織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回はかなりアレな感じで……。


第68話 織斑 一真は実家に帰る その1

 夏休みも更に本格的になり、夏の猛暑に身を灼かれる今日この頃。

寮内では大半の生徒が帰郷しているため、いつもより人気が感じられない。

世間で言うお盆のときのような、そんながらんとしたような感じだ。きっと武帝校でも皆同じように実家に帰っているのだろう。

怪我も大体癒えてきたこともあって、俺と夏耶も家に帰ろうという話になるのは至極当然のこと。

俺としても、リハビリも兼ねて一度本格的に鍛錬したいこともあって帰ろうと思っていた。

父さんと『あの人』にに一度見て貰おうと思っているので、夏耶の誘いは有り難かった。

まぁ、そうでなくとも実家に帰ることなど当たり前のことなのだが。

それはいい。

だが、それ以外が多少問題になった。

 それは皆で夕食と取っている時の話。

 

 

 

「そろそろお家に帰ろうと思うんだけど、お兄ちゃんも一緒に帰ろう!」

 

夕食で美味しそうにご飯を食べながら夏耶が俺にそう提案してきた。

それは俺も考えていたこともあり、近々帰ろうと思っていた事から普通に返事を返した。

そんなたかが当たり前の事だと言うのに、夏耶は何故か凄く嬉しそうだ。

そんなに家が恋しかったのだろうかと聞くと、

 

「だってお兄ちゃんと一緒にお家で過ごせるんだもん!」

 

との事。

まだまだ兄離れが出来ないことに呆れつつも、どこか違う感情が見え隠れしていたような気がした。ただでさえ最近は色々とドキドキさせられることが多いので良い事なのか良く分からない。

するとその話を聞いた灯姉さんと颯姉が会話に入って来た。

 

「あら、そうなの。だったら私も一緒に行っていいかしら? おじ様にも挨拶したいし」

「一夏さんに挨拶はしておきてぇからなぁ。それに真耶さんの飯は美味いし、あたいも遊びに行きたい! いいよな、一真」

 

二人とも何度もウチには来ているので特に気にしたようなこともなく平然と俺に許可を求める。それに対し、何故かその話を聞いていた夏耶が頬を膨らませていたようだが、何かあったのだろうか?

 

「別にいいよ。父さん達も喜ぶと思うし」

「ありがとう、かずくん」

「一真、サンキュー!」

 

別に何を今更だと思うくらいこの二人はウチに来ている。

だから許可なんて必要ないと思うのだが、そこは礼節というものだろう。

心良く応じると、二人とも嬉しそうに笑った。

するとそれまで聞き入っていた葵さんとアリシアさんも話に混ざってくる。

 

「あ、あの……わたくしも一真様のお家に一度お邪魔してよろしいでしょうか……」

「お兄様のご実家……わたくしも一度行ってみたいですわ! それに父の無礼を謝罪したいと思っておりましたし」

 

葵さんは顔を赤くしながら消え入りそうな声で恥じらいながらそう言い、アリシアさんは是非行ってみたいと興味津々といった感じだ。

それに対し、俺は二人にあることを問う。

 

「二人とも、実家に帰らなくていいんですか? アリシアさんは海外だし、葵さんは結構そういうのに厳しそうな感じがするんですけど」

「いえ、それは問題ありませんわ! まだ夏休みはありますもの。多少遅くなっても問題ありません。お母様もそれぐらいは許してくれますもの。出なければお父様を未だに繋ぎ止めておけませんから」

「わたくしも問題ありません。今更何か言ってきたところで、お母様には負けません。それにお父様なら笑って許して下さいますし」

 

二人とも特に問題は無いらしい。

なら別に良いかと判断する。それに出来れば父さん達に会わせたい。世話になっているし、父さんにも相談にのってもらっているから見て貰いたい。

 

「わかった。それじゃ二人もどうぞ、来て下さい」

「はい!」

「ありがとうございますわ!」

 

二人は喜びも顕わにし、幸せそうな笑みを浮かべ始める。

するとただ一人、暗い表情をする束さん。

 

「むぅ~、せっかくかずくんを下さいっていっくんにお願いしようと思ってたのに~。束さん、仕事が一杯で行けそうにないや。今回は残念だけど諦めるよ」

「そうですか……それなら仕方ないですね。お仕事、頑張って下さい」

「うん、だから頑張るために束さんをナデナデしてほしいかな。お願い、かずくん」

 

そういって俺に頭を差し出す束さん。

それに反応する5人だが、俺は仕事を頑張って貰いたい一心で束さんの頭を撫でる。

 

「にゃはははは~、凄く気持ちいいよ、かずくん~」

 

まるで猫のように気持ちよさそうにする束さんは、いつもより幼く見えて可愛かった。

その後も不満が飛び交ったが、束さんが来れないので仕方ないと皆に理解して貰った。

 そんな訳でこの帰郷には他にも灯姉さんや颯姉、葵さんやアリシアさんが一緒にウチに来ることになったのだった。

  

 

 

 そして数日後。

俺は実家である織斑家の前に立っていた。

よくある普通の民家で一戸建て。庭が少し広く、両隣に家がないのが特徴と言えば特徴。コレに関してだけはこだわりがあって、鍛錬しても周りに迷惑が掛からない様になっている。

 

「ここがお兄ちゃんと私のお家だよ!」

 

夏耶が嬉しそうに門の前で振り返りながらそう言うと、葵さんとアリシアさんが感慨深く感想を洩らす。

 

「ここが一真様のお家……ちゃんとご家族の方に挨拶しませんと……」

「お兄様のお家……何だか面白そうですわ」

 

そんなに気負わなくても良いと思うんだけどなぁ。

その証拠に夏耶は勿論、灯姉さんや颯姉は普通にしているし。

 

「まぁ、狭い所だけど、どうぞ」

「そ、それでは……」

「お邪魔しますわ……」

 

少し萎縮している二人に笑いかけながらそう言うと、二人は顔を赤らめつつ門に手をかける。

すると突如、夏耶から待ったの声が掛かった。

 

「お兄ちゃん、ちょっと待って!」

「どうしたんだ、いきなり?」

 

その声に二人はビクっと身体を震わせた。

誰だって急に声を上げられたら驚くだろう。二人には申し訳無く思う。

夏耶はそのまま俺に近寄ると、確認するかのように聞いてきた。

 

「お兄ちゃん、今日はお父さんもこの時間にいるって言ってたよね」

「ん? あぁ、そう聞いてるけど」

 

父さんは普段忙しくて昼間に家に居ることがあまりない。

だが、時間が空く日もあるので、そういう時は出掛けずに家にいることが多い。今日もそういった日であるということは分かっている。

 

「お兄ちゃん、ちょっと待ってて。私が先に行ってお父さん達に話してくるから。私が良いって言うまで絶対に来ちゃだめだからね!」

 

珍しく強気で言ってきたので少し驚くと、夏耶は先に門を潜っていく。

すると何を思ったのか、颯姉が面白そうなものを見つけたような……昔からしていたガキ大将の笑みを浮かべていた。

 

「何か面白そうだから行かねぇか」

「ちょっと、何を言っているの颯」

 

その笑みを見て灯姉さんは止めに入るが、その笑みは何やら黒そうな……颯姉の悪巧みに付き合うような笑みを浮かべていた。

そして二人は葵さんとアリシアさんにも声をかける。

 

「二人も一緒にどう?」

 

その誘いに二人は戸惑う。

 

「いや、そんな……許可もなく勝手に人の家の敷地に入るのは……」

「そ、そうですわ。それに夏耶があんなに強く言ってきたのですから、何かあるんじゃ……」

 

そう言う二人に、灯姉さんと颯姉は何とも黒い笑顔を向けた。

 

「だってよぉ……気になるじゃねぇか。一真の家でもあるのに、良いって言うまで入るなだなんて……何か隠してるんじゃねぇか?」

「もしかしたら……抜け駆けされるかもしれないじゃない。それに……」

 

ここで二人にしては珍しく、同じ事を言った。

 

「一真は来るなって言われたが、あたい達は言われてねぇ」

「かずくんは駄目だって言われているけど、私達は言われてないもの」

 

それを聞いた二人は苦悩の末に、

 

「で、でしたら……確かに抜け駆けされるのは阻止しませんと……」

「確かに先輩方の仰る通り、わたくし達は来るなとは言われておりませんものね」

 

そう言って灯姉さん達の方へと歩き出した。

4人が揃うと、勝手知ったる何たらとばかりに颯姉先導で門を潜っていく。その様子は少しばかり不審者に見えなくもない。

 

「ってわけで一真はそこで留守番だ!」

「ごめんね~、かずくん。お邪魔します」

「すみません、一真様。誘惑には勝てず……」

「お兄様、申し訳ございませんが、これも夏耶に抜け駆けさせないためですわ」

 

そう言い残して4人はウチの敷地内へと入っていった。

 

「一体、何だって言うんだろう?」

 

俺は何故自分だけ来ちゃいけないのかを考えつつ、途方に待つしか無かった。

 

 

 

 一真に強く来ないように言い聞かせた夏耶は一人、家の庭からまわって裏門の扉の前で耳を澄ませていた。この門を通ると直ぐにリビングに付くようになっている。

その顔は見る見る内に真っ赤になり、本人の知らない内に呼吸が荒くなっていく。

それを見つけたらしく、颯達4人が声をゆっくりと夏耶にかけた。

 

「おい、夏耶、なぁにやってんだよ」

「一体何をしているのかしら~、夏耶ちゃん」

「抜け駆けは駄目ですからね」

「何で家に入っておりませんの?」

「っ!?」

 

いきなり声をかけられた夏耶は驚き肩を振るわせる。

それで声が漏れそうになるが、それを口を押さえることで必死に耐えた。

その様子に何かあったのかと4人は夏耶に近づいた。

 

「どうしたんだよ、夏耶?」

 

颯がそう聞くと、夏耶は真っ赤になった顔で何でも無いと答えようとするが、顔が真っ赤な自体で何でも無いわけがないと見抜かれてしまう。

それを更に問い詰めようとしたところで、何故こんなにも顔が真っ赤になっているのかを、この場にいる4人は強制的に分からされた。

それは……扉の奥から微かに、だがこの場にいる5人の少女には確かに聞こえてきた。

 

『あっ、真耶さんっ! もうそろそろ一真達が帰って来ちゃいますよ』

『んちゅっ……れろ、んっぷはぁ……美味しくてもっと欲しい……下、下もぉ……旦那様ぁ……もう我慢出来ないんです……』

『あぁ、もうこんなに濡らしてしまって……』

『やぁっ……旦那様、そんなに弄らないで下さい……切ないです、はやく、はやくぅ~……』

『それじゃ時間もありませんから……かなり激しくいきますよ』

『はい! もう滅茶苦茶にして! あ、熱いのが当たってる………っ!?』

 

 その後から始まる凄い嬌声を聞き、5人の顔が真っ赤になっていく。

この後5人が一真の元に戻ったのは、およそ15分後の事だった。

皆の顔はまるで夕陽の様に真っ赤になっていたという。

 

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