ゼロの絶望神   作:一般デーモンコマンド

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だいぶ期間が空いてしまいました。申し訳ございません。


後攻14ターン目

 

 

「な、何だアレっ!?」

 

 

「に、逃げろぉ!」

 

 

 

 

 

 トリステイン、タルブの村。のどかな筈のその村は、阿鼻叫喚となっていた。

 

 

 

 

「はーっはっはっはっは!!やれ、我が竜騎士達よ!その力を、トリステインに見せつけてやれぇ!!」

 

 

 

 

 

 指輪をつけた男が高らかに命令を下す。その指に身につけられた指輪はぼんやりと光を放っていた。

 

 

 

 

 

(...無駄な殺戮だ)

 

 

 

 

 

 竜騎士達が行う村人達の虐殺を見て、ワルドは内心そう思う。殺すのは最低限にし、後はマナを奪うための傀儡に変えればいい...と。無論、このような思考に陥るのも全てワルドの心酔する『あの方』のせいなのだが。

 

 

 

 

 

 

 すると、甲板に待機していた部下の1人が、慌てた様子で報告にやって来る。

 

 

 

 

 

「ワ、ワ、ワルド様!!」

 

 

 

「どうした?」

 

 

 

「城の方角より、多数のトリステインの貴族、そしてグリフォン隊が接近中です!」

 

 

 

 

 そう部下は報告する。ワルドは男の方をチラリと見た。背を向けていた男は、振り返ると下卑た笑いを浮かべて言った。

 

 

 

 

「成程。まぁ、抵抗してくるだろうというのは想定の範囲内だ。...全竜騎士に告ぐ!トリステインの愚かな貴族達を殲滅せよ!!」

 

 

 

 

 

「「「「「おぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!」」」」」

 

 

 

 

 竜騎士達が虐殺を止め、トリステイン軍の方向へと向かう。

 

 

 

 

「さぁて、トリステインがどこまでやれるか...見させてもらおうじゃないか!!」

 

 

 

 

           ◇

 

 

 

 

「ヤッバイわね!あれ全部竜騎士!?」

 

 

「ドラゴンと人が共に戦う...ドラグナーのようだなぁ」

 

 

 

 ルイズにおいてけぼりを食らったサガ。そんなサガは、学園に残っていたキュルケとタバサを連れ、戦場となったタルブの村へと向かっていた。

 

 

 

 

「取り敢えず作戦通りに、二人はどっかで戦ってるだろうギーシュのとこに行ってくれ。私はルイズの所に行く」

 

 

「りょーかい。じゃ、ここで一旦別行動ってことで」

 

 

「...頑張って」

 

 

 

 そう言って、シルフィードに乗ったキュルケとタバサはギーシュを探しに向かう。それをサガは見届けると、DOOMドラゲリオンに指示を出して、ルイズの方へと向かう。

 

 

 

 何故かサガはルイズの見ている景色が見えていた。それを頼りに、ルイズの居るであろう場所へと進む。

 

 

 

「相棒!いよいよだな!」

 

 

「あぁ。...シエスタの故郷を壊し、アンリエッタの愛した者を殺し、アルビオンを奪ったレコン・キスタ...」

 

 

「そして、その裏に居るであろう『COMPLEX』。奴らに、真の『絶望』を見せてやる」

 

 

 

 

その時、特大の火球がサガの方へと放たれた。

 

 

ドゴン!!という爆発音が響く。

 

 

 

「やったか!?」

 

 

 

 騎士は握り拳を作って叫んだ。間違いなく直撃した。あの奇妙な怪物に乗ったアレは確実にやった。そう騎士は思うが、実際は...

 

 

 

 

「やったか!?というのは古来から伝わるフラグだといわれるが...まさか自分で再現することになるとは」

 

 

「また変なこと言ってんなぁ、相棒」

 

 

 

 煙が晴れ、騎士の目に入ったのは一本の剣を構えたサガの姿。火球をデルフリンガーで吸収したのだ。

 

 

 

「なっ!?くそっ、ならもう一回...」

 

 

「残念だが、そうはいかないのだ。...ドラゲリオン、メテオバーン発動!!」

 

 

 

 

 ドラゲリオンの口から黒い瘴気が放たれると、それを浴びた竜は弱り、その身体を朽ち果てさせながら騎士もろとも地面へと落ちていった。

 

 

 

「うわぁぁぁぁっ!」

 

 

「おのれ、よくも仲間をっ!!」

 

 

 

 戦闘を見ていた他の竜騎士達がサガに向かって突撃してくる。このまま直撃...と、その瞬間、突撃してきた竜騎士達が一斉に落とされる。

 

 

 

「ありがとう、Vol-Val-8」

 

 

 

 落としたのは『禁断竜王Vol-Val-8』。機械仕掛けの禁忌の竜王は、唸り声のような駆動音を鳴らすと、他の場所にいる竜騎士達の下へと向かった。

 

 

 

「すげぇな、さすが、クリーチャーといったところだな」

 

 

「うむ。正直、このままVol-Val-8とドラゲリオンだけでも充分だ」

 

 

 サガは手を握りしめる。そして、手を震わせながら言った。

 

 

「だが、それだけではいけない。奴らに知らしめないといけないのだ...私を相手にしたのは間違いだったとな」

 

 

「...いつもなら、普通のデュエルでなんとかしたところだが...今回は例外だ」

 

 

「奴らに見せてやろう。『真のデュエル』を!!」

 

 

 

           ◇

 

 

 

「あのバカ...!!」

 

 

 

 サガがドラゲリオンに乗り、竜騎士達を蹴散らしていく様子は、アンリエッタ率いる軍と共に行動していたルイズからも見えていた。

 

 

 

「...何で来たのよ」

 

 

 ボソリとルイズはそう呟く。それには、安堵の気持ちと、少しばかりの悔しさが含まれていた。

 

 

 

 ルイズは、気づき始めていた。自分がここまでやってこれたのは全てサガが手助けしてくれていたからだと。

 

 

 自分は、無力だ。周りから付けられた『ゼロ』そのものだと。そう思ったルイズは、今回の戦いではサガに頼るまいと、あえてサガについてこないように言った。

 

 

 

 しかし、実際はどうだ?結局サガはここに来ている。頼らないと決めたのに、また頼ってしまう。

 

 

 

 ふつふつ、と。ルイズから薄っすらと黒いナニカが滲み出る。ルイズは気づいてはいないが、歯車の軋む音が響く部屋からこの戦いを見ていたソレは気づいていた。

 

 

 

ゼロが、闇に染まり始めていると。

 

 

 

 ソレにとっては嬉しい誤算だった。自身の天敵となるであろう虚無の末裔。それが自ら闇に染まり、自身の糧になろうとしているからだ。

 

 

 そのままルイズを追い込むために...ソレはルイズの思考に干渉する。

 

 

(...そうです。貴女は無力...)

 

 

 

「ッ!だ、誰なのっ!?」

 

 

 

 突如として頭に響く女性の声に驚くルイズ。声は、少し黙ると、優しげな声で名乗った。

 

 

 

(...そうですねぇ。...女神、とでも名乗っておきましょうか)

 

 

「うそ...女神...?」

 

 

 

 

驚くルイズを後目に、ソレは再び喋りだす。

 

 

 

(魔法はつかえない。戦う力もない。貴女が貴族でいられるのも、まわりの人々のおかげ...)

 

 

 

「な、何よ急に!!そんなこと、な...い...」

 

 

 

(いいえ。貴女だからこそ分かっている。自分は、駄目な落ちこぼれの...)

 

 

 

(ゼロ、なんだと)

 

 

 

 

「違う...そんなこと...」

 

 

 

 

 

 

 ルイズは、その場に崩れ落ちる。そうなっても、頭の中では自身をゼロと呼ぶ声はやまない。

 

 

 

「ぅ、ぅぅ...」

 

 

 

 あともう一息だと、ソレは確信した。そして、ルイズの心を折ろうと言葉を発そうとした時...

 

 

 

「ルイズっ!!」

 

 

 

 ドカン!!という音が後ろで鳴り響く。何事かと思い振り向けば、そこに居たのは落とした竜騎士の上に立つ自身の使い魔だった。 

 

 

 

「サガ...」

 

 

「危なかったな、ルイズ。合流できて良かった」

 

 

 

いつもと変わらない調子でそう言うサガ。

 

 

 

 そんなサガに、ルイズは苛立ちを込めた言葉をぶつけてしまう。

 

 

 

「...んで...」

 

 

「?ルイズ...?」

 

 

「なんで来たのよ!?」

 

 

「なんでって...主人を助けるために使い魔が駆けつけてなにか悪いか?」

 

 

 サガがそう言うが...ルイズは聞こえてないのか、感情をむき出しにして自身の思っていることをはき出し始めた。

 

 

「いつも、いつもそう...わたしは一人じゃなにもできない!」

 

 

 ぼろぼろと涙を流し、ルイズはひたすらに喋り続ける。

 

 

「フーケのときも!アルビオンのときも!全部サガやキュルケたちに助けてもらってた!わたしはなにもできなかった!!」

 

 

「わたしだって頑張ってるのに!どうして!?」

 

 

 

 

「どうしてわたしは『ゼロ』なのよ――!!」

 

 

 ルイズが叫ぶと同時に、その身体から黒い炎のような闇のマナが吹き出し始める。

 

 

 それを待っていたかのように、ソレはルイズの心を今度こそ折ろうと心に囁やこうとした、その時だった。

 

 

 

「落ち着けルイズ!」

 

 

「きゃんっ!?」

 

 

サガが、ルイズの頭を思いっきり引っ叩いた。

 

 

 

 叩かれたルイズはサガに怒りの言葉を投げかける。

 

 

「きゅ、急になにをするのよ!?」

 

 

 そんなルイズを気にせず、いつもの調子でサガは言う。

 

 

 

「さっき言ったとおりだ。落ち着け」

 

 

「あ、あんた少しは察しなさいよ!?今どう考えてもそんな引っ叩く場面じゃなかったでしょう!?」

 

 

「すまんな。私はつい一方的に勝ってしまうゆえ、少々気持ちを汲み取るのが苦手なのだ」

 

 

「そんな堂々と言うことじゃないでしょーがっ!!」

 

 

 

 わーわーと騒ぐルイズ。すると、先程まで溢れそうになっていたマナが白く透明になっていき、ルイズの身体へと収まっていった。

 

 

(ば、馬鹿な...そんな、くだらないやりとりで闇を抑えたというのですか...!?)

 

 

 

 ソレは驚き困惑する。先程まで暴走しそうになっていたルイズの闇をあっさりとサガが収めてしまったからだ。

 

 

(くっ...これ以上は無意味...覚えていなさい、絶望神...!!)

 

 

 そう吐き捨て、ソレは干渉をやめる。一方、サガはルイズが何故そう思ったのかを聞いていた。

 

 

 

「...ずっと考えていたわ。わたしはサガを召喚してから色々なことに巻き込まれてきた」

 

 

「でも、その色々なことで、わたしはなにもしていないのよ。助けられるか、ただ見ていただけ...」

 

 

「ふぅむ。なるほど、それでこのままではいけないのではないかと思ってしまったと」

 

 

「そう、ね。間違いないわ。わたし、焦ってたのかもしれないわ」

 

 

 少しは落ち着いたのか、ルイズはサガに本音を話す。それを聞いたサガは神妙な表情で頷き言った。

 

 

「...お前が皆の役に立っていないというのはお前の思い過ごしだ」

 

 

「えっ?」

 

 

「アルビオンの時は、ルイズがいてくれたおかげで新たな敵が分かった。宝探しの時は、ルイズのおかげで私はあまり迷子にならなかった。フーケの時は、ルイズが気を引いてくれたおかげでループが間に合った。...そして」

 

 

サガはまっすぐルイズを見据えて言った。

 

 

 

「この私をルイズと出会わせてくれた。それもこれも、全部お前のおかげだ。...ありがとう、ルイズ」

 

 

「...ふふっ。なによ、それ。口説いてるのかしら?」

 

 

「口説く?私は別に...」

 

 

「あー、いいのいいの!!そう、そうなのね」

 

 

 

ルイズの表情がパッと明るくなった。

 

 

 

「なーんか、急に今まで悩んでたのが馬鹿らしくなったわ!よーし、サガ!ぼさっとしてられないわよ!はやくあの連中をぶっ飛ばすわよ!!」

 

 

 

「...あぁ。そうだな、そうこなくてはな!」

 

 

 ルイズがサガに手を差し出す。それに応えるように、サガがその手を握った瞬間だった。

 

 

「ッ!?」

 

 

「ルイズ!?」

 

 

 ルイズの身体が跳ねる。そして、身体から白いマナが溢れ出し始めていた。

 

 

 

「な、なんだ、なんなのだ!?」

 

 

 珍しく狼狽えるサガに、突如デルフリンガーが答えた。

 

 

「覚醒だ!!」

 

 

「か、覚醒?サイキッククリーチャーのあれか?」

 

 

「そっちじゃねぇよ!これはな...」

 

 

 

 

「『虚無』の覚醒だよ!!」

 

 

 




まただいぶ期間を空けて投稿するかもしれません。とりあえず、次回にご期待ください。
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