織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回は殆ど一真が出ません。


第44話 織斑 一真はへこむ

 どうしよう………。

最近はかなり同じ事で悩み続けているが、もう今更なような気もする。

このことに関して、経験が全くない俺にはどうすることも出来ず……。

せいぜい出来る事と言ったら、父さん達に意見を求めるくらいだろう。普通なら親にそんなプライベートな問題を相談すること自体可笑しな話だが、俺の知る限り一番凄い夫婦と言えば父さん達しかいない。

先達の意見は重要であり、素人からすれば貴重なものばかりだ。

故に俺は父さんに意見を求める事くらいしかできないのである。

故に今回もまた、メールを送ることにした。

 

 

 

 拝啓 父さんへ。

 

最近はすっかり夏になり毎日暑い日々が続いております。身体など壊されていないか心配になりますが、父さんのことだからまず大丈夫だと思います。

さて、この度父さんの所為と言ってはなんですが、IS学園の短期留学をすることになりました。久しぶりに会った幼馴染みの伊達 颯さんや千冬伯母さん、マドカ叔母さんは元気にしているようで良かったです。た、束さんには少し困った物ですが……。勿論、夏耶はいつも通り元気でしたよ。

父さんが学生時代を過ごしたIS学園での生活は武帝校とはまた違った刺激があって毎日が楽しく、また勉強になります。父さんに肖ってより武者の高みを目指すべく、日々鍛錬を欠かしません。

さて、この度メールを送らせていただいたのは、また、と言うべきか相談したいことがあるからです。

まず最初に。

 

 

颯姉に告白されてしまいました。

 

 

会って早々抱きしめられ、キスまでされて告白されました。

本人曰く、今までずっと好きだって言っていたのに冗談だと思ってたお前が悪いんだぞ、とのこと。真逆姉同然に思っていた颯姉からも告白されるとは思ってもおらず、困惑すると共にそういったことに気付かない自分を呪いたい気持ちで一杯です。

未だ返事を返せていないのにさらに颯姉からの告白。

そして返事はまだいいと言われました。颯姉は灯姉さんのライバルなのでその決着を付けてからでいいらしいです。

そうそう、まだ報告が他にもあります。

セシル・オーウェルさんは知っていますよね。父さんの友人で西洋の騎士で有名なあの人です。あの人の娘さんにIS学園で出会いました。

名前はアリシア・オルコット。綺麗で長い金髪に青い瞳が美しい少女です。

夏耶の大の仲良しの友人で、いつも休み時間に遊びに来て楽しく過ごしていますよ。

イギリス代表候補生をしていて、その実力も素晴らしいの一言に尽きます。まさに戦乙女という言葉が似合う感じです。

そんな彼女に最初会った時からどうも嫌われていたようで、それに俺はまったく気付かず……。

そして少しいざこざがあった後に彼女から決闘を申し込まれ、そして戦いました。

初めてのちゃんとしたISとの試合。

父さんの頃とはルールが変わっているので勝手が違いますが、戦ってみて如何に父さんが凄いのか実感させられます。

結果は何とか勝ちました。

しかし、その際に相手の攻撃を斬り伏せた時に余計な力が入ったためか、左手の手首が少し損傷してしまったようで、真っ青に色が変わってしまいました。

如何に自分が未熟であるかがわかり、猛省しております。

だけど、やはりこうして全く違う物との戦いは心が躍って良いものですね。

あ、こほん。

失礼、少しばかり興奮して話題が逸れてしまいましたね。

それで実は颯姉の後にも続きがありまして……。

 

 

アリシアさんからも告白されてしまいました。

 

 

試合に勝った後、怪我がないか心配して保健室へと連れて行ったのですが、そこで告白されてしまいました。

それもキスまでされてしまって。こう言っていると、まるで女の子に甘いスケこましのようにしか聞こえず、言っていて気分が沈んでしまいます。

アリシアさんが言うには、助けて貰った時の優しさとその心の強さに惹かれたとか。

まだ未熟な自分にそんな立派なものがあるとは思えませんが。

 こうして計四人の女性から告白されているという状況なのに、まったく何も答えられない駄目な息子に何かご助言をお願いいたします。

 

 

 

「いや~、一真も罪作りだね」

「もう、笑い事じゃないですよ」

 

ベットで一緒に横になっている一夏と真耶は、布団の中で携帯を見ながらそんな会話をしていた。

もう夜も遅く、お互いに眠りに就く時間。

だが、二人とも最愛の人と一緒にいるのでドキドキして中々寝付けないのである。これが結婚して結構経っているというのに続いているということは驚嘆に値するかも知れない。

そんな布団の中、一夏は少し面白そうに笑い真耶はプリプリと怒る。

 

「まさか四人もの女の子から告白されるとはね。我が息子ながらに凄いとしか言いようがないかな」

「旦那様の時はそれ以上だったんですよ。私がどれだけ苦労したと思ってるんですか」

 

少し困ったように怒る真耶。

その表情すら愛おしい一夏は壊れ物を扱うが如く、真耶の身体を優しく抱きしめる。

抱きしめられた途端、真耶は気持ちよさそうに目を細めた。

 

「ふぁ……」

「確かにそうらしいですけど、俺のことを好きだって告白してくれたのは真耶さんだけですよ」

 

耳元で囁くと、真耶は嬉しそうに笑った。

その言葉の意味を改めて噛み締めているのである。

 

「しかし、セシルの娘さんか。オルコットってことはセシリアの娘さんって事になるのかな」

「そうですね。セシリアさんですか……懐かしいですね。元気にしているでしょうか」

 

二人で思い出すのは、IS学園で共に生活していたイギリスの少女。

気高くも優しい少女のこと。

卒業した後も度々交流があり、偶にどちらかが遊びにきている。

 

「見た限りだと、アリシアって娘もセシリアに似て美人のようだね」

 

一夏はそう昔を懐かしみながら言うと、真耶はむっとし始める。

 

「むぅ……そうですよね。セシリアさん、綺麗ですものね」

 

それが焼き餅であることは明白であり、そんな姿でさえ一夏には可愛らしく映って仕方ない。

一夏はむくれている真耶を抱きしめると、頬に軽くキスをした。

 

「それでも……俺にとっての一番は真耶さんで、それ以外に入る余地は一ミリもないですよ。俺は世界で一番綺麗で可愛い真耶さんのことを、それこそ真耶さん以上に愛していますから」

「旦那様………」

 

その言葉に瞳を潤ませながら歓喜する真耶。

だが、一つだけ聞き捨てならないことを聞いたので訂正を入れることに。

 

「旦那様、少しだけ間違っているところがありますよ」

「え?」

 

不思議そうに笑う一夏に真耶は大きな胸を押しつけながら抱きしめ、一夏の頬に軽くキスして答えを言った。

 

「私は、旦那様以上に旦那様のこと、だぁ~~~~~~~~~~~~い好きですから!」

 

その甘い告白に一夏は更にときめく。

自分の妻は、それこそ本当に世界一自分のことをとろけさせると。

お互いに抱きしめ合い、自然と唇を啄むようにキスし合う。

それにより、互いに昂ぶってくる。

特に真耶は自分の下腹部が疼いて仕方なくなっていた。

 

「あ、あの、旦那様」

 

顔を恥じらいで真っ赤にしつつも上目使いで一夏を見つめる真耶。

何を望んでいるか分かっている一夏は、笑顔を浮かべると言葉で答えずに行動で応じた。

 

「あっ、熱い! それにこんなに硬いなんて………」

 

そして二人は重なり合い、しばらく部屋は騒々しくなった。

メールを返したのは、翌日の日の出の時である。

 

 

 

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「一真様、いかがしましたか?」

「かずくん、大丈夫?」

「一真、どうかしたのか?」

「お兄様、どうかなさいましたの?」

 

決闘から一日が経ち、早朝の朝食の席で俺は夏耶、葵さん、灯姉さん、颯姉、アリシアさんの五人に心配されていた。

理由は単純であり、その原因は俺の手にある携帯である。

昨夜、先達である父さんに相談のメールを送ったのだが、やっと返事が返ってきた。

しかし、その内容がなぁ………。

 

『お返事、遅れてごめんね。そのね、旦那様がとても激しくて、そのね、意識が何度も飛んじゃって腰砕けになっちゃって……。それで何とか動けるようになったのが今頃でね。それで遅れちゃったの。それでお返事なんだけど、旦那様が頑張ってって言っていました。私としても、よく悩んでちゃんと悲しませないようにお返事は返すように。

 

母より』

 

こんなのだったが。

正直、まったくためにならない。

それどころか、息子相手にナ二を報告しているんだ、あの親は。

知りたくもないことを知って気分が沈んでいる俺は何とか絞り出すように五人に答えた。

 

「………何でもない……」

 

こうしてまた、今日が始まる。

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