さて、決着です。
「サガが、増えた!?」
その光景は、ここ最近の中でも特に異常な光景だった。
「『偏在』、だと!?さっきの風といい、まさか風のスクウェアなのか!?」
偏在という風のスクウェアにしか使えない魔法をサガが使った。それにギーシュは驚く。
「「違うが」」
「違うのっ!?」
違った。では、この状況はなんだというのか。
「説明は後でしてやろう。さて、
「そして、墓地にクリーチャーが3体以上いれば、コスト5以下のゴッドまたはオリジンを蘇生できる。そうしたならば...このクリーチャーを、破壊する」
そうして、最初のサガが崩壊していく。その様子に、周りの観衆達はさらに驚く。
「さて。復活した
そして、崩壊するサガ。
蘇生され、崩壊していく。
蘇生され、崩壊していく。
蘇生され、崩壊していく。
蘇生され、崩壊していく。
何度も何度も何度も。サガの生と死が繰り返され続ける。
そのおぞましい様子に、観衆達は恐怖する。
「もう止めなさい、サガ!そんなことして、何になるのよ!」
思わずルイズが止める。しかし、サガは聞く耳を持たない。生と死を、繰り返し続ける。
その様子を見て、観衆の1人が、ぽつりと言った。
「サガが繰り返す。繰り返す...ループ」
「サガのループ。『サガループ』だ!」
「その通り。これで、ループ証明完了だ」
サガがループを辞める。そして、サガではない者を出した。
「蒼狼の大王イザナギテラスを出し、能力発動。呪文、『コダマダンス・チャージャー』。これでマナを伸ばす」
突如現れる亜人。その亜人が何か唱えると、サガの杖からツギハギの人形のようなオーラが放たれる。
「さぁ、フィニッシュだ。1マナを支払い...
顕現せよ!」
サガが杖を掲げる。そして、凄まじい闇のオーラが巻き上がる。
「闇に染まりし不死鳥!超神星DOOM・ドラゲリオンを超無限墓地進化で召喚!」
一瞬の静寂。そして、誰かが上を向いた。つられて、周りの観衆も見上げる。
そこにいたのは、禍々しき龍の姿をした不死鳥。禍々しさを感じるが、一方でどこか神聖さを観衆に感じさせた。
ォォォォォォ!
不死鳥が咆える。それに満足そうな顔をして、サガが言った。
「これで終わりだ!ドラゲリオンでゴーレムに攻撃!その時、メテオバーン発動!」
不死鳥の中心からカードの形をした光が一つ現れる。それは、サガの持つ杖に吸い込まれた。
「ドラゲリオンの能力発動。もう一体のゴーレムのパワーをマイナス9000し、更に、
水上第九院シャコガイルを墓地から出す!」
ドラゲリオンから極太の光線が放たれ、全てのゴーレムが光へと呑み込まれる。光が晴れる頃には、ギーシュのゴーレム達は跡形もなく消滅していた。
「なんて、ことだ...」
何故、こんなことになったのだろう。
眼の前に居た自身のゴーレム達が次々に崩壊していく様を見て、ギーシュは思った。
ギーシュは少し上を向く。
ドラゲリオンは、相変わらず此方を見下ろしている。その時、ギーシュは気づいた。
ドラゲリオンの後ろに、それ以上の体躯を持った二枚貝の怪物が居たのを。
貝が開く。そこから、大量の水が溢れ出して...
そこで、ギーシュの意識は途切れた。
◇
「はっ!?」
次にギーシュが目覚めたのは、それから数時間後のことだった。自室のベッドまでいつの間にか運ばれたらしい。
「...負けたのか、僕は」
サガの見せたあの魔法の数々。どれもギーシュは初めて見るもので...とても、恐ろしかった。しかし、何処か清々しさも覚えていた。
と、ドアがノックされる。
「どうぞ」
「失礼する」
入ってきたのは、サガだった。
「君か。どうしたんだい?負けた僕を、バカにしに来たのか?」
「違う。これを、持ってきた」
それは、揚げたパンのようなものだった。
「これは?」
「カレーパンだ。カレーをパンで包んで、揚げたものだ」
一口かじる。中から、香ばしいドロリとしたスープらしきものが溢れ出してきた。
「辛い...が、美味しいな」
「だろう?」
暫く、沈黙が続いた。カレーパンを食べ終わった頃、サガが口を開いた。
「いい、デュエルだった」
「デュエル?」
「決闘のことだ」
「あぁ。...そうでもないさ。僕は、君の魔法に圧倒させられた。ゴーレムだって全て壊された。君の、勝ちさ」
そして、小声で呟く。
「僕は、弱いな」
それに、サガは言った。
「いや、ギーシュ。お前は強い」
「何故?」
「あのゴーレム、というのか?あれを操るのはかなり難しそうに見えた。一体でも難しそうなのを複数操っているのだ。それだけで私はすごいと思う」
シールドも全てブレイクされてしまったしな。とサガが笑いながらいう。それを見て、ギーシュもつられて笑う。
「君は、変なヤツだな」
「そうか?」
再び、2人で笑う。
2人の間に、奇妙な連帯感が生まれていた。
◇
時間は、少し遡る。
オスマン氏とコルベールは、『遠見の鏡』で一部始終を見終えると、顔を見合わせた。
コルベールは、震えながら声を絞り出す。
「オールド・オスマン」
「うむ」
「あの使い魔、勝ってしまいましたが」
「そうじゃな」
「ギーシュは1番レベルの低い『ドット』のメイジですが、それでもただの使い魔に遅れをとるとは思えません。そしてあの魔法!あんなの見たことない!やはりあれは『ガンダールヴ』!」
「...」
オスマン氏は、フーッとため息をつくと、手を顔につけた。そしてゆっくりと顔を撫で、続いて白い髭をなでる。
そして呟いた。
「確かに、そうかもしれんな」
「やはり!私の目に狂いはなかった!」
はしゃぐコルベールを後目に、オスマン氏はサガの姿を思い出す。
「まさか、な」
髭を弄りながら、ありえないというように首を振ったオスマン氏なのだった。
決闘決着!
しかし、サガの異世界生活はまだまだ続きます。