織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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これで海水浴も終わりです。
無駄に長かったですねぇ~これ。


第67話 織斑 一真は約束する

 お昼ご飯も食べ、午後になり皆で遊ぶことに。

何をしようかと話し合った結果、ビーチボールをすることになったわけで皆で一緒に砂浜に行って円形に広がる。

本当ならビーチバレーの試合をした方が良いのだが、ネットは借りていないのでボールのトス回しをすることになった。

そのことに不満はない。元から女性陣はこういうボール遊びが好きだというのも、この学園に来てからよく見ていたから知っている。

だが……………………。

 

 

 

「そぉーーーーれっ!!」

 

夏耶が元気良く声を上げながらトスを上げる。

ふわりと上がったボールは見事な軌跡を描き、そのままアリシアさんの方へと飛んで行く。

 

「はい、葵さん!」

 

飛んで来たボールをアリシアさんは見事に打ち返し、それを今度は葵さんの方へと飛ばす。

 

「えいっ!!」

 

葵さんはそれを楽しそうな笑顔を浮かべながら迎え撃ち、颯姉の方へと打ち返した。

 

「よっ! ほら、行ったぞ灯!」

「わかってるわよ、颯! たぁっ!」

 

颯姉は力強く打ち返し灯姉さんに向かってボールを飛ばし、それを今度は灯姉さんがやんわりと打ち返した。

そして飛んで行ったボールは束さんの方へと飛んで行く。

 

「よぉし、束さん頑張るよ~! そぉれ、かずくん!」

 

束さんがボールを打ち返し、それが俺に向かって来た。それを俺は打ち返そうとはするのだが………手元が狂ってしまいあらぬ方向にボールが飛んでいってしまった。

 

「もう、お兄ちゃん、何やってるの~!」

「一真様、頑張って下さい!」

「かずくん、ガンバ!」

 

夏耶、葵さん、束さんから声をかけられ俺は申し訳無く思いながらボールを取りに行った。

 

「ご、ごめん! 少し失敗した」

 

謝りながらボールを取って円陣に戻ると、ボールを真上にに向かって打ち上げる。

そして再びトス回しが始まるのだが、それも長くは続かず、その殆どが俺のミスによって切れてしまう。

その事に皆は励ましてくれるのだが、別に俺はトスが苦手だというわけではない。

では何故、こうも失敗ばかりするのか?

それは目の前の光景のせいでまったく集中出来ないからだ。

 

「じゃあ、行っくよぉ~!」

 

再びテンションを上げてトスを上げる夏耶。

その際、低い身長に不釣り合いな胸がぶるんと揺れた。

 

「はい、アリシアさん!」

 

飛んで来たボールを受け止める葵さん。

その際の衝撃で真っ白い肌の胸がぷるんと震えた。

 

「行きます、篠ノ之博士!」

 

打ち返されたボールはアリシアさんの方に飛んで行き、それをアリシアさんは柔らかく打ち返した。その時に張りのありそうな胸がぷるっと弾けた。

 

「おぉ、こっちにきたよ~! てりゃ~!」

 

束さんはこれを迎え撃つべくトスの構えを取るのだが、その際に腕に挟まれ大きな胸が谷間を強調する。

 

「来たわね~! やぁっ!」

 

ボールが向かった先にいたのは灯姉さん。

灯姉さんはボールを威勢良く声を出してボールを打ち返すと、ゆったりとした巨乳がゆっさゆっさと揺れた。

 

「いっくぜ~! おりゃ!」

 

そして最後に颯姉の所に飛んで行ったボールを颯姉は気合いを込めて打ち返したのだが、その動作から張り裂けんばかりに突き出されていた胸が暴れ回る。

そして、そんな光景を目の当たりにした俺はボールに意識を集中出来ず、変な玉ばかり上げてしまうというわけだ。

皆が楽しんでいる所本当に悪いが、あんな光景、男子からしたら途轍もない劇薬だろう。

皆胸が大きいから、その威力も桁違いに凄い。

正直、目が其方に向いてしまいそうになるのを堪えるのが大変だ。

しかも束さんは気付いてるのか、露骨に胸を揺らしているような節がある。お昼前の事もあって、更に意識してしまうのでそれを表に出さないようにするのは本当にきつい。

しばらくそんなことが続けば、身体は大丈夫でも精神が疲弊しきってしまう。

だから俺は皆とのビーチボールから早々に離脱することにした。

 

「ごめん、少し疲れてきたみたいだ。だから向こうで休んでるよ」

 

出来る限り平静を装いながら皆にそう言うと不満の声が上がったが、同時に心配された。そして俺を看護すると言い出してきたが、俺はそれを断り皆にはビーチボールを楽しんで欲しいと伝えると、パラソルの方へと向かう……わけではなく、皆に気付かれぬように動きながら人気の無い岩場へと向かった。

正直、もう色々と頭が煮立っていた。

目を瞑れば彼女達の艶やかな姿ばかりが浮かび、如何に自分が卑しいかが良く分かってしまう。

武者を目指す者がこれでは駄目だろう。しかもよくよく考えてみれば、今の俺は世間で言う最低な奴だと言える。

5人の女性から迫られ、未だに答えを出せていない腑抜け。しかも最近では成長した妹の姿にドキドキしてしまうという有様。

スケコマシで変態という、まさに碌でなしの極地。

それが武者を目指しているというのだから笑わせる。

考えれば考えるだけ気分が沈んでくる。

なので一端冷静になろうと思い、頭を冷やすべく向かったのだが………。

 

「あん? 何で手前ぇがいやがる!」

「っ!?……貴様こそどうしてここに居る」

 

人気が無い岩場に着くと、そこには釣り竿を海に向けている凰 劉鳳がいた。

奴と会った瞬間、それまで沈んでいた気分は一気に切り替わり、戦うためのものへとすり替わった。そのためか、口調が変わってしまう。自分でも不思議に思うのだが、何故か奴と向き合うとこうなってしまうのだ。

奴は敵意をむき出しつつ俺に顔を向けるも、身体は海に向いていた。

 

「俺がここで何しようが手前ぇには関係ねぇだろ」

 

奴はそう答えてきたが、どこからどう見ても釣りをしているようにしか見えない。

 

「意外だな。貴様が釣りをするとは思わなかった」

 

つい思った事がそのまま口に出た。

釣りとは趣味で遊びだ。それに興じるような性格ではないと思っていた。

それに対し、奴は何とも言えない声で返す。

 

「好きでやってるんじゃねぇよ。釣れなきゃ今日の飯がねぇだけだ」

「……学食はどうした?」

「ちっとしたことでな。俺は利用出来ねぇんだよ」

「そうか」

 

嫌悪こそあれど憎んではいない。

そのためか、案外普通に会話が出来ていた。

そのまま少し沈黙すると、今度は奴から話しかけてきた。

 

「手前ぇこそどうした。その姿から見て、女共と遊んでたんじゃねぇのか」

「此方こそ答える義理はない……と言うべきだが、答えられないわけじゃない。ただ……精神的に疲れただけだ」

 

そう答えると奴は俺を探るように見て、そして口元をつり上げて笑った。

 

「成る程なぁ、モテる割には純情ってこった。スケコマシな割にはへたれてるじゃねぇか」

「誰がスケコマシだ! ただ……どう対応して良いのか分からないだけだ」

 

そして再び沈黙が流れる。

不快ではないが、良くもない。妙にピリピリとした空気が流れるが、煮立った頭には丁度良い。

そんな沈黙が少し続き、奴は口を再び開いた。

 

「手前ぇとの勝負、まだ着いちゃいねぇからな。だからこそ……もう一回俺を戦り合え」

 

それは再戦の申し出であった。

確かに奴との勝負の決着は付いていない。

あの試合は結局の所、テロのせいでうやむやになってしまったのだから。

 

「俺のISは夏休みの終わりの前には修理が終わる。だから今度は、『全開』で来い。俺も『本気』を出して手前ぇを潰してやるからよ」

「此方こそ望む所だ。絶影もそれまでには修理が終わる。その時は……『本当の力』で貴様を斬り捨ててくれる」

 

そう言い合い、お互いに顔を合わせる。

その顔は殺気に満ちた良い顔になっていた。

再戦の約束をした。だからこそ、これ以上話すことは何もない。

俺は頭がすっきりしたことを感じ、この場を後にすべく踵を返す。

だが、その前に一つだけ奴に礼代わりをすることにしよう。

 

「その竿……もうかかってるぞ」

「何だって!?」

 

奴は俺の言葉に慌てて竿を上げ始めたのを音で察しつつ、俺は岩場を後にした。

 

 

 

 この後、皆に合流して日が暮れるまで遊んだが、やっぱり皆魅力的で俺はドキドキして仕方なかった。

だが、奴との再戦の約束の御蔭か悶々とすることが少なくなって助かった。

こうしてこの海水浴は終わった。

俺の胸にはより魅力的な皆の姿と、奴との再戦が刻みつけられていた。

 




次回は何と織斑家に帰宅です。
と、いうことは当然『あのバカップル』もいるわけで……。
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