織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

71 / 87
今回はほぼ一真の妄想です。


第71話 織斑 一真は実家に帰る その4

 前回も言ったことであろうが、尚も言わせてもらおう。

 

気まずいと………。

 

久々に見るため少し見方が変わったのか、それとも今までずっと見て来たために感性が麻痺して気付かなかっただけなのか。

改めて久々に見る両親の仲の良さは……何かもう、色々とアレだった。

別に両親の事を疎んでいるわけではない。父さんは尊敬出来る人だし、母さんの優しさは見習いたい。

世間から見ても自慢出来る立派な両親だと胸を張って言える。

なのだが、それでもやっぱりこんな部分を見せつけられるとなぁ……。

このバカップルっぷりを見て引くと思うのは俺だけ何だろうか?

夏耶は家族だから見慣れているし、灯姉さんや颯姉も知ってるからそこまで気にならないのかも知れない。

だが、初見の葵さんとアリシアさんなら可笑しいと感じるはずだ。

だと思っていたのに、実際にはああも羨ましそうに見ていた。

と言うことは、そこまでこの二人の行動は可笑しくないのか?

恋人が出来ると二人のようなのが普通になると言うことなのだろうか?

それがどういうことなのか、取りあえず考えて見ようと思う。

 

 

 

 朝、良く母さんが父さんを起こす時の場合を俺と葵さんに置き換えた場合。

夏耶には毎回起こされていたのでここでは置き換えなくていいだろう。

深い眠りから覚めると、同じ布団に葵さんが入っていて、隣で俺を見て微笑んでいた。その服装は襦袢であり、少し乱れた胸元から除く肌が艶めかしい。

 

「うふふふ……お目覚めですね、一真様。いつもは雄々しいのに、こんなに寝顔は可愛らしくて、わたくしはいつもトキメいてしまいます。まったくもってずるい御人……ずっとわたくしを虜になさるんですから。さぁ、起きて下さい。今日も良い天気ですよ。でないと………キスしちゃいますよ」

 

駄目だ、何かもう頭が沸騰しかけて即座に目が覚めるビジョンしか見えない。

っていうか、母さん、毎回こんな起こし方してたのか! 父さんも本当に毎度こんな起こされ方をして良く平気だよ。

考え出したら止まりそうに無い。このまま行ったら葵さんと向き合うことが出来なくなりそうだ。次、次っ!

 朝食を一緒に取る母さんと父さんを俺と灯姉さんに置き換えた場合。

起こされた俺は朝の鍛錬を終え、シャワーで汗を流した後にリビングに向かうと、美味しそう朝食が並べられていた。

 

「はい、かずくん。朝ご飯出来たわよ」

 

美味しそうな朝食を目にしていた俺に声をかけてきたのは、エプロン姿の灯姉さんだ。

ピンク色のエプロンを着けた灯姉さんはいつもの大人らしさに加えて、何やら可愛らしくて微笑ましい気持ちになる。

そのエプロンを外すと俺と一緒に席に着く灯姉さん。

そのまま二人で同時にいただきますをして箸を持つと、灯姉さんは卵焼きを一つ摘まみ軽く囓る。

そして納得したのか嬉しそうに笑うと、俺に幸せそうな笑みを向けて卵焼きを差し出してきた。

 

「はい、かずくん。あ~~~~~~ん♡」

 

その甘えさせてくれる優しい声を心地良く感じながら俺も応じて恥ずかしがりながらも口を開ける。

そして口の中に入れられた卵焼きを咀嚼し、その美味さにを存分に味わうと灯姉さんにその感想を伝える。

すると灯姉さんは顔を赤らめながら嬉しそうに笑った。

 

「だって、かずくんをだぁいすきって気持ちを一杯込めたもの。私の愛が一杯込められてるのが美味しさの秘訣よ。そう言ってもらえて嬉しいわぁ」

 

アウトッ!!

何だ、この気恥ずかしい朝食風景は!

普通に食べればいいだけなのに、何でこうも気恥ずかしいことになるんだ。

灯姉さんなら普通にしそうで少し怖い。

母さんはよくこんな事を毎日してると呆れ返る。父さんも恥ずかしくないのか。

俺は考えただけでも赤面してしまうよ。

下手に今姉さんの方を見たら何か察せられて実行に移されそうだ。そうなったら俺は悶死するかもしれない。

あぁ、駄目だ、次に行こう。でも、このままこんな事を考え続けて俺の精神は大丈夫なのだろうか?

 昼前に一緒にテレビを見たりしてのんびり過ごす父さんと母さんを俺とアリシアさんに置き換えた場合。

二人で一緒のソファに座り、ゆっくりとした時間を過ごしている。

何かするわけでもなく、ただ二人で一緒にいる。

するとアリシアさんは隣に座る俺の身体にしなだれかかってきた。

 

「あ、アリシアさん!?」

「どうしましたの、お兄様? そんな驚いたお顔をして」

 

柔らかな感触と暖かな重みを感じてドキとした俺に、アリシアさんは無邪気な笑みを浮かべて可愛らしく笑った。

 

「うふふふ、可笑しなお兄様」

 

クスクスと可愛らしく微笑むと、俺に身体をすり寄せてくるアリシアさん。

その柔らかさと香る女の子の香りに俺の胸はさらに高まってしまう。

何でそんな風にしてくるのかと聞いたら、彼女は少し膨れた後に更に身体を密着させて上目使いでこう言った。

 

「むぅ~、わたくしだってもっとお兄様に甘えたいのですわ。それこそ、実の妹の夏耶以上に。だから……もっと甘えさせて下さいね、お兄様。だぁいすきですわ。ちゅ……うふふふふ」

 

ボンッと頭が爆発した音が聞こえた気がする。

何やらアリシアさんが小猫のように見えて、甘えてくる様子が思い浮かべるけど、可愛すぎて仕方ない気がする。そのまま猫耳を着けてニャァ~とでも泣かれたら大真面目に可愛がってしまいそうだ。

これ以上考えるのはよそう。きっとこれ以上考えたらアリシアさんの頭に猫耳を幻視しそうだ。

正常な頭のためにも次だ、次。

 三時頃、父さんと母さんが一緒にお茶をしている時を俺と颯姉に置き換えた場合。

三時になり、リビングに向かうと颯姉が顔に何かの粉を付けながら俺に向かって笑いかけてきた。

 

「おぉ、一真! ちょうど良いところに来てくれた!」

「どうしたの、颯姉?」

 

すると颯姉はウキウキした様子で台所へと向かう。

その後ろ姿から思ったが、ショートパンツにタンクトップ姿でエプロンを着けると前から見て何も着ていない裸エプロン姿に見える。

だからこそ、台所から嬉しそうに笑いながら此方に駆けてくる颯姉を直視出来なかった。別に可笑しい所なんて無いのに。こうして見てしまって赤面してしまう俺は助平なのだろうか?

 

「どうした一真、そんな顔真っ赤にして? ん、マサカあたいのエプロン姿に見惚れてたのか? ほれほれ、もっと見るか?」

 

俺の顔を見てその事に気付いたのか、ニヤニヤ笑いながら身体を見せつけるようにしてきた。

その所為で胸の谷間が強調され、さらに妄想をかき立てられそうになる。

それを必死に押さえると、何でそんな嬉しそうなのかを聞いた。

すると颯姉は嬉しそうに笑い、その理由を答えてくれた。

 

「何と、かなり上手くクッキーが焼けたんだよ、このあたいがなぁ。いやぁ~、一真に食わせたいってんで義母さんに必死に作り方を教えて貰った甲斐があったってもんだ!」

 

そして一つ摘まむと俺の口に強引に突っ込んで来た。

 

「んぅっ!?」

 

そのことに驚き、どうして良いかわからないままに指を引き抜かれる。

それで何とか口の中の物を咀嚼し始めると、颯姉は何を考えたのか俺の口に突っ込んだ指をぺろっと俺の前で舐めた。

 

「一真の味がするな………」

「っ!? げほ、げほっ…」

 

目の前で少しイヤらしく指を舐める颯姉に俺は咽せてしまうのだった。

そんな俺が面白かったのか、颯姉は俺を優しく抱き背中を擦ると、俺の耳元で妖しく囁いた。

 

「もっと一真の味を味合わせてくれねぇか………」

 

はい、アウトー!

何だ、この少しエッチな感じなのは! いくら最近少しは女の子っぽくなった颯姉だからってこれはない……と思いたい。

まったく、毎回こんなやり取りをしてる父さん達は何をしているんやら。

あぁ、もう、颯姉が妙に艶っぽく見えてきそうだ。次っ!

 夜、お風呂を一緒に入っている父さんと母さんを俺と束さんに置き換えた場合。

一緒に湯船に入りはするが、俺は見てはいけないと必死に目を瞑る。

すると束さんは何やら面白そうな声で俺に話しかける。

 

「か~ずくん! せっかく一緒にお風呂入ってるんだから、こっち向いて。ね」

「いや、それは流石に駄目でしょう! 女性の裸を見るわけには」

「一緒にお風呂入ってるって時点で言っても意味ないと思うよ、束さんは。それよりも、一緒にお風呂入ったんだから身体を洗ってあげるよ」

 

そう言われ、抵抗するも結局浴槽から引っ張り出されてしまう俺。

武者の力を使えば振り解くことも出来るが、それを女性に向けるわけにはいかない。

そのせいか、束さんは更に調子づく。

椅子に座らせられた俺の背に突如、大きく柔らかい二つの物体が押しつけられ、それが背中をむにゅりと蠢き滑っていく。

 

「た、束さん!?」

「ん……んぁ……あん……んぅ、なぁに、かずくん。もっと良く洗おうね」

 

そのまま更に背中や腕を石けんで滑っていく柔らかい感触。

さらに熱の籠もった束さんの吐息が俺の耳をくすぐっていた。風呂を出たというのに、身体は寧ろ火照って熱くなっていく一方になっていく。

すると束さんが一番気付いて欲しくないことに気付いた。

 

「あ、かずくん、前がこんなに………た、逞しくて凄い……」

 

そんな声にも含まれた熱が俺を煽っていき、俺の羞恥心は跳ね上がる。

そんな俺を知ってか、束さんの気配が少し離れた。

もしかして軽蔑されたかと思ったが、その後直ぐに俺の身体の前に気配が移動した。

 

「正面から見るともっと凄い……それに触っても無いのに、熱が伝わって来そうで……かずくん、苦しいよね。だから束さんが……洗ってあげるね……」

 

そして束さんは…………。

てっ、おぉおおい! 何考えてるんだ、俺は!?

いくら束さんだからってそんな事無いだろ、普通! それに父さん達だってこんな事はしないはずだ。何を考えてるんだ、俺。

あぁ、もう………色々と溜まってるのか? もっと鍛錬時間を増やして解消しよう、うんそうしよう。

つい皆勘違いしそうだけど、俺だって思春期の男だってことは忘れないで貰いたい。そういう知識くらいはちゃんとある。

あぁ、きっと変な事ばかり考えてるからこうなるんだ、次、最後!

 夜寝るときの父さんと母さんを俺と夏耶に変えた場合。

夜、一緒にベットにはいる俺と夏耶。

狭いベットで二人と言うこともあってか、その身体は思いの他密着している。

パジャマ越しに感じる『女』の香りに俺はドキドキしてしまう。

それは夏耶にも伝わっているのか、向こうも顔を真っ赤にして俺を見つめてきた。

 

「ドキドキするね……お兄ちゃん」

 

そう俺に上目使いで言う夏耶はいつもの幼さに加え、危うい色香に溢れていた。

その様子に俺は直視しないようにするが、その前に夏耶が俺の身体の上に被さり、俺の顔を見つめる。

 

「お兄ちゃんなら、私は………」

 

そして目を瞑り顔を近づけていく夏耶。その瑞々しい唇と押しつけられた大きな胸の感触に俺の理性は……………。

 

いい加減にしろ、俺っ!!

何なんだ、この思考! 可笑しすぎるだろ!

寄りにもよって妹相手に何考えてるんだ! た、確かにここ最近は急に女の子っぽく成長したからって、だからって! 

駄目だ、もう俺の頭が駄目だ。

訂正しよう、認めよう。

父さん達が可笑しいんじゃない。俺の頭が可笑しいのだ。

だから、父さん達が仲良いのは普通のことなのだから、寧ろ見習わなくてはならないことだと、そう思おう。

 

 

 

 そんな事を考えてしまっていた俺を心配してか、夏耶達が心配して声をかけてきた。

 

「大丈夫、お兄ちゃん?」

「一真様、お顔が真っ赤ですが……」

「かずくん、どうかしたの?」

「お兄様、大丈夫ですか?」

「一真、平気かよ?」

 

皆の顔を見て、俺は顔が一気に真っ赤になっていくのを感じ、そして慌てながら大きな声で答えた。

 

「だ、大丈夫だよ! うん、大丈夫なはずだから!」

 

そう答えるも、その熱はまったく引かず、俺はしばらく赤面したままだった。

 そんな俺を見て、父さんと母さんが笑っていることに俺は気付けずにいた。 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。