織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回は妹の話です。
キャライメージは劣等生の柴田 美月ちゃんです。
おっとりメガネ巨乳の女の子って可愛いですよね~。


第3話 織斑 一真の妹

 世間では英雄的に取り上げられている父だが、家では場を考えずにイチャつきまくる夫婦というとんでもない一面を持つ。

小さい頃は両親の仲が良くて喜んでいたが、流石にもうこの歳でも小さい頃と変わらないイチャつきぶりを見せられるのは息子として恥ずかしいものだ。

少し前に父に、

 

「いい加減いい年なのだから、少しは控えたら?」

 

と言ってみたことがある。

息子として遠回しながらの抗議なのだが、それを受けた父さんはさわやかに笑いながら答えた。

 

「いいかい、一真。最愛の人と一緒にいて幸せを感じるのに歳は関係ないよ」

 

と俺を優しく諭すように言ってきた。

そのあまりのさわやか過ぎる笑顔に俺は何も言えなくなった。

だって、その顔は真理を悟る僧侶かのように落ち着いたものだから。

とてもじゃないが俺よりも長く生きて経験を積んだ父さんに、恋愛というものをしたことがない俺ではとても説得することは無理だった。

 別に諦めた訳ではないが、父と母のことはひとまず置いておこう。

ちなみに母さんにも同じようなことを言ったら、

 

「だって……旦那様のこと、だぁいすきなんだもの!」

 

とのこと。この母に説得は無理だと思った。

 父さんと母さんだけでもきついのだが、実はまだまだ問題や悩みは山積みである。

その一つが、俺の妹だ。

俺の妹……織斑 夏耶(おりむら かや)

双子だが妹であり、向こうも俺のことを兄として認識している。

身内贔屓かもしれないが、結構良く出来た奴だと思う。

少し抜けている所はあるが気配り上手だし、俺と違って頭も良い。家事炊事も母さん譲りなのか上手であり、家では二人でよくお菓子なんかを作っている。

ただ、俺としてはもう少ししっかりして欲しいというか、母譲りの甘い感じをどうにかして欲しいところである。

では、何故こんな良く出来た妹が悩みなのか。

これは正確に言えば妹自体が悩みではなく、妹のせいで俺の周りから色々と厄介事がやってくるのだ。

たとえば、妹をイヤらしい目で見る奴が絶えないこと。

俺と妹はついちょっと前まで同じ中学に通っていたのだが、当時からそれは多かった。

兄としてそこまで意識していなかったのだが、妹は所謂美少女という分類で学校では知られていた。

それだけなら問題はないだろう。その美少女というのは具体的に言えば、『学園1の巨乳メガネ美少女』ということらしい。

幼さを感じさせる顔立ちにメガネで黒髪セミロング、身長は少し低い。その顔に反して周りの女子達からは群を抜いて大きいらしい胸。でもけっして太っているわけではなく、くびれはちゃんとしている。

俺はそんなこと全く思った事もなかったのだが、周りはそう思わないらしい。

思春期真っ盛りの男子たちのは、妹は堪らないくらい凄いのだとか。

御蔭で妹はさらに男子に怯えることが多くなってしまった。

元から人見知りの気があったのが、さらに悪化してしまったような気がする。

それに家族がそんな視線に晒されて気分が良い奴なんていないだろう。

だからこそ、俺がそういう奴等を片っ端から片してきた。

仮にも武者の息子、物心付いたときから鍛えているのだ。高々普通の中学生に負けるほどやわではない。

まぁ、皆まだ子供ということもあって男共はやれ『シスコン』だの何のとからかってきたが、そこは父さん直伝の語りを聞かせて黙らせた。あの二人を説得するのに比べれば、この程度寧ろ簡単すぎである。

周りの女子も俺の言い分には大いに賛成であり、御蔭で俺はいじめられると言うことは無かった。

妹もそんな俺が誇らしいのか、熱の籠もった目で俺を見る。そんなに嫌だったのだろう、そういう視線が。まぁ、普通はそんな視線を向けられて喜ぶような人などいないが。

 さて、学校でも有名な妹だけにその問題は留まることを知らない。

そんな可愛い? 娘がいれば、男ならほっとかないらしい。

御蔭で妹は良く告白されるようになった。

それだけならいい。だが、その告白の中には、俺の方に来て手紙を渡してくれだの俺から紹介してくれだの、妹の好みを教えてくれだの、そう言った奴等もいたのだ。

正面から行かない者共に俺が応じる訳が無い。

その場で一喝して叩き出したのは言うまでもないだろう。

そして不思議なことに、何故か妹は誰とも付き合わない。

告白された回数なんてそろそろ百は行くんじゃないかというのに、まったくそういったことがなかった。

そのせいか、学園で有名な美少女なだけでなく、『鉄壁の少女』とも言われている。または良く本を読んでいることもあってか『文学撫子』なんて呼び名まである。

告白した男子の中には、サッカー部のエースで学園有数の美男子なんてのもいたが、速攻で断ったらしい。そのせいか、そいつはショックで寝込んで試合で大きなミスを起こしたらしいが。

以前それで気になり、試しに聞いたことがあった。

 

「そう言えば、夏耶」

「なぁに、お兄ちゃん?」

 

夏耶は母譲りの甘い声で俺に応じる。

 

「前たしか三組の〇山に告白されたらしいな」

「えっ!? 何で知ってるの!!」

 

聞いてみたら凄く驚いてた。

別に驚くようなことでもないと思うのだがなぁ。

 

「結構話題だったぞ。学校有数のイケメンが速攻で振られたってな」

「そ、そうなんだ…」

「別にお前が納得してるならいいんだけど、何で断ったんだ?」

 

俺がそう聞くと、妹は俺をじっと見つめた後に恥ずかしがるように顔を赤くしながら話した。

 

「わ、私はまだ、そういうのはいいかな。今は他の誰かとお付き合いする気なんてないよ」

 

そう答える妹。まぁ、本人が納得してるなら俺は文句はないんだがな。

だが何故か妹から熱い視線を感じるのは気のせいだろうか?

ちなみに俺は全く知らないが、妹の断り文句は全部一緒らしい。

 

『私には、一番大好きでずっと一緒にいたい人がいるんです。だからごめんなさい』

 

だそうだ。

妹にそこまで思われている人というのを、兄として一度見てみたいものである。

こんな妹だが可愛い妹である。兄として交際相手は見定めたい。

俺がそんなことを聞くものだから、偶に妹から逆に聞かれることもあった。

 

「お兄ちゃんは誰かと付き合ったりしないの?」

 

そう聞く妹は少し真剣な感じもする。

俺はそれを呆れ返りながらいつもこう答えるのだ。

 

「好きになるような人がいれば付き合うかも知れないけど、今のところそういう恋愛ってのはよく分からん。まぁ、父さん達がどぎついってことだけは分かるけどな。と言うか、今はそんな余裕ない。酷い話かもしれないけど、それをやっている時間の分を鍛錬に回したほうが絶対に良いと思うしな」

 

その答えを聞いた妹は心底嬉しそうに喜ぶ。

 

「そっか~。お兄ちゃんはまだ恋人作る気なんてないんだ。よかった~」

 

そう喜んで飛びついてくる。

別に重くはないが、毎回されると少しばかり鬱陶しい。

 

「夏耶、少し重い。動き辛い」

「あ、お兄ちゃんひど~い。でも、えへへへへ」

 

まぁ、それで妹の気が済むのならよいのだが。

ただ、偶にこれが学校でもあったため周りの男子から殺気の籠もった視線を向けられることが多々あった。だから何故そんなに怒るのか、俺にはまったく理解できない。

まぁ、それはそれで鍛錬になるから良いのだが。

 そのせいで俺は更にシスコン疑惑を男共からかけられることに。

その度に説得という名の殺気を込めた言葉で黙らせてきたのだが。

ちなみに妹の友人が妹にブラコンかどうか聞いたら、顔を真っ赤にして否定しなかったらしい。

何をやっているんだ、妹よ。

 まぁ、そんなわけで妹による悩みもまた尽きないというわけだ。

立派な家族だが、やはり凄い人間というのは何かしら変わっているのかもしれない。

その点、俺は普通だったことに心底感謝した。

 

まだまだ俺の悩みは尽きそうにない。

 

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