六人で急遽出掛けることになり、繰り出したレゾナンス。
如何にもな待ち合わせをしている辺り、皆楽しみなことが窺える。そこで見た皆の私服姿は普段では見慣れない新鮮な姿ばかりで、俺はドキドキして仕方ない。
良く周りから唐変木だの何のと言われているが、それでも年頃の男なのだ。
そんな綺麗な女の子の姿を見てドキドキしないわけがない。
そんな六人を連れて取りあえず当初の目標である水着を買いに歩き始めた。
しかし、改めて見ても………。
「ん? お兄ちゃん、どうかしたの?」
「一真様、何かありましたか?」
「お兄様、如何なさいました?」
「かずくん、どうかしたの?」
「一真、どうしたんだよ?」
皆、凄く綺麗で可愛いよなぁ………。
まず夏耶。身内贔屓かも知れないけど、元から可愛い妹だったが高校生になってから更に魅力的になった。
低い身長に大きな胸は男の目を惹き付けて止まず、メガネの御蔭か知的にぱっと見は感じさせる。だが、口を開けば途端に甘えたがりな妹になるギャップというのは結構大きい気がする。それに最近は妙に大人っぽくなって、兄である俺でさえドキドキしてしまうことが多くなった。正直、イケナイ事だが……。
次に葵さん。信吾の時は親しい友人だったが、女の子だと正体を明かしてからは見方がまるっきり変わってしまった。
とてもお淑やかで奥ゆかしい大和撫子。
佇まいが綺麗で見て続けたくなってしまう女の子だ。それに一途で可愛らしく、告白した俺を今も大切に想ってくれている娘だ。
正直、俺には勿体ないと思ってしまうくらい、良く出来た子だ。
その次にアリシアさん。美しく長い金髪に青い綺麗な瞳をした異国の少女。
本物の貴族で存在感があり、常に高貴な雰囲気を感じさせる綺麗な人だ。最初は夏耶の友達にしか思っていなかったけど、告白されてからはすっかり一人の女の子として見ている。お兄様と呼ばれるのは夏耶と違ってくすぐったく、それでいて何だか可愛らしく思う。ちょっと張り合って大胆な行動をすることがあるので、ドキドキさせられることがあるけど。
そして次が灯姉さん。高校生になってより大人っぽくなった。
それまでもお姉さんだったけど、何だかそれ以上に大人を感じさせる。心も体も。
あの凄く発育の良い身体で抱きしめられるのは、恥ずかしくて堪った物ではないけれど。でも灯姉さんは大好きらしい。それを告白される前に聞いた時は恥ずかしいだけだったけど、告白されてからは意味が変わったせいで正常ではいられなくなりそうになる。姉さんは常に本気らしいから尚更だけどね。
何より驚いたのは、ある意味颯姉が一番かもしれない。
小さい頃から俺と夏耶、そして灯姉さんを引っ張ってきたリーダー。ガキ大将で自分勝手。だけど、皆のためなら自ら身体を張ってくれる優しい人。
中学の時よりもより凶悪といっても良いくらい成長したスタイルは高校生の域を超えている。グラビアアイドルとして即座に人気を博しそうなくらい凄い。
性格が大雑把なのは変わらないけど、昔より女の子っぽくなったような気もする。おしゃれも気にしているようだし、化粧もしているらしい。
告白は今まで聞いてきたが、あくまでもからかっているか冗談だと思っていた。それがまさか本当だったとは………。あれ以降、あまり抱きついて欲しくなくなった。颯姉の身体は思春期の男には劇薬にしかならない。
最後に束さん。
何だろう、この人は……。生まれた頃から世話になっている親の様な人。
でも、それ以上に俺に親しみを持ってくれている女性。常にテンションが高くて冗談ばかりだったから、てっきり冗談だと思ってたんだが……。
何というか、いい加減思い知らされた。四人もの美少女に告白されて悩んだせいか、何となく気付いてしまったのだ。束さんが俺に向けている感情が本物のだと。
いや、普通なら有り得ないと思う。年齢なんてそれこそ親子ほどあるんだから。でも、見た目はまんま二十代半ばで美女なのだ。束さん曰く、ナノマシンで美を追究した結果らしいけど、ある意味反則だと思う。スタイル抜群な大人の魅力溢れる女性に迫られているのだから、ドキドキしない男はいないと思う。
と、こんな綺麗で可愛い美女に囲まれているという状況はとても幸運な事なのだろう。
だが、俺は実に凄く……気まずい。
周りから刺さってくるこの羨望と憎悪の視線は俺の精神を削って仕方ない。
うん、分かってる。これはいつも感じでいた視線だ。
武帝校で、IS学園で、中学時代にもあてられていた視線だ。
こんな胃が痛くなりそうな視線の中、なんで皆平気なんだろう。
そう思うが、不安にさせる訳にもいかない。
だから俺はその視線を堪えるべく、皆に答える。
「いや、みんな凄く綺麗で可愛いなって……そう思ったんだ」
その言葉を聞いた途端、六人の顔がリンゴよりも真っ赤になった。
「そ、そう? えへへ~、お兄ちゃんに褒められちゃった…」
夏耶は嬉しそうに微笑み、幸せを反芻しているような顔をしていた。
「そ、そんな……嬉しいです、一真様」
葵さんは本当に嬉しいらしく、瞳を潤ませて顔を両手で覆って恥じらっているようだ。
「あ、ありがとうございますわ、お兄様。このアリシア・オルコット、恐悦至極ですわぁ」
アリシアさんはポォっとした様子で嬉しそうに笑う。
「そう。ありがとうね、かずくん。お姉さん、嬉しいわ」
灯姉さんはいつもと同じように笑っているが、耳まっで真っ赤になっていた。
「あ、あったりまえだろ! 何せお前のためにおしゃれしてきたんだからなぁ!」
颯姉は捲し立てるようにそう答えてきたけど、何やら言葉の語彙が高くなっていたし顔は真っ赤で、それが照れ隠しだということが良く分かった。
「もう、かずくんたっら~、そんな無邪気な顔で可愛いこと言われたら、束さんの胸はキュンキュンして仕方ないよ~。あぁ、もう濡れてきちゃった。でも、かずくんに見られてると思うともっと………」
束さんはくねくねと身体をくねらせていたが、何というか近寄ると色々と不味そうな空気を感じた。所謂男を刺激する的な何かを。妙に艶っぽいのがその証拠だろう。
そんな六人の反応を可愛らしいと思う傍ら、俺は更に強まる視線に晒され、胃が痛くなるのを感じた。
そして六人と共にレゾナンスに入り、さっそく水着ショップへと入った。
店内ではもう夏ということもあってか色とりどりの様々な水着が置かれている。
どれもこれも皆に似合いそうだなぁ。
「うわぁ、一杯ある~! どれがいいかなぁ~!」
夏耶がはしゃいだ様子で水着を選び始めると、他の五人も動き始める。
「こ、こんな派手なの、恥ずかしいです………」
葵さんが何やら凄く派手な水着を見て顔を真っ赤にしていたが、何やら気になって仕方ないみたいだ。
「あぁ、どれにしましょう! これも良いですが、あちらも…」
アリシアさんは手に取った水着以外にも気になる水着を見つけたようで、悩んでいるようだ。衣装映えするアリシアさんならどれを着ても似合うだろうなぁ。
「あら、これ、良いデザインねぇ……でも、サイズが合わないわ……くすん」
灯姉さんは気に入った水着が見つかったようだが、サイズが合わなくて嘆いていた。
あの大きな胸に合う水着っていうのは中々無いのかもしれない。つい意識してしまうと顔が熱くなってきてしまうのでこれ以上考えないようにしよう。
「このデザインは可愛くて良いんだが、あたいのキャラじゃねぇんだよなぁ。それに灯以上にサイズが合わねぇし」
颯姉は持ってた水着を残念そうに戻していた。
あの反則級のスタイルに合う水着は早々無いと思う。
「束さんはどれにしようかなぁ~。う~ん、かずくんを虜にしちゃうのは~、このハイレグかな? それともこのヒモかな~」
束さんは際どい水着ばかり選んでいるようだ。手に持ってる水着からついつい着ている姿を想像してしまうが、刺激が強すぎて鼻が熱くなりそうになる。
この六人の中である意味、一番艶っぽいのは束さんだから。
皆が選んでいる間に俺も選ばなくてはと思い店内を探し始める。
男性用の水着売り場は端っこの方に見つけたのでそこから選ぶことに。
元々女性の水着をメインで取り扱ってる店だから男性用は端っこらしい。
十年前ならこういった店が数多くあったらしいが、今では数少ない。
俺はそこから白地に紫のラインの入った水着を選んだ。
何だか絶影を連想させたので。
そして皆で水着を選んだ後に買って店内を出る。
「お兄ちゃん、楽しみにしててね!」
「わ、わたくし、頑張りますから」
「お兄様、わたくしの水着姿を見て下さいね」
「かずくん、わたしも頑張るからね」
「一真、見てろよ! あたいの悩殺水着で虜にしてやるよ!」
「かずくんをこの水着で……うふふふふふ」
皆買った水着を胸に抱いて明日の海水浴に思いを馳せているようだ。
試着した姿を見せなかったのは明日の楽しみが減るからだそうで、俺としても分かる気がする。
皆の綺麗な水着姿は、きっと水際が似合うと思うから。
それに正直少しホッとした。
その艶姿を見たら俺は色々と大変になりそうだから。
内心皆の水着姿を楽しみにしつつ、俺達は昼食を食べるためにファミレスに向かうことにした。