ありふれた職業で世界最強withオリキャラ&ウマ娘   作:気まぐれのみった

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こんにちは。気まぐれのみったです。

今回は少女との話し合い、そして王国に残った者達の話をちょっとだけお送りします。

ではどうぞ。


19話

サソリモドキの魔物を倒し少女を守り抜いたシュウガ達。その後シュウガは少女が封印されていた立方体の跡の下から鉱石のような物を見つけるのであった。

 

謎の鉱石を手に入れたシュウガは部屋を出て探索隊のメンバー達と合流する。

 

シュウガ「すまん、待たせたな。」

 

ハジメ「シュウガさん。何か分かった事はありましたか?」

 

シュウガ「ああ、とりあえずこんな物を見つけた。」

 

そう言ってシュウガは先程見つけた鉱石を皆に見せる。

 

スペ「何ですかそれ?」

 

シュウガ「恐らくなんらかの鉱石だと思う。この子が封印されていた立方体の下に厳重に埋め込まれていた。そんな所にあったと言う事はこの子に関係ある物だと思うが………。君、これに心当たりはないか?」

 

シュウガは鉱石を見せながら少女に問いかける。

 

少女「………ううん。私のじゃない。」

 

シュウガ「そうか。だとするとこれは話にあったおじ様とやらが残したものかもしれんな。」

 

エアグルーヴ「だが何のために?」

 

シュウガ「その理由を探るためにもこれを調べたいところだが、それはまたの機会にしよう。今はここから離れて安全な拠点を作ってそこで休もう。その子から改めて色々聞きたいしな。」

 

こうして探索隊はシュウガが見つけた鉱石の調査をひとまず先送りにして拠点の確保に動く事にした。

 

因みに少女は裸の状態だった為予備で持ってきていたマヤノの服を尻尾穴を隠して着せてあげた。

 

しばらく歩みを進めていた探索隊は比較的安全そうな所を見つけそこにハジメの錬成で壁の中に拠点のスペースを確保した。そこでようやく落ち着いたシュウガ達は少女との話し合いをする事にした。まずはシュウガ達の方から自己紹介をして次に少女の名を尋ねたのだがそこで予想外の返答を受けた。

 

少女「………‥名前、つけて。」

 

シュウガ「何?どう言う事だ?」

 

少女「前の名前は、もう要らない。新しい、私になりたい。だから、皆んなからの名前が欲しい。」

 

シュウガ「成程。いわゆる過去との決別というわけか。まあさっきの話を聞く限りいい思い出はなさそうだしな。いいだろう。そう言う事だ皆んな。何か案はないか?」

 

そう言われたメンバー達は急な要望に頭を悩ませる。しばらくうーんと悩んでいるとハジメから一つの案が出た。

 

ハジメ「………ユエ。あの、ユエなんてどうかな?」

 

シュウガ「ユエ?」

 

ハジメ「はい。中国語で月って意味なんですけど、なんて言うかこの子の瞳を見た時、綺麗な月を思い浮かべたんです。それで、漠然とした考えですけど、そんな意味の名前が似合うかなって。ええっと、ダメかな?」

 

少女→ユエ「ううん。素敵な名前。私は、今日からユエ。ハジメ、ありがとう。」

 

ハジメ「えへへ、どういたしまして。」

 

こうして少女の名前はユエに決定した。ユエはその名前が気に入ったようで嬉しそうな笑顔を見せていた。

 

シュウガ「さて、名前も決まった事だし、出来ればもう少し詳しい話を聞きたい。もちろんユエが話しづらいなら無理強いはしないが。」

 

ユエ「ん、大丈夫。皆んなになら、話せる。」

 

シュウガ「感謝する。早速質問だが、さっきユエは自分を吸血鬼と言っていたな。俺達の持つ情報が確かなら吸血鬼族は三百年前の大規模な戦争で滅んだとされている。それを踏まえるとユエは唯一の生き残りになるわけだが、吸血鬼ってのは三百年も長生き出来る種族なのか?」

 

ユエ「ううん。私が特別。"再生"で歳もとらない。私は、12歳の時に、魔力の操作や"自動再生"の固有魔法に目覚めた。それからは、肉体的に、歳はとってない。他の吸血鬼も、血を吸えば長生き出来るけど、三百年は無理。」

 

シュウガ「ふむ、成程な。確か先祖返りとも言っていたな。特別な力はそれが理由だな?」

 

ユエ「うん。私は、先祖返りで力に目覚めた。それから数年で、最強の一角に数えられるくらいには、強くなった。それで、十七歳の時に、吸血鬼族の王位に就いた。」

 

香織「す、凄い………。」

 

メルド「滅んだとはいえ一つの種族の王にその若さで就くとは。」

 

ユエ「でも、二十歳の時に、裏切られた。」

 

シュウガ「さっき言ってた、おじ様と家臣にか?」

 

ユエ「うん。おじ様が王になるから、私は殺される事になった。でも、自動再生で殺せないから、封印された。」

 

ブライアン「ちょっと待て。お前は王に選ばれるくらいに強かったのだろう?ならば何故封印されたんだ?相手も強かったのか?」

 

ユエ「………………私は、おじ様を信頼してた。だから、裏切られてショックだった。そのせいで、混乱して、碌に反撃出来なかった。その隙に、封印術をかけられて、気がついたらあの部屋にいた。」

 

ブライアン「…………そうか。すまん。辛い事を聞いた。」

 

ユエ「ううん。大丈夫。」

 

シュウガ「…………ありがとうユエ。話してくれて。しかしそうなると、ユエは此処が何処だか把握してない事になるな。」

 

ユエ「ん、分からない。此処はどこ?」

 

シュウガ「此処はオルクス大迷宮の中だ。それも恐らく常人では辿り着けない相当深い階層だ。ユエ、無理を承知で聞くが、ここから地上へと脱出するルートを知っていたりするか?」

 

ユエ「………分からない。でも。」

 

シュウガ「でも?」

 

ユエ「この迷宮は、反逆者の一人が作ったと言われてる。」

 

シュウガ「反逆者?」

 

ユエ「反逆者………。神代に神に挑んだ神の眷属の事。世界を滅ぼそうとしたと伝わってる。」

 

そこからのユエの話では、神代に神に反逆して世界を滅ぼそうとした七人の眷属がいたと言う。だがその目論見は破られ、反逆者達は世界の果てに逃走したと言う。

 

その世界の果てと言うのがどうも七大迷宮のことのようである。オルクス大迷宮もその一つらしく、奈落の底の最深部には反逆者の住まう場所があると言われているらしい。

 

ユエ「そこからなら、地上への道があるかも。」

 

シュウガ「そいつはいい事を聞いた。どうやらハジメの予想が当たったようだな。これだけ深い迷宮を行き来するなら何か特別なルートを用意していてもおかしくない。皆んな、希望が見えてきてぞ。」

 

シュウガのその言葉にメンバー達は頬を緩ませ喜びの表情を見せる。脱出できる可能性が出てきたのだから無理もない。すると今度はそんなメンバー達の様子を見ていたユエの方から質問があった。

 

ユエ「皆んなは、何でここにいるの?」

 

シュウガ「ん?ああ、そうだな。ユエに色々聞いたんだ。今度はこちらの事情を話さねばと言うものだな。」

 

こうしてシュウガは自分達がここに来るまでに至った経緯を話す。

 

ハジメ達やウマ娘達が別の世界から無理矢理召喚された事、そこで並行世界を旅するシュウガに出会った事、戦争に参加しなければならないかもしれない事、ハジメが無能と罵られそれをシュウガが助けた事、訓練中にハジメを嫌うクラスメイトに裏切られハジメが奈落に落とされた事、そのハジメを助ける為に救助隊としてここまで来た事など、話せる事は全て話した。

 

シュウガ「とまぁそんな感じで、今はこの迷宮からの脱出ルートを探してるってわけだ。概ねこんなところだな。って、ん?」

 

一通り話し終えたところでシュウガはユエの様子がおかしい事に気づく。よく見ると目に涙を浮かべて鼻を啜っていた。

 

シュウガ「おいおい、どうした?」

 

ユエ「グスッ………。ハジメ、つらい。私も、つらい。」

 

どうやらユエはシュウガ達の話を聞いて感極まり泣き出したようだ。基本無表情な感じのユエだが思いのほか感受性豊かなようだ。

 

ハジメ「ユエちゃん…………。ありがとう。でもそんなに気にする事ないよ。だってここには、僕のために救助隊を結成して助けに来てくれた仲間達がいるから。」

 

ユエ「うん、その救助隊の、皆んなも凄い。ハジメが落ちて、怖かったはずなのに、それでもここまで助けに来た。とっても、勇気がある。カッコいい。」

 

テイオー「えへへー、そうでしょー!」

 

香織「でも私達がここまで来れたのは殆どシュウガさんのおかげだし、助けに行く決意が出来たのもビブルカードでハジメ君が生きてるって分かってたからって言うのが大きいから。そんなに褒められる事じゃないよ。」

 

ユエ「そんな事、ない。誰かを助けるなんて、口で言うのは簡単。でも、皆んなは行動した。それは、見掛け倒しじゃない、本物の勇気。だから、カッコいい。」

 

優花「そ、そうかな?」テレッ

 

雫「なんかそう言われると照れるわね。」テレッ

 

こうしてユエからまさかの絶賛を受けたメンバー達。出会って間もないがいい感じにお互い歩み寄れているようだ。と、そんな時だった。

 

グウゥゥゥーー!!

 

スペ・オグリ「あっ。」

 

タマモクロス「いやまたかい!何回やるねんこのくだり!」

 

いつかのようにスペとオグリのお腹が鳴った。

 

シュウガ「ははっ!相変わらずの空きっ腹だな。ちょうど話も一区切りついたし、飯にするか。」

 

シュウガはそう言うと時空間から食材を取り出し始める。今日の食材は以前食べたものと同じレベル8相当のガララワニと非常食として用意しておいた数種類の野菜である。ユエはガララワニの大きさに驚いていた。

 

ユエ「これが、話にあった、シュウガの美味しい食材?」

 

ハジメ「うん。シュウガさん曰く、その世界には全身の肉が舌の上でとろける霜降り状態の獣がいたり、バニラやミント、チョコアイスの山が連なるアイスクリーム山脈があったりするんだって。」

 

ユエ「凄い。まるで、御伽話の世界。」

 

ハジメ「確かに。でもその世界は美味しい食材ほど恐ろしく強かったり、入手が難しく危険が伴ったりとかなりシビアな世界でもあるらしいよ。」

 

ユエ「楽して、美味しい思いは、出来ない。納得。」

 

ハジメ「だね。」

 

こうして食事の準備をしている最中マヤノがユエの食事事情について尋ねた。

 

マヤノ「そう言えばユエちゃん。ユエちゃんって普通に食事できるの?吸血鬼だから血しかダメとかあったりする?」

 

ユエ「普通の食事も、できる。問題ない。充分、栄養も取れる。けど、血の方が、効率がいい。美味しいし、力も湧いてくる。」

 

ユエはそう説明する。

 

シュウガ「ふむ。因みに血を吸った際、吸われた相手も吸血鬼になったりと言った体の変化や副作用なんかはあったりするのか?」

 

ユエ「ない。少なくとも、私の知る限り、そんな事はなかった。」

 

シュウガ「そうか。それならば何も問題ないな。皆んな。せっかくユエにとって久しぶりの食事になるんだ。ユエが満足するまで俺達の血を提供したいんだがどうだ?」

 

ユエ「えっ?」

 

ルドルフ「それはいい考えだ。私は賛成するよ。」

 

オグリ「私も構わないぞ。」

 

ユエ「い、良いの?」

 

ハジメ「勿論だよ。今までずっと吸えなかったわけでしょ?すごく辛かったよね。だから、僕達の血で良ければ、今日は好きなだけ吸って。」

 

ハジメの言葉に他のメンバー達もうんうんと頷く。ユエはそんなハジメ達の優しさに再び涙を流した。

 

ユエ「グスッ。皆んな、ありがとう。」

 

ハジメ「ふふっ、どういたしまして。それでユエちゃん。まずは誰がいいとかある?」

 

ユエ「ええっと、それなら。」

 

そう言いつつユエはハジメを強く見つめる。ハジメは最初こそその意図に気づいていなかったが次第に理解した。

 

ハジメ「もしかして、僕?」

 

ユエ「うん。」

 

ユエはその通りと言わんばかりに即答し頷いた。そんなユエの視線は何やら熱っぽいものを感じさせるものであった。

 

香織「これは、まさか。」

 

雫「香織?どうしたの?」

 

香織「あっ、ううん。何でもないよ。」

 

香織はそんなユエの様子に何か思うところがあるようであった。

 

ハジメ「うん、分かった。じゃあまずは僕の血をどうぞ。あっ、でも。」

 

ユエ「?どうしたの?」

 

ハジメ「さっき話した通り僕はグルメ細胞を取り込んでて、更に凄く不味い魔物肉を食べてる。そんな僕の血は、もしかしたらあまり美味しくないかもしれないけど、それでも大丈夫?」

 

ユエ「ん、大丈夫。血をもらえるだけでも、凄く嬉しい。だから、味は気にしない。」

 

ハジメ「そっか。分かった。じゃあ遠慮なくどうぞ。」

 

ハジメはユエが血を吸いやすいようにかがむ。

 

ユエ「ん、いただきます。」

 

そう言ってユエはハジメの首筋に顔を近づける。そしてカプッと噛みついた。

 

数秒してユエはハジメの首筋から口を離した。

 

ユエ「ごちそうさま。」

 

ハジメ「あれ?もういいの?」

 

ユエ「ハジメからは、これで充分。一人から、吸いすぎるのは、よくない。せっかくだから、皆んなから、ちょっとずつもらう。」

 

ハジメ「そっか。うん、分かった。お粗末さまでした。そう言えば僕の血、やっぱり不味くなかった?」

 

ユエ「ううん。………むしろ、美味。」

 

スズカ「嘘でしょ………。」

 

ユエ「ホント。これは、熟成の味。料理で例えるなら、凄腕の料理人が、何種類もの野菜や肉を、絶妙な調理の元、じっくりコトコト、煮込んだスープ。美味。」

 

ハジメ「…………自分の血を料理に例えられる日が来るとは思わなかった。」

 

ユエ「こうなると、他の皆んなも、気になる。」

 

そう話すユエの目は何やら獲物を狙う肉食動物の目つきになっていた。

 

優花「…………なんかやばい子に目をつけられた気分。」

 

スペ「あはは………。」

 

こうして探索隊はユエの気が済むまで血を提供するのであった。

 

 

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ところ変わってハイリヒ王国の王城。シュウガ達がユエと出会い、サソリモドキを倒していた頃のこと。

 

現在ここでは残された召喚組が各々訓練を続けていた。本来の物語なら今頃は勇者パーティーを筆頭にしたごく僅かなメンバーでオルクス大迷宮を探索しているタイミングである。だがこの世界では生存が確認されたハジメを救助する為に勇者パーティーの香織と雫がパーティーを離脱しており戦力が大幅にダウンしている。加えて教育係である騎士団長のメルドも救助隊に参加していて不在。その為現在は迷宮での訓練などは流石の教会も危険と判断し行われていない。これにより本来の物語におけるベヒモスリベンジは当然成し得ていないし、ベヒモスを倒した事で勇者に興味を持つヘルシャー帝国の現皇帝ガハルド・D・ヘルシャーはこの世界では勇者に見向きもしていなかった。

 

実はこの世界の帝国では現在、勇者よりも対応を考えなければならない問題を抱えており、それがガハルド皇帝の悩みになりつつあった。その為召喚されてからそれなりの時が経った現在までにさほど目立った成果をあげていない勇者なんぞに構ってられないと放置されたのである。果たして帝国が抱える問題とは何なのか。それについてはまたいずれ語る事にして、今はハイリヒ王国に話を戻そう。

 

ハイリヒ王国では残された召喚組が救助隊(現在の探索隊)の帰りを待っていた。救助隊が出発してから既にそれなりの時が経っている。普通なら皆心配で仕方ないはずだがある理由から比較的落ち着いて帰りを待っていた。その理由とはビブルカードの事である。実は救助隊がハイリヒ王国を出発する時、シュウガは見送りに来た者達に救助隊メンバーの髪の毛一本混ぜて作った救助隊メンバー分のビブルカードの欠片を配って渡していたのだ。これにより残された者達は救助隊の生存を確認できる為安心とまではいかないがそこまで取り乱す事なく帰りを待っていた。ただシュウガ以外の救助隊メンバーが魔物肉や十尾チャクラを食らった時にはメンバー達の健康状態が著しく悪化した為ビブルカードがそこそこ燃えた。流石にその時は皆絶望しかけたが割とすぐ元に戻った為ホッとした。そんな感じで現在はまた燃えるんじゃないかとハラハラしつつもメンバー達が無事なのを確認できている為ある程度精神は安定している。そんなこんなで残された者達は何とか王城での訓練をこなしながら救助隊の帰りを待っているのであった。

 

 

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ユエに自分達の血を提供しつつ食事を摂っていた探索隊。そんな中、ユエはふと疑問に思った事をシュウガ達に尋ねる。

 

ユエ「そういえば皆んなは、この迷宮から出たら、どうするの?」

 

シュウガ「ん?そりゃあ帰りを待っている奴らの元へ無事な姿を見せに帰らないとな。」

 

ユエ「そのあとは、どうするの?」

 

シュウガ「そうだな。とりあえず俺は情報を集めたりしてハジメ達が元の世界へ帰れるように努めるつもりだ。」

 

ユエ「ハジメ達、元の世界へ、帰るの?」

 

ハジメ「えっ?まぁ、そうだね。その為に頑張ってるようなものだしね。家族も心配しているだろうし、早く帰って無事を知らせないとね。」

 

ユエ「……………そう。」

 

そう言うとユエは表情を暗くさせて俯く。

 

マヤノ「ユエちゃん?」

 

ユエ「…………私にはもう、帰る場所…………ない。」

 

シュウガ以外のメンバー達「あっ!」

 

そこでメンバー達はユエの現状に気づく。ユエは三百年も封印されていた上にそもそもおじ様をはじめとする同族に裏切られている。つまりユエにはハジメ達のような帰れる場所がないのである。自分を助けてくれたシュウガ達はユエにとって既に新たな居場所になりつつある。だがそれもハジメ達が元の世界に帰ってしまい、シュウガが新たな旅に出てしまえば終わりとなる。メルドは残るが彼も立場上常にユエの近くにはいられない。加えてユエは三百年も前に滅んだはずの吸血鬼族。そんなユエの希少性に勘づいた者がいればまず間違いなく厄介な事に巻き込まれるだろう。それを回避するにはひっそりと生きていくしかない。すなわち、ユエはまた一人になってしまうのである。

 

ユエは再び一人にならなければいけないと思い酷く落ち込んでしまった。メンバー達はそんなユエにどう声をかければいいかわからなかった。

 

するとそんな中、シュウガがユエにある問いかけをする。

 

シュウガ「ユエ。今お前には三つの選択肢がある。そのどれをお前が選びたいか聞かせて欲しい。」

 

ユエ「えっ?」

 

香織「シュウガさん?」

 

スペ「三つの選択肢?」

 

シュウガ「そうだ。まずは一つ目。俺達と此処から出た後、俺達の協力の元、現代のこの世界での生活基盤を整えて一人で静かに暮らす。」

 

ユエ「っ!…………うん。」

 

雫「ちょっ!シュウガさん?!」

 

タマモクロス「何もそんなストレートに言わんでもっ!」

 

シュウガ「二つ目。俺の旅についてくる。」

 

ユエ「うん……………。えっ?」

 

探索隊メンバー達「えっ?」

 

シュウガ「そして三つ目。ハジメ達かルドルフ達。そのどちらかの地球への帰還について行く。」

 

ユエ「えっ?えっ?」

 

探索隊メンバー達「ええっ?!」

 

シュウガ「さあユエ。どれがいいか聞かせてくれ。」

 

ユエ「えっ?えっ?えっ?」

 

スズカ「あの、シュウガさん?」

 

オグリ「ユエが混乱してしまってるんだが。」

 

ブライアン「と言うか私達もよくわかってないぞ。」

 

メルド「シュウガ、どう言う事か説明してくれ。」

 

シュウガ「どうと言われてもな。今後のユエが生活していく為の選択肢だが?」

 

テイオー「それがシュウガか僕達か、それかハジメ達のどれかについて行く事なの?」

 

シュウガ「そうだ。もっとも俺について来るのはあまりオススメしないな。俺の旅は大筒木との戦いを目的にしてるから高確率でその戦いに巻き込まれるだろう。安全な生活とは言えない。俺としてはハジメ達かルドルフ達のどちらかについて行ってほしいな。戸籍などの問題はあるだろうが、それを踏まえても比較的平和で安全な世界での生活が送れるだろう。ユエ、お前はどうしたい?」

 

シュウガの言葉にユエはようやく自分を一人にしないでくれる選択肢を提示してくれたのだと気づく。

 

ユエ「私、ついて行って、いいの?」

 

ユエは謙虚に聞いてきてはいるがその目は期待を込めた非常にキラキラしたものだった。

 

シュウガ「俺は別に構わないぞ。もっとも今の話通りオススメしないがな。それでもいいなら面倒みよう。平和な暮らしを望むなら一つ目か三つ目だ。ユエ、お前が望む未来はどれだ?」

 

そう言ってユエに選択を委ねるシュウガ。

 

優花「えっと、シュウガさん?」

 

エアグルーヴ「我々はまだついてきていいとは言っていないが?」

 

シュウガ「お?何だお前ら?まさかこんな目をした子を見捨てるなんて言わんよな?」

 

ルドルフ「やれやれ、意地悪な言い方をしてくれるな君は。でもそうだな。見捨てるなんて選択肢はそれこそないな。」

 

ハジメ「そうですね。ここまできて見捨てるなんて出来ませんよ。」

 

ユエ「っ!!それじゃあ!!」

 

ユエの期待を込めた視線と言葉にメンバー達はそれぞれ顔を見合わせて強く頷き合った。

 

ルドルフ「ユエ。君が望むなら、私達の世界で共に暮らそう。」

 

ハジメ「僕達は決して、君を見捨てないよ。一緒に行こう。」

 

探索隊メンバー達「(コクリ!)」

 

ユエ「皆んなっ……………!グスッ、ありがとう!」

 

ルドルフとハジメがユエを誘い、メンバー達がその言葉に皆同じ思いだと頷いて伝える。ユエはその光景に今日一番の涙を見せたのであった。

 

シュウガ「うむ。これで何も問題ないな。それではユエよ。改めて聞こう。お前が望む、その手で掴み取りたい未来はどれだ?」

 

シュウガは改めてユエに選択の答えを聞く。

 

ユエ「…………とりあえず、一つ目はない。もう、一人はいや。」

 

シュウガ「分かった。では誰についていきたい?」

 

ユエ「それだけど、まだ決められない。今の私にとって、皆んなは同じくらい、大切になった。その中から、選ぶのは、凄く難しい。だから、これから、ゆっくり考えたい。もっと、皆んなの事を知りたい。皆んなを知って、その上で、しっかり答えを出したい。そのための、時間がほしい。今は、それが私の望み。これじゃ、ダメ?」

 

シュウガ「いや構わないぞ。それでお前が納得のいく答えを出せるのであれば、何の問題もない。皆んなもそれでいいか?」

 

探索隊メンバー達「勿論!」

 

シュウガ「よし。ではユエよ。俺達の新たな仲間として、改めて歓迎しよう。これからよろしくな!」

 

ユエ「ん!皆んな、よろしく!」

 

こうしてユエを新たな仲間として受け入れた探索隊は共に並行世界の旅をするか、もしくは地球へ一緒に行く事を約束するのであった。




19話を読んでいただきありがとうございます。

今回は少女改めユエとの親睦を深めるお話しとハイリヒ王国に残った者達の様子を少しお送りしました。原作に比べてハジメ君の血が少しグレードアップしてます。グルメ細胞を取り込んだ事で料理人要素を加えてみました。

ハイリヒ王国にいる者達の様子についてはサクッとですがこんな感じであると書かせてもらいました。少しだけ帝国についても触れておりますがこのお話はもう少しだけ先になります。それまでお待ちください。

では次回もよろしくお願いします。
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