織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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もはやただのハーレム野郎になってますね、彼……。


第52話 織斑 一真は再戦を求める。

 今までで初めての感覚だった。

友人と武を高めつつ、先達に教えを請う毎日。

日々の充実は確かに自分を満たしていた。この武を使い、人を助けられるような、そんな立派な人間になりたいと思っていた。

目指すは父さんのような、自分の信念を貫き自分の正義を成せるような、そんな人を目指していた。

だからこそ、この武は自分のためでなく、人のために使おうと心に決めていた。

だが、それは奴との出会いによって少しばかり変わった。

身体か雷に打たれたかのような衝撃が走った。

一目見て、本能が察した。

あぁ、こいつと俺は絶対に理解し合えないと。

話してみれば意外と良い奴なのかもしれない。だが、そうではない。

理屈ではないのだ、この感覚は。

初めて見た時、俺は奴のことを『壁』だと思った。

乗り越えられるか分からない壁。乗り越えたのなら、きっと新たな何かを手にすることが出来る。

それは奴も同じことを思ったのだろう。あの目がそう告げていた。

邂逅した時、お互いに俺達は関係を決めた。初めて他の者に己が武を振るって叩き潰したいと。怒りではない、怨みもない。

極端に言えば、気にくわない、目障りといった感情。

そう、奴は………初めての『敵』だった。

 

 

 

 

 あの葵さんの騒動から二日後。

俺は凰 劉鳳のいる教室に向かったが、奴は居なかった。

普段は授業をサボっているらしく、授業を受けていることは殆ど無いらしい。だから伝言を頼んだのだが、誰も怖がって引き受けてくれない。

仕方なく自分でとある手紙を書き、それを置いておくことにした。

次に職員室に向かいアリーナの使用許可を貰おうとしたのだが、ここで問題が起きた。

 

「え、いないんですか?」

 

使用許可を得ようとマドカ叔母さんを訪ねたのだが、どうも所用で今は居ないらしい。

流石に千冬伯母さんに話しかけるわけにも行かないので困ってしまった。

今職員室にいるのは通常教科の先生しかいないそうだそうだ。

困って唸るのは俺一人のみ。

そもそも、何故珍しく俺だけで行動しているのか?

それは昨日皆に話したことが理由である。

昨日の夕食の時、俺は皆にあることを話した。

 

「明日……凰 劉鳳と改めて試合をしようと思うんだ」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

その言葉を聞いて夏耶、灯姉さん、颯姉、葵さん、アリシアさんの五人は驚き息を飲んだ。

 

「な、何で、お兄ちゃん!」

「そうよ、かずくん。試合する理由なんてないじゃない」

「そいつとのケリはもうついたんじゃねぇのかよ」

「一真様、それは………」

「お兄様が戦う理由などもうありませんわ。勝負は付いているのですから」

 

五人はそう言って俺を止めようとするけど、俺はそうは思っていない。

きっと奴はこの後も何度も挑んでくるだろう。

そう直感が告げる。

だからこそ、此方からも仕掛けるべきだと。

そうするためには、そもそも奴の力を万全に出して貰わないと困る。

不抜けた中途半端な力の奴に勝っても意味はないだから。

叩き潰すなら、全力の奴でないと。

だからこそ、今度は此方から仕掛ける。

俺が誘いをかければ、奴は乗ってくるだろう。挑発すれば引っかからないわけがない。アレはそういう性格だ。

 

「俺はそうは思ってないよ。奴は部分展開しかしていなかったし、油断し此方を舐めていた。そんな状態に負けるほど弱くはないよ、俺は。でもきっと、奴は俺がこの学園にいる限り……もしかしたら武帝校に居ても挑んでくるかもしれない。そういう奴だと思った。だからこそ、俺も……本気の奴と戦ってみたいと思ったんだ」

 

そう答えると、颯姉以外の皆が複雑そうな顔をし始めた。

何で俺がここまで拘るのか分からないのかもしれない。

するとそんな俺の気持ちを察してか、颯姉は代弁してくれた。

 

「一真は本気であのガキと戦ってみたんだろ。だって男だもんな。男だったら強い相手と本気でぶつかりたいもんなぁ。誰よりも強く、なぁ」

 

言いたいことを簡素に纏めてくれた颯姉に感謝して俺は少し苦笑を浮かべる。

 

「やっぱりこういうことは颯姉が一番分かってくれるよね。女の子なのに男の気持ちが分かるのは、やっぱり男っぽいからなのかな」

 

俺としては嬉しくて言ったつもりだが、颯姉にとってはそうではなかったらしい。

それを聞いた颯姉はうんうんと頷いてそうかそうかと小さく言うと……。

 

「誰が男っぽいだってぇーーーーーーーーーーーーー!!」

「もがぷっ、ふにゅ……」

 

俺を胸に押し付けるようにして抱きしめた。

大きくてハリのある胸が顔を押し上げるかのように押しつけられる。

その弾力のある感触に顔が熱くなってしまう。

 

「男だったらこんなナイスバディなわけないだろ。どうだ、あたいの胸の感触は! ウリウリウリウリ~!」

 

所謂ロケットおっぱいと呼ばれている巨乳に押し潰される俺は、その官能的な感触にナニカが焼き切れそうになる。

 

「あぁ~~~~~~! 何しているの、颯お姉ちゃん!」

「は~や~て~! 何羨ましいことしてるの!」

「伊達先輩、何を破廉恥なことをしているんですか!」

「そうですわ! 伊達先輩はもっと慎みを持つべきですわ……羨ましい……」

 

四人がそんな颯姉に批難の声を上げると、颯姉は不敵に笑う。

 

「うっせー。ここ最近、あたいだけやけに一真とくっつく時間がなかったんだからいいだろ。どうだ、一真? 男にはこんな立派なおっぱいなんてないだろ。ほら、何なら揉んでも良いんだぜ。お前が求めるんだったら、吸ったって許す! 寧ろ吸え!」

「もが、うぷ……何言って……ぷはっ……」

 

ご自慢の巨乳で俺をもみくちゃにする颯姉。

女の子特有の甘い香りに色々と不味いことになってくる。

 

「ど~だ、いいだろ~! 今、一真はあたいの胸の虜だぜ。嫌ならあたいから色仕掛けで一真を取り返してみるんだな」

 

俺を胸に押しつけながら周りを挑発する颯姉。

それを受けた四人は……。

 

「そう言うんだったら、頑張る!」

「かずくん、今お姉さんが魔の手から救ってあげるわ」

「は、恥ずかしいですけど……一真様にアピールできるなら……」

「お兄様に胸を……恥ずかしいですわ。でも、少しやってみたいかも……」

 

顔を赤くしつつ俺と颯姉にジリジリと近付いて来た。

その状態は傍目から見たら異常にしか見えないだろう。

俺はそれを少しだけ見て、冷や汗を掻き始める。

だって皆、顔を真っ赤にしつつも瞳に妖しい輝きを灯しているから。

正直少し怖い。

そして………。

 

『ぎゅむぎゅむぎゅぎゅむぎゅむ』

 

柔らかい複数の感触が俺の顔や頭を覆い尽くした。

 

「もが~~~~~~~~~~~~~!」

 

縦横無尽に俺に押しつけられているのは、夏耶達の胸だ。

 

「どう、お兄ちゃん? 前よりもっと成長しているんだからね」

「かずくん、そんな硬そうな胸よりわたしの胸の方が柔らかくて気持ち良いわよね」

「っぁ、あん、こすれて変な声が出ちゃいます。でも、一真様になら……」

「誰にも負けませんわ! お兄様、わたくしの胸も中々なものでしてよ」

 

五人から胸を押しつけられ、文字通り胸に溺れる。

あっちを向いても胸、こっちを向いても胸。

柔らか乳肉の感触が制服越しだというのに感じてしまい、女の子の甘い香りに包まれて意識が酸欠に合わせて遠のいていく。

 

「どうだ~、一真。まさに男の夢だろ、ほれほれ」

「むぅ~、負けないよ、颯お姉ちゃん! ぎゅ~」

「かずくん、もっとこっちに来て、あんっ!」

「あぁ、一真様を感じてしまいます……」

「お兄様の吐息が掛かって……あぁん……」

 

何やら五人が何を言っているのか分からない。

ただ俺は、このむにゅむにゅとした天国のような感触に包まれながら気を失った。

 

 せっかく大事な話をしているのに、こうされては締まらない気がするけど、俺に締める方法があるわけもない。

この後意識を取り戻すと保健室に居たわけだが、隣で束さんが恍惚とした表情で抱きついていたのでびっくりして、また大変な目にあったけど。

何故か身体の各所が濡れていたけど、きっと汗だろう。

 まぁ、こうして俺は奴との再戦を決めたのだ。

 

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