織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回はさらに束さん押しですよ~。


第63話 織斑 一真は水着の怖さを知る。

 一頻り鼻血を出して意識を失った俺は目を覚ますと即座に皆に謝った。

普通に考えれば皆が悪いように見えるかもしれないが、皆俺を慕ってのこと。それに対して応えられなかった俺が悪いとしか言いようがないのである。

何より、誰が一番なのかを未だに応えられていない自分が一番悪い。

でも、やっぱり………この年齢の男にアレはちょっと……いや、かなり刺激が強すぎた。

アレで正常を保てる奴など人間ではないと思う。それぐらい色々と『凄かった』。

これ以上その件について考えるのは止めよう。精神を惑わす元にしかならない。

あんな……柔らかくてスベスベでむにゅむにゅな感触なんて………。

こ、こほん、それはもういいから。

そう内心で思い直し、改めて皆の水着姿を見る。

 

「みんな凄く綺麗で可愛くてびっくりしちゃいました。改めて見ても、みんな美人ですね」

 

そうみんなに言った途端、みんな顔が一気に真っ赤になった。

 

「お兄ちゃんに美人さんって褒められちゃった! 嬉しいな~」

「か、一真様がわたくしを美人と………う、嬉しいです……」

「お兄様にお褒めいただけるなんて嬉しいですわぁ!」

「かずくんったら、純真な目でそんなあっさりと言うんだから……お姉さん、嬉しいわ」

「一真の奴、そんな真っ直ぐ褒めるととはなぁ。あたいの方が照れちまうじゃねぇか」

「うぅ~、もう、かずくんは可愛いな~! もっとハグハグしたい!」

 

皆喜んでいるようで、真っ赤になっている姿が可愛くて頬が緩んでしまう。

やっぱり頑張って着た水着なのだし、褒めないとな。

父さんなんて毎回母さんの服装を褒めてるくらいだし。

 それにしても、さっきから俺達に集まってくる視線が少し気になるかな?

俺だけに向けられていた視線とは違って、今度は羨望の念が強く感じられる。

 

「わぁ~! 知ってたけど織斑さん、トランジスタグラマーだ~!」

「徳臣さん、肌キレ~! それに痩せてるのが羨ましい~!」

「オルコットさん、バランスいいなぁ~! 私、お尻のほうが大きいから……」

「うわぁっ、真田さんすっごいスタイル! 武者なのに全然筋肉質じゃないし、本当にすご~い!」

「颯お姉様、すごいお胸! 何、あのドカンと突き出されたおっぱい! もう、犯罪級だよ~!」

「何で博士ってあんなに若々しいの! 確か教頭先生と同い年のはずでしょ! どう見たって二十代にしか見えない! それにすっごくエッチな体付きしてるし………」

 

皆から漏れ出す言葉を聞いて俺はまた赤面してしまう。

自分で既にそう思っているが、やはり周りからも同じように認識されているんだと思うと尚更彼女達が魅力的に見えてならない。

そんな女性に囲まれている俺はきっと果報者なのだろう。

その幸せを恥じつつも噛み締め、俺達は遊ぶために海へと繰り出した。

 

 

 

 約一年ぶりの海水浴に俺は胸を高鳴らせていた。

毎年家族で海にいくことになっているのでそこまで物珍しいわけではないのだが、この広い海というのは気分を解放させてくれる。それがより鍛錬には良いのである。勿論、遊ぶことも好きだけどね。

だが、そのまま海に飛び出す程子供でもない。

まずは準備が必要だ。

俺は持ってきた大きなパラソルとシートを地面に置くと荷物を降ろした。

パラソルに関してはIS学園で貸し出してくれているので、自宅から持ってこなくて済んでいるのが有り難い。それもただのパラソルではなく、大きくて俺達全員が入っても余裕があるという優れものだ。ただ、大きく重いのであまり借りる人はいないらしい。

それを力を込めて一突きで地面に突き刺すと、皆から感嘆の声が上がった。

 

「うわぁ、お兄ちゃんすっご~い!」

「一真様、凄いです! まさかあの大きなパラソルを一突きで突き刺すなんて」

「流石、お兄様ですわ!」

「かずくん、すごいわ~。もしかして槍も使えるんじゃないかしら」

「流石は男だねぇ。あたいでもそいつは出来ねぇよ」

「すっご~い、かずくん! その調子で私のも破って~!」

 

束さんの言葉で皆真っ赤になってしまったのは言うまでもない。

いい年した大人が変な事を言わないで下さいと突っ込みたいところだが、今の発言と束さんの恰好のせいで意識してしまって直視出来ない。

それを見抜かれたのか、束さんはドキドキするような笑顔で俺に笑いかけた。

 

「うふふ~、かずくん、すっごくドキドキしてるみたいだね~」

「っ~~~~~~!?」

 

それが恥ずかしくて赤面してしまうと、そんな俺の反応を見て他の5人が顔を真っ赤にしたまま『もっとアピールしなくちゃ……』と洩らしていた。

頼むから束さんみたいなアピールは止めて欲しい。これ以上意識させられたら、なんかもう、色々と武者として駄目になってしまいそうな気がするから。

 取りあえず気を取り直して準備運動を行うことにしたわけだが、ここでも改めて俺は水着の恐ろしさを知った。

 

「うんしょ、んしょ……」

「んっ……く……」

「ふっ、くっ……」

 

屈伸運動を始める夏耶、灯姉さん、颯姉。

3人が身体を上下に動かす度に、その大きな胸も一緒にぶるんぶるんと揺れる。

その光景に思わず目が行ってしまうのは、人間としてどうなんだろうか?

思春期の男子にはあまりにも刺激が強い。

本人達は普通に準備運動をしているわけなのだから下手に何か言うわけにもいかない。

真面目にしていることを邪な目で見そうになってしまう俺が悪い。

何とか視線をそこから剥がし別の方向に向けると、そこではアリシアさんと葵さんが柔軟を行っていた。

 

「んっ……はぁ……もうちょっと、きつく……んぁ……」

「あ、あん………もっと押し込まないと…ん……」

 

顔を真っ赤にして喘ぐ二人。

本人達はきつめに柔軟をしているのだろうが、男から見ればエッチな光景にしか見えない。きつめのためか目が潤んでいるのが尚、そういった事を感じさせる。

それを見てしまい、更にドキドキしてしまった。

いかんいかん、みんな普通に準備運動をしているだけだというのに俺は何を考えているんだ。

そう思えば思う程、さらに意識してしまうのが男の性。

水着のせいでいつもと違った姿にドキドキしてしまう。

そのまま魅入ってしまいそうになるのをこらえながら自分の運動に戻る。身体の中に発生した情欲という熱を発散するかの懸命に運動していく。

そして俺は足を開いた状態で砂浜に座り込むと上半身を前に倒し始めた。

男と言うのは女よりも身体が硬い。だが、柔らかい身体はしなりを得てより剣術の精度を上げる。だからこそ、良くこうして身体を伸ばしているのだ。

だが、一人でやるよりも誰かに手伝って貰ったほうが効率が良い。

それを察してか、束さんが俺に近づいてきた。

 

「かずくん、柔軟やってるんだ! だったら束さんが手伝ってあげる」

「あ、でしたらお願いします」

 

手伝いを申し出され、俺は素直に感謝しながら束さんの申し出を受け入れる。

 

「うん、任された~! それじゃ、押すよ~!」

 

束さんは俺に向かってそう言うと後ろから近づき、そして………。

 

むにゅうっ!?

 

そんな柔らかい感触が背中に押しつけられた。

その事に驚いて後ろを振り向きたくなったが、何故か身体が動かない。

 

「束さん、一体何を!」

「ん~、私はかずくんの背中を押してるだけだよ~。ただ、身体全体で押してるだけ。具体的にはおっぱいで押してるんだよ~」

「なっ!?」

 

その事実に固まってしまう俺。

束さんは寧ろその反応を見て嬉しいのか更に背中に胸を押しつけてきた。

殆ど水着として機能していない水着のせいで肌に直に感触が感じる。その柔らかさときたら、まるでマシュマロのようで気持ち良すぎる。しかも先程から背中に妙に硬い何かが擦りつけられる感触を感じ始めていた。

 

「ん、んぅ、んぁ…あぁ……ふふふ、かずくんの背中、大きいね~。束さん、ドキドキしてきちゃったよ~」

 

そのまま背中越しにそう言う束さんの声は、何やら悪戯をするような子供のようで、妙に可愛らしかった。

背中の感触と囁くような甘い声。その二つに俺は男として暴走しそうになるが、それを意地でせき止める。こんなところで何を考えているのだと自分に喝を入れながら。

そして束さんは背中を押すのに満足したのか、短い良く分からない声を少し上げた後、俺から離れた。

 

「あぁ~、かずくんの背中、堪能しちゃった。とっても気持ち良かったよ、かずくん」

「え、え~と、ありがとうございました?」

 

恍惚とした顔で妙な色香を出しながらふらつく足取りでパラソルの下に潜り込む束さんに、俺は良く分からないが礼を言う。

そんな俺に準備体操を終えた夏耶が不思議そうに声をかけてきた。

 

「お兄ちゃん、どうしたの? 顔が真っ赤だよ」

 

その言葉に先ほどの感触を思い出してしまい、俺は慌てて赤面しつつ答える。

 

「いや、何でもないよ! うん、何でもない! 本当になんでも……」

 

そう答えながらそっぽを向いたが、顔に集まった熱は散ることはなかった。

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