織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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ある意味修羅場かもしれません。


第60話 織斑 一真は苦笑する。

 俺には勿体ない美女6人と共に町中を歩いて行く。

改めて思うが、やはり凄い。歩いていると男女とも皆足を止めて此方を見てくるのだから。

中には恋人と一緒にいるのに此方に見惚れてしまったために、彼女さんに頬を抓られてしまっていた。

それほどに魅力的な彼女達に囲まれている俺には、一際強い羨望と嫉妬の眼差しが集められていた。それが痛いと感じるのは、光栄なことの裏返しなのかもしれない。

そんな幸せと地獄を味わいながら俺達は歩いて行く。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。何食べに行こうか?」

 

時間はお昼頃になり皆で昼食を取ろうという話になったのでこうして近場の飲食店に向かうことになったのだが、まだ何処に行くのかは決めていないため歩きながら決めることになった。

 

「そうだな………皆は何か希望はある?」

 

皆の希望を聞いた所で決めようと思ったので、皆に聞いて見ることにする。

 

「一真様、わたくし、パフェが食べてみたいのですが………」

 

恥ずかしそうに顔を赤く染めて身体を縮こませる葵さん。

その様子の可愛らしさに少しドキっとしてしまった。葵さんって普段はしっかりしているけど、こんな風に恥じらうと可愛いんだよなぁ。

 

「わたくしはお兄様のお勧めがいいですわ。お兄様がどんな物をお好みなのか知りたいですし」

 

アリシアさんは楽しそうにそう言いながら俺の腕に抱きついてきた。

その柔らかな感触にドキっとしてしまったのは言うまでもない。アリシアさんは何て言うか、少しフランクな所があったりする。好意を抱いた相手のことを知ろうと邁進する所が何というか、いじらしくて可愛く思ってしまう。

ただ、その所為で6人の間で騒ぎになるのは大変だったけど。

 

「私は和食がいいわぁ。かずくん、和食好きだったでしょ」

 

灯姉さんが俺の頭を優しく撫でながら自分の要望を言いつつも俺の要望を聞いてきた。

その優しい手についつい安心してしまう。

灯姉さんは自分の要望を言っているようにしているけど、実際は俺が好きなものを代わりに上げてくれているんだよなぁ。有り難いけど、何やら知られていて気恥ずかしくもある。

 

「一真、肉にしようぜ、肉! 夏バテしたら洒落にならないんだからなぁ! ここは肉にするべきだろ!」

 

颯姉が元気よくそう言いながら俺の首に腕を絡める。

その際に顔に当たった大きな胸の感触に心臓の鼓動が早まってしまう。

颯姉は結構がっつりいくタイプだからそういうのを好む。

それがとても男らしいからIS学園内で女生徒からの人気が絶えないんだろう。

だが、そんな颯姉にも可愛らしいところがあったりする。

 

「颯姉、その後のアイスクリームはバニラ味? それともストロベリー?」

「っ!? そ、その………ストロベリー味……」

 

俺に言われた途端に顔を真っ赤にする颯姉。

男らしいけど、こういう所は女の子なんだなぁって思う。デザートなんかも大好きらしい。ギャップ差という奴なんだろうか? 颯姉が可愛く見えて俺はクスりと笑ってしまう。

 

「かずくん! 私は~……かずくんを食べたいかなぁ~、勿論、性的な意味で」

 

束さんが妖艶な笑顔を俺に向けながらそう言ってきた。それもキスが出来るんじゃないかという程に顔が近い距離で。

その顔、具体的には艶やかな唇に視線が吸い寄せられそうになるのを赤面しつつ堪えながら返事を返そうとすると、俺の前に5人が睨んできた。

 

「束さん、何昼間からエッチなこと言ってるの!」

「不潔です、篠ノ之博士」

「今は昼食のお話をしているのであって、そんな、その……エッチなお話をしているのではありませんわ!」

「篠ノ之博士、ずるいですよ、抜け駆けは」

「篠ノ之センセ-、そいつは無しじゃねぇのかい」

 

5人の顔を見て束さんが笑顔のまま冷や汗を掻き始める。

 

「わぉ、凄いプレッシャーだよ! も、勿論冗談だよ、冗談(こんなに怖いなんて……みんなちーちゃんより怖いよう)」

 

そんな束さんが少し可哀想に見えてきたのえ、助け船を出してあげることにする。

 

「束さんも俺が好きな物でいいですか?」

「っ!? うん、勿論だよ! 束さんはかずくんが好きな物なら何だって大好きなのさ」

 

俺の顔を感謝の念が籠もった笑顔で頷き嬉しそうに束さんは答えた。

正直冗談は身体に悪いけど、でもその分俺のことを心配してくれる優しい人。

だから俺は結局助けてしまうし、許してしまうのだった。

 

「お兄ちゃん、だったらファミレスに行こうよ。あそこだったらみんなの希望に全部応えられるよ。私もパスタ食べたい!」

 

夏耶のその発言に皆が頷く。

確かにそれなら全員の要望に添えそうだ。

そして決まったとなれば皆の行動は早かった。

近くにあるファミレスを探して、店に入ることになった。

向かった先は深夜も営業している有名なチェーン店である。

店に入ると、それまで賑やかだった店内が途端に静まった。

 

「何だ、あの子達……」

「すっごい綺麗~!」

「何、あのスタイル! 女優かグラビアアイドル?」

「もしかしてアイドルとかか? すっげぇ~美人!」

 

店内から漏れ出す声を聞いて俺は苦笑してしまう。

まさかここまで反応されるとは思わなかった。

やっぱり皆凄い美人なんだよなぁ。何だか自分が場違いな気がしてきて仕方ない。

 

「一人だけ男の子が居るけど………」

「すっごいイケメン! 格好いい」

「そこいらのアイドルより格好いいんじゃないかしら」

 

何か女性客が言っているようだけど、きっと場違いや不相応だって言ってるんだろうなぁ。

何やら夏耶達が変な顔をしているようだけど。

その後席に付こうとしたのだが、何故かお店側から窓側の席に案内されることになった。

何故だろうかと考えて見るが分からない。

分かるのは外から此方を見る目が多くなった事と、お店がより混んで来たことくらいだ。

そして注文しようとした矢先に、何故か頼んでもいないのにパフェが出てきた。

一体何故? もしかして間違えたのだろうか?

 

「あの、注文はまだしていないのですが?」

 

俺の質問にウェイトレスの女性が頬を赤らめつつ答えてくれた。

 

「当店では現在、カップルフェアを『実施し始めました』ので、是非どうぞ! 勿論お代はいりません、サービスです」

 

そう言うとウェイトレスの女性はそそくさと俺達の前から去ってしまった。

何やら厨房の前あたりで、

 

「キャー、喋っちゃった! 格好いい」

「え、いいな~!」

 

などと聞こえたような気がする。きっと気のせいだろう。

夏耶達から妙な迫力を感じてきたけど、それも気のせいだと思いたい。

取りあえず溶けてはいけないで食べようと思うが、改めて見て可笑しなことに気付く。

パフェ一つに対し、スプーンが7本である。明らかに多すぎると思うのだが……。

すると6人は全員で顔を見回して一緒に頷くと、同時にスプーンを取ってパフェを掬った。そして、

 

「「「「「「はい、あ~~~~~~~~~ん」」」」」」

 

俺に向かって皆顔を赤くしながら差し出して来た。

その事に驚き筒も俺は自分の顔が真っ赤になっていくのを感じる。

どれかを選べば、きっと選ばれなかった方が悲しむ。

それが分かってしまい、更に母さんが言っていた『悲しませたら駄目だよ』ということも頭の中で響き渡ってきた。

結果………。

 

差し出されたスプーンを全部一遍に口に入れることになった。

 

少しきついが、何とかなった。

味は……ドキドキしすぎて分からなかったけど。

女の子からあーんってしてもらうのってここまで恥ずかしいことだっただと、改めて思い知らされた。

皆俺の様子を見て満足そうに笑っているけど。

そして今度は、俺に向かって祈るかのように目を瞑り、小鳥の様に小さく口を開いてきた。

 

「お兄ちゃん」

「一真様」

「お兄様」

「「かずくん」」

「一真」

 

皆口々に俺を呼び、

 

「「「「「「あ~~~~~~~~~~ん」」」」」」

 

今度は俺にはい、あ~んをおねだりしてきた。

 この後、誰にするかを揉めたのは言うまでもない。

 

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