織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回は珍しく一真が押します。


第64話 織斑 一真がサンオイルを塗る

 いや、本当に心臓に悪いというか、役得なのに災厄に見舞われたというか……そんな気持ちを感じてしまう。

御蔭で心臓が嫌と言うほど激しく動き、このまま言ったら心不全を起こしても可笑しくないんじゃないだろうか。

改めてというか、より実感させられた彼女達の魅力に俺はタジタジだ。

よく考えたら父さんは母さん相手にいつもこんな風に感じていたんだろうか?

そう思うと、父さんってやっぱり凄い。武者としてもそうだけど、人間としても。

こんな心臓がどうにかなるんじゃないかって思う程のことを毎度の如くやっているというのだから。

精神は鍛えられるけど、内臓は鍛えられないと言われている。

だけどこんなことを毎回やっていて平然としている父さんはどうやって鍛えてるんだ? 別の意味で気になって仕方ないかもしれない。

そんなことを考えながら少し精神を落ち着け、俺は皆に振り返る。

皆楽しそうに海を見ながら各自で早速行動を始めていた。

灯姉さんと颯姉はまずは軽く泳ぐということで海に向かって二人で笑いながら入って行く。二人ともライバルだから、こういう遊びでも張り合うのが好きらしい。

束さんはと言うと、何故かどこからか持ってきた銛と網を持って海へと繰り出していった。

 

「かずくん、美味しいお魚取ってきてあげるからね~!」

 

そう俺に向かって元気よく言った束さんはとても無邪気な笑顔で、年上であることを忘れてしまいそうな程輝いていた。

可愛い笑顔にドキっとしたのは仕方ないと思う。

さて、俺はどうしようかなと思っていた所で声がかけられた。

 

「あ、あの……お兄様、よろしいでしょうか……」

「どうしたんですか、アリシア………さん!?」

 

振り返ると、そこにいたのはアリシアさんだったのだが………何と、ビキニの上のヒモを解き胸を腕で押さえている。そんな状態でアリシアさんはパラソルの下にいた。

その扇情的な姿に赤面してしまい、慌てて顔を逸らした。

 

「す、すみません! 今すぐ別の場所にっ」

「ま、待って下さい! 大丈夫ですから」

 

アリシアさんはそう言って俺を呼び止めると、恥ずかしそうに顔を赤くしたままパラソルの下に敷いてあるシートにうつぶせになった。

 

「あ、あの……お兄様にサンオイルを塗っていただきたくて……」

 

それを聞いた途端、顔が火が付いたかのように熱くなり、熱を持った頬が更に赤面を酷くさせる。

 

「お、俺が……アリシアさんに………」

「はい! 背中とか届きませんから」

 

身体の前を見せないように顔だけ此方を向けてそう言うアリシアさん。その顔は朱が差し、妙に艶っぽい。

俺はその色香に惑わされそうになるのを堪え、咄嗟に辺りを見回す。

 

「いや、それなら夏耶にやらせた方が…」

 

やはり異性の肌に触れるのは色々と不味いと思い、同性である夏耶を探す。

こういうのはやっぱり同性の方が良いだろう。俺では流石に色々と不味い。

すると俺に向かって夏耶と葵さんが駆け寄ってきた。

 

「どうしたの、お兄ちゃん?」

「一真様、如何なさいましたか? 何やらお顔が真っ赤ですけど」

 

二人とも不思議そうな顔をしていたので、俺は二人に事情を説明しお願いする。

 

「いや、アリシアさんがサンオイルを塗って欲しいって言われてさ。こういうのは男よりも女性の方がいいだろうと思って。悪いけど俺の代わりに塗ってくれないか?」

 

その言葉を聞いた夏耶と葵さんは二人でアリシアさんを見る。するとアリシアさんも二人の目を見てお互いに目を見合う。そして同時に頷くと、何故か二人ともパラソルの下に入ってきた。

 

「お兄ちゃん、私もサンオイル、塗って欲しいなぁ~!」

「あ、あの、一真様……わたくしもお願いします……」

 

そう言って俺に見えないようにビキニの上を外し、アリシアさん同様にうつぶせになる夏耶と葵さん。

その行動に驚いた俺を見て、さらに二人は俺にお願いする。

 

「だって、アーちゃんだけずるいんだもん。私も塗って欲しい!」

「そ、その…わたくしも羨ましく思いまして……是非一真様に……」

 

二人にもお願いされてしまったら、もう断る術はない。

俺は顔に溜まった熱を吐き出すかのように溜息を吐くと、仕方なくオイルを塗るべくパラソルの下に入った。

そしてアリシアさんが持ってきていたサンオイルを渡されると、それを早速手に付けた。今まで触ったことのない感触に少し気まずさを感じる。

そしてその手をそのままアリシアさんの滑らかな素肌を晒している背中へと持って行く。

今からこの背中に触れるのだと思うと、ドキドキと動悸が速くなって仕方ない。

そして俺のオイルにまみれた手が触れた途端………。

 

「ひゃんっ!?」

 

そんな可愛らしくも艶やかな声がアリシアさんの口から出た。

その声に驚き、咄嗟に手を俺は離す。

あぁ、ドキっとして驚いた。いきなりあんな声を上げるから。

するとアリシアさんは羞恥で顔を真っ赤にしたまま俺に顔を振り向いた。

 

「あ、あの……サンオイルは軽く温めてから使って下さいまし……冷たいと驚いてしまいますから」

「す、すみません!」

 

驚かせてしまったのと恥ずかしい声を聞いてしまったことの二つに対して謝ると、アリシアさんはそれが少し可笑しかったのか軽く笑った。

 

「そこまで謝らなくても」

「いえ、初めてのことですから、慣れなくて」

 

それを聞いた途端にアリシアさんは少しきょとんとし、そして何かを手に入れた子供が喜びを顕わにするかのように嬉しそうに笑った。

 

「そうですの……お兄様の初めて……うふふふふ……」

 

その様子を見て夏耶が若干恨めしそうな目で俺を見つめてきた。

 

「むぅ~。だってお兄ちゃん、昔から塗ってってお願いしてもお母さんに任せて先にいっちゃうんだもん」

「そう言われてもなぁ。母さんが父さんに塗って貰ってるから俺が一々やるよりそっちの方が良いと思ったんだよ」

 

確かに毎年海に行くとお願いされてたけど、俺よりも母さんの方が良いだろうと思って母さんに任せていた。それに流石に妹にサンオイルを塗る兄というのもどうかとおもっていたからなぁ。

そう思い出していると、夏耶は目を輝かせる。

 

「でも、今日こそは塗って貰うからね、お兄ちゃん」

「はぁ~……分かったよ」

 

期待に胸を膨らませる夏耶に少し呆れつつ、俺はアリシアさんの指示通りに手に塗ったサンオイルを揉み温める。

そして再び、滑らかそうなアリシアさんの背に手を触れさせた。

オイルで滑るが、それでも充分伝わる柔肌にドキッとする。

 

「んっ……あ……はぁ……」

 

アリシアさんの口から漏れ出す艶やかな吐息に聞いてる此方は顔が熱くなってきてしまう。

それを悟られぬよう、俺は手を少し早めて背中に塗っていく。

 

「ん……はぁ、はぁ……いいですわぁ……お兄様ぁ…………」

 

艶めかしい声がアリシアさんから漏れ出て、それを聞いた夏耶と葵さんが顔を真っ赤にしていた。

 

「うわぁ……アーちゃん、気持ちよさそう……」

「何だかイケナイものを見ているような気持ちになりますね……」

 

それを聞くに、このオイルを塗る作業というのは気持ち良いものなのだろうか?

さらに考えれば、オイルマッサージというのも聞いたことがある。つまりコレはマッサージの一種ということにもなるんじゃないか?

そう考えると、日頃から世話になっているアリシアさんには少しでも疲れを取ってもらいたいと思った。

だから少し気を引き締めてアリシアさんに言う。

 

「それじゃあ、もっと細かく塗りますからね」

「え? あ、はい……」

 

少しぽやんとした感じだが返事を返すアリシアさん。

それを同意とみて、俺は少し気合いを入れてアリシアさんの背中や足の内側や裏などを塗り始める。

 

「あっ…や、そんな……んあぁっ……あぁ……そんなところ……だ、ダメ……ですわ……やんっ………っ~~~~~~!」

「うわぁ~……アーちゃん、凄くエッチな顔してる……」

「それに肌も桜色になって……」

 

二人が何故か恥ずかしそうに何かを呟いていたが、気にせず日頃の感謝を込めて更に塗る。

そして塗り終わった頃にはアリシアさんはぐったりとして息を艶やかに荒く吐いていた。

見た限りだとマッサージが効いたみたいかな。

結構艶やかな声が出てたからこっちの胸もドキドキして仕方ないけど。

そして俺は手に更にオイルを増して塗り、揉み温めながら夏耶の方に顔を向けた。

 

「それじゃ今度は夏耶だな」

 

すると夏耶は凄く恥ずかしそうにしながら俺を見つめてきた。

 

「お、お手柔らかにお願い…」

 

何を緊張しているんだと思いながら夏耶の方に行くと、別の意味で此方に緊張が走った。

うつぶせになって潰れた胸が背中越しでもわかるくらいはみ出している。

前から大きいと思ってはいたが、ここまで大きくなっていたとは思わなかった。

妹の女性として成長していく姿が見れて嬉しいやら恥ずかしいやら、良く分からない気持ちで一杯になってしまう。

最近も思ってたけど、本当により女の子っぽくなったなぁ~、夏耶。

兄である俺から見ても魅力的な女の子になった。

そう思うと妹だっていうのにドキドキしてしまう。いかんいかん、何を考えているんだ、俺は!

可笑しな考えを無視して俺は改めて夏耶の背中に集中する。

 

「それじゃ……いくぞ」

「う、うん……」

 

そして夏耶の小さな背中に手を置いた。

 

「んぅ……」

 

そのまま手を動かし、オイルを塗り始める。

背が小さいこともあってか、塗りやすい。

 

「んぅっ………お、お兄ちゃん、もうちょっとゆっくり……んひゃぁ……あ、あ……あぁん……」

「夏耶さん、凄く気持ちよさそうです……」

 

ある程度塗れたので、これで引き上げようと思い手を退かそうとすると、夏耶が俺を呼び止めた。その声は妙に甘えがかっていた。

 

「おにいちゃん………もっと……で、出来れば横もおねがぁい……」

「夏耶さん……声が不潔です……」

 

仕方ないなぁと思いながら退かそうとした手を戻し、少しだけオイルを継ぎ足す。

 

「ところで……横って何処だ?」

「えっと……脇の横とか、胸の後ろ……」

 

それを聞いた途端に押し潰された胸の部分に目が行ってしまう。

 

「っておい。そこは自分で塗れるだろ」

「それが…はぁ、はぁ……最近胸が大きくなったせいで……手が届かなくなっちゃって……だから……」

 

少し粗めに息を吐きながら夏耶がそう答えてきたが、胸が大きくなると手が届かなくなるものなのか? ダメだ、女子じゃないからわからない。

判断がつけられないんじゃ仕方ない。俺は大人しく夏耶の横にオイルを塗り始めた。

 

「んぁっ! あぁん! ひぁっ、んあっ、うっく…ひんっ……ら、らめぇ……」

 

妙に艶がかった声が大きく出てきたことにドキドキしてきた。

そしてよく見えないが、もっちりとした柔らかい何かが指に思いっきり触れた途端、夏耶が急に大きな声を上げた。

 

「っ…んぁああああああああああああっ!!」

「なっ!? どうしたんだ、夏耶! 大丈夫か?」

 

話しかけるが、反応は微弱でへ返事は返ってこない。

夏耶は力なくぐったりとしていたが、身体に問題は無いようだ。何でこんな消耗しているのかは分からないけど。

 

「夏耶さん…………」

 

葵さんが顔を真っ赤にして夏耶を羨ましそうに見ていた。

何かあったんだろうか?

まぁいいかと気を取り直し、最後の葵さんにオイルを塗った手を構えながら話しかける。

 

「それじゃ最後に葵さんですね。何か要望とかってありますか?」

 

葵さんはそれを聞くと、顔をトマトのように真っ赤にしながら消え入りそうなほど小さな声でお願いしてきた。

 

「そ、その………アリシアさんと夏耶さんにしていたのを……お願いします。や、優しくして……下さい……」

「っ!? わ、わかりました」

 

その顔があまりにも嗜虐心をそそる表情だった所為でドキドキしてしまった。

可愛いのに妙に艶があるというか、色香に溢れているというか。

何て言うか、これからイケナイ事をするような気になってしまう。

そのドキドキが悟られないよう、細心の注意を払いながら温めたオイルを葵さんに触れさせた。

 

「んっ……一真様の手……暖かいです………」

 

触れた瞬間、白磁のような美しくきめ細やかな肌の感触に心臓が出るんじゃないかと思うくらい動悸が速まった。

そしてそのまま美しくうなじが艶っぽい背中に塗り始める。

 

「んあぅっ! あぁ…はっ…ひんっ! あぅ…あん……ひぁっ、んあっ……んん……あぁっ…やぁ……そ、そこ…だめ……んぅ~~~~~~~~~~!!」

 

塗り終えると葵さんは消耗しているかのようにぐったりとシートで横になっていた。

その顔が妙に妖艶で、正直ドキドキして直視出来そうにない。

何でかかは知らないが、皆息絶え絶えでぐったりしていたが、その顔は艶やかで満ち足りた顔をしていた。

取りあえずこれでいいか。

そう思い、俺は海へと向かった。

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