ君。シュウガさん。私達にも魔物肉を食べさせてもらえませんか?」
シュウガ「何?」
ハジメ「ええっ?!」
彼女達からのお願い。それは自分達も魔物肉を食べたいと言うものであった。
ハジメ「ちょっと皆んな?!正気なの?!前に話したでしょ?!体がバラバラになる程の痛みがあるって!!」
香織「うん、覚えてるよ。ハジメ君の話とハジメ君自身の変化を見れば、どれだけ凄まじいかよく分かるよ。」
ハジメ「それなら何で?!」
香織「例えそれだけのリスクを背負っても、私達は強くなりたい。そう決意したの。」
ハジメ「っ!!強くなりたい気持ちは僕にも分かるよ!!かつての僕も同じだったから!!でも、だからってこんな自殺行為のような事しなくても!!」
雫「それを言ったら貴方だって、グルメ細胞を直接注入するなんて危険な事したじゃない。」
ハジメ「それはそうだけどっ!でも僕は、皆んなが辛い思いするの分かってるのに止めないなんて出来ないよ!どうしてそこまでして強くなりたいの?!」
優花「そんなの南雲の為に決まってるじゃん。」
ハジメ「えっ、僕の為?」
メルド「そうだ。俺達はお前を助けに来たんだ。それなのに現状は助けるはずのお前に逆に助けられてしまいお荷物同然になっている。このままでいいわけがない。強くなったお前の力になる為にも、俺達も強くならなきゃいけないんだ。」
ハジメ「そんな、僕は今のままでも皆んなをお荷物だなんて思ってないよ!僕は皆んながここまで来てくれただけで充分嬉しいんだ!だから今度は僕が皆んなの力になりたいんだ!皆んなが苦しんで強くなる必要はないよ!」
ルドルフ「ああ、君ならそう言うと思っていたよ。君の気持ちはおおよそ分かっているつもりだ。だからこれは私達のわがままだ。」
ハジメ「えっ?わがまま?」
エアグルーヴ「そうだ。これは私達が勝手に望んだ事だ。」
ブライアン「勝手だからこそ、お前が気に病む事など何もないと言うわけだ。」
ハジメ「そ、そんな事できるわけ…………。」
香織「…………ハジメ君。私ね、今夢があるの。」
ハジメ「夢?」
香織「うん。この先どんな事があっても、ハジメ君の隣に立ちたいって。隣に立って、ハジメ君のことを支えてあげたいって。後ろで守られてばかりじゃ出来ない、対等な助け合い。ハジメ君とそんな事が出来るようになりたいんだ。」
ハジメ「香織さん……………。」
香織を始めとするメンバー達の決意を聞きハジメは何も言えなくなってしまった。すると今まで黙っていたシュウガが口を開いた。
シュウガ「…………俺からも少しいいか?お前達は仮にここで力を手にしたとして、その力を持ったままこの先を生きていくのに不安はないか?俺としては特にウマ娘達がこの手の事で気になっている。」
ルドルフ「私達がかい?」
シュウガ「そうだ。お前達は元の世界では沢山の観衆の前でレースを行なうアスリートであったのだろう?だが今のお前達はこの世界に来て本来得るはずのなかった力を身につけた。当然基礎的身体能力も向上している。現時点でもそれなのに、ここで魔物肉の強化が入ればまず間違いなく後戻りの出来ない領域に足を踏み入れる事になる。そうなれば元の世界に帰っても以前通りに走る事は出来ない。最悪レースを出禁になるだろう。それでも強くなる事を望むか?」
ルドルフ「…………シュウガ君。君の指摘はまさにその通りだ。その事は既に私達も考えつき、これ以上にないほど悩んださ。強くなる決意は、その果てに皆んなで出した答えだ。」
シュウガ「その答えに辿り着いたのは何故だ?」
テイオー「多分だけどさ、このままでいた方が走るのが楽しくなくなる気がするんだ。」
シュウガ「楽しくなくなる?」
マヤノ「うん。もしこのまま守られてばかりで、シュウガちゃんやハジメちゃんに何かあって、その上で帰れたとしても楽しく走れないよ。」
スペ「この世界に来てすぐの頃は、助けて欲しい思いもたくさんありました。でも今は。」
スズカ「あなた方におんぶに抱っこのままでいるんじゃなくて、本当の意味で、共に助け合いたいんです。」
オグリ「その為にはもっと強くなる必要があるんだ。どんな方法であったとしても。」
タマモクロス「そんで強くなって、助け合って、それで帰った方がアンタら踏み台にして帰るよりも楽しく走れると思うんや。例えレースを出禁になったとしてもな。」
ルドルフ「まぁそんな感じで、あくまで私達のわがままと言うわけだ。このまま弱くいるより、強くなって君達と助け合った上で帰りたい。それが私達ウマ娘の総意だ。」
香織「私や雫ちゃん。優花ちゃんにメルド団長も同じ気持ちです。この先かつて通りの生活が出来なくなったとしても、ここで弱いままでいるよりも、強くなる事を選びます。だからお願いします。私達にも魔物肉を食べさせてください。」
真っ直ぐにシュウガとハジメを見据えたメンバー達は真剣な面持ちで己の決意を語った。メンバー達の話を聞いたシュウガもまた真剣にメンバー達を見据えていた。そして、
シュウガ「…………よし、分かった。そこまで言うなら俺は止めない。協力しよう。」
メンバー達「!!」
ハジメ「シュウガさん?!」
シュウガはメンバー達の決意を受け入れる事にしたのである。
ハジメ「そんな?!いいんですか?!」
シュウガ「全員の目を見てみろ。これはテコでも動かないと言わんばかりの決意をした目だ。そこまで決意してるのであれば、俺達に止める権利はない。そうだろ?」
ハジメ「それは、そうですけど…………。」
シュウガ「それならお前も、自分の思いを固めて、皆んなの思いに向き合ってやれ。ここで下手に反対しても、最早意味は成さないぞ。」
ハジメ「…………………分かりました。」
そう言うとハジメはメンバー達の方を向いて自分の思いを語る。
ハジメ「正直、皆んなには僕みたいな経験はして欲しくない。でも、皆んながそこまで決意してるのなら、僕ももう止めない。ただ約束して欲しい。絶対に死なないで。」
香織「うん、約束する。」
ルドルフ「勿論だとも。」
ハジメ「……………皆んなを信じるよ。」
こうして固い決意の元、メンバー達のパワーアップが決定した。
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シュウガ「さて、取り敢えず皆んなの思いは受け取った。だがその上で、パワーアップするのに少し問題がある。」
テイオー「えっ?まだ何かあるの?」
シュウガ「ああ。ハジメの話を聞く限り、魔物肉を食らった際に神水は必須のようだ。お前達はグルメ細胞がないからその分神水の量も多めに必要だろう。だが今現在ストックしてある神水はそこまで多くない。」
そう言ってシュウガは時空間からストックしてある神水を全て取り出す。因みに今のシュウガなら短時間に小さく時空間を開くだけならわざわざ万華鏡輪廻写輪眼にならなくても行使可能である。
取り出した神水はハジメが錬成して作った石の容器に収められていた。
シュウガ「ハジメ。経験者のお前から見て、この量の神水で何人分あると思う?」
ハジメ「うーん、これだと今後の事も含めて考えて四人分と言ったところですね。」
香織「えっ、それじゃあ全員で魔物肉のパワーアップが出来ないの?」
シュウガ「ああ、そうなるな。」
メルド「うーむ、それは困ったなぁ。出来れば全員で強くなりたいのだが、何か方法はないか?」
優花「あっ、そう言えばシュウガさん。たしかグルメ細胞のストックがまだあるんでしたよね?それはどうですか?」
シュウガ「そのストックだが、それもそこまで数はない。魔物肉でパワーアップする分を引いても残り九人。残り全員分の細胞は流石にないぞ。」
マヤノ「そんな。せっかく皆んなで覚悟決めたのに。皆んな揃って強くなれないの?」
シュウガ「ふーむ。そうだなぁ…………。」
シュウガはそう呟くと深く考え込み始めた。自分が協力できる事で皆を強化するにはどうするか。しばらく考えたところでシュウガは一つの案を思いついた。
シュウガ「そうだ。あれを使えばもしかしたら。」
ブライアン「何だ?何か思いついたのか?」
シュウガ「ああ。コイツを使えばいけるかもしれない。」
そう言ってシュウガは再び時空間を開きある物を取り出した。
それは手のひらサイズの肉肉しい質感をした何かの実のようなものであった。
ルドルフ「シュウガ君。それは一体なんだい?」
シュウガ「コイツは言ってみればチャクラの実モドキのようなものだな。コイツはかつて俺が戦った"十尾"から抜き取ったチャクラを圧縮したものだ。」
雫「十尾?何ですかその十尾って?」
シュウガ「お前達は俺が大筒木一族を追っているという話は覚えているか?」
エアグルーヴ「ああ、覚えているが。」
シュウガ「その大筒木が吸い上げた星の命をチャクラの実に変える為に用いるのが十尾だ。見た目はその名の通り十本の尾を持つ巨大な怪物。大筒木はその十尾をいわゆる苗木として対象の星に植え付けるんだ。植え付けられた十尾は根を下ろし、その後"神樹"と呼ばれる巨木に成長、そうして星の命を吸い上げてチャクラの実を実らせる。大筒木はそうやってチャクラの実を収穫して星を滅ぼしている。」
タマモクロス「いやごっつう恐ろしい話やな。そんなヤバいもんに関係するのがそれなんか?」
シュウガ「ああそうだ。コイツは以前戦った大筒木が使役していたそこそこの大きさの十尾二体分のチャクラを俺が一つに固めて作り上げた物だ。十尾は単体での戦闘力も凄まじいからな。間違いなく今までお前達が戦ってきた魔物が赤子のように思えるだろう。それでだ。そんな化け物のチャクラの塊であるコイツを食らえば、とんでもないパワーが手に入るとは思わないか?」
スペ「た、確かに!」
スズカ「と言う事はつまり、魔物肉の代わりにそれを食べてパワーアップを図ろうと言うわけですね?」
シュウガ「そう言う事だ。」
シュウガの出した提案。それはシュウガが以前手にして保管していた十尾のチャクラを固めた物を食らう事でのパワーアップだった。
ハジメ「でもシュウガさん。それってもしかして一つしかないんじゃありませんか?それに、そんな恐ろしい力の塊なら、食べたら魔物肉と同じ事になりかねないと思うんですが。」
香織「あっ確かに。」
シュウガ「それについても考えがある。ハジメの言う通り、コイツを食らうのはかなりのリスクがある。俺の見立てでは、今のお前達の誰であろうとコイツを丸々全部食えば間違いなく力を制御出来ずに死ぬ。」
オグリ「そんな。それではダメじゃないか。」
シュウガ「ああ。だがそれは、一人だけが全部を食った場合だ。俺が考えてるのは、コイツをある程度の大きさで何個かに切り分けたものを複数人で食べるという事だ。切り分けた分食らった時のリスクは減少するだろう。それにこれならコイツ一つで何人かまとめて強化する事が出来るだろうからな。
加えてコイツは俺が扱いに慣れているチャクラだ。コイツを食らった際の身体への負担は俺のチャクラをお前達に流す事で、食らったチャクラと同化させればある程度俺がコントロールしてサポート出来る。つまり俺自身が神水の代わりになってお前達を手助け出来ると言うわけだ。この方法ならお前達を強くできるかもしれない。俺のサポートを信頼してくれるなら、どうだ?やってみるか?」
シュウガのこの提案にメンバー達は一瞬考える素振りを見せた後、互いに顔を見合わせて頷きあった。そしてシュウガに答えを示した。
ルドルフ「分かったよ、シュウガ君。君を信じてその実を食らおう。私達の命を君に預けるよ。」
シュウガ「いいだろう。ならば全力でお前達の信頼に応えよう。」
こうして探索隊のメンバー達全員のパワーアップ方法が確立された。その後の話し合いで強大な十尾チャクラを受け止める為の人数は七〜九人ぐらいがいいと言う結論に達した事により、魔物肉による強化を香織、雫、優花、メルドの四人が、十尾チャクラでの強化をウマ娘達九人がと言う割り振りになった。
そして現在、メンバー達はそれぞれの強化の為の魔物肉や十尾チャクラを前にしていた。魔物肉グループには焼いた魔物肉と神水が配られ十尾チャクラグループは固めたチャクラを九等分したものが渡されシュウガがすぐにでも動けるように待機していた。
ハジメ「それじゃあ皆んな、用意はいいね?」
シュウガ「全員食らったものを出来るだけ直ぐに飲み込め。魔物肉グループはそれに加えて神水を直ぐに飲むんだ。いいな?」
香織「はい、分かりました。」
ルドルフ「ああ、了解した。」
シュウガ「OK始めよう。俺が合図したら全員一斉に食らってくれ。」
シュウガの言葉に皆が頷く。
シュウガ「……………よし、食ってくれ。」
シュウガがそう合図したのをキッカケにメンバー達は多少の誤差はあれどほぼ同時に魔物肉や十尾チャクラを口にした。そして軽く咀嚼した後勢いよく飲み込んだ。魔物肉グループは即座に神水も飲み干す。
変化はそう長く待たずに訪れた。
香織「ゔっ?!」
雫「あっが?!」
優花「ぐゔ?!」
メルド「ぐあ?!」
最初に異変が起きたのは魔物肉グループであった。
魔物肉グループ「がっ?!があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!?!?!」
ハジメ「っ!!始まった!!」
四人全員が獣の雄叫びにも聞こえるような悲鳴をあげて倒れ込んだのである。
その身体からは血が吹き出しており更に骨が砕け身体がバラバラになろうとしている。それを神水が治癒して修復。そしてまた直ぐにバラバラになるというパターンを繰り返し始めた。
その様はあまりにも恐ろしい光景でありそれを目の当たりにしていたウマ娘達は顔を青ざめさせた。その直後であった。ウマ娘達にも変化が起きた。
ブワァ!!!
ウマ娘達「?!?!?!」
突如ウマ娘達の身体からオーラのようなものが吹き出してきたのである。吹き出したオーラは一瞬にしてウマ娘達の身体を飲み込んだ。そうして全身がオーラに包まれた瞬間であった。
ウマ娘達「ぐっ?!?!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!?!?!」
二尾狼達「ワウンッ?!?!」
シュウガ「こちらも来たか!」
オーラに包まれたウマ娘達が悲鳴をあげたのである。そして魔物肉グループ同様に地面に倒れ込んだ。
オーラの正体はウマ娘達が食らった十尾チャクラが溢れ出たものである。強大な十尾チャクラが身体の内側を破壊しながら外へと溢れ出してきたのだ。更に身体を包み込んだチャクラが体の外側をまるで焼き尽くすかのようなダメージを与え始めたのである。外と中の両方から十尾チャクラに体を壊されているウマ娘達はその激しいダメージに既に瀕死の状態となっており意識が朦朧としていた。切り分けたとはいえやはり十尾チャクラをその身で受け止めるのは人間より丈夫な体を持つウマ娘でも容易ではないようだ。
この地獄のような状況を前にシュウガは予定通り動き始めた。
シュウガ「ハジメ!お前は魔物肉グループの様子を見守ってくれ!俺は予定通りチャクラコントロールによるサポートを始める!そっちで何かあったら直ぐに俺に伝えろ!いいな?!」
ハジメ「はいっ!」
シュウガ「よし!それでは行くぞ!」
そう言うとシュウガは自身の顔の前で手を合わせて意識を集中させ自分のチャクラを解放する。すると、
ブワァ!!!
今度はシュウガの身体から大量のチャクラが溢れ出したきたのだ。そのチャクラの量はウマ娘達から吹き出したチャクラを上回るほどである。シュウガは解放した自分のチャクラをコントロールして苦しんでいるウマ娘達を十尾チャクラごと自分のチャクラで包み込んだ。そして十尾チャクラと同化させる形で自分のチャクラをウマ娘達の身体に流しこみ始めた。こうする事で十尾チャクラがウマ娘達の身体に馴染むまで彼女達の体が壊れてしまわないようにシュウガがコントロールしつつ神水のようにシュウガのチャクラがダメージを回復させる役割をしていた。
ウマ娘達「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ?!?!?!」
シュウガ「踏ん張れお前ら!気を確かに待て!」
苦しむウマ娘達にシュウガは呼びかける。朦朧としている意識をなんとか保たせようとしていた。ここで意識を手放せば食らった十尾チャクラに逆に取り込まれてしまいかねない。そうならないためにシュウガはウマ娘達を鼓舞していた。
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ウマ娘達は十二分に覚悟しているつもりだった。悔いを残さず地球に帰る為に力を得る。その為の痛みなら乗り越えてみせる。そう決意していた。だがその決意はあっさりと打ち砕かれてしまった。
体の外と中の両方からこれまでに経験した事のない、体が壊れるなんてレベルを超えるほどの痛みが襲いかかってきたのである。
その痛みは体だけでなく彼女達の精神、心にもダメージを与えていた。
痛い。怖い。助けて。あまりの苦しみに最早それしか考えられなくなっていた。いっそ死んだ方がマシと思ってしまうぐらいに追い詰められた意識は今にも失われそうになっていた。
その時だった。
フワァ!
ウマ娘達「?!」
突如痛みとは違う何かを体に感じたのである。今自分達を苦しめている十尾チャクラの身体を壊し焼き尽くすかのような激しいものではなく、優しい暖かさで包み込んでくれているかのようなそんな感覚があったのである。更に、
シュウガ「踏ん張れお前ら!気を確かに持て!」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。苦しむ体に鞭を打ち声の方を向くとそこにはシュウガがいた。シュウガの体からは彼のチャクラが溢れ出しておりそれが自分達を包み込んでいるのが確認できた。
ああ、そうか。この暖かさは彼のものだ。ウマ娘達は朦朧とする意識の中でそれを理解した。
突然連れて来られた危険な異世界。そんな異世界で出会った彼には常に助けられてきた。今も自分達のために力を尽くしてくれている。そんな彼がそばにいてくれている。そう思うと次第にウマ娘達の体には力がみなぎり始めた。彼がいてくれるなら、自分達は乗り越えられる。不思議とそう思えたのであった。
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チャクラをコントロールしつつシュウガはウマ娘達への呼びかけを続けていた。すると、次第に悲鳴や呻き声が収まり始め表情も僅かにだが穏やかになってきた。
シュウガ「よしっ!いいぞ!その調子だ!」
シュウガも手応えがあったようでウマ娘達の十尾チャクラによる苦しみは峠を越えようとしていた。
時間を遡りシュウガがチャクラコントロールを始めた頃。ハジメは魔物肉グループの様子を見守っていた。
魔物肉グループ「があぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!」
ハジメ「皆んな!頑張って!気を確かに持って!」
魔物肉によって身体をバラバラになりかけるほど破壊され神水が治癒する。その繰り返しによるダメージに四人は苦しめられていた。
メルド「ぐぐっ?!の、乗り越えるっ!!があっ、ぐ?!必ず、皆んなのために!!」
そんな四人の中で年長者であるメルドは比較的精神は安定していた。伊達に騎士団長ではないようで気合いと根性はかなりあるようだ。だが他の三人はメルドのようにいかなかった。
地球からの召喚者として高いスペックを持つ三人だがメルドに比べれば圧倒的に経験が足らず精神もまだ子供の域を出ない。そんな彼女達は肉体的なダメージとともに精神も壊れかけていた。現在彼女達は地面に倒れた状態で互いに手を伸ばし合い、お互いを鼓舞するかのように伸ばした手を重ね合って必死に耐えようとしていた。
その姿を見ていたハジメは思わず自分の手も重ねていた。そして、
ハジメ「頑張って!皆んななら乗り越えられる!諦めないで!」
そう言って彼女達を鼓舞していた。するとそんなハジメの声が届いたのか、彼女達の表情が少しだけ穏やかになったようだった。
皆が苦しみ始めてしばしの時が過ぎた。どちらのグループも悲鳴や呻き声が収まり呼吸が安定してきた。どうやら乗り越えたようである。シュウガは解放していた自身のチャクラを収め苦行を乗り越えたメンバー達を見回していた。
魔物肉グループはハジメ同様に見た目が大きく変化していた。四人全員髪が白く染まっており香織、雫、優花はより女性らしい体付きになっていた。対して男であるメルドは現在のハジメに勝るとも言わんばかりに筋骨隆々となっていた。
十尾チャクラグループであるウマ娘達は見た目に変化は見られないがシュウガの助けもありその体に十尾チャクラを上手く取り込むことが出来たようだ。
こうしてパワーアップ計画は無事成功したのであった。
16話を読んで頂きありがとうございます。
今回はシュウガとハジメ君、そして二尾狼達を除いた探索隊メンバー達のパワーアップ回となりました。
正直ウマ娘達に関してはパワーアップさせるかどうかかなり悩みましたが今後の物語を考えると強化させるべきと判断して今回のようなお話になりました。そしてそのパワーアップ方法も魔物肉ではなく十尾のチャクラによるものとするオリジナル要素にしてみました。このチャクラ元の十尾は第四次忍界大戦で暴れた十尾よりも小さい個体となっています。流石にあのレベルの十尾のチャクラはまずいと思ったので。
次回はパワーアップした探索隊メンバー達の軽いスペック説明のお話し。そしてようやくあの子が登場します。是非ご覧ください。次回もよろしくお願いします。