宝探しから数日経った。学園に戻ったサガは、相変わらず洗濯などの雑務をこなしていた。
「ふぁー...眠い眠い」
眠りこそ頂点、直ぐに寝てやるぜ!なんてサガが考えていると、何かが目の前を通った気がした。
(...?)
サガが首をかしげていると、今度は馬の駆ける音が聞こえてきた。
音の方向をサガが見れば、そこには焦った表情のギーシュが急いでこっちに来ているのが見えた。
ギーシュはサガの目の前で馬を止めると、慌てた様子でサガに言った。
「大変だ、サガ!!」
「どうした、ギーシュ?」
サガの質問にギーシュは答える。
「アルビオンが、レコンキスタと名前を変えて...トリステインに宣戦布告したっ!!」
「...何だと!?」
ギーシュから伝えられた衝撃的な内容。サガは驚きを隠せない。
(一体、何が起こっているというんだ...!?)
この時、困惑するサガを茂みから一匹のネズミが見ていたのは、ギーシュもサガも気づいていなかった...
◇
「...アルビオンは、貴族、平民を問わず、その全てが閣下に身も心もひれ伏しております」
アルビオンの城、そこのとある一室にレコン・キスタの幹部格であるワルド、フーケ、そして閣下と呼ばれた男が居た。
「これも全てこの指輪のおかげだ」
「苦労して水の精霊から奪ったかいがあったというものです」
男の言葉にフーケも続く。男はニヤリと笑うと、手元に広がっている地図を見た。
「だが...これは足がかりに過ぎん。この大陸全てを我が物にする為のな」
「次は大陸中央に位置するトリステインを落とすのだ」
男の言葉にワルドが答える。
「手筈は既に整っております。トリステインに、逃げ場はありません」
そうニヤリと言うワルドだったが、内心では全く別の事を考えていた。
(この男に従うのも疲れるな...しかし、これもあの方が闇のマナを集めるために必要な事。そのためならば、この小物に従う事など些細なこと)
ワルドの身体から薄っすらと黒い何かが滲み出る。それに、男もフーケも気づかずに作戦を建てている。
カタリ、と歯車の回る音が小さく部屋に響いた。
場所は代わり、トリステインの城。その城にある会議室で、城の大臣達が議論を交わし合っていた。
「だから、まずは使者を送り話し合いを...!」
「そんな事やっている場合か!相手は軍艦を持ち出してきているんだぞ!?我々に残されているのは、降伏か、蹂躙されるか...2つに1つだ!」
ぎゃいぎゃいと大臣達が話し合っていると、話を聞いていたアンリエッタが立ち上がって言った。
「...降伏はありません。貴族としての誇りを失うことは、死と同然。...わたくしが、軍の指揮をとります」
そう言ってアンリエッタは太后へと視線を向ける。それに太后は、にこりと笑って頷く。
その対応が果たして正しいのかは、この場にいる誰も問い詰めることはしなかった。
◇
「何!?ルイズ、本気なのか、それは!?」
サガの驚く声が、ルイズの部屋中に響く。
なぜサガが驚いているかというと、トリステインとレコン・キスタの戦争に、ルイズが参加すると言い出したからだ。
驚くサガに冷たい態度で答えるルイズ。
「当たり前よ...姫様が戦場に出るのなら、わたしも行かなきゃ」
「...ルイズ。こう、私が言うのも何だが...」
言いどもるサガ。その様子にルイズは怪訝な表情でサガに続きを聞く。
「...何?言いたいことがあるなら、ハッキリ言いなさい」
「...では、言わせて貰おう。...ハッキリ言って無謀だ。そもそも、ルイズが行って何になる?相手は同じ学園の貴族じゃない、国家レベルの相手だ。ここは、素直にアンリエッタの率いる軍が勝利するのを信じて待ったほうが...」
サガがそこまで言った時、拳を叩きつける音が響く。ルイズが部屋の壁を叩いたのだ。
ルイズははき出す様に言う。
「...分かってる、分かってるわよ!わたしが行った所で無駄なのは!でも、でも!」
「姫様が...大事な友達が!戦場に戦いに行くのを、黙って見過ごせるわけないじゃない!」
そう言って、ルイズは部屋の扉まで行き、勢いよく開く。そして、サガに背を向けて言った。
「...あんたは来なくて良いわ。この戦争は、わたし達の世界の問題だもの」
ルイズは部屋を飛び出していく。サガは、その様子をぽかんとした顔で見ていた。
少しサガは考える。そして頷くと、壁に立てかけたデルフリンガーを手に取った。
「うぉっ!?どうした相棒!?」
「仕事だ、デルフリンガー。...まったく、素直じゃない主人だ」
サガはデルフリンガーを背負う。そして、いつものメンツを呼びに向かうのだった。
そして、次の日。シエスタの故郷、タルブの村にレコン・キスタの空飛ぶ軍艦が襲来した。
正月フウカ、天井しました。暫く石貯めます。
追記
ちょっとだけ文を追加しました。