第58話 織斑 一真は六人と出掛ける
「………暑いな………」
俺は現在、駅前のショッピングモール『レゾナンス』の前で真夏の日差しに晒されていた。
何故こんな所にいるのか? それは昨日のとある話から始まった。
あの騒動から三日が経ち、俺と凰 劉鳳は治療室から出ることになった。
その後は謹慎という少し早い夏休みを迎え、この三日間で鈍ってしまった身体を鍛えるべく、未だに痛みが残る身体に鞭を打って鍛錬に熱を入れる……予定だったのだが、そのことに皆から心配されてしまったのだ。
「せっかく早くお休みになったんだから、もっとゆっくりとしようよ。ね、お兄ちゃん」
「そうです。一真様はここ最近無茶ばかりしていますので、少しは休まれた方がよろしいかと」
「そうねぇ。最近のかずくんは頑張りすぎよ。もっとのんびりしてもいいんじゃないかしら」
「普通に治療したら二週間は静養なさらなければならない大怪我だったのですから、もう少し休んでも問題無いと思いますわ、お兄様」
「せっかく休みが早くなったんだから楽しめよ、一真」
「かずくん、結構酷かったらんだからもっと休んでもバチは当たらないよ。何だったら束さんと一緒にベットでしっぽりするのも………ポッ」
と、こんな感じに心配されてはあまり無茶をするわけにもいかない。
そうなると今度は暇になるわけで、勉強なんかを頑張ろうと思うもあまり得意ではないため意欲が削られている。そもそも、鍛錬したくとも絶影が居ない今、それほどたいしたことは出来ないのだが。
あの戦いで結構な損傷を受けた絶影は現在、武帝校に送られて修理されている。
真打のような再生能力は未だに再現不可能なため、損傷したらこうして直すしかないのだ。
さて、どうしたものかと考え始めた所で夏耶が突然あることを言い始めた。
「そうだ! 明日はお休みなんだし、みんなでお買い物に行こうよ」
それを聞いて反応する女子四人と大人一人。
女子特有の買い物好きというのは集まれば集まる程賑やかになるらしい。
「そろそろ夏休みに入るんだし、せっかくこんなに海が近いんだからお兄ちゃんと一緒に海に行きたいの。みんなも行きたいでしょ。だから水着を買いに行かない?」
「か、一真様と一緒に海へ………水着姿を………」
「お兄様と一緒に海へバカンス……いいですわぁ」
「かずくんと一緒に海……かぁ~。前に一緒に行ったのは小学生の頃だったわよね」
「それも低学年の時だったなぁ。あの時と違ってあたい達の身体は成長しまくってるし、一真に見せつけるのには丁度良いねぇ」
「かずくんを私のナイスバディで悩殺してあげる~!」
皆夏耶の提案を聞いてノリ気で返事を返す。
それを受けた夏耶は俺を笑顔で見つめながら甘える様に話しかけてきた。
「だからお兄ちゃん。一緒に買いに行こう……みんなと一緒に、ね」
と、こんな感じに話が決まり、こうして今日、レゾナンスで待ち合わせをすることになったのだ。
出る所は一緒なんだから最初から一緒に出ても変わらないのではないかと無粋な事は言わない。
それは父さんと母さんのデートで嫌という程学んでいる。
なので特に気にすることなく俺はこうしてレゾナンスの前で待っている。
皆待ち合わせを楽しみたいとのことで、俺が先に来たというわけだ。
それにしても暑い。未だに包帯で巻かれている身体をさらす訳にもいかず、俺は長袖のシャツにワイシャツを羽織っていて、ジーパンといった肌を晒さない服装。そのため、夏では汗ばんで仕方ない。
そんな暑さに内心悶えつつ待つこと約二十分。
「お兄ちゃ~~~~~~~~~~~~~~んっ!」
やっと待ち人が来たらしい。
俺は声がした方を振り向くと、そこで言葉を失った。
やってきたのは六人の女性。
夏耶は俺を見つけて嬉しいのかピョンピョンと跳ねていたが、それに合わせてゆさゆさと揺れる胸に周りの男達からの注目を集めていた。それらを殺気を込めた視線で睨み付けると、周りの男共は顔を恐怖で真っ青に染めてそそくさと逃げ始めた。
「えへへ~、お待たせ、お兄ちゃん」
此方まで来た夏耶達。改めて見ても皆の恰好は凄い。
夏耶はチェック柄のプリーツスカートにニーソックスを穿き、上は薄手のブラウスだ。
健康的な魅力に溢れ、ブラウスが大きな胸に押し上げられている光景は何やら少しイケナイ雰囲気を感じさせる。
「お待たせしました、一真様。あ、あの…この服装は似合っていますでしょうか?」
顔を真っ赤にして恥じらいつつ、そう聞いてきた葵さんの服装は黒いポロシャツに赤いプリーツスカートだ。色白い生足が良く栄えて、何やら艶っぽさを感じさせる。
「お兄様、わたくしはどうでしょうか?」
服を見せるように軽くその場で身体を回すアリシアさん。
白いロングスカートに青いシャツ、それを覆う白いブラウスといった服装で、何やら上品な感じを受ける。まさに深窓の令嬢を彷彿とさせる姿だ。
「かずくんとお外でお出かけなんて久々で嬉しいわぁ」
灯姉さんは薄い色のサマーセーターに膝上丈のシーンズ生地で作られたスカートを穿いていた。何て言うか、家庭教師の先生のような服装だ。見ててお姉さんっぽい。
「どうだ、一真! 似合ってんだろ!」
颯姉の服装は周りから群を抜いてある意味凄い。
太股を顕わにしたジーンズ生地のショートパンツに、タンクトップという夏にふさわしく動きやすい恰好。ただ、その発育が良すぎる身体は回りの男達を虜にし、突き出すかのように出た胸がタンクトップから弾けそうになっていた。
「うっふっふ~、束さんはいつもの服装だよ~」
そう答える束さんはいつもと変わらないアリスっぽい服装にウサミミを付けていた。
何で束さんだけ普通なのかと思ったのだが、それを見透かしたかのように束さんはニヤリと笑って動いた。
「でも、こういう所は特別だよ~! どう、かずくん? すっごくセクシーでエッチでしょ~」
「っ!?」
俺にだけ見えるようにスカートをめくると、そこには艶っぽい紫色の下着とガーターベルトが見えた。
大人の色香溢れるその光景に顔が熱くなって仕方ない。
「あぁ、束さん、何お兄ちゃんを誘惑してるの!」
夏耶が束さんに怒りつつもオレを取られまいと右腕に抱きつく。
薄いブラウス越しに感じる巨乳の感触に妹だとしても赤面してしまう。
「そうです! 一真様、見ちゃ駄目です」
葵さんが顔を真っ赤にしながら俺の目を両手で塞ぎ見えないようにする。
その際に俺にかなり近づいたために胸が押しつけられてしまった。その夏耶とは違う感触に胸を意識してしまった。
「お兄様、わたくしだって負けていませんからね!」
アリシアさんはそう言って左腕に抱きつくと、胸を押しつけつつ俺にだけ見えるかのように下着を見せようとする。薄ピンク色の下着が見えて、顔が灼熱化するかのような錯覚を覚えた。
「みんなずるいわぁ。わたしも」
灯姉さんがそう言いながら背中の右半分に抱きついてきた。
夏耶以上の大きな胸が背中に密着して、心臓が暴走仕掛ける。
「おいおい、あたいだけしないとかありえねぇだろ!」
颯姉はノリ良くそう言うと、俺の左半分に飛びついた。
突き出した胸が俺の背中を押し上げ、その弾力に頭が白み始めてしまう。
「むぅ~、みんなこそずる~い! 私も私も~」
五人からもみくちゃにされている所に束さんも混じり、もはや柔らかい感触に包まれて押し潰される。
何でこんな往来でこんな真似が出来るのか? きっと夏の暑さにやられてしまったのかもしれない。そう思いながら六人に揉まれ、俺は考えることを放棄した。
こうして始まった六人でのお出かけ。
俺は普段は見られない皆の服装にドキドキしつつ、これから先がどうなるのか不安で仕方なかった。
尚、この時の光景は周りの人達にばっちり撮られており、『レゾナンスにハーレム王現る』だとか、『六股男現る、史上最強のスケコマシ』や『リア充爆発№1』だとか、色々とネットで話題を呼んだことを、俺達は知らなかった。