始祖ブリミルの像が神々しく鎮座する礼拝堂。
そこに、二人の男女が立っている。
「では、式を始める」
像の前に立った男が言う。彼の名はウェールズ。
アルビオンの皇太子だ。
何故、こんなことになっているのか。
少し、時間は遡る。
◇
ルイズをCOMPLEXより受け取った、洗脳センノーの力を宿した道具で洗脳したワルドは、無事にアルビオンへと踏み入れた。そして、洗脳したルイズからウェールズ皇太子の居場所を聞き出し、その場所へと向かった。
「何者だ」
「王党派の大使だ。ウェールズ皇太子に会いに来た」
「ふん、つくならもう少しマシなウソをつくんだな」
剣を突きつけられながらも、ワルドは冷静にルイズの指につけてある『水のルビー』を見せつけた。
「そ、それは!?」
「これが何よりの証拠だ。これでも、我々が敵だと?」
その言葉に苦笑しながら、剣を突きつけていた騎士は、頭の鎧を取って言った。
その顔を見て、ワルドは目を開く。成る程、これは見つからないワケだ、と。
「失礼した、大使殿。アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
「子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。よろしく頼みます、皇太子殿」
そこから、ルイズに聞き出した情報をもとに話を続けていき、皇太子から手紙を手に入れることに成功したワルド。そして、ウェールズを殺しやすくするために、ルイズとの結婚式の神父役を頼んだ。
ウェールズは信用していたため、あまりにもあっさりと了承してくれた。そして、次の日。
始祖ブリミルの像が神々しく鎮座する礼拝堂。
ワルドとルイズの結婚式の皮を被った、暗殺が始まろうとしていた。
◇
ワルドとルイズがウェールズの前へと歩いてくる。そして、目の前で立ち止まったのを見て、ウェールズは口上を述べ始めた。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」
ワルドは重々しく頷き、杖を握った左手を胸の前に置いた。
「誓います」
ウェールズはにっこりと頷き、続いてルイズを見やる。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、そして夫とすることを誓いますか」
「...」
ルイズは何も言わない。ワルドが答えるように言うが、答えない。何故、何も答えないのか。それは、ルイズが心の中で抵抗していたからだ。
(こんなの、こんなの駄目!言わなきゃ、違うって!)
しかし、口は動かない。洗脳センノーの洗脳の力は強力だった。今のこの何も言わない状況が、ルイズにできる精一杯であった。
「...どうやら、まだ緊張しているようだ。すまない皇太子殿、少し待ってくれるか?」
「う、うむ...」
ワルドはルイズに振り向くと、耳元で囁く。
「はい、というだけでいいんだ。それだけでいいんだ、それだけで」
「...は」
言いかけるが、直ぐに口をつぐむ。抵抗しているのだ。
ワルドの目が吊り上がる。なんども言うように急かされ始める。ウェールズがそれを見て止めようとするが無視して続ける。
それを見て、ルイズはただひたすらに心の中で助けを呼び続けた。
(誰か!誰か、助けて!)
(お願い!皆!)
キュルケ、タバサ、ギーシュの姿を思い出す。
そして。
(助けて―――)
自身の使い魔の名を、叫んだ。
「サガーーー!!」
「うむ、来たぞ」
バキバキバキ!と、教会の屋根が持ち上げられていく。
それをしたのは、サガに散々こき使われ、ではなく、頼られているクリーチャー。
超神星DOOMドラゲリオンだった。
「な、何だ!あの化け物は!?」
「あれは―――!」
ウェールズは驚き、ワルドは睨みつける。そして、ドラゲリオンの背から1つの影が降り立った。その正体は...
「サガ!」
「おぉ、ルイズ。無事でなによりだ」
ルイズの使い魔である、絶望神サガであった。
ルイズの無事を確認したサガは、ぎろりとワルドを見る。
そのあまりの迫力にワルドはたじろぐが、直ぐに睨み返した。
「...ふん、よくここが分かったな」
「ギーシュのヴェルダンテのおかげだ」
外では、ギーシュがヴェルダンテと一緒に土から身を出していた。
「はぁはぁ、頑張れよ、サガ!」
「もぐもぐ」
サガはワルドを見て、言った。
「さぁ、ここまでだワルド。覚悟するんだな」
それを聞いて、ワルドは顔を歪ませるのだった。
次回、メタVSサガ。
ご期待ください。