ゼロの絶望神   作:一般デーモンコマンド

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後攻5ターン目です。


果たして、どうなるのか...?


後攻5ターン目

 サガと3人はミス・ロングビルを案内役に、早速出発した。屋根のない荷車のような馬車で、薄暗い山道を進む。たまに入る日の光が、ルイズ達を癒やしていた。

 

 

 

「...と、いうわけで二体のフェニックスは光となって消滅。その光は世界中に散っていき、そして他のフェニックスたちまでもがそれに続いて、その姿を消していったのだ」

 

 

 

「...なんて、壮大な話」

 

 

 

 

そんな中、サガはタバサに超獣世界の話をしていた。それを聞いていたルイズが言う。

 

 

 

「あんたの世界、凄いわね。よくそんなに戦争が起こって平気なの?」

 

 

 

「終わりは次の始まりでもある。それに、起こらないことで世界が崩壊してしまった、ということもあるからな」

 

 

それに淡々とただ答えるサガだった。

 

 

 

 

 と、キュルケがミス・ロングビルに気づいたように話しかけた。

 

 

「なぜ手綱を取ってらっしゃるの、ミス・ロングビル?そんな仕事、平民に任せておけば良かったじゃありませんか」

 

 

 

「...いいのです。私は貴族の名を失っておりますから」

 

 

 

ルイズがぴくっと動く。彼女の興味を引く話であったらしい。だが、キュルケはそれ以上に驚いていた。

 

 

 

「え?でも貴方は学院長の秘書なのでしょ?」

 

 

 

「オールド・オスマンは貴族や平民の違いに拘らないお方ですので。私のような者には有り難いことです」

 

と、そうミス・ロングビルは言った。 

 

 

キュルケは興味津々といった様子で続けた。

 

 

「差支えなかったら、事情をお聞かせ下さらないかしら?」

 

 

 だがキュルケの期待に反し、ミス・ロングビルは言葉を返さず微笑みを浮かべるばかりであった。

 

 

 

「失礼とは思いますけど、私どうしても知りたいんですの。どうか教えてくださいな」

 

 

 

「分かってるならやめなさいよ」

 

 

 

途端にキュルケはうんざりした表情をした。

 

 

 

「何よ、ヴァリエール。あんたは引っ込んでなさいよ」

 

 

 

「昔のことを掘り返すなんて、良い趣味じゃないわ」

 

 

 

「人の聞かれたくない話を聞き出そうなんてするものじゃないわ。例えしつこく訊ねた結果、話して貰えたとしても、それは恥ずべき行いというものよ」

 

 

 

キュルケは大きくため息をついた。

 

 

 

「はぁ。まったく、カッコつけなんだから。アンタも多少は興味があったくせに」

 

 

 

 ルイズは言い返さず、ふんっと息を吐いた。キュルケも、相手にはしなかった。馬車の上には、再び静けさが舞い戻っていた。その場には、車輪の音だけが鳴り響いていた。

 

 

 

          ◇

 

 

 

 馬車はさらに深く森に入っていった。森の中は昼間だというのに薄暗く、鬱蒼としていた。

 馬車をある程度の場所で止め、一行は歩いて森の中を進むことにした。森を通る小道を進んでいく。

 

 

 

「なんか、いやな雰囲気ね...」

 

 

 

 キュルケが呟く。歩き続けると、道が開けた場所に出た。森の中の空き地といった風勢で、真ん中には情報通りの小屋があった。木こり小屋か何かだったのだろうか。

朽ち果てた炭焼き窯と、壁板の剥がれた物置が並んでいる。

 

 

「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」

 

 

 

 5人は少し離れた茂みの中で作戦を練り始めた。とにかく、あの中にいるのなら奇襲が1番だ。寝ていてくれたらなおさらである。

 

 

 タバサはちょこんと地面に正座すると、自分のたてた作戦を説明するため杖を使って地面に絵を描き始めた。

 

 まず、偵察兼囮が小屋のそばに赴き、中の様子を確認する。

 

 

中にフーケがいれば、挑発しこれを外に出す。

 

 

 小屋の中にゴーレムを作り出すほどの土はないため、外に出る必要がある。ここを魔法で一気に攻撃し、ゴーレムを作り出す暇を与えずに、集中砲火でフーケを沈める、というもの。

 

 

なので、囮を決める必要があったのだが...

 

 

 

 

「...待て。何故私を見る。...分かった。私が囮になろう。だからそんな目で私を見るな」

 

 

 

しぶしぶといった感じでサガが小屋へと進む。

 

 

 確認すると...中には誰もいなかった。皆を呼び寄せ、その事を伝える。

 

 

 

 

「どこかに出かけてるのかしら?」

 

 

 

「まさかもう逃げ出した後じゃないわよね?」

 

 

 

ルイズは不安そうに言った。

 

 

 

「確かめるべき」

 

 

 

「そうですわね。小屋の周りの茂みにひっそりと隠れているなんてこともあるかもしれません。

私は周りの森を見てきますわ」

 

 

 

ミス・ロングビルはそう言うと、辺りを囲うように生えている木々に分け入り、フーケを探し始めた。

 

 

 

「じゃあ私は小屋のすぐ外から見張ってるわ。森からだろうと小屋からだろうと、フーケが飛び出してきたら火で巻いてやるわよ。ね?フレイム!」

 

 

 

「キュキュキュ~」

 

 

 

「上から見張っておく」

 

 

 

「きゅい!」

 

 

 

「...私は小屋の中を探すわ」

 

 

 

 火を吹いたり、空を飛んだり出来る使い魔を持たないルイズは、渋々と誰もいない小屋内の探索を申し出た。

 

 

「ほら、やるわよサガ」

 

 

 

「分かった」

 

 

 

 ルイズとサガが小屋の中に入ってみると、中には至る所に埃が積もっていた。しかし最近になって人が出入りしたのも確かなようで、床にははっきりとした足跡が残っていた。

 扉から続く足跡は、そのまま真っすぐと、大きなチェストの前まで続いていた。ルイズはチェストの引き出しにひっそりと手を伸ばし、触れそうか触れまいかというところで、その手を引っ込めた。

 

 

 

「この中に破壊の杖が隠されてるかもしれないわ。ねえあんた、学院の秘宝に興味はない?開けてみなさいよ」

 

 

 

それにサガは嫌な顔をして答えた。

 

 

 

「嫌だ。トラップの類があるかもしれんだろう」

 

 

 

 

 引っかからないかー、とルイズは思いながら、サガに言う。

 

 

 

 

「そうは言うけど、私よりあんたが開けてくれたほうがどっちにしろ安全なのよね」

 

 

 

 

「まぁ、それはそうだが」

 

 

 

 サガは改めてチェストに向かう。ゆっくりと手をかけ...蓋を開けた。

 

 

 

 

 

「これが、『破壊の杖』?これは...」

 

 

 

 

 サガが杖を手に持った。それと同時に、サガのルーンが淡く輝く。が、直ぐにその輝きは収まる。

 

 

 

 と、それと同時に小屋の外からキャー!というキュルケの叫びが響いた。サガ達は何事かと身構えたが、小屋を出るまでもなく何が起きたのかを思い知らされることとなった。

 

 

 突如として、小屋の屋根が轟音と共に吹き飛ばされた。サガが見上げると青い空、そして高くそびえ立つ巨大なゴーレムが目に入った。ゴーレムが腕を振りぬいた先へと、元は屋根であった木片が、ばらばらになって落ちていく。

 

 

 

「フーケか!ルイズ、ここに居ては不味いぞ!」

 

 

 

 

が、ルイズは聞く耳を持たず詠唱を始めていた。

 

 

 タバサやキュルケも既に呪文を唱えており、竜巻や火の球がゴーレムにぶつけられている。ルイズが杖を振るうと、狙いの定まっていないような爆発がゴーレムの表面を弾き飛ばした。しかしゴーレムは動きを鈍らせることなく、彼女らに襲い掛かった。

 始め、ゴーレムは、その巨大な腕をぶん回し、空を駆ける風竜を叩き落そうとした。しかし風竜はタバサを乗せたまま必死に羽ばたき、ゴーレムの腕の合間を縫って、攻撃を器用に避け続けた。ゴーレムはその後も腕を振り回したが、風竜が距離を取り始めたのを見て取ると、今度は巨大な火の玉を放ち続ける地上の邪魔者に目を光らせた。

 

 

 

 

 

「マズっ...!」

 

 

 

 キュルケはフレイムにしがみ付く。地を這うトカゲの動きは中々早いもので、あっと言う間に彼女らを森の茂みに姿を隠した。

 

 

それを見ながら、サガは言った。

 

 

 

「ルイズ!すまないが、時間を稼げるか?」

 

 

 

「良いけど!何をする気!?」

 

 

 

サガはルイズにニヤリと笑った。

 

 

 

 

「決まっているだろう。...ループだ」

 

 

 

 

 

           ◇

 

 

 フーケは、自身の眼の前に居るソレが理解できなかった。

 

 

 

 フーケは茂みからゴーレムを操り、サガ達を観察していた。何故、こんな事をしていたのか。

 

 

 実のところ、彼女の目的は彼女たちを叩き潰すことではなかった。彼女は手加減すらしてまで、キュルケらのピンチを演出し続けていた。

 

 

 

 彼女が、こうしているのには当然、訳がある。その訳とは、フーケが学院から鮮やかな手口で盗み出したはずの秘宝、破壊の杖そのものにあった。破壊の杖は、それ自体は『杖』と呼ばれるものだった。そして、噂によればワイバーンすら容易に打ち倒すほどの強力な力を秘めているはずなのだった。

 

 

 噂に尾ひれが付くことは珍しくないといえど、ハルケギニアに名高い大メイジ、オールド・オスマンに縁のある秘宝ともなれば、その話にも信憑性がある。そんな高く売れるに間違いないはずの秘宝を手に入れて、さしものフーケも当初は興奮を隠せなかった。

 そこで昨晩、彼女はアジトに立ち寄るや否や、破壊の杖を試そうとした。ところが、それを普段扱う杖のように振って呪文を唱えていく末に分かったことは、それが普通の杖としては全く機能しないということだけだった。

 

 

 かと言って、ただ単に魔力を込めて振ればいいのかというと、どうもそういうものでもないらしい。何も起きないそれを必死で振り回した後、フーケの心には空しさだけが残されたのだった。

 

 

 

 使えない秘宝に用はない。特に高そうな宝飾が施されているわけでもないそれを貴族相手に高く売り付けるには、どうしてもその使い道を知っておく必要があった。折角苦労して手に入れたお宝を買い叩かれるようでは、この商売はやっていけない。

 そんな訳だから、自分をエサに引きずり込んだ教師たちを逆に捕まえ、杖の使い道を聞き出すというのが、フーケの本来の計画だった。

 

 

 ところがその計画は、教師連中の誰もが捜索に参加すらしようとしなかったことで、破綻しかけていた。なのでフーケは、捜索隊に志願した生徒を人質にオスマンから杖の使い方を聞き出そうか等と、物騒なことも考えた。

 しかし外国からの留学生や大貴族ヴァリエールの娘を人質に取ったとあっては、流石に魔法衛士隊が動きかねない。選りすぐりの実力者ぞろいだと言う部隊を相手にするのは、分が悪すぎるかとフーケが悩んでいたところ、彼女の頭に閃くものがあった。

 

 

 

 

 

 それは、サガの存在であった。ヴァリエールが呼び出した、正体不明の使い魔。もしかしたら使い方が奴になら分かるかもしれない。

 

 

 

 可能性があるなら試してみるのも悪くない。そう考えたフーケは、あえてサガ達に破壊の杖を取り戻させ、その上で杖を使わせようという賭けのような選択をした。もしサガが使い方を知らなくても、その時は破壊の杖を奪い返せばいい。フーケにとって、面倒だが失うもののない賭けであるはずだった。 

 

 

 

 

だったの、だが。

 

 

 

 

 

「超神星DOOMドラゲリオンのメテオバーン発動。ゴーレムのパワーをマイナス9000し、禁断竜王 Vol-Val-8を出す」

 

 

 

 

 ゴーレムが決闘でも見た龍のようなソレの咆哮によって崩れていく。いくらフーケが操作しようとも治ることはなかった。

 

 

 

 そして、その咆哮の影響でフーケの隠れていた茂みは吹き飛ぶ。なんとか耐えた時、ふと上を見ると、そこに居たのは竜の頭を持ち巨大な剣を背負った機械の身体の存在。

 

 

 それは、見た瞬間に「存在してはいけない」と確信できるほどのものであった。

 

 

 

「む、そこにいたのか。では、捕まってくれ」

 

 

 

 

 Vol-Val-8に気を取られ、後ろに居たサガに気づかず、杖を使う様も見れないまま、フーケはあっさりと捕まってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 




ループシーンはカットさせていただきました。


 因みにサガがタバサに話していたのは不死鳥編のラストです。
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