織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回は妹がさらに押します。


第35話 織斑 一真は披露する

 二人に腕を組まれながら歩き辛く何やら複雑な感情を抱えたまま俺達はアリーナに到着した。

 

「それじゃあお兄ちゃん、私はこっちで着替えてくるからね」

 

夏耶はそう言うと、更衣室に向かって行った。

アリーナでISの操縦も行う予定とのことなので皆ISスーツに着替えるらしい。

何だか俺には新鮮に見える。何せ劔冑はどんな服装でも装甲可能だから。

 

「一真様、早く行きましょう」

「ええ、そうですね」

 

葵さんに促され、俺達は共にアリーナに入る。

そして待つこと十分。一組の皆がアリーナに入って来た。

しかし……正直目のやり場に困ってしまうな。

改めてISスーツを見るけど、女子だと身体のラインがかなり顕わになってしまっていた。男子だと考慮してなのかそこまでぴったりはしていないようだが。

その中でも特に目立つ……夏耶。

低めの身長からは考えられないくらい大きな胸、はっきりと見えるきゅっとくびれた腰、そして程良い肉付きをしているヒップ。

その全てが同学年の女子からかけ離れているため、皆からの視線が集中する。特に男子が鼻の下を伸ばしていることが分かり、俺は無意識に殺気立ってしまう。

 

「か、一真様、落ち着いて下さい」

 

駄目ですよ、と葵さんに窘められる俺。

そこまであからさまだったかな?

あまり困らせてはいけないと殺気を納めると、夏耶が此方に気付き小走りで近づいてきた。

 

「お兄ちゃ~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!」

 

その様子を見て、微笑ましいとは思うのだが……正直正面から見れない。

何せ少しでも動く度に、夏耶の胸がぷるんぷるんと揺れるのだ。

すっかり成長した妹に俺は目を向けることが出来なくなっていた。

そしてそんな俺をジト目で見て脇腹をつねり始める葵さん。

 

「妹さんをそんな目で見るなんて、不潔です」

「……誤解です、葵さん。地味に痛いので放して下さい」

 

渋々手を放す葵さん。いや、本当にすみません。

そんなこともいざ知らず、夏耶は俺達の前に飛び込むように来た。

その際、その大きな胸がぶるんと揺れた。

 

「お兄ちゃん、どう、私のISスーツ姿!」

 

本人は見てもらえる嬉しさからか、軽く見せるようにくるりと廻ってみせる。

その所為で胸がさらに揺れた。

 

「あ、ああ~……うん……取りあえず……似合っているよ、夏耶」

「本当! ありがとう、お兄ちゃん!」

 

満面の笑みを浮かべながら俺に飛び込む夏耶。

それを受け止めると、大きな胸が俺の胸に押し潰される。

うわぁ、ISスーツ越しだと凄く生々しい。

 

「こら、嬉しいのは分かったから離れろって」

「えぇ~、いいでしょ。だって嬉しいんだもん」

 

そう答えてさらに身体をくっつける夏耶に、俺は確かな異性を感じ始めてしまう。

このままだと倫理観念とか色々と言った物が不味いことになりかねない。

なので葵さんに助けを求める視線を向けると、何故か頬を膨らめつつもどこか羨ましそうにしていた葵さんがいた。

葵さんは俺の助けに気付くと、急いで俺と夏耶の間に入る。

 

「夏耶さん、それくらいにした方がいいですよ。あまり女の子がそのようなはしたない真似はしてはいけません」

「そうかな~? でも私達は兄妹だから可笑しくなんてないと思うけど」

「そういうことではありません。一真様が身動きが取れなくて困っていますから」

 

何だろう? 何やら二人が火花を散らし始めているような気がする。

この雰囲気は何やら不味い気がして仕方ない。

 

「夏耶、葵さんの言うとおりだ。そろそろ授業が始まるのだから、離れて整列位置にいかないと」

「むぅ~、お兄ちゃんのいけず~。まぁ、そう言うなら仕方ないけど」

 

残念そうな顔をしながら離れる夏耶。

身体から離れるマシュマロのような感触にやっと俺は胸を撫で降ろすと、葵さんに礼を言う。

 

「助かりました、葵さん」

 

しかし、葵さんが俺に向けてきたのは『目の笑っていない笑み』であった。

 

「いえいえ、寧ろ一真様の邪魔をしてしまったんじゃありませんか? 一真様って胸の大きな女性が好きなんですね」

 

こんな状態の葵さんは大層怖い。

だから俺は大慌てに答えた。

 

「そんなことありませんよ! 俺はあまりそういうのにこだわる気はないですし、アイツは妹ですよ。ただ甘えたがりなだけですから」

 

それを聞いた葵さんは何やら少し考えた後、やっと普通に笑ってくれた。

 

「そうなんですか。なら良かったです(一真様が鈍感で良かったと言うべきでしょうか? 夏耶さんのああもあからさまな好意に気付かないのは、女の子としてはどうかと思いますけど……でも、意識してもらえている分、私の方が今は有利です)」

 

やっと緊張から解放された俺は改めて周りからの視線に気付く。

女子からは黄色い声が上がっているようだが、男子からは特に嫉妬の視線が感じられた。

 

(くっそ~! このクラス1の巨乳をああも簡単に!)

(このクラス1の美少女を……)

(本当にあの二人、兄妹なのか!?)

(くそっ! 羨まけしからん! あぁ、俺もあのおっぱいに包まれてぇ~……)

 

何やら邪な気配を感じるが、中学の時からあったから気にはしない。一々気にしていたら大変だからな。その分、ウチの妹は凄いと思えばそれでいいだけなのだから。

そんな空気の中、マドカ叔母さんが来た。

 

「おい、もう一時限目は始まっているぞ! 静かにしろ」

 

その声に皆静かになる。

そこはしっかりしている辺り、皆真面目と言える。

武帝校ならその前に折檻されてから並ばされるから。

皆が静まるのを待ってからマドカ叔母さんは改めて授業内容を皆に話す。

 

「今日はISの基本操縦を皆に行って貰う。だが、その前にさっき言った通り一真達には劔冑を披露して貰おうと思う。と、いうわけで早速一真、徳臣さん、前へ来てくれ」

「「はい」」

 

その呼びかけに応じて返事を返し、俺と葵さんは皆の前に出る。

皆の視線が集まる中、俺は自分の相棒を呼ぶ。

 

「来い、絶影っ!!」

 

その呼びかけに応じて、皆の背後から一気に飛び上がり、皆を飛び越して砂煙を上げながら俺の前に着地する人型。

真っ白い身体に所々紫紺の色が見え隠れし、赤い瞳がより印象付ける。

皆がその姿に息を呑んでるようなのを確認次第、俺は相棒の銘を紹介する。

 

「こいつが俺の劔冑、『絶影』です。普通の劔冑と違い、これはISの技術を取り入れた次世代型の『試作数打劔冑』なんですよ」

 

その紹介を受けて皆凄いと歓声を上げた。

一般的に出回っている劔冑のイメージは竜騎兵か父さんの正宗だろうから、真新しく見えるのだろう。俺も初めて幸長おじさんの村正伝を見た時は同じように目を輝かせたものだ。

 

「一真、せっかくだから装甲してくれ。私もお前の装甲した姿を見てみたい」

 

マドカ叔母さんがワクワクした様子で俺にそう頼んできた。

それに頷き、装甲の構えを取る。

左手で顔を覆うようにし、誓約の口上を述べる。

 

『我が内なる正義を顕現し、全ての悪を滅ぼさん』

 

言い終えると共に左手を前に出して、握る。

その瞬間、絶影はその身を弾けさせて宙に浮き、俺の身体へと装甲されていく。

そしてあっという間に全ての甲鉄は装甲されていき、白と紫紺の武者がその場に顕現した。

 

「「「「「「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」

 

俺の姿を見て歓声が上がる。

俺はそのまま葵さんの方を見ると、葵さんは嬉しそうに笑いながら頷く。

 

「では、いきます!」

 

気合いの籠もった可愛らしい声を上げると、指輪をしている手を前に出して言葉を発する。

 

『白菊、抜刀』

 

その途端に光り輝き、光が収まるころには白銀の武者が立っていた。

 

「これがわたくしの劔冑、『白菊』です。一真様と同じISの技術を取り入れて制作された『試作数打劔冑』で、この子は量子変換の技術を用いてISのように運用が可能になっている劔冑です」

 

「凄い! IS見たい」

「でも全身装甲でしっかりしてる!」

「だけどちゃんと顔は出てるんだ! 格好いい~! まさに女騎士って感じかも」

「それを言うなら女武者じゃないの? 巴御前とかさ」

 

皆葵さんに姿に感嘆の声を上げる。

確かにこの姿は劔冑にしても異端だから、目を集める。

俺達の装甲姿に満足したようで、マドカ叔母さんが若干興奮気味に話しかける。

 

「一真、せっかくだから軽い組み手を見せてくれ! 皆に戦う姿を見せたいんだ」

「え、それは……」

 

少し言い淀みながら葵さんを見ると、葵さんは笑みを浮かべながら頷いた。

 

「そうですね。やりましょう、一真様。わたくしも一真様にどれくらいになったか見ていただきたいですしね」

「だそうだぞ。さぁ、見せてくれ」

 

本人の了承を受けたことで更に目を輝かせる叔母さん。

周りも機体しているらしく、目を輝かせていた。特に夏耶は凄く。

ここまで来てやらないとは言えない。

 

「分かりました。葵さん、やりましょうか」

「はい!」

 

お互いに皆から少し離れた後、距離を取る。

そして刀に手を置き、構えた。

 

「では、織斑 一真」

「徳臣 葵」

 

「「参るっ!!」」

 

そしてアリーナには鋼鉄が激突し合う音が鳴り響いた。

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