ゼロの絶望神   作:一般デーモンコマンド

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いや、ホントひさびさの更新になってしまいました。申し訳ございません。


先行11ターン目

 

「な、何だ!?一体、何が起こっているというのだ!?」

 

 

 

 

 ウェールズの困惑した声が聞こえる。それもそうだ、大使とその婚約者の結婚式をあげていたと思ったら、急に天井を剥がして襲撃者がやってきたのだ。困惑しないはずがない。

 

 

 

 

その隙を、ワルドは見逃さなかった。

 

 

 

「こうなれば...!」

 

 

 

 

 ドスッ!という音がする。サガとルイズが音のした方向を見ると、そこにはワルドによって心臓を貫かれたウェールズがいた。

 

 

 

 

「き、貴様...『レコン・キスタ』...!」

 

 

 

 ウェールズの口からどっと鮮血が溢れる。それを見たルイズは悲鳴を上げる。ウェールズの胸を杖でえぐりながら、ワルドは呟いた。

 

 

 

「何もかも無茶苦茶になってしまったが...1つでも目的は達成せねばならない。その目的の1つが、貴様の命だ、ウェールズ」

 

 

 

 

 ワルドが杖を引き抜くと、ウェールズの身体はどっと地に倒れ伏した。

 

 

 

「貴族派!あなた、アルビオンの貴族派だったのね!ワルド!」

 

 

 

 ルイズの怒鳴り声が響く。それに対して、ワルドは冷たい、感情のない声で言った。

 

 

 

「そうとも。いかにも僕は、アルビオンの貴族派『レコン・キスタ』の一員だ」

 

 

 

「どうして!トリステインの貴族であるあなたがどうして!?」

 

 

 

「我々はハルケギニアの将来を憂い、国境を越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境はない」

 

 

 

ワルドは再び杖を掲げた。

 

 

 

「ハルケギニアは我々の手で1つになり、始祖ブリミルの降臨せし『聖地』を取り戻すのだ」

 

 

 

「昔は、昔はそんな風じゃなかったわ。何があなたを変えたの?ワルド...」

 

 

 

「月日と、数奇な運命の巡り合わせだ。それが君の知る僕を変えたが、今ここで語る気にはならぬ。話せば長くなるからな」

 

 

 

 

「いや、話してもらう。それは私にも関係あるだろう事だからな」

 

 

 

 

 ルイズを守るように、前に躍り出るサガ。それを見たワルドは忌々しげな表情をする。

 

 

 

 

「ワルド...貴様の持つそのクリーチャーの力。どこで手に入れた?」

 

 

 

 サガの質問にフッ、と笑うと、低い声でワルドは答える。

 

 

 

「僕に勝ったら教えてやるさ。もっとも...答えを聞けることはないだろうがね!」

 

 

 

 

 ワルドの杖から『ウインド・ブレイク』が放たれる。サガはそれを『ブラッディ・タイフーン』で迎撃する。

 

 

 

 

「むっ、この威力...微かだがマナの気配がするな」

 

 

 

 

「流石クリーチャー、か。そうさ、僕はマナの存在を知り、微かとはいえそれを魔法に応用して使えるようにしている。君の言う呪文とやらに、互角に戦えているのがその証拠さ」

 

 

 

 

「マナを操る。人間がそれをするには相当な鍛錬をしないといけない。ふん、腐っても騎士、という訳か」

 

 

 

 

サガとワルドは距離を取り、相手の隙を伺う。

 

 

 

 

先に動いたのは、ワルドだった。

 

 

 

 

「喰らえっ!」

 

 

 

 

 再び『ウインド・ブレイク』。それをサガが防いだ時、懐にワルドが潜り込んできていた。

 

 

 

 

「しまっ――」

 

 

 

「『ライトニング・クラウド』!」

 

 

 

 

 強烈な雷がサガの身体を教会の外へと吹き飛ばす。サガは地面を転がるが、直ぐにその体制を立て直す。

 

 

 

 

「危なかった...大丈夫か、デルフリンガー」

 

 

 

 

「あ、頭がぐわんぐわんするぜ...」

 

 

 

「...そなたの頭って、どこなのだ...?」

 

 

 

 

 サガは咄嗟にデルフリンガーを構え、ワルドの『ライトニング・クラウド』を防いでいた。しかし、それでも外に吹き飛ばされるほどの威力だったのだ。サガは、ワルドの実力の高さを改めて実感した。

 

 

 

 

 

「しかし、負けるわけにはいかない」

 

 

 

 

 サガは教会からゆっくりと歩いて出てくるワルドを見据える。ワルドは、ぶつぶつと何かを唱えていた。

 

 

 

 

「どうした、その程度なのか?クリーチャーにして『ガンダールヴ』だと知って慎重にやらせてもらっていたが...もういい。風の全力で貴様を滅ぼしてやろう、ガンダールヴ!!」

 

 

 

 

 その言葉と同時に、ワルドの身体から風が吹き始める。

 

 

 

 そして、驚くことにワルドの身体が分身する。

1つ、2つ、3つ、4つ。本体と合わせ、5人のワルドがジェヴォーダンを取り囲んだ。

 

 

 

「ただの分身と思うな。風のユビキタス、『偏在』。風は偏在するのだ。風の吹くところ、何処となくさ迷い現れ、その距離は意志の力に比例する」

 

 

 

 ワルドの分身は懐から白い仮面を取り出し、顔につけた。

 

 

 

「やはり、フーケの隣にいたのも、桟橋で襲ってきたのも、貴様だったのだな」

 

 

 

 

「いかにも。そして偏在は1つ1つが意思と力を持っている。言ったろう?風は『偏在』する」

 

 

 

 

 本体のワルドが何かを取り出す。残骸のように見えるそれは、前にフーケに渡していたものだ。

 

 

 

 

「本体の僕はともかく、風である僕ならば...その性質は風のように変化する!」

 

 

 

 本体のワルドが分身に残骸を投げ渡す。分身はその残骸を、自らの身体に直接突っこんだ。

 

 

 

 

「おぉ、おおお...!」

 

 

 

「ぬぁぁっ!」

 

 

 

「ぐぅぅ〜う!」

 

 

 

「ぁぁぁ!」

 

 

 

 

 四人の分身がその姿を変えていく。1人は前回のゴーレムのように腕が大きくなり。1人は、その皮膚が木のようになり。また1人は、虫のような触角が生え。1人は、機械が身体から生えてきていた。

 

 

 

 

 

(それぞれ、とこしえの超人、アプル、キャディ・ビートル、赤い稲妻テスタ・ロッサの力を取り込んだか)

 

 

 

 

「さぁ、どうする?ガンダールヴよ!」

 

 

 

 

 ワルドの言葉を鼻で笑うと、サガは杖を掲げる。そして、サガの周りに5枚のシールドが展開された。

 

 

 

「問題ない。それに、貴様は分かっていないようだから、教えてやる」

 

 

 

 

「ほう?何をだ」

 

 

 

 

「デュエルというのは...ただ相手を対策するだけでは勝てないということをだ」

 

 

 

 

 そう言って、サガはウォズレックをチャージした。

今、サガとワルドによるデュエルが始まった!

 

 

 

 

 

 

「さ、ターンエンド。貴様の番だ、ワルド」

 

 

 

 

「...その余裕が続くのも今だけだっ!」

 

 

 

 

 

 発動するのは『ライトニング・クラウド』。先程もそれが5つの方向から同時に繰り出される。並の者なら直ぐ様やられてしまうだろう。

 

 

 

 

「デルフリンガー、あの3つの雷を頼む」

 

 

 

 

「あいよっ!」

 

 

 

 

 デルフリンガーの剣の中へと魔法が吸収される。デルフリンガーで対処しきれなかった分は、シールドで防ぐ。

 

 

 

「シールドチェック。...来たぞ」

 

 

 

 

「何がこようが、貴様を縛るこの状況を打破できるものか!」

 

 

 

ワルドの言葉に呆れた様子でサガは答える。

 

 

 

 

「...本当にわかっていないな。しょうがない、貴様にデュエルの楽しいところを教えてやる」

 

 

 

 

「はっ、何だと言うんだ?」

 

 

 

 

「それはな...」

 

 

 

 

 

サガは溜めて...大きな声で言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「相手が勝った!と思える状況を、たった1枚のカードからひっくりかえせる事だ!」

 

 

 

 

 

 サガの割られたシールドから、稲妻のマークが現れる。

 

 

 

 

「シールドトリガー発動!さぁ、逆転の扉を...」

 

 

 

 

 

「...開けるか?」

 

 

 

 

 

 

 瞬間。ワルドの分身の1体、アプルの力を宿した分身が黒い、闇の瘴気に包まれ消滅した。

 

 

 

 

「な、何ぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 

 

 

さらに、とこしえの力を宿した分身も消滅する。

 

 

 

 

 

「ま、また!?な、何をしたぁ!?」

 

 

 

 

「私は何もしていない。やったのは...コイツだ」

 

 

 

 

 そこに居たのは、百獣の王を模した顔をした、ドアを鎧のように纏った深淵の存在。

 

 

 

 

「シールドトリガー、『ドアノッカ=ノアドッカ』。能力で相手の場のクリーチャーを1体選び、パワーをマイナス4000する。それを、2回だ」

 

 

 

 

「なん、だと?そんなの、あの方から聞いていない...!」

 

 

 

 

 ワルドの動揺して呟いたそれを、サガは聞き逃さなかった。

 

 

 

 

「あの方?誰だ、それは」

 

 

 

 

「...だ、誰が教えるか。まだ、2人やられただけ。まだ僕含め3人いる。貴様の守りも3枚。バランスも丁度いいじゃないか」

 

 

 

 

 ワルドは気を取り直した様子で再び詠唱を始める。ワルドが準備しているのは『エア・ニードル』。素早く相手を刺し貫く魔法だ。

 

 

 

 

「私のターン。レオポルディーネ公をチャージし、2マナ。『...開けるか?』」

 

 

 

 

 キャディ・ビートルの力を宿した分身が消滅する。ワルドは気にせず、詠唱を続けた。

 

 

 

 

「その守りを一気に突破してくれる!『エア・ニードル』!」

 

 

 

 

 風の針はサガのシールドを2つ刺し貫き、破壊する。サガはシールドチェックするが...

 

 

 

 

 

「...トリガーは無しだ」

 

 

 

 

「はははは!どうだ!さらに、僕のキャディ・ビートルの力を持った分身がやられたことにより、僕のマナが回復する!そのマナを使って...

はぁっ!」

 

 

 

 

 

 2人のワルドが4人に。4人のワルドが8人に。どんどん数が倍になっていく。それを見たルイズは驚く。

 

 

 

 

「あ、あり得ないわ!『偏在』は一回使うだけでもかなりの精神力を使うのに!あんなに沢山の分身を...!」

 

 

 

 

「ははは!どうだっ!マナを使えば既存の魔法も使える回数が増える!そして、僕以外の全員に君の力を対策するクリーチャーの力を与える!」

 

 

 

 

 十数人のクリーチャーの力を宿したワルドの分身がサガを完全に包囲した。サガはアナカラージャオウガと戦った時を思い出していた。

 

 

 

 

 

「そのドアクリーチャーでもこの数は一掃できまい!今度こそ終わりだ!」

 

 

 

 

 十数人のワルドの杖が輝き始める。それを見たデルフリンガーは焦った声を出す。

 

 

 

 

「どーすんだ相棒!流石にこの量はおれでも吸収しきれねぇ!」

 

 

 

 しかし、サガは狼狽えない。杖から1枚のカードを取り出すと、それを高く掲げた。

 

 

 

 

 

「問題ない。むしろ、良くやってくれたと感謝したいくらいだ」

 

 

 

 

「この期に及んでまだそんな事を言えるとはな!だが、それを言えるのもここまで。僕達の『ライトニング・クラウド』が放たれる時が貴様の最後だ!」

 

 

 

 

 

 ワルドは高笑いをする。巻き込まれない場所から見ているルイズはサガを見て心配そうにしていた。

 

 

 

 

「...主人に心配させるとは、使い魔失格だな。ならば、挽回せねばなるまい」

 

 

 

 

 

「ワルドよ。さっき言ったことを覚えているか?」

 

 

 

「デュエルというのは...たった1枚のカードから逆転できるのを!」

 

 

 

 

 掲げたカードが光り輝く。そして、そのカードから青い水のマナが溢れ出し...

 

 

 

 

 

 

ギャギャギャギャーーーーンンンン!!!

 

 

 

 

 

 

 

戦場に、ギターの音が鳴り響いた。

 

 

 

 




次の更新は果たして...
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