織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回は新キャラの登場です。
さて、誰の関係者でしょうか?


第36話 織斑 一真は再会する

 朝から色々あったが、やっとのことで昼休みになった。

通常授業では多少の差こそあれ、何とかやって行けそうなレベルだ。寧ろ机の操作とかの方が手こずっている。

流石にISの授業についてはまるっきり分からないことからマドカ叔母さんが復習も兼ねて基礎から教えてくれた。御蔭で少しはISの知識が理解出来てきた。

慣れないことに色々と戸惑ってはいるが、クラスの人達からも良くしてもらい、何とかやって行けそうだ。

 

「はぁ~~~~~~」

「どうしたの、お兄ちゃん?」

「どうかなさいましたか、一真様?」

「何かあったの、かずくん?」

 

食堂に来てその凄さに驚いた後、注文を取って席でお昼を食べる前にそんな溜息が漏れた。

その事に心配する夏耶、葵さん、灯姉さん。

心配してくれるのは嬉しいけど、だからと言ってこの席の座り方はないだろう。

現在の座り順………俺の左を灯姉さんが、右側を葵さんが。そして膝の上に夏耶が座っている。

正直思春期の男子には劇物でしかない。

何せ夏耶は随分と育った柔らかいお尻を俺の膝にどっかりと乗せ、それに対抗意識でも持っているのか葵さんが右腕にしなだれかかり胸を押し当てる。そして灯姉さんが会えなかったから寂しかったと言って俺の左腕に抱きつき、その大きな胸に右腕を挟み込んでいた。

どれもこれも魅惑的な感触がして、料理の香りよりも女の子の独特な甘い香りが鼻腔に充満する。

御蔭で気が気でない上に、手をふさがれて料理が食べられない。さらには夏耶の大きな胸の所為で料理その物が見えない始末。

常に集中していないとすぐにでも男が起き上がりそうな状態に精神を削られながらも、何とか頑張る。色々と……。

食堂に来た時から多くの視線を浴びたが、きっと今がピークに違いない。

女子からは黄色い声が聞こえ、男子から羨望と嫉妬の視線が向けられた。耳を澄ませば、『ハーレム野郎』だとか、『リア充殺』といった言葉が聞こえた。

別にリア充でもなければハーレムなんて不純なこともしていないというのに……。

だが、実際にこの姿は人の目を集めて仕方ないのは事実。

だからといって退いて欲しいとは、言えなかった。

言おうとした瞬間、夏耶からは泣きそうな目で、葵さんからは恥じらいに真っ赤になった顔で上目使いに、灯姉さんからはお願いと言った感じに優しく見詰められ何も言えなくなってしまった。

断れないわけではないが、この三人を悲しませるわけにはいかず……こうして断念せざるえなかった。

さて、そんな状態ではある俺が溜息を吐いたのは、そんな自分の現在の状況からではない。確かにこの状況にも溜息を吐きたいところだが、何故かそんなことをしたら武帝校の皆に殺されるような気がするので止めている。

では何かと言えば……

 

「いや、とても平和だぁ~って、思いまして」

「ここはいつも平和だけど?」

 

不思議そうに俺を見上げる夏耶にそうじゃないよという意味も込めて笑い返すと、何故か顔を赤らめられた。

 

「武帝校じゃ毎日の休み時間、常に襲撃されてたから、こんな風にゆっくりとした時間を過ごすのが久々で」

「確かにそうですね。一真様、毎日襲撃されておりましたし」

「別にみんなが怒るようなことなんてないのにね。かずくん、大変だったでしょ」

 

武帝校から来た二人は俺が向こうでどのように休み時間を過ごしているかを知っているので、苦笑しつつも俺を慰めてくれた。

そう、ここはとても『平和』なのだ。

武帝校にいれば、休み時間には必ずと言って良いくらい襲撃されてあの裁判もどきにかけられる毎日。しかも良く分からない罪状を挙げられ、死刑以外の判決がない。そして集団で襲われる。そんな休み時間。

だが、ここはそんな事は無く、休み時間を平穏に過ごせた。

内心、結構涙物だ。

そんな俺の返答に夏耶は笑いながら更に身体を密着させた。

 

「ここは安全だから、一杯休んでね、お兄ちゃん」

「ああ、そうさせてもらうよ」

 

甘えるようにそう言う夏耶に素直に返す。

身内に心配をかけるのは良くないが、そう気遣ってもらえることは嬉しい。

そんな俺と夏耶のやり取りを見てか、葵さんが俺に恥じらいつつも話しかけてきた。

 

「一真様、そろそろお昼を食べませんと」

 

そう言うと、俺の昼食(煮魚定食)から魚の身を摘まむと俺の前に持ってきた。

 

「は、はい、あーん……」

 

顔を赤くしつつも一生懸命な様子で煮魚の身を差し出す葵さん。

その姿に可愛いと思いながら素直に受け取ることに。

 

「あ、あーん……」

「おいしいですか?」

「ええ、とっても」

 

武帝校と違ってお金が掛かっている分、何だか豪勢な味がした。

葵さんは俺の反応を喜んでいるようで、更に煮魚の身を解し始めた。

 

「あ、徳臣さんったらずるい。私もやらせてもらうわ。はい、かずくん。ご飯よ」

 

そして今度は灯姉さんが茶碗に装られたご飯を一口分摘まみ、俺に差し出してきた。

それを笑いながら食べると、灯姉さんは嬉しそうに微笑む。

気が付けば俺の定食は葵さんと灯姉さんに二分され、二人によって食べさせられているという状態になってしまった。

は、恥ずかしい…………。

夏耶も俺に食べさせたかったようだが、身体の位置から無理だと判断し大人しく座っている。その替わりなのかは知らないが、お尻をぐりぐりと押しつけるのは止めて貰いたい。

そんな風に昼食をとっていたら、その人は突如としてやってきた。

俺は突如、後頭部から抱きしめられた。

 

「ひっさしぶりだな、一真ぁ!!」

「っ!?」

 

その事に驚いている内に俺の頭は柔らかくも弾力がある大きな物によって埋もれていってしまう。前からでないので呼吸が出来なくなるということはないが、流石にこうも柔らかい物に頭を包まれると落ち着かない。

俺はそのまま振り返ると、その人に挨拶する。

 

「久しぶり、颯姉」

「おう!」

 

俺の目の前にいるのは、一つ年上の俺の『もう一人の幼馴染み』である。

身長は俺よりも少しだけ低いが、女性の中では長身のほうだろう。

明るい茶髪の長髪をし、まるで突き出しているかのように大きく主張している胸の持ち主。IS学園の制服をかなりラフに着崩し、胸の谷間が丸見えになっている。大胆な性格で見た目に反して凄く男らしい。

この女性こそ、俺のもう一人の幼馴染みである『伊達 颯』だ。

小さい頃から灯姉さんと一緒に俺と遊んでくれた、もう一人の姉。

灯姉さん曰く、『ライバル』。

 

「あ、颯お姉ちゃん!」

「む、来たわねお邪魔虫」

 

夏耶は嬉しそうに笑い、灯姉さんは警戒を込めた視線で颯姉を見る。

 

「あ、あの、この方は……」

 

いきなり知らない人が出てきた事で戸惑う葵さん。

俺は葵さんに笑いかけながら颯姉のことを紹介することにした。

 

「この人は俺と夏耶の一つ年上の幼馴染みの伊達 颯さんです。別に怖い人ではありませんから」

「そ、そうですか」

 

おっかなびっくりに反応を返す葵さんに颯姉は気前よく挨拶を返す。

 

「あたいは伊達 颯! 伊達先輩でも颯さんでもお姉様でも好きに呼びな! ここの連中は大体お姉様って呼んでるけどな」

「あ、はい。でしたら、伊達先輩で…」

 

その威圧に押されつつも返事を葵さんは返す。それを見てニッカりと笑うと、俺を更に抱きしめてきた。

 

「おいおい、随分と可愛い子じゃねぇか。何か、お前の恋人か? だったら許せねぇなぁ。お前の嫁はあたいって決めてるんだから!」

「それ、冗談じゃ……」

 

小さい頃からそんな風に言っていたので、ただの冗談だと思っていたのだが……

颯姉はそのまま俺の頭を抱えると目を瞑って俺の唇に唇を合わせてきた。しかもかなりの吸い付きで。

 

「っ!?!?」

 

いきなりの事に混乱する俺。

 

「え?……なっ、あ、あ、あ……」

 

余りの事態に絶句する葵さん。

 

「あぁ~、颯お姉ちゃん、ずるい!」

 

何故か膨れる夏耶。

 

「私もあんなに長くキスなんてしてないのに。やっぱり油断ならないわ」

 

ライバル意識からか燃える灯姉さん。

そしてしばらくして唇を離す颯姉。もし効果音が付くのなら、ちゅぽん、である。

未だ混乱している俺に向かって颯姉は照れくさそうに顔を赤くしつつも笑いかけた。

 

「前から言ってるけど、本気のことだからな。あたいは嘘が嫌いなんだ。だから自分に常に正直なんだよ。こんなキスをするのは、したいのはお前だけなんだからな」

「あ、あうあう……」

 

俺は茹で上がる頭で何とか考えようとするが、何も考えられなかった。

 

 

 

 こうして、久しぶりにあった幼馴染みに俺はいきなり告白されてしまった。

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