ゼロの絶望神   作:一般デーモンコマンド

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気付けば6ターン目。しかし、まだまだ続きます。


先攻6ターン目

 フーケを捕まえたサガ達。無事学園まで戻り、オスマン氏に報告をしていた。

 

 

 

「ふむ...ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな...美人だったもので、なんの疑いもなく秘書に採用してしまった」

 

 

「いったい、どこで採用されたんですか?」

 

 

 

隣に控えたコルベールが尋ねる。

 

 

 

「街の居酒屋じゃ。私は客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」

 

 

「で?」

 

 

 

 コルベールが冷めた目で促す。オスマン氏は照れたように告白した。

 

 

 

「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」

 

 

「それで?」

 

 

 

 まったく理解できない、という様子でコルベールが訪ねた。

 

 

 

「カァーッ!」

 

 

 

 オスマン氏は目を見開いて声を上げた。が、まったくごまかされていない。それがわかるとオスマン氏は、ひとつ咳をして真顔になった。

 

 

 

「おまけに魔法も使えるというもんでな」

 

「死んだほうがいいのでは?」

 

「確かに」 

 

「...馬鹿馬鹿しい」

 

「サガもそうだそうだと言っているわよ」

 

「そうだそうだ」

 

 

 話を聞いていた一同に一斉に突っ込まれるオスマン氏。重苦しく咳払いをすると、コルベールにむきなおり深刻そうな表情を浮かべた。

 

 

 

「今思えば、あれも魔法学院に潜り込むためのフーケの手じゃったに違いない。居酒屋でくつろぐ私の前になんどもやってきて、愛想よく酒を進める。魔法学院学園長は男前でしびれます、などとなんども媚を売り売り言いよって...終いにゃ尻を撫でても怒らない。惚れてる?とか思うじゃろ?なあ?ねえ?」

 

 

 

 

「分からなくはないですけどやっぱりバカなんじゃあないですか?」

 

 

 

 

 コルベールの辛辣な言葉に一瞬しょんぼりした顔になりつつ、改めてオスマン氏はサガ達の方へと向く。

 

 

 

「と、とにかく、君たちはよくぞフーケを捕まえ、『破壊の杖』を取り返してきた。フーケは、城の衛兵に引き渡した。そして『破壊の杖』は、無事に宝物庫に収まった。一件落着じゃ」

 

 

 

 オスマン氏はそうして嬉しそうに、1人ずつ頭を撫でた。

 

 

 

「君たちの『シュヴァリエ』の爵位申請を、宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう。といっても、ミス・タバサはすでに『シュヴァリエ』の爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」

 

 

 

 3人の顔がぱっと輝いた。キュルケが驚いた声をあげる。

 

 

 

「ほんとうですか?」

 

「ほんとじゃ。いいのじゃ、君たちは、それぐらいのことをしたんじゃから」

 

 

 

 喜ぶ3人。そんな中、サガがオスマン氏に声をかけた。

 

 

 

「オスマン殿。私から一ついいだろうか?」

 

 

 

それを聞いたオスマン氏はサガの方を見る。

 

 

 

「うむ、いいぞ。して、何じゃ?」

 

 

 

「『破壊の杖』の事だ。あれは、私の世界の物だ」

 

 

 

 

 サガの口から衝撃的な事実が明かされる。ルイズは驚いてサガに聞いた。

 

 

 

「それ、本当なの?」

 

 

 

「間違いない。あれは、マルルと呼ばれる妖精の杖だ」

 

 

 

 妖精の杖。それを聞いたルイズ達は更に驚く。

そんな中、オスマン氏だけ落ち着いていた。そして、一息おいて口を開いた。

 

 

 

「話せば長くなるのじゃがな...」

 

 

 

 

オスマン氏の話曰く。

 

 

 30年前、森を散策していたオスマン氏は、ワイバーンに襲われた。その時、純白の人ではないなにかがそのワイバーンを倒し、命を救われたらしい。そして、その恩人は『破壊の杖』をオスマン氏に渡し、その場から姿を消したそうだ。

 

 

 

 

「そういうわけなんじゃが...」

 

 

 

「どうしたんですか、オスマン氏」

 

 

 

 

 オスマン氏はサガをじっと見つめ、少し考えた後...言った。

 

 

 

「そこのミス・ヴァリエールの使い魔がな、どうもその恩人にそっくりなのだ」

 

 

 

「えっ」

 

 

 ルイズは思わずサガを見る。サガは考えて...

はっ、とした顔で声をあげた。

 

 

 

 

「思いだしたぞ!貴方、あの時の人間か!」

 

 

 

 

「ま、まさか!?本当にあの時の!?」

 

 

 

 

お互いに驚くオスマン氏とサガ。

 

 

「一体、何があったのよ」

 

 

 

「そうだな...あの時、まだ私が創造神だった頃の話だ」

 

 

 

 

あの時、私はクリエイターの力でワイバーンを創っていたのだが...

 

 

 

 

 創ったワイバーンが暴走してな。止めようとしたら突如空間に穴を開けてどっかに行ってしまったのだ。

 

 

 

 勿論私は追いかけた。そうしたら、森に出てな。逃げた先ではワイバーンと人間が戦って...人間が負けていた。

 

 

 

 

 創造物の不始末は私の不始末。サクッと処理して、帰ろうとしたのだが、その助けた人間がお礼がしたいと聞かなくてな。

 

 適当にその時持っていたコレクションを渡して、穴が開いているうちさっさと帰ったのだ。

 

 

 

 

 いやぁ、大変だったぞあの時は。そう言うサガに対し、オスマン氏はなんともいえない顔をした。

 

 

 

「つまり、私はサガ殿のミスで襲われていたんじゃな...」

 

 

 

 

 微妙な空気に包まれる。オスマン氏はゴホン!と咳こむと、表情を切り替えてルイズ達に向き合った。そして、ぽんぽんと手を打った。

 

 

 

「まぁ、それはさておき!今日の夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。このとおり、『破壊の杖』も戻ってきたし、予定通り執り行う」

 

 

 

キュルケがパッと顔を輝かせた。

 

 

 

「そうでしたわ! フーケの騒ぎで忘れておりました!」

 

 

「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意をしてきたまえ。しっかり着飾るのじゃぞ」

 

 

 

 3人は扉へと向かう。サガも続くが、オスマン氏に呼び止められた。

 

 

 

 

「すまん、サガ殿はちょっと待ってくれるか?」

 

 

 

 

「分かった。ルイズ、先に行っておいてくれ」

 

 

 

 

「分かったわ」

 

 

 

 

 ルイズはそう言って部屋を出た。改めて、サガがオスマン氏の方へと身体を向けた。

 

 

 

「まだ何かあるのか?」

 

 

 

 

「うむ、この『破壊の杖』を返しておこうと思ってな」

 

 

「?宝物庫へとしまったのでは?」

 

 

「宝物庫にはよく似た鉄製のワンドを飾っておいた。何、誰も彼も興味など持たずに眺めておったものじゃ、気付くまいて」

 

 

 

 

「そうか...しかし、別に持っておいていいのだぞ?」

 

 

 

「いや...これはお主の世界のものだろう。それに、ここに置いたままにしておいても意味はないしの。なら、持ち主に返したほうがいいじゃろう?持ち主に返す時がきた。それだけじゃよ」

 

そう言ってサガに杖を渡す。サガは少し悩むような素振りを見せたあと...オスマン氏の方を向いて、言った。

 

「...それなら、分かった。では、『破壊の杖』...いや、『マルルの炎杖』。確かに、返してもらう」

 

 

 

 

「うむ。それと、ミス・ヴァリエールのこと、頼みましたぞ、サガ殿」

 

 

「ん?...あぁ。任せておけ」

 

 

 

 こうして、フーケによる破壊の杖窃盗事件は幕を閉じたのだった。

 

           

 

 

          ◇

 

 

 アルヴィースの食堂の上の階が、大きなホールになっており、舞踏会はそこで行われていた。サガはバルコニーの枠にもたれ、2つの月を眺めていた。

 

 中では着飾った生徒や教師たちが、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで歓談している。サガも料理のおこぼれにありついてはいたものの、それ以上は貰えなかったので残念がりながら外に出ていた。そばには、シエスタが持って来てくれた肉料理の皿とワインの瓶が置いてある。

 

 

その時、デルフリンガーが話しかけてきた。

 

 

「いやぁ凄かったなぁ、相棒!あんな巨大なドラゴンを操るとはなぁ」

 

 

 

「指示をだしていただけだ。大したことはしていない。それより、すまなかったな」

 

 

 

「何がだ?」

 

 

 

「いや、2回目のフーケとの戦い、私は貴方を使わなかったからな。せっかくだから、戦いたかっただろうと思ってな」

 

 

 

「そんなことか。確かに戦いたかったけどよ、俺は剣だからな。相棒が使うときではないってんならそれに従うだけだからな!」

 

 

 

「そうか...ありがとう、デルフリンガー」

 

 

 

ふと、部屋の中を見る。

 

 

 綺麗なドレスに身を包んだキュルケが、男たちに囲まれて笑っている。

 黒いパーティドレスを着たタバサは、一生懸命にテーブルの上に山と盛られた料理と格闘している。

 

 

 

 

 それぞれに、みんなパーティを満喫している。

突然、ホールの壮麗な扉が開き、ルイズが姿を現した。

 

 

 

「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな〜〜り〜〜〜〜〜!」

 

 

 

 ルイズは、長い桃色がかった髪をバレッタにまとめ、ホワイトのパーティードレスに身を包んでいた。肘までの白い手袋が、ルイズの高貴さを演出し、胸元のあいたつくりのドレスが、ルイズの小さい顔を宝石のように輝かせていた。

 

 主役が全員揃ったことを確認した楽士たちが、小さく、流れるように音楽を奏で始める。

 

 ルイズの周りには、これまでゼロのルイズとからかっていたノーマークの女の子の美貌に気づいた男たちが、いちはやく唾をつけておこうと慌てて群がり、さかんにダンスを申し込んでいる。

 

 ホールでは、貴族たちが優雅にダンスを踊り始めた。

だが、ルイズは誰の誘いも断り、バルコニーでぼーっとしていたサガに近づいた。

 

 

サガに、ルイズが話しかける。

 

 

 

「どう?パーティー、楽しんでる?」

 

 

 

 

「楽しいが、もう少し食事がほしいな」

 

 

 

「相変わらずねぇ」

 

 

 

 ルイズは呆れたように笑った。そんなルイズに、サガは言う。

 

 

 

「そういうルイズは、踊らないのか?だいぶ誘われているようだが」

 

 

 

「相手がいないのよ」

 

 

 

「...?一体、どういう...?」

 

 

 

 サガの問いかけに答えず...ルイズは、手を差し伸べた。

 

 

 

「踊ってあげても、よくってよ」

 

 

 

 

「...成る程。では、喜んで」

 

 

 

 

 サガとルイズはステップをふむ。異種族と人間。アンバランスで、どこかぎこちない。だが、何処か目を離せない...そんな空気が、2人の間には出来ていた。

 

 

 

 

「あらあら。良い雰囲気ねぇ、あの2人」

 

 

 

「...うん」

 

 

 

 

 

 

こうして、舞踏会の夜は過ぎていくのだった。

 

 

 




マルルの炎杖はタマシード。

何故サガが持っていたのでしょうか...?


いつか分かるかもしれません。多分。
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