織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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不味いくらいスランプです。
上手く書けない…………。


第69話 織斑 一真は実家に帰る その2

 待てと言われてから少し時間が経って、やっと夏耶達が戻ってきた。

皆何やら顔が熱して灼熱化した鉄のように真っ赤になっていたけど、何かあったのだろうか?

 

「皆、どうかしたのか? 顔が真っ赤だけど」

 

話しかけるとポーっとしていた皆が途端に慌てた様子で返事を返し始めた。

 

「い、いや、何でもないよ! あはははは」

「は、はい、何でもありません……」

「何でもありませんわ!」

「そ、そうよ~。お姉さんは何も見ていないわよ~」

「あ、バカ! 何でもないからな、一真!」

 

皆手を振って必死に誤魔化そうとしているようだけど、何かあったのかなぁ……ウチ。

何だか追求出来そうにない感じだし、聞かない方が良いのかも知れない。

 

「も、もう中に入ってもいいのか、夏耶?」

「う、うん、たぶん大丈夫だと思うよ!」

 

流石にこの猛暑の中立っていたこともあって、少しでも涼みたい身としては速く家に入りたい。取りあえずもう大丈夫だと許可も貰ったことだし、速く入ろうか。

だが、その前に呼び鈴をを鳴らして来訪の意図を伝えないと。

これが夏耶との二人だけなら気にするようなことではないんだが、流石に客人を連れているのだからその旨を伝えないといけない。

俺がそれを伝えるべく呼び鈴を鳴らすと、少しして聞くだけで身悶えするくらい甘い声が帰ってきた。

 

「はぁい、かずくん。どうぞ~」

 

母さんがカメラ越しに俺を見たらしく、直ぐに入って良いと許可が出た。

それに従い俺達は門を潜ることにした。

そして扉を開けて家に入ると、真っ白いワンピースを着た母さんが出迎えてくれた。

 

「かずくん、かやちゃん、お帰りなさい。それに灯さんと颯さんもいらっしゃい」

 

まるで日向のような微笑みを浮かべる母さん。

高校に上がる前にはいつも見ていた笑みだが、久々に見ると何だか帰ってきた気がして胸が嬉しくなる。

 

「あぁ、ただいま、母さん」

「ただいま、お母さん!」

「お邪魔します、真耶さん」

「あたいも邪魔させてもらうよ、真耶さん」

 

そう言いながら家に上がる俺と夏耶、灯姉さんと颯姉。

その様子に満足そうに笑う母さんは、今度は葵さんとアリシアさんの方を向いて嬉しそうに微笑んだ。

 

「あら、そこの貴方は……あぁ、貴方がかずくんの言っていた葵さんね。話は聞いてたけど凄い美人さんね~。それに其方はセシリアさんの娘さんね。セシリアさんに似てとても綺麗ね~」

「あ、ありがとうございます……徳臣 葵と申します……」

「は、初めまして、アリシア・オルコットと申しますわ! この度は突然の来訪をこのように歓迎していただき、感謝いたします。あの……お若いようですが、おに……一真さんのお姉様でしょうか?」

 

若いと言われて嬉しそうに喜ぶ母さん。

既に見た目が若すぎるんだからそこまで喜ばなくても良いと思う。

 

「これはご丁寧にどうもありがとうございます。若いっていわれちゃいました! 嬉しいですね~。私の名前は織斑 真耶です。かずくんとかやちゃんのお母さんですよ」

「え………えぇっ!? お兄様と夏耶のお母様! そんな、こんな……お母様よりも若々しくて私達とそんな変わらなく見えるのに……」

 

驚愕するアリシアさんに苦笑する皆。

そう、これが普通の反応なのだと心底思う。

葵さんとアリシアさんが丁寧に挨拶を返すと、母さんは笑顔で二人を歓迎した。

元から母さんが人を拒絶することなんてあまりないから驚くようなことでもないのだけど。

そしてリビングにに向かおうとするのだが、その前に母さんに呼び止められてしまった。

 

「あ、そうだ。かずくん、先に荷物を置いてきたら? 結構重いでしょ、それ」

「そこまで重くはないけど、そうさせて貰うよ」

 

その提案に乗り、俺は二階にある自室に荷物を下ろすために階段を上っていく。だからこの後、夏耶達が何を話していたのかは知らない。

 

 

 

 一真が真耶の提案に従い二階に上がっていくのを見届けた真耶は、その場で5人に意味ありげな笑みを浮かべた。

 

「ところで……かやちゃん…」

 

その笑みを見て何故か威圧感を感じ身体が萎縮してしまう5人。

彼女達は何故こんな笑みを向けられているのかわからなかったが、それでも少し怖いと感じてしまった。

すると真耶は含みを込めた笑みを浮かべつつも頬を赤らめ、そして内緒話をするかのように囁いた。

 

「興味があるのは年頃だから仕方ないけど、盗み聞きするのはお母さん、感心しないかなぁ」

 

「「「「「っ!?!?」」」」」

 

それはさっきまで真耶がしていたことを盗み聞きしていたことがばれていたということ。

それを指摘された5人の顔は途端に青ざめる。

まさかあんなに『激しい』状態だったというのに、此方の存在がばれていたことに彼女達は戦々恐々とした。

 

「そのね……悪いこととは言い切れないけど、でもプライベートな事だし、その御蔭でいつもより感じちゃって凄かったし……じゃなくてね、ともかく、エッチなのはまだイケナイと思うの、お母さんは!」

 

言いたいことが恥ずかしさと相まってか上手く言えず、顔を真っ赤にしたまま真耶は一生懸命に夏耶達に言う。

だが、娘や一緒に盗み聞きをした彼女達からすれば、そっちこそエッチだろと言いたくて仕方ない。

せっかく忘れようとしていたのに再び思い出すようなことを言われ、しかもその張本人から言われたのだから堪ったものではない。

夏耶達の脳裏にはつい先程まで聞こえていた『あの声』がリピートで聞こえてきた。

それを思い出し、顔を真っ赤にする5人。年頃の少女には刺激が強すぎるが、その分興味津々で忘れることなど出来なかった。皆ムッツリスケベなのである。

聞かされる側も言った側も羞恥で真っ赤になるという始末。そのままお互い恥ずかしさのあまり沈黙してしまう。

 そしてこれは一真が荷物を置いて降りてくるまで続いた。

 

 

 

 下に降りると、母さんも含め皆が顔を真っ赤にしていた。

 

「何かあったの?」

「ううん、何でもないの!」

 

軽く母さんに聞いてみると、母さんは慌てた様子で手をパタパタ振って答え、夏耶達も首を上下に素早く動かして頷いていた。

一体何があったのやら。女性同士で何かあったんだろうと思う。

男には分からないことが女性に多いというのは、この春から嫌と言うほど思い知らされているから。

取りあえず皆をいつまでも玄関で立たせる訳にはいかないのでリビングに案内する。

扉を潜った先にあるのは見慣れた部屋。だが、そうでない人達には物珍しく見えたのか、葵さんとアリシアさんから感嘆の声があがった。

 

「全然変わってないねぇ~」

「そうね~。あの頃と一緒」

「あぁ、まったくだ」

 

夏耶と灯姉さん、颯姉は室内を見てそう洩らす。

それは俺も同じだが、よくよく考えればそんな直ぐ変わっていたらそれはそれで怖い物だ。

するとソファに腰掛けていた一人の青年が俺達に気付いて立ち上がった。

 

「あぁ、一真、夏耶、お帰り」

「うん、ただいま」

「ただいま~!」

 

その青年に声をかけると青年はニッコリと笑いかける。

それは何もかもを包み込むような優しさに満たされた笑みだ。

青年はその後、灯姉さん達にも声をかける。

 

「久々だね、二人とも。真田さんと伊達さんは元気かい?」

「相変わらずですよ」

「そうそう、相変わらずの駄目親父だよ」

 

二人は青年に親しそうに話すと、青年は苦笑を浮かべた。

そして青年は最後に葵さんとアリシアさんに声をかける。

 

「ようこそ、我が家に。私の名は織斑 一夏。一真と夏耶の父親だよ」

 

その言葉を聞いた葵さんとアリシアさんの驚きの声が上がったのは言うまでも無い。

そんな二人に父さんは笑い、俺や灯姉さん達は苦笑していた、

そしてちゃっかり母さんが父さんの腕を絡めるように抱きしめていたのには呆れてしまったけど。

 

 

 こうして、この親達のやり取りを見て、やっと実家に帰ってきたような気がした。

 

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